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ウスバカゲロウ類の徘徊性幼虫 2006/04/14(その1)
 セイヨウタンポポでツマキチョウのオスが吸蜜していた。花から離れてもまたすぐ戻ってくるので、よほどお腹が減っていたのだろうか。

 そこでタンポポに近づいて魚眼レンズで撮影してみようと思った。私が近づく前にツマキチョウは飛び去ってしまったが、とにかく待ってみることにした。
 しばらくしゃがみ込んで花を眺めていると、すぐそばの地面をトコトコ歩くものがいる。

 なんと、ウスバカゲロウ類の幼虫であった。

 種名まではわからないが、おそらくはマダラウスバカゲロウかもしれない。幼虫の姿格好はまさにあの「アリジゴク」タイプであるが、この種類は砂地にすり鉢状の落とし罠をつくらない。
 そしてアリジゴクが後ずさりにしか歩けないのとは違って、この徘徊性幼虫は前向きに歩く事が出来るのが特徴である。
 体がよくわかるように、白地の上で撮影してみた。

 体つきは丸々と肥えており、これはしばらくすると繭をつくるかもしれない。
 羽化まで飼育して、種名を確かめてみようと思う。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ナミテントウ、卵を食べる 2006/04/13
 イヌシデの枯れ枝で、ナミテントウが同種の卵を食べていた。

 イヌシデやケヤキ、エノキほか、雑木林や公園などに多い樹種には、この季節から多種類のアブラムシがつく。そのアブラムシを餌にして繁殖するのがナミテントウだ。一方、ナナホシテントウはカラスノエンドウ、ナズナ、アブラナなど草本植物につくアブラムシを主に餌にしている。
 だからナナホシテントウは明るい草地環境に棲み、ナミテントウは林に棲んでいると言える。ただ、ナミテントウはノイバラや草本植物のアブラムシも食べるので、ナナホシと混生していることも珍しくはない。厳密な棲み分けの境界線があるわけではないが、しかし、ナナホシテントウは林の中ではほとんど見かけない。

 ナミテントウの場合、こうして同種が産みつけた卵を横取りして食べてしまう光景に遭遇する機会は多い。もっと極端には、産卵している最中にその後ろから、産み落とされる卵を食べられたりする。まだアブラムシの数が少ないためなのか、あるいは別の理由があるのか、よくわからない。

 それで足下のギシギシを見れば、コガタルリハムシの卵が多数ついている。
しかもギシギシの上を歩く成虫も数多いのだが、どうやら草食昆虫のハムシでは同種の卵を食べてしまうようなことは無いのかもしれない。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 新開 孝

モンシロチョウの雨宿り 2006/04/12
 本日は群馬県、前橋に赴いた。
 ようやく標本撮影の仕事を終了することができ、機材も撤収した。

 前橋は今もサクラは見頃で、日射しさえあれば歩いてみたかった。残念ながらどんより曇り空。昼過ぎには前橋を後にして関越道に入った。

 うちに戻ってからマンション裏の草地でモンシロチョウを見つけた。
 今朝からの雨はたいしたことなかったが、このモンシロチョウはセイヨウカラシナで雨宿りしていたようだ。

(OLYMPUS E-330  8ミリ魚眼)

新開 孝

雨の雑木林 2006/04/11
 清瀬市中里の雑木林は空堀川沿いに細長く続く。林の主な樹種はコナラやクヌギ、イヌシデなどで、シラカシなど常緑樹は数少ない。

 ようやく芽吹きも盛んになってきたが、昨日あたりからしばらくは雨続きになるようだ。マンションから出て歩いてみると、遠景は白く霞んでしまっている。
雨脚はこれからさらに強まるとのことだ。

(D200 AF-Sニッコール18ー200ミリ)


 『深夜のビデオ撮影』

 さて、前にも書いたように「キマエアオシャク幼虫」の脱皮を昨日、ビデオ撮影した(写真下)。
 脱皮が始まったのは深夜11時過ぎ。
 幸いにもうまく撮影できた幼虫は2匹目の方で、もう後が無いという状況だった。1匹目はわずかに脱皮開始に間に合わず、撮り逃して失敗している。もっともこの1匹目は脱皮途中でガクンと体を前に倒してしまったので、撮影できても使いものにならなかっただろう。
 わずか2匹の幼虫で脱皮シーンをものにするというのは、いかにも無謀であったが、こういうケースは今までにも無かったわけではなく、むしろ私の場合は多いほうかもしれない。
 モンシロチョウやカブトムシなどのように、いくらでも個体数を揃えることができる昆虫ならば、飼育の手間暇の分、撮影そのものは楽になる。その上、少しでもいいカットやシーンを追求するなど欲も出せるというものだ。
 室内セットでの変態シーン撮影は、数で勝負とも言えるが、それができないときには、気合いの入った集中力を必要とするが、最後には運しだいとなる。
 
 それにしても今回のビデオ撮影は後が無いということもあって、この二日間、睡眠時間が3時間程度となった。ふだんは7〜8時間くらいの睡眠時間をとっている私にとっては、かなり堪えた。
 お昼を過ぎるころから少し頭が重くなってきたが、今夜は都内で編集者の方々と、昆虫写真家のFさんと一緒に飲むことになっている。
  
 美酒とおいしい中華料理で、元気を盛り返してみよう。
 
 新開 孝

ふ化したウスタビガ幼虫 2006/04/10
 昨日、ウスタビガの卵がふ化した。

 ヤママユの卵も同時にふ化し始めたが、じつは林から持ち帰ったあと、ウスタビガやヤママユたちの卵は冷蔵庫で保管しておいたものだ。
 採取後、一旦はベランダに吊るしてあったが、3月末には冷蔵庫に取り込んだ。これは林の芽吹きのタイミングにふ化を合わせるためである。ベランダなどで外気に晒しておいてもふ化のタイミングが早まってしまい、餌がない!ない!と言ってあわてふためくことになる。

 冷蔵庫での保管期間や温度によって違ってくるが、室内温度に戻してやれば10日から2週間程度でふ化が始まる。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝

キマエアオシャク幼虫の脱皮シーン 2006/04/09
 真冬にはコナラの枝そっくりの体つきをしているのがキマエアオシャクの幼虫(写真上)。

 それが春になって、芽吹きとともにやがて脱皮すると、今度はコナラの若芽や葉っぱに姿が似てくる(写真中)。

 季節の移ろいが際立ついまごろの雑木林では、尺取り虫たちの衣替えも進行しているわけである。

 さて、キマエアオシャク幼虫のその脱皮シーンをビデオ撮影することが決まっていて、その撮影準備に入った。ところが本種の幼虫を多数、用意することはたいへん難しい。結局、入手できた2匹の幼虫で撮影することになった。これはかなりの冒険であるが仕方が無い。

 ところでこういった脱皮や羽化、ふ化など昆虫の変態シーンを撮影する場合、その兆候を正確に把握して待機する必要がある。できれば事前に数多くの観察を積み、個体差も含めた変態の様子を頭に叩き込んでおくのが理想的だ。
 そうでないといたずらに待機時間が長くなるばかりだし、しかも肝心なところで撮影チャンスを逃すというリスクも大きい。待つにしても自分なりの体力の限界があるから、無理はしない。
 だが今回のキマエアオシャク幼虫の脱皮などは、事前の観察どころか本番撮影に至っても数を揃えるのは困難であるから、とにかく自分のこれまでの観察や撮影経験をフルに活かして、慎重に臨むしか他に手が無い。
 
 で、変態の兆候を時々刻々、こまめに観察するのであるが、その場合によく使う道具が(写真下)のマクロレンズとレンズスコープコンバーター(Nikon)の組み合わせである。この組み合わせでは、少し離れた場所から拡大観察ができるので重宝する。
 このレンズスコープコンバーター(Nikon)というのは、望遠レンズに取り付けて望遠鏡として使うのが本来の使い方であり、私も購入した時点では野鳥観察に使うつもりだった。望遠ズームレンズに取り付ければ、ズーム望遠鏡として威力を発揮しただろうが結局、望遠ルーペとして使っている。

(写真上、中/EOS-5D マクロ65ミリ)
(写真下/D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

アオクチブトカメムシ幼虫の今日 2006/04/08
 昨日の朝ふ化したアオクチブトカメムシの幼虫たちは、コナラの若葉に落ち着いた。カメムシのなかまは、このように互いに身を寄せ合い集団で生活するものが多い。
 
 成長して令を重ねていくにつれ、この集合性はやがて薄れて、分散していく。


 (EOS-5D マクロ100ミリ)新開 孝

アオクチブトカメムシのふ化 2006/04/07
 今朝はアオクチブトカメムシの卵塊がふ化を始めた。
 時刻は午前8時過ぎ頃。

 びっしり並んだ卵は数匹づつが一斉にふ化していくが、卵全部のふ化タイミングは各グループごとにずれている。これは撮影する側としては助かるのだが、卵塊全体が一斉ふ化する方が、よりドラマチックなシーンとなるだろう。

 卵上部が潜水艦のハッチのように開いてふ化するが、その際幼虫頭部に見える黒い部分が、Egg-bustar「卵殻破砕器」だ。
 この破砕器でハッチに強い圧力をかけ、ふたを内側から押し開けるようだ。幼虫の体は風船のようにふくらんだり、しぼんだりを繰り返しながら徐々に卵の外へと体を抜いていく。
 ふ化幼虫はまさに「赤ちゃん」である。ふ化した後は兄弟どうしで寄り集まり、じっと休んでいるが、そのうち体色が浮き出てくる。

 アオクチブトカメムシは蛾やチョウ、ハバチなどの芋虫を吸血する肉食カメムシだが、このふ化幼虫から脱皮した2令幼虫まではコナラなどの汁を餌として吸う。

 アオクチブトカメムシの卵はコナラについていたものを、所沢市の雑木林で見つけて持ち帰っていたものだ。卵塊は二つあったが、二つ目も少し遅れて今朝中にふ化を始めた。

(EOS-5D マクロ65ミリ)新開 孝

脱皮したゴマダラチョウ幼虫 2006/04/06(その2)
 下の子供の小学校入学式を終えてうちに戻る途中、小さなエノキで脱皮したばかりのゴマダラチョウ幼虫を見つけた。

 とくに角の生えた赤い頭部は、よく目立つ。
 暖かい日射しを浴びながら、ほころびかけたエノキの若芽を齧っていたようだ。
 今は頭でっかちの体型だが、これからエノキの葉を日々飽食して、でっぷりとした肥満体型になるのもそう先のことではないだろう。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ナガメ 2006/04/06(その1)
 マンション裏の草地ではナガメの姿が多く見られた。

 セイヨウカラシナはまだ蕾みの段階だが、葉っぱは元気に立ち上がっている。
 ナガメの多くはのんびり日光浴していたが、草のかげでは交尾しているカップルもいた。

 ナガメの赤い体色は同じ草地で徘徊しているナナホシテントウと並んでよく際立つ。

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

クサギカメムシ 2006/04/05
 砂塵が吹き荒れた一昨日などは一歩も外へ出る気さえしなかったが、今日の雨はちょうどいいお湿りであったと思う。

 マンションの外灯に飛来したと思われる、クサギカメムシのメスを拾ったので撮影してみた。本種は山地や北の地方では、冬には屋内に多数が侵入して、もっとも嫌われるカメムシでもある。クサギカメムシの地味過ぎる色彩はさらに嫌われる要因にもなっているだろう。
 しかしながら顔のアップから窺える体表面の仔細は、まるで半田ごての先端を木板に押し当てたような窪みが密集している。地味ではあってもこのクサギカメムシの体表面のディテールは、生物の形の不思議さを感じさせるに充分であろう。

(EOS-5D マクロ65ミリ)新開 孝

モズの巣立ちビナ 2006/04/04(その3)
 明るいクヌギ林がある。そこは毎年、落ち葉かきが行なわれ手入れが行き届いているから、今頃の林床にはいろいろと春植物がにぎやかに姿を現す。
 すぐ脇は車道で、車の通行も少なくはなく、林の周囲には人家も多いが、それでも林内には日本在来種のカントウタンポポが残っている。

 さて、このクヌギ林の縁でシロヘリカメムシやミノウスバ幼虫などを撮影していると、モズのにぎやかな「ねだり鳴き」が聞こえてきた。

 この「ねだり鳴き」最初は、メスが番相手のオスへ発しているものと思っていたが、「ねだり鳴き」が2カ所からにぎやかに聞こえてくる。それでオスから餌を受け取っているモズが、じつは巣立ったばかりのヒナであることがわかった。
 飛び方も頼り無く、尾羽も短い巣立ちビナの姿を写真に撮ってみたが、いかんせん焦点距離が100ミリ弱(35ミリ換算)のレンズではどうしようもない。一応、証拠写真程度にはなると思う。

 清瀬近辺でのモズの巣立ちは4月下旬ころという過去の観察例からすれば、ずいぶんと早い巣立ちに思えた。



 『ホームページの改良工事と今後』

 「新開孝の昆虫写真工房」もグランドオープンしてからはや4年目に入った。
オープン当初には様々な方から、文字の大きさや項目などについてのご意見をいただいた。
 当ホームページをご覧いただいている年齢層の巾も広く、そう言う意味ではいろいろ頂戴したご意見をすべて反映して活かしていくというのも、かなり難しいと思われ、若干の修正を経て結局は当初に設計した姿のままで今日に至っている。

 3年間、ほぼ毎日更新という「昆虫ある記」を綴ってきて、当ホームページのあり方というものもだいたい固まったように思う。と言うか、ホームページ上で私のやりたい事というものが、「昆虫ある記」で語ることであったようだ。

 そこでまず、わずか一回こっきりで終わってしまったが、「日本列島探虫記」のページは削除することにした。ここでは3回目までのテーマを組んでいたのだが、それを読み切りの形で掲載するにはかなり荷が重くなってしまった。
 いわゆるダイジェスト版をすばやく組めばいい話なのだが、その作業が私の性格的にも無理があったようだ。

 それでともかくホームページ全体をさらにスリム化し、「昆虫ある記」をもう少し読み易くし、例えば検索機能も取り入れたブログ形式を導入するつもりでいる。
 
 すでに何度も書き込んできたように、来年には私は宮崎に移転する。
 そうなると、「昆虫ある記」の舞台もまったくの新天地で綴る事となるが、少なくとも綴る本人の中身はそう変わりようがないから、やはり、「ああ、新開らしいなあ、、、」という展開であろうとは思っている。新開 孝

シロヘリカメムシ 2006/04/04(その2)
 シロヘリカメムシはササ類に寄生する。

 雑木林の縁でブーン!と翅音が聞こえたかと思えば、目の前のアズマネザサにぴたりとしがみついたのが本種であった。

 カメムシは成虫越冬するものが多く、本種も落ち葉の下などで冬ごししていたのだろう。さすがに今日の暖かさにつられて本格的な活動を始めたようだ。

 もともと南方種であったカメムシが近年になって分布が北上拡大し、話題になっているものがいくつかいる。そのなかでも「シロヘリクチブトカメムシ」はややこのシロヘリカメムシに姿が似ているが、「シロヘリクチブトカメムシ」は芋虫類を吸血する肉食カメムシであり、生息環境も明るい草地である。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ミノウスバ若令幼虫 2006/04/04(その1)
 マユミの若葉のうらで群れている芋虫を見つけた。

 よく見るとミノウスバの若い幼虫群であり、マユミの葉の裏側から葉肉のみを食べている。本種は卵で越冬し早春にふ化したものだ。

 このあと5月下旬には繭を紡ぎ、羽化して成虫の姿を現すのは、10月の秋に入ってから。

 本種は庭先のマサキなどにも大発生するから人に嫌われる蛾の代表選手でもある。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

新開 孝
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