| セミヤドリガとヒグラシ 2004/08/11(その1) | | 埼玉県、三芳町多福寺の雑木林。 ヒグラシ、ツクツクボウシ、アブラゼミの合唱で賑やかだ。 おそらく見つかるだろうと思い探し歩いてみると、期待通りに現れたのが白いおまんじゅう2個をつけたヒグラシのオス(写真上)。
この白いまんじゅうは、セミヤドリガという蛾の幼虫であり、ただいまヒグラシの体にて居候中。 お食事のメニュウーはおそらくセミの体液であろう。 セミヤドリガ幼虫は茶色の芋虫だが、寒がりなのか、それともどこぞの怪しげな新興宗教と関係でもあるのか(そんなわけないなあ)、白装束をまとっている。 もっとも幼虫が幼いうちは、裸のままである。 セミの体から離脱したあとは、ワックスの微細な繊維でできた白装束を絹糸と器用に絡めて、繭とする。 そうしてできた繭は、地面近くの草や木の幹にくっついている(写真下)。 今日は写真のものを含めて3個の繭が見つかった。
それにしても、寿命の極めて短いヒグラシの体に間借りしての成長とは、曲芸に近いきわどさを感じる。 セミヤドリガの孵化幼虫は、自力でセミを見つけだし、そのセミの体に這い登るのであるが、セミの日齢までも読み取っているとは思われない。 そのためか、セミヤドリガ幼虫の成長は極めて速く、少しでもリスクを回避するための手段と読み取れる。 また、セミヤドリガの卵が孵化するタイミングというものも、ヒグラシが羽化して林に現われる時期にうまく合わせておかなければ、セミヤドリガ種族は生き残れなかったはずである。 | |