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ウーメネスの泥壷 2006/03/22(その2)
 Eumenesはギリシャ語で「情け深い」という意味だそうだ。
 発音はウーメネス。

 日本にはウーメネス属が5種類いるとされる。
 その5種類とは、スズバチ、ミカドトックリバチ、ムモントックリバチ、キアシトックリバチ、キボシトックリバチ。

 これらは泥バチとも呼ばれる。ちょっと田舎に行けば、軒下の外壁に半球状の泥の塊が付着しているのをよく見掛けるが、これらは泥バチたちの仕業である。
 うちのマンションのベランダにも毎年、スズバチが泥巣を造っていく。
 「顔に泥を塗る」という言葉もあるように、我が家の白壁に泥を付けられることを嫌う人は多い。まんざら同情できないわけではない。
 しかし、「情け深い」という命名にもあるように、この泥の塊は親バチが子育てをするためにこしらえた、いわゆる「ゆりかご」なのである。
 その辺のことを理解していただき、体裁の悪さをとやかく文句言うばかりでなく、この機会にこそ、少しは身近な昆虫の生き様にも関心をもっていただきたいのである。

 さて、本日見つけた泥壷はコナラの梢にあった。
 この泥壷がウーメネス属5種のうち、どの種のものなのか?

 おおよそ泥壷の外形でもって判別できるはずだが、長い冬を過ごして風雨に晒された壷は、すでに原型をとどめてはいない。
 はて困ったのだが、壷口の直径が決め手となって、おそらくはキアシトックリバチであろうと推測した。ノギスを使って計測してみたところ、壷口直径は約1.7ミリであった。それが決め手となったのである。

 以上の事は、昨年、神田古書店で買い求めた『自然観察者の手記ー昆虫とともに五十年』(岩田久仁雄/著)を参考にした。この分厚い手記は、まさに昆虫の生活を野外観察で緻密に綴った名作中の名作。

 蛇足ながら、和名についてミカドトックリバチを近年の図鑑類ではトックリバチと表記されているように思えた。『自然観察者の手記ー昆虫とともに五十年』(岩田久仁雄/著)では、学名の種小名micadoからミカドトックリバチと表記しているのは、これは素直な表現と受け取れる。和名の混乱があるとすれば、整理したほうがいいのではないだろうか。

(写真上/コナラの枝についていた泥壷)
(写真中/壷の内部。中の二重になった繭壁のうち、外壁をはずしたところ)
(写真下/二重の繭壁を取り払って、中の幼虫を見てみた)

撮影地は、埼玉県比企郡鳩山町。 
 新開 孝

生き残っていたアオスジアゲハ越冬蛹 2006/03/22(その1)
 台所の外にあるクスノキで見つかっていたアオスジアゲハ越冬蛹は、その全てが寄生バエなど天敵によって侵されていたことは、数日前に書き込んだ。

 ところが昨日、ベランダの片付けをしていたら、偶然にも隅っこに置いていたビニール袋で、新たにアオスジアゲハ越冬蛹を1つ発見できた。
 この蛹は透き通った綺麗な緑色をしていて、おそらくは寄生も受けていないように見受ける。なんとなく無事に羽化するような気がする。

 この蛹を発見したベランダは、台所のすぐ隣に位置するので、クスノキから幼虫が歩いて移動した距離は数メートル以内である。
 
 アオスジアゲハの越冬蛹は、その幼虫時代の食樹クスノキの葉で見つかる場合には、かなり寄生率が高いことは、私が高校生のときにも体験したことがあった。
 また、愛媛新聞社発行の『愛媛の蝶』井出秀信/著(1974)にもそのような観察経験が書かれてある。

 夏場はともかく、秋にクスノキの葉うらで蛹化するものたちが、多くは寄生バエの犠牲になることには、何らかの理由があるのだろう。その詳しい事情を私はまったく知らない。

(OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ/写真上)
(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

コナラの芽吹き間近な雑木林 2006/03/21
 近所の雑木林では、さまざまな木々の芽吹きが始まっている。
 そのなかでもようやく冬芽が膨らみ始めているのが、コナラだ。樹によって、生えている場所によって、その膨らみかげんにはかなりの差がある。

 その膨らみかけたコナラの芽を、大事に抱えるようにしていたのが、エビグモ類の一種であった(写真上)。
 
 林床ではそろそろカタクリの蕾みも姿を現し始めた(写真中、下)。
 毎年、カタクリの花の出始めは少しだけ気にかけてきたが、この頃になると巡回パトロールの方々の姿も毎日、見かけるようになる。

 (写真上/OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
 (写真中/OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ)
 (写真下は、写真中をOLYMPUS Studioで補正したもの。魚眼8ミリで撮影した画像の湾曲を直線へと補正する場合、レンズの繰り出し量が一番多くなる近接撮影時の画像ではフォーカスが甘くなる周辺部が流れたようになるが、それよりひいた画角の絵柄ではそういう現象はほとんど目立たない。)
新開 孝

スモモキリガの飛来 2006/03/20(その2)
 マンションの玄関に昨夜、飛来したと思われる可愛い蛾は、スモモキリガのようだ。

 名前にスモモがつくが、バラ科サクラ属のスモモと直接の関係はないようだ。
 本種は3月の早春に現れるキリガ類の一種で、いかにも春の到来を告げる昆虫の一つである。が、おそらくそれを知る人は世間では数少ないと思われる。

 ともあれ、私はキリガ類の姿をとてもエレガントな、上品な蛾だと感じる。
 

 さて、今日も晴れてはいたが風が強く、しかも室内撮影の仕事があったのでフィールドを歩いていない。
 今日の室内撮影も去年から(正確には一昨年から)続いている糞虫の撮影である。

新開 孝

ゴマダラチョウ幼虫、登る 2006/03/20(その1)
 昨日の強風のなか、ゴマダラチョウの越冬幼虫がエノキの幹を登ったようだ。

 駐車場へと通う小道のエノキはここのところ毎日、見ていたから、昨日登ったことは、ほぼ間違いない。

 ゴマダラチョウ幼虫が落ち葉の下からこうしてエノキに登り始めたということは、桜の開花も間近だということであろう。

(写真上/OLYMPUS E330 虫の眼レンズ )
(写真下/OLYMPUS E330 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

今日は砂嵐 2006/03/19
 朝から風が強かったが、お昼頃からさらに強まり、しかも町中が砂煙におおわれてしまった。とてもカメラを抱えて外に出る気にはなれない一日だった。

 お隣の所沢市やここ清瀬市周辺には田んぼは少なく畑が多いため、風が強い日には砂嵐となり、いくら窓を閉め切っていても、畳の上や机の上はいつのまにか細かい砂埃に見舞われる。
 で、本日はほとんど室内作業をしていた。とくに去年から飼育してきた糞虫の世話の仕上げには念入りに時間をかけた。もう少しで蛹になるところまで漕ぎ着けたが、糞球の中を覗き見るタイミングは慎重にしないと取り返しがつかないことになる。

 さて、さて、その室内作業が一段落したころ、九州の方からとても歓迎すべき贈り物が届いた。なんと宮崎の芋焼酎だ。しかもかなりのプレミア物というから、恐縮するやら嬉しいやら。せっかくいただいた贈り物だから、ホイホイと開封するわけにはいかない。どうせなら、今ねらっている写真のなかで、どれか首尾よく撮影できたときにお祝いで楽しませていただこうと思う。
 と言いつつ、それまで開栓しない自信があるかと問われれば、ちと怪しい。新開 孝

アオスジアゲハ越冬蛹は羽化ならず! 2006/03/18(その2)
 台所の外に植えてあるクスノキには、アオスジアゲハの越冬蛹が5個もついていたが、今日、確認してみると全部が寄生バエなど天敵にやられてしまったことがわかった。

 小さな木に多くの幼虫がつくと、こうして寄生率が高くなることはよくあることだ。それにしても、目の届かない梢のどこかには、無事なままの蛹が隠れているのではないか、そう期待もしてみたくなる。
 
(OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ+1.4倍テレコン)


『Nikon クリーニングキットプロ』

 デジタル一眼レフカメラの弱点の一つが、受像素子前面のローパスフィルターに付着するゴミ問題である。
 これを積極的に解決しようとユニークな機構を取り入れたのはOLYMPUSのみで、それ以外のカメラメーカーのデジタルカメラでは、とにかくゴミを人の手によって逐一クリーニングするという方法をとるしかない。
 これまでこのクリーニングについては、メーカーのサービスステーションに出向き、プロの手に委ねることにしてきた。まあ、折りをみて都内に出た機会にでも済ませば良かったのである。
 しかし、来年になったら九州は宮崎県に移転することが決まったことで、もしそうなったら、これまでのように日帰りでクリーニングを済ませるなどということは不可能になる。
 そこでいよいよこうなったら、自分でクリーニングするしかない。「Nikon クリーニングキットプロ」は、ずいぶんと前には品切れ状態が続き、しばらくは購入を諦めていたのであるが、ふと先日思い出してオンラインショップを開いてみたら、ちゃんと購入手続きができ、本日、届いた。
 しかし、届いたキットを開けてみれば、「無水エタノールは薬局で購入してください」とあり、すぐには使えないこともわかった。

 
 新開 孝

今朝もゴイサギ幼鳥 2006/03/18(その1)
 昨夜は久しぶりに池袋まで出て、編集者の方と飲んだ。
焼き鳥屋で芋焼酎を飲んだが、出てくる湯割はかなり薄め。やはり自分で割らないといけない。しかし焼き鳥はなかなか旨かった。
 池袋から秋津駅に帰宅する頃は午後11時過ぎだったので、帰り道、駐車場のねぐらを覗き込んでみた。しかし、いくら探しても鳥の姿はなかった。暗がりで見落としているようにも思えない。

 それでも今朝の6時半。再びねぐらを見に行くと、ちゃんと昨日と同じゴイサギ幼鳥が朝日を浴びていた。サギ類はけっこう夜中も活動しているようだから、ねぐら入りはもっと深夜だったのかもしれない。

(OLYMPUS E-300  50−200ミリズーム)

新開 孝

ねぐらは入れ替わり制? 2006/03/17
 昨日アップしたコサギのねぐらには、今朝はゴイサギの幼鳥が佇んでいた。
保育園に下の子供を連れていくのが毎朝の日課だが、今朝はカメラをあわてて取りに戻った。保育園に子供を送ったあとでは飛び去っている可能性もあると思ったからだが、結局その心配は必要なかった。
 ゴイサギ幼鳥を撮影してから保育園に行き、戻ってみるとねぐらの下の梢でもう一羽の幼鳥がいることに気付いた。どうやらこの一羽は茂みの奥に潜んでいて、最初は気付かなかったようだ。

 野鳥写真家の友人にこのことをさっそく聞いてみたら、コサギとゴイサギはよく混合のコロニーをつくるということであった。通常、コロニーとは数十羽がねぐらとするような場所だが、そういう場所では両種が折り合いをつけて?混じっているそうだ。今回の駐車場のねぐらは、ちょっとしたビバーク程度のねぐら、とでも解釈していいそうだ。
 普段は昆虫を中心に自然界を眺めている私は、鳥のことなどはどうしても片手間に見ているに過ぎない。だからちょっとした鳥との遭遇でも、えらく新鮮に感じられてしまうようだ。
 ひところは鳥の撮影にもかなりの時間を割いた経験がある私には、野鳥撮影のたいへんさをある程度は知っているつもりであるが、私の場合は限定種のみの撮影しかやっておらず、例えばこうして水鳥などのこととなると、まったくの素人に過ぎないことを思い知る。
 
 かつて偶然にも同じ雑木林をフィールドとして、先の友人と私は撮影活動をしてきたのであったが、その数年間のうち一度も互いに出会うことがなかった。
 それは、互いに活動する時間帯や観察の視線対象がまったく異なっていたからだろう。ところが、ある時期に私はその友人と出会い、一緒に仕事をすることとなった。
 で、彼と一緒にそれまで通い詰めた雑木林をあらためて歩いたとき、彼から教わる鳥の世界を通して、まったく同じ林でありながら、まるで別世界を歩くような気持ちになったものだ。そのときの驚きは新鮮で衝撃的でさえあった。
 
 私は「虫の目」をもって毎日フィールドを巡りながらも、ときどき彼から教わった「鳥の目」をふと思い起こす。

(OLYMPUS E-300 50−200ミリズーム)
 

 新開 孝

コサギのねぐら 2006/03/16
 朝の8時頃。駐車場に出向いて車に乗り込む寸前、「今朝もいるかな?」と後ろを振り向く。そういう習慣が先月あたりから続いている。
 
 駐車場の奥はここの地主さんの敷地であり、そこのヒマラヤスギ?にはいつもコサギがうずくまっている。高さは2メートルくらいだから、少し離れていれば見上げるほどでもない。

 今朝は初めて撮影してみることにした。離れた場所からゆっくりと近寄ってみたが、コサギは少し動揺したものの意外に悠然と構えている。ちょうど朝日を受ける東向きだから、その日射しを浴びながら羽繕いを丹念におこなっていた。

 ねぐらの下には毎日落とされる糞がさぞかし溜まっているだろうと覗き込んでみると、竹の剪定枝の山が敷かれてあった。どうやら地主のおじいさんが根元の植え込みを糞害から守ろうとして積んだものと思えた。

(OLYMPUS E-300 50ー200ミリズーム)


『虫の眼レンズを組み直す』

「虫の目レンズ」とこれまで私が表現してきた超深度広角レンズについては、「虫の眼」と表記する方が多い。そのため理屈はともかく、同じ性格のレンズについて自分独自の表記は改め、一般流布化された?「虫の眼」という表記にすることにしてみた。多くの方が読み慣れた表記に従うのがいいかと思ったしだい。
 さてその「虫の眼レンズ」については、ほとんど撮影成果につながるほど使いこなせておらず、せっかく組んだNikonやOLYMPUSカメラ仕様のレンズも活躍していない。レンズの組み方を見直さないと特にストロボの配光については使いづらいものがあって、どうしてもそこを根本的に改善しておきたいと思っていた。
 まず今持っているCCTVレンズについては接続チューブをスリム化すること。それには新たに素材探しをしなければならないが、とりあえずは視点を変えて、ボードレンズという小さな、そして安価なレンズで新しい虫の眼レンズを組んでみる事にした。(ボードレンズは秋葉原にある千代田常磐商行で買い求めた。消費税込みで2940円。固定2.45ミリレンズ)
 その理由には、カメラの内蔵ストロボを使うことのできるシステムにしたいという思惑もあって、虫の眼レンズの全長はできるだけ短くしたい。で、カメラはOLYMPUSとし、再びズイコーマクロ20ミリを使ってみることにした。もちろん絞りは手動である。ただし、E-330を使えばライブビューを活用できるので、これはかなり助かる場面もあるに違いない。
 今日はモンシロチョウの羽化待機の合間に、ボードレンズをOLYMPUSのEシステムで使える工作をしてみた。この組み方では20ミリマクロレンズの絞りをF8に絞り込めば、そこそこの画質で撮影できることがわかった。レンズ全長は145ミリに納まり、レンズ先端は細い(15ミリ径)ので内蔵ストロボと拡散版で充分、光が回ることも確認できた。
 ただし、絞り開放でもファインダーは暗く、使いづらいことには変わりない。このレンズが活躍する場面を想像しつつ、とにかくは使いこなす練習を積まなければならないようだ。実は拡大系マクロレンズを絞り込んでしまえば、さすがのライブビューのゲインアップ機能も露出倍数には追いつかないのである。

 
 新開 孝

サルノコシカケ 2006/03/15(その2)
 キノコの和名の中でも、秀逸の名前と思えるのがこの「サルノコシカケ」。

 サルノコシカケもほんとうは何種類もあって、ここでは総称としてのことだが、しかしこの呼び名のセンスは、さすが!と言うしか無い。素晴らしい!

 コナラの朽ち木ににょっきりと生えたサルノコシカケも、例外無く人の手によって傷つけられていた痕跡があった。キノコは善かれ悪しかれ、人の収奪の対象となる宿命にあり、キノコが自らの成長を最期まで遂げことは稀なようである。

(OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ/写真上ノーマル)
(OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ/写真下「Fisheye補正機能」使用)

 
 本日は林を歩いていて、モズの「ねだり鳴き」を聞いた。鳴いていたのはメスである。この時期はモズの繁殖期でもあり、すでに番で行動して、営巣も始まっているはずだ。そういえば先日、エナガがクワゴの繭殻から絹糸を懸命に引っ張り出していた。そうかエナガも営巣中のはず。
 鳥たちの行動を見ていると、春の進行はより早く感じ取れる。新開 孝

再び見つかったアオクチブトカメムシの越冬卵 2006/03/15(その1)
 まさにこの目玉模様の集合体は、以前にも紹介したアオクチブトカメムシの越冬卵である。

 所沢市郊外の雑木林を訪れたところ、コナラのでっかい枝が切り落とされていた。どうやら道の上にかぶさっているので、切り落とされたようだが、これまで目が届かなかった梢を観察できる皮肉な幸運とも言える。
 で、ひょいと見てみれば、アオクチブトカメムシの越冬卵がびっしりと産まれてあったのである。
 本種は、金属光沢を帯びた、非常に美麗な姿の肉食カメムシであり、そして一方では蛾や蝶類の幼虫にとっては脅威となる天敵でもある。

 所沢市の平地では、すでにアオクチブトカメムシは普通種なのかもしれない。

(Canon キッスデジタルN  マクロ65ミリ/写真上)
(OLYMPUS E-330 魚眼8ミリ/写真中、下)

 OLYMPUSから画像ソフトとして「Fisheye補正機能」が追加機能として届いたので、さっそく使ってみた。写真中が8ミリ魚眼で撮影したそのままであり、写真下が「Fisheye補正機能」を使って補正した画像。
 魚眼レンズを使った写真では、被写体が大きく湾曲するが、それをできるだけ修正する機能が「Fisheye補正機能」である。この写真例では画面周辺で画像が流れる傾向が目立つ(写真下)。しかし、これは絵柄によっては差ほど気にならない程度に納まる場合もある。
新開 孝

モズのペリット 2006/03/14(その2)
 駐車場の車へと向かう途中、モズの真新しいペリットを見つけた。

 出掛ける寸前だったので、とりあえず採取しておいて後で撮影しようかと思ったが、何か悪い予感もしてその場ですぐさま撮影しておくことにした。落ちていた場所の記録もあった方が良いとも思ったのだが、それはまさに正解!
 撮影したあとペリットを拾い取ろうとしたら、一瞬にして粉々になってしまった。ペリットの強度というか、かたまり具合にもいろいろあるようで驚いた。

 粉々になったペリットから、獲物の正体の推測がつきそうなパーツを探してみたが、けっこう細かく砕けていて難しい。多く混じっている緑色の断片はおそらくカメムシの一種と思われるが、体のどこの部位かさえも判別できない。
 丸い頭部は、甲虫類の何かだ(写真中)。
 脚の一部とはっきり判るパーツがいくつか見出せたが、はたして何者なのか(写真下)?
 以前、モズの食性を知る上ではペリットを多数調べれば良いなどと書いたけれど、言うは易くこれはいかにも困難を極める作業だ。
 
(OLYMPUS E500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン/写真上)
(Canon キッスデジタルN マクロ65ミリ)

新開 孝

モンシロチョウ、春型の羽化 2006/03/14(その1)
 昨日、モンシロチョウの羽化シーン撮影のための準備をした。

 すでに蛹の一つには翅の模様が浮き出ていたが、羽化は今日の午前中と予測できた。ただし冷たい風が強く吹くので、野外撮影はやはり諦めるしかない。
 蛹の様子を見ると、あとは気温さえ上がればすぐにでも羽化しそうだった。そこで早朝4時前に起きて、室内の暖房を入れてから室温を20度くらいまで上げ、撮影待機に入った。
 予想通り、カメラを構えてからおよそ30分後に羽化は始まった。

 朝食前に羽化シーンの撮影を終えたおかげで、午前中からフィールドに出ることができた。何といっても室内セットの撮影そのものはそれほど楽しいものではない。できるなら天気の崩れた日や、今日のように早朝にさっさと済ませたい。
 それとは逆に、野外では極めて撮影困難であるものを、あの手この手と工夫しながら、そしてこれまで誰もその生態の瞬間を見た事が無いという稀少な体験につながる室内撮影なら、これはとても楽しい作業となる。もっともいつも狙い通りうまくいくわけでもなく、過去には時間ばかり消費して断念した撮影もじつに多い。

 で、フィールドから部屋に戻って今朝のモンシロチョウ羽化シーンをパソコンで開いてじっくり拡大してみれば、なんと画面のあちこちにゴミ写りが多い!
 小さくてかなり薄くぼやけたゴミで、修正はそれほど難しいものではないが、これは放っては置けない。ローパスフィルター表面のクリーニングが必要だ。
 どうやら先週の3日間に渡る標本撮影の仕事で、ホコリをかなり取り込んでしまったようだ。うっかりそのことを忘れてクリーニングを怠っていた。
 
(Canon EOS-5D  マクロ100ミリ)新開 孝
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