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真冬の寄生バチ出現 2006/02/19
 先月、裏高尾のミズキで見つけたシャクガ幼虫(写真下)はつい2、3日前までは元気に(?)ミズキの枝をかじりながら過ごしていた。

 ところが本日、飼育ケースを覗き込んでみると、幼虫の姿はなく繭(写真上)が見つかった。そしてよく見れば、繭には幼虫の萎縮した皮のみが付着している。
 繭の形、紋様はまさにホウネンタワラチビアメバチの繭によく似ているが、糸の先にぶら下がる形式ではないところが、大きく異なる。

 それにしても今の時期に寄生バチが寄主から脱出して繭を紡いだことには意外で驚いた。あるいは室内に持ち込んで飼育したことが影響したのだろうか?

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)新開 孝

ぐんま昆虫の森友の会、講演会 2006/02/18
 今日は「ぐんま昆虫の森」で講演をさせていただいた。

 会場は客席150名収容の映像ホール。大型リア式液晶モニターが三面並んでおりマルチ投影も可能だ。
 私が使用したビュアソフトはiview-MediaProで、これはマック版、ウィンドウズ版の両方がある。今回はバイオノートを使って出力してみた。
 困ったことにビデオ映像をノートパソコンに取り込み、パソコンのplayerソフトで出力すると、ぼやけた画面になってしまう。ビデオ映像をパソコンから出力しての投影は初めての経験だったので、パソコン上でどう対処すればいいのかわからず、結局ぼやけたままの映像を披露することになった。
 今回のビデオ映像はほんのわずかだったが、エリマキアブの捕食シーン。こういう映像はおそらく国内でもほとんど公開されたことがない稀なものだろうと思う。

 他にも自称、世界初というアメバチ類の繭作りの連続写真も紹介してみた。こういう写真などは、以前なら平凡社の「アニマ」などで発表できたのであろう。しかし、今の出版業界ではこういった昆虫写真の最新テーマを取り上げるような気力は全く失ってしまったようだ。

 一方で昆虫写真をめざす若手にも、あらたなチャレンジに挑むようなユニークで
元気な者が見当たらない(若干元気で頑張っている方もいるが)。みんな撮影技術は高度にはなってきているが、撮影内容について言えば、個性が薄いのである。そして冒険をしようとはしない。まず既存の需要に応えることには熱心で、それはいかにも堅実だが、私から言わせれば面白くないのである。
 
 新開 孝

アオスジアゲハ越冬蛹内に寄生するものとは 2006/02/16
 アオスジアゲハの越冬蛹は、うちの台所の窓を開ければそこに植わっている小さなクスノキに数匹着いていることは何度も紹介してきた。

 その蛹のうちこれまでは綺麗な緑色をしていたにも関わらず、一週間程前から黒点が現れてきたものがあった(写真上)。
 この黒点は体の反対側にも一個あって、2カ所にも出現したのである。それで今日は思い切って、この蛹を解剖してみた。

 するとアオスジアゲハ蛹の体内にはすでに寄生バエのウジ虫が2匹、育っていたのある(写真下)。
 2匹のうち1匹はまだ未熟のようであったが、写真にある幼虫のほうは、すでに成熟している様子に見受けた。
 また蛹の体表面から透けて見えていた黒点は、解剖して内側からその正体を実体顕微鏡で覗いてみると、なにやら形のはっきりしない物体であった。ピンセットで押してみると丸く縮まっていた黒点は、不規則な形へと展開したのである。
 黒点の正体は、もしかしたら2匹の寄生ウジ虫の排泄物が凝縮したものではないか、そんな想像をしてみた。

(Canon EOS5D  マクロ65ミリ )

 新開 孝

ニホンミツバチとキイロテントウ 2006/02/15
 今日は一日室内で確定申告の書類作りとなってしまった。
しかし、あまりにも春のような日射しと暖かさにつられて、1時間だけ近所を歩いてみた。
 近くの八幡神社(写真上)の境内ではヤツデの葉うらにキイロテントウが佇んでいた(写真中)。キイロテントウは幼虫も成虫も、葉っぱにつくうどんこ病菌などの菌類を食べる。冬越しは成虫でおこなうが、少しでも気温が上がると梢などを歩く姿をよく見かける。ナミテントウ(テントウムシ)のように越冬集団をつくることもあるようだが、まだ私は見たことが無い。

 サザンカの花ではプーンという翅音がしていたので、さっそく近寄ってみるとニホンミツバチのワーカーが蜜や花粉集めに勤しんでいた(写真下)。どこか近くに巣があるはずだが、ここ数年、近所ではなかなか見当たらない。
 もしかしたら住宅の天井裏とか、そういった建造物などの隙間を利用している可能性も高い。

 以前は雑木林のシラカシ樹洞内などの営巣が見られたが、すぐに入り口を塞いだりする周辺住民の方々の過剰反応が多く、ニホンミツバチはおちおち繁栄できない事情があった。ただ、清瀬市の環境課で聞き取りをした範囲では、建造物などにニホンミツバチが営巣して苦情が持ち込まれたというケースは、ここ清瀬市ではほとんどない、ということであった。むしろスズメバチ類の営巣で駆除願いが来ることが多いらしい。
 これは翻って考えてみると、清瀬市ではまだニホンミツバチが営巣できる自然物がそこそこ残っている、とも捉えることができるかもしれない。だが、そういう営巣にむいた樹洞というものはもともとたいへん少なく、現状の自然環境程度ではさらに稀であろうと思う。
 おそらくは、私たちが気付かない、それでいて人の生活空間の隙間でうまーく営巣しているのではないか、と想像したい。新開 孝

雑木林のくずかき(落ち葉はき) 2006/02/14
 武蔵野台地の雑木林では冬に「くずかき」と呼ばれる落ち葉はきが行なわれる。これは雑木林に降り積もった落ち葉を集め、農家が堆肥に使うためだ。
 「くずかき」の作業はだいたいが年を越した2月に入ってから行なわれる。

 しかし、ここ10数年間を振り返ってみると、私が通ってきたフィールドの雑木林ではもう「くずかき」をしなくなった所が多い。そういう林は荒れてしまって、昆虫たちの姿も少ないような気がする。
 今日はお隣の東村山市のある雑木林で、「くずかき」作業にばったり出会した。

(Nikon D200 ニッコールDX18-200ズーム)

『一年早まる移住計画』

 前々から私の仕事部屋の狭さは何度も書いてきたが、そういった事情を含めつつも、東京を離れることを決意したのは去年の春ころだった。もちろん家族を伴うことであるから、家族みんなの同意も得ている。
 私のような職業だと、地方のより自然豊かな地へと移転するのもごく当然のことだと大概の方は感じられるだろうしその通りでもあるが、ただ仕事の事情だけではなくて、家族みんなの生活全般のことも考えての移住計画である。その理由をこと細かく語るとけっこう長くなるので省略したい。
 
 そして、その移転のタイミングは上の子が中学になる2年先と決めていたのだが、できれば彼が小学生のうちに転居して新しい環境に馴染んだほうがいいだろうと話し合い、移住計画はにわかに一年前倒しとなった。するとこれはけっこう悠長に構えている場合ではないなあ、と家族一同、不動産情報の話題で盛り上がる日々となっている。
 子供の通学を考慮すれば、とんでもない田舎は無理だし、そこそこ田舎で広い土地でしかも安い物件ともなると、これがかなり難しい条件となる。
 新開 孝

交尾するクロテンフユシャク 2006/02/13
 午後8時ころ、近くの雑木林を歩いてみた。
ときどきフユシャク類のオスが舞う姿が懐中電灯の光に浮かび上がる。しかし、産卵中のメスは見当たらなかった。

 もう引き上げようかと思っていた矢先、歩道柵のロープ上で交尾中のクロテンフユシャクが目に入った。
 本種はフユシャク類のなかでも厳冬期型といわれ、冬の寒さの一番厳しいころに現れる。メスはまったく翅を失ったタイプである。
 クロテンフユシャクのオスは昼間もよく飛翔しており、今日もヒヨドリにフライキャッチされているところを目撃した。遠くからでもパチンとくちばしで捕らえたときの音がよく聞きとれる。

 (Nikon D200 ニッコール105ミリ)新開 孝

シロフフユエダシャクのメス 2006/02/12
 北風が強くかなり冷え込む。そのためか午後になって近所の雑木林に出向いてみたが、ほとんど人影がない。

 今日もフユシャクの産卵を見てみようと思っていたが、産卵中のメスは見つからなかった。林を一巡して見つかったのはシロフフユエダシャクのメス2匹だけだった。
 写真のメスはお腹にぎっしり卵を抱えている。産卵シーンを撮影するチャンスはまだこれからもあると思われる。

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ)
新開 孝

ベッコウガガンボの幼虫 2006/02/10
 クヌギの朽ち木内から6匹のウジ虫が見つかった(写真上)。
腐食が進んで、朽ち木の中はスポンジのように柔らかい。そこがさらにポロポロの細かい粉状になっていて、その粉のなかに埋もれるようにしてウジ虫が潜んでいた。体長は大きいもので2センチ程度。
 
 葛餅のような透明感のある体は、歩くとき前後に伸縮する。このとき体に埋もれるようにして隠れていた黒い頭部(写真中)がせり出してきて、朽ち木に噛み付いて足場を確保する。しっかり噛み付いてからおもむろに長い体を前に引っ張るようにして前進する。

 幼虫のおしりには、なにやら顔のような紋様が見える。これも回りの肉塊がせり上がってくるとその中に埋もれて隠れてしまう。一対の茶色い眼のようなものは気門らしい。

 これまでにも本種の幼虫は幾度か見かけたことがあるが、撮影したことがなかった。しかし、学研の「日本産幼虫図鑑」には本種の記載があって、幼虫の正体がわかったので、あらためて撮影してみる気になった。
 今後、蛹になって羽化する日が楽しみだ。

(Nikon D200 マイクロニッコール105ミリ/45ミリ+中間リング)
新開 孝

2匹のハミスジエダシャク幼虫 2006/02/09(その4)
 コナラの梢で、2匹のハミスジエダシャク幼虫が貼付くようにして休んでいた。

 こうしてピッタリ枝に溶け込むかのような姿勢をとることもあれば、特に彼らは枝に振動を受けると、ピョコンと直立不動の姿勢をとることもよくある。その場合でも、体は枝そのもので頭部は冬芽そっくりだから、やはり枝に化ける。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)
新開 孝

テントウムシの越冬集団 2006/02/09(その3)
 探してもなかなか見つからないのがこの越冬集団だ(写真上)。
しかし、今日はエノキの樹皮が剥がれかかっているところで見つけることができた。あまり大きい規模ではないが、久々に見るテントウムシの越冬集団だ。

 テントウムシに混じって、ナカボシカメムシが数匹かたまっている(写真中)。
またカメノコテントウも一匹だけいた(写真下)。所沢市のこのあたりではオニグルミの木も極めて少なく、もともとカメノコテントウは滅多に見ない。

新開 孝

ツツハムシの幼虫カプセル 2006/02/09(その2)
 コナラやクヌギの梢を探索する日々が続いている。
未だ、目的の虫は見つからないが、こうして日々探索にあけくれていると、目的以外の副産物が次々と見つかる。

 目的の虫が見つからないと困るのだが、副産物の虫が見つかることで、少しは気分的に救われる気もする。
 今日の副産物は、ツツハムシ類の幼虫カプセル。この小汚いカプセルは、幼虫が自ら排泄した糞でこしらえたものだ。まさにエコロジカルなお家ではあるし、隠蔽偽装としても優れているのではないだろうか。
 これまでは落ち葉の下などでこのカプセルを見つけることが多かったが、こうして梢でも見つかることがわかった。
 ただし、このカプセルの主が健在でいるのかどうか、まだ確認していない。
新開 孝

モンシロチョウ幼虫、歩く 2006/02/09(その1)
 日射しがあっても風が強く、体感気温は低い。そんな一日だったが、所沢市郊外の雑木林で、コナラの幹上をせわしく歩くモンシロチョウの幼虫を見つけた。

 どうやら蛹になる場所を探している様子。林の南の縁で、狭い農道をはさんで白菜畑がある。モンシロチョウの幼虫はこの白菜で育って、雑木林の方まで移動して来たようだ。
 モンシロチョウは幼虫越冬をする場合もあるようだが、2月に入ってから幼虫を見るのは初めてだ。この幼虫が卵で産み落とされたのはいつ頃なのだろうか。

(OLYMPUS E-500 マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

ヤママユの越冬卵 2006/02/08(その2)
 所沢市西部の「トトロの森」に赴いてみた。
この冬、ずっと探し続けている虫がどうしても見つからないので、あちこち場所を変えての探索だが、林の梢を眺めているとヤママユの大きな卵がよく目につく。
 
 数カ所の枝で見つかった卵の総数は50個程度だが、そのうち6割くらいは何らかの天敵に侵されていた。写真の20個あまりの卵は、外見上はなんとも無いようだが、これとてすでにシロオビタマゴバチなどに寄生されている可能性がある。


(OLYMPUS E-300  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)新開 孝

カワセミ 2006/02/08(その1)
 今日も駐車場に行ってみると、昨日と同じクワの木にカワセミがいた。

 川面に目を移してみると、オナガガモの群れとカルガモ数羽がのんびりと休んでいる。コサギも一羽、ぽつんと群れのまんなかで佇んでいる。

 望遠レンズでの撮影もときには練習しておこうと思い、今日はEシステムの50-200ミリズームを持ち出してみた。望遠側では35換算で400ミリ望遠に相当する。こういう長目のレンズを使用するときは、E−300にパワーバッテリーホルダーを付けるとホールディングも安定して都合が良い。(写真はトリミングしている)

(OLYMPUS E-300 ズイコーデジタル50-200 )

 新開 孝
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