| 四国は愛媛県南予、明浜町といえばおいしいミカンの産地、そして宇和海の真珠養殖などで有名である。 当地は私の奥さんの田舎でもあり、今回は3日間滞在した。海に面した急峻な斜面はミカン畑で埋め尽くされているが、その狭間にはアブラナが咲き乱れ、黄色い帯模様がなんとも明るい景色となって目に眩しい。 さてそうした風景のなかにゆったりと佇んでみると、チラチラとベニシジミが多数舞っている。アブラナの花で吸蜜したり(写真上)、地面で日光浴したり、そして目まぐるしく2匹がもつれ合うように卍どもえ飛翔を繰り返したりと、まさに春を謳歌しているようだ。そのせわしく追飛行を繰り返す2匹がある瞬間、ぴたりと同じ場所に並んで静止した(写真下)。左の翅がくすんだ個体はメスであり、右の若々しい姿の主はオスと判る。つまりオスは、一生懸命メスに追いすがっていたのである。通常、蝶の世界ではメスが先に羽化してなおかつ早熟であり、オスは少しおくれて成虫となる。メスの翅のくたびれ方を見ると、もうこの母蝶はすでにして交尾を終え、近いうちには産卵できる体のように思えた。切ないオスの求愛が成就するのかどうか?私はそれを見届ける時間もなくその場を去ってしまうしかなかった。 | |