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ヒメカマキリモドキの食事 2006/06/26
 一昨日から二日連続してヒメカマキリモドキのメス2匹が羽化した。

 この2匹のメスは、いずれもマミジロハエトリの卵のう内から見つけた繭から羽化したのであった。
 したがって、ヒメカマキリモドキ成虫の野外における発生時期を推測する上で、この羽化日のデータは参考になるだろう。

 これまでにヒメカマキリモドキの一番遅い成虫の記録は、千葉で11月という観察例を聞き及んでいるから、そこまでも含めると成虫の出現期はかなり長期に渡る。このことについては、もしや年2回発生の可能性も視野にいれておく必要があるだろう。それと同時に、クモの産卵時期が種類によってどういうタイミングになっているのか、そこを知ることも必須の条件となる。

 さて、羽化したメスの餌には生き餌が必要。しかも捕らえることのできるサイズまで考えればユスリカ程度が無難のようだが、今朝は少し大きめのハエの一種を与えてみた。
 これはちょっと大き過ぎたかな、と見ていると、ヒメカマキリモドキは前脚一本でサッと難なく押さえ込んでしまった。そしていきなりハエの頭からガブリ、ガブリと食べ始めたその様子は、やはりカマキリなのである。
 前脚で押さえ込む力は相当なものらしく、たしかにまるでポパイの腕を連想するほどの逞しさがある。



『宮崎県 北諸県郡 三股町』

 明日は、日帰りで宮崎に行く。
 これまで数回通ったのも、来年の移転先を探すためだったが、いよいよその移転先が決まった。
 
 今日の九州はニュースを見たり聞いたりしていると、たいへんな雨量でもって、あちこちで被害も出ているようだが、それに反して宮崎は真夏のような晴天であったそうだ。
 たしかに九州は、北と南では気候がかなり違うと聞いているけれど、ずいぶんと極端だなあ、と感じた。
 せっかくの九州行きだが、今回は特に事務処理のみで、フィールドを巡る時間は全くない。 せめて明日も晴れて欲しいところだが、予報によれば宮崎も明日は雨ということになっている。新開 孝

ヒメカマキリモドキの羽化 2006/06/25(その1)
 今日は午後5時半ころ、2匹目のヒメカマキリモドキが羽化した。

 気付いたときには、すでに蛹が繭から出たところであった。しばらくすると蛹はゆっくり歩いて私が用意してあったサンショの枝に登った。

 足場を決めるとそこで羽化脱皮が始まった。今回もまた、メスである。新開 孝

ヒトツメカギバ 2006/06/25
 ヒトツメカギバの幼虫はミズキの葉を二つ折りにした巣内に潜んでいる。
昼間はじっと休んでいて、夜になると巣から外に出て葉っぱを食べる。

 幼虫の頭部には一対のツノがあって、顔を正面から見れば、まるで猫顔である(写真上/撮影は2週間前)。
その幼虫が数日前に、葉っぱを綴じたなかで蛹になった。早く撮影しなければと思いつつ、今日になってみれば、すでに眼の色が浮き出ていた(写真下)。

 本種の成虫はうちのマンションの門灯にもときおり飛来する。成虫の姿は「ギャラリー」に写真が載せてある。新開 孝

羽化したヒメカマキリモドキ 2006/06/24
 今日の午前中、ヒメカマキリモドキのメスが羽化した(写真上)。

 羽化した成虫の雌雄は、腹部末端の生殖節の外見ですぐにわかる。
 体長は15ミリ。一対の触角を交互にせわしなく動かす。

 鎌状の前脚、そして逆三角形の頭部を見ている限り、これはカマキリそのものである(写真下)。
 もちろんがっしりした前脚は、獲物を捕らえてから押さえ込む役目を果たす。ヒメカマキリモドキが捕まえる獲物のサイズは小さいが、完全な肉食昆虫であることでは、カマキリとなんら変わらない。

 かつてカマキリモドキの和名は「カマキリカゲロウ」と呼ばれていた時期もある。カマキリカゲロウの方が分類学的にも素直な和名とも思える。しかし、モドキという呼称には、いかにも「怪しいやつ」という雰囲気が伴い、これはこれでいいのかもしれない。

 このヒメカマキリモドキのメスの生い立ちを振り返ってみると、よくぞ羽化まで無事に漕ぎ着けたものだと感心するばかりである。
 彼女が卵としてこの世に産み落とされたのは、昨年のおそらく7月中頃ではないかと想像する。

 新開 孝

ヒメカマキリモドキ、羽化間近となる 2006/06/23
 マミジロハエトリの卵のう内で成長したヒメカマキリモドキは、繭の中で蛹となって羽化の日を待っている。

 昆虫は成長に伴って姿を変えていくが、この形態変化を変態(メタモルフォシス)という。メタモルフォシスの語源は広辞苑を調べてみると、ラテン語の「メタモルフォセス」というオウィディウスの叙事詩、変身物語ではないだろうかと思う。
 昆虫の多くは、卵や幼虫、そして蛹と形態変化を積み重ね、最後に成虫となる。成長に伴い姿ががらりと変じるその様は、まさに「変身物語」とも言えるだろう。

 さて、繭内でじっとうずくまるヒメカマキリモドキの蛹は、もうすでに成虫の姿にほぼ近い状態となっている。ただし4枚の翅だけは黒く小さく折り畳まれている。
  蛹が繭から出て羽化するのは、もうここ数日内のことであろう。

 
『カマキリモドキを知りたい』

 カマキリモドキ類に私が興味を抱いたのは、特別な理由があったわけでもなく、ただ最初に雑木林で一匹のヒメカマキリモドキにばったり出会った瞬間、そのけったいきわまりない姿に衝撃的に感動してしまったことに始まる。

 図鑑では知っていても、現実にカマキリモドキを目の当たりにして、私は思わず体が震えるような興奮を覚えたことを今でもはっきりと思い出せる。その場所は所沢市のある雑木林の縁で、すぐ後ろは狭山茶で有名な茶畑が続いていた。

 緊張しながらカメラを構えてはみたものの、私は思わず撮影を躊躇してしまった。かのヒメカマキリモドキは、撮影する上ではこの上も無く条件のいい葉っぱの舞台に佇んでいたにもかかわらず。
 私は恐れたのである。この電撃的な出会いが、ストロボ一発の閃光でもって一瞬にして露と消えてしまうのではないか、と。確かにそういう経験はこれまでにも他の昆虫であったからだ。
 そしてさらに、ここでヒメカマキリモドキの写真をうまく撮影できても、その写真は図鑑の片隅に載せる程度の役割を果たせても、ただそれだけで終わってしまうではないか、そう考えたのである。

 当時、私はとにかく貧乏この上なかった(今でもあまり向上していないが)。そのためカメラのフィルム代、現像代を最低限でも維持するには、撮影対象となる被写体、テーマをかなり絞る必要があった。さらに支出をできるだけ減らすためにも、遠出は避けて近所の雑木林に通うことに徹していた。

 一匹のヒメカマキリモドキとの出会いは、じつは私の昆虫写真家としてのその後の進路あるいは方向性を決める、一つの典型的な出来事であったとも捉えることができる。いわば運命的な出会いとも言えるだろう。

 私が最初に出会ったヒメカマキリモドキを撮影しなかった理由は、私が抱いた感動をどう写真に表現すべきなのか、じっくりと考える必要があったからに他ならない。
 ヒメカマキリモドキという昆虫を、私は一体どれだけ知っているだろうか?

 私は構えていたカメラをそっと下げて、ゆっくりと後退した。そしてここまで離れれば、私が引き起こす風でヒメカマキリモドキの止まっているエノキを揺さぶることもないだろうと判断して初めて、私は猛然と自分の車へと駆け出していった。
 数十メートル離れた場所に止めてあったジムニーに駆け寄ると、急いで後部扉を開けて捕虫網を手にしたのである。

 「まだそこにいてくれよ!」私はそう小声で叫びながら、また同じ道をダッシュして引き返した。今度も少し手前から小走りに戻し、最後の2メートルはゆっくりと忍び足で、かのエノキの梢へと近づいてみた。
 「おお、いたか!」それまで冷静であったのに、急に私は胸がドキドキして網を持つ手が大きく震えてしまった。車との間を往復ダッシュしたせいではない。がしかし、今でこそ腕は落ちたが、当時はまだ網を振る技には自信があった。一発で難なくヒメカマキリモドキをネットインすることができたのである。

 捕らえたヒメカマキリモドキは持ち帰って、室内でじっくりと観察してみた。机上に設えた草木の舞台上で、ヒメカマキリモドキはゆっくりと自分の前脚の鎌を手入れし始めた。標本では絶対に窺え知れない、体各部の質感、そして体の細かい動作などなど、初めて見る感動にしばし酔いしれた。ここでもって初めて、ヒメカマキリモドキの姿を写真撮影してみたが、それは所詮、単なる資料写真であり、物足りなさ以上に悔しささえ覚えたのである。

 ヒメカマキリモドキの生態について、私の手元にある昆虫関係の文献だけではあまりにもわからないことだらけであった。かといって、すぐにも近場のフィールドをあてもなく探し歩いてみたところで、何の成果も上がらないことは知れている。 
 当時、ヒメカマキリモドキの成虫を目撃するだけでも、先の出会い以外ではまず絶望的であったからだ。

 そこである夏、カマキリモドキについての文献を調べるため、私の母校、愛媛大学農学部の昆虫学研究室に赴くことにした。私は探究心というよりか、うづくような好奇心のかたまりを胸いっぱい抱えて、研究室のドアをノックした。         
                               つづく


 新開 孝

ホオズキカメムシ 2006/06/21
 少し前からヒルガオについているホオズキカメムシが気になっていた(写真上/左がメス、右がオス)。

 ホオズキカメムシはだいたい何処にでも普通にいて、しかも作物のピーマンやナス、トウガラシ、サツマイモなどに群れてつく。   
 成虫の姿は地味であり、かつてある偉大な昆虫学者から「醜悪な虫」とまで書かれたくらいだから、たしかに人から好かれる昆虫ではないだろう(写真中/オス)。

 しかし、ホオズキカメムシの卵は金茶色に輝いて多数が並び、これはけっこう綺麗だ。テカテカの光沢を放つ卵表面は、拡大してよく見れば網目状の紋様に覆われている。
 卵は通常20数個以上が平面に並べて産み付けられる。
 写真下の卵はヒルガオではなく、そこに絡みついていたヘクソカズラの葉うらで見つけたもの。ホオズキカメムシのメスは、ホスト植物の近くにある植物なら、なんでも選ばず産卵する習性がある。

 姿は今ひとつ人気がなくても、ホオズキカメムシのオスはメスの集団を囲い、いわゆるハーレムを作ることなど、生態面では研究者の注目を浴び、研究対象としては非常に魅力的な存在となっている。
 新開 孝

ツバメシジミ 2006/06/20(その1)
 秋ヶ瀬公園に着いたのはすでに午前10時半も過ぎていたので、ミドリシジミの撮影は諦めていた。それでも万が一ということもあるので、50-200ミリのズイコーデジタルレンズをE-500に装着して持ち歩いてみた。

 今日の目的はミドリシジミ以外に二つあったのだが、目的をしっかり絞れているときほど副産物的にちょっとした出来事に遭遇するというものだ。
 たしかにミドリシジミの方は、高い梢をチラチラと舞う姿を見ただけに終わってサッパリだったが、足下ではツバメシジミの交尾を間近で撮影できた。
 最初、交尾つがいに気付いたのは私ではなく、三鷹市から来ていらしたHさんの発見であった。私がHさんと立ち話をしている最中であった。
Hさんとは初対面であったが、三脚にカメラを据えて伸縮式釣り竿を片手に持っているHさんの姿を見れば、一目でミドリシジミの撮影をねらっていることは知れる。
 Hさんはにこやかにコムラサキのことや、他にもさまざまなチョウのお話をしてくださった。聞いているうちに穏やかな人柄が垣間見えて、今朝はいい出会いをしたなあ、と思えた。
 
 釣り竿は、高い梢に潜んでいるミドリシジミを飛び立たせるための道具として使う。ちなみにHさんは、なんと懐かしいパチンコを披露してくれた。こちらは竿でも届かない高所にいるチョウを脅して飛び立たせる道具として使う(パチンコといってもチンジャラ、チンジャラの方ではないです、念のため)。
 しかもそのパチンコはステンレス鋼でこしらえたHさんの自作物である。
このようなチョウの撮影にかける情熱、意欲というものを見聞きしていると、こちらまで熱くなってくるほどであった。


 今日の写真は上が、50-200ズームレンズ、中が35ミリマクロ+1.4倍テレコン、下が8ミリ魚眼と、同じ被写体をレンズを換えて撮影してみた。
 ズームレンズは200ミリ側で使用。

新開 孝

ムラサキシャチホコの幼虫 2006/06/20(その2)
 オニグルミの葉っぱ裏で、毎年出会うのがこのムラサキシャチホコ幼虫である。

 おしりの二本の突起といい、その姿はなんとも怪しくて良い。こういう怪しくて変ちくりんな虫が私の好みと言えば、好みだが、仕事をする上では好みだけを主張していても始まらない。怪しい!だけでは気が済まない方も多い。

(写真はクリックすると拡大して見れます)



 『一番好きな昆虫は何ですか?』

 こういう質問をよく取材とかでも受けるが、この答えには少し困る事もある。
やはり相手は、「私は○○という昆虫が大好きでして!それはもう、、、気が狂わんばかりで、、、、」などと唾を飛ばしながら、饒舌に気持ち高ぶってのお答えを期待しているのではないかと想像したりするからである。
 「へえ!?あなたの心をそこまで虜にするその昆虫の魅力とは!?」などと会話が弾めば、質問者も満足するというものではないか。
 取材が終わったあとの記者は、メモを片付けながら「あの人はそうとうの虫キチだわッ。凄い!というか気色ワル!!」と背中の向こうで舌を出しているのがオチだ。
 しかしながら、私はときに応じてこの返答内容を変えてみる。まさに気分次第なので無責任にも程があるが、その場その場でお答えする内容は、それぞれ嘘ではないから、全部をまとめて書き連ねるなり、お話できればそれが一番かもしれない。
 まあしかし誰でも「何が一番好きか?」と問われるのがまた一番答えにくい質問ではないか、と思う。
 この質問に答えるつもりで書き連ねていけば、長くなるし、一冊の本にも仕上がるだろう。ここでメモ書き程度に打っているくらいなら、ちゃんと仕事せんかい!!である。

 昆虫写真の本にはいろんなスタイルがあっていいのだし、例えばビジュアルにまとめたものは美しい。そういうなかで、昆虫の魅力を昆虫写真家自身の言葉で綴りながら写真も組んでいくという、そういう本作りをしてみたいと思うこの頃。
 私はどこまでも印刷本の世界にこだわりが強く、寝転がって好きなときに開ける本がいい。
 どうもこのところ、撮影ばかりにはまり込んでしまい、撮影馬鹿になっている。


 
 
新開 孝

ヒメカマキリモドキの繭の中 2006/06/19
 ちょうど一週間前の6月12日に見つけたヒメカマキリモドキの繭(写真上)。

 繭外部にいくつか付着している白く丸い薄皮は、ヒメカマキリモドキの幼虫が吸血したクモの卵の殻である。つまり幼虫時代の食べかす。寄生された側のクモは、マミジロハエトリであった。
 マミジロハエトリのメスは糸でくるんだ卵のうを抱えるようにして、大事に守っていたのだが、まさかその卵のう内部で、我が子が全て寄生者のお腹に消えてしまったとは露とも知らなかったはずだ。

 さて、今日はその繭を切り開いてみた。繭を強い光で透かしてみると、外からすでに蛹の眼が見えていたからである。

 ヒメカマキリモドキの繭内では、多数のクッション材が蛹をくるむようにしてぎっしり詰まっており、繭外壁を切り開くとすでにその一部が外にはじけてはみ出てくる(写真中)。

 クッション材は繭を紡いだのと同じ糸からできた薄皮網のようなもので、これは蛹が繭から脱出するときは、蛹を取り巻くようにしてツルツルと一緒に繭の外へ放出されるのである。
 その様子は例えて言えば、煙幕を張ってそれに紛れて外敵の目をくらますかのようでもある。

 繭内部にこのようなクッション材を詰め込んでいるのは、まだヒメカマキリモドキでしか見た事が無い。同じアミメカゲロウ目のクサカゲロウ類やウスバカゲロウ類、あるいはツノトンボ類の繭内部はただの空洞でしかない。

 ヒメカマキリモドキの蛹(写真下)は、このあとさらに体色が濃く浮き出てきて、翅が小さく体に貼付いている以外はほぼ成虫と同じ様な姿となる。
 そしてやがて、蛹は口でもって繭壁の一端を丸く切り開き、ハッチを押し開くようにして繭の外へ出るのである。
 繭からはい出した蛹はぶら下がれる場所へと這い登り、そこで足場を決めると、ようやく羽化脱皮を開始する。
 新開 孝

リンゴコブガ幼虫、脱皮する 2006/06/18(その1)
 先日から飼育しているリンゴコブガ幼虫は、今日になって脱皮した。

 そして頭部に積み上げられた頭殻をあらためて数え直してみると、
なんと14個もある。
 6/15には12個と書いたが、それは数え間違いで、あの時点では13個あったということになる。

 つまり今、飼育中のリンゴコブガ幼虫の令数は、15令!!ということだ。

 リンゴコブガ幼虫が食事をしている様子を見ていると、いかにも動作が緩慢である。その毛深い体といい、まるで獣のナマケモノを連想できる。

新開 孝

ヒカゲチョウ、羽化する 2006/06/18
 今朝の午前8時半頃、ヒカゲチョウが羽化した。

 先日、近くの雑木林で見つけておいた蛹だ。昨夜から急に蛹の体色が黒くなっていた。

 ヒカゲチョウの幼虫は雑木林の林床に生えるアズマネザサなどを食べて育つ。本種のようにササ類を食す幼虫の場合、飼育するとなると餌替えはけっこうたいへんだ。ササの葉っぱを数日間は萎れないように工夫もできるのだが、手間暇がかかることに変わりはない。

 そこで以前は、アズマネザサの鉢植えを用意していたことがある。
 その鉢植えはいろいろな昆虫の撮影に役立てることができて重宝した。
 しかし、ある年の春、そのササが開花した。ササの花は毎年どこかでは見かけるので珍しくはないが、開花したことでその鉢植えのササは力尽きたように枯死してしまった。

 話が飛んでしまったが、ヒカゲチョウの翅が伸び切ると、うしろ翅に並んだ目玉模様が際立つ。新開 孝

エゴツルクビオトシブミ再び 2006/06/17
 エゴノキの若い葉を食べている、エゴツルクビオトシブミのオスがいた。
おそらく今年生まれの新成虫であろう。あちこちで彼らの残した特徴ある食痕もよく目立つ。

 エゴノキの梢にぶら下がるゆりかごも、よく見れば新成虫が羽脱した大きな穴が開いているものもある。

 いっぽうで、すでにゆりかご作りに励む新成虫のメスも見かけた。

 関東の平地林でもっとも普通に見られるオトシブミとは、このエゴツルクビオトシブミではないだろうか。新開 孝

エゴツルクビオトシブミ 2006/06/16
 エゴノキの葉っぱに「ゆりかご」をつくるのはエゴツルクビオトシブミのメス(写真)。

黒光りする甲冑をまとったような独特な体型は、甲虫のなかでもなかなか個性的で好感が持てる。

 すでに羽化した新成虫が中で待機している「ゆりかご」もあれば、まだ卵が産みつけられた新しいもの、幼虫、蛹が育っているものと、今はすべてのステージが揃っている時期でもある。


昨夜はイチモンジチョウのふ化幼虫が、最初に行なう糞塔作りの様子を撮影していて、その作業が終わったのが深夜の3時であった。
 一度は見ておきたいシーンだったので、写真はともかくふ化幼虫の行動を追跡観察することに没頭してしまった。

新開 孝

リンゴコブガ幼虫の今日 2006/06/15
 リンゴコブガ幼虫を秋ヶ瀬公園で見つけてから、ほぼ2週間目となった。

 幼虫頭部にうず高く積み上げられた頭の抜け殻の装飾は、このリンゴコブガ幼虫をいっそう怪しい生きものに印象付けるには充分過ぎる。

 さて、その頭の抜け殻装飾だが、今日数えてみると12個もつらなっている。発見当初は10個であったから、この2週間ほどのあいだに2回脱皮したことを物語っている。
 抜け殻装飾の描く曲線も急カーブとなり、アルファベットのCの字を背負っているようだ。

 ただ不思議なことに、2回脱皮して成長したはずだが、幼虫の体の大きさはさして変化していないように見受ける。12個の頭部抜け殻は先端から順に大きくなっており、それは成長の確かな証となってはいる。   しかしよく見れば、新しい2個の頭殻はあまり大きさに違いがなく、それは脱皮と成長との足並みが揃っていないことを示しているようだ。


新開 孝
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