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水生昆虫 2008/10/21(その1)
 三股町に住むようになって、驚いたことの一つが田んぼをスイー、スイーと泳ぐコガタノゲンゴロウの存在だった。その泳ぐ姿が、またじつにカッコいい!

 5月から6月にかけて、早苗が風になびく水田の泥底から、キョトンとしたような表情でコガタノゲンゴロウがぼくを見上げている。
 陸の畦道から覗き込む、ぼく。そして田んぼの水底から眺めているコガタノゲンゴロウ。両者を隔てているのは分厚い空気層と薄いわずかな水の層。

 水生昆虫は水の中でこそ命が輝く。

 水の中の生活。これは昆虫写真のなかでもかなり技術を要する分野ではなかろうか。

 水環境をいかに表現するか。

 こういうとき「ライブ感」という言葉が、とても重要な気がする。

 そう「ライブ感」だ。

 水生昆虫の撮影というと、どうしても水槽内での撮影が多くなる。しかし、当然、そこでは「ライブ感」とは程遠くなりがちだ。昆虫の姿だけでなく、その昆虫にまとわりつく水中世界をどう切り取ってくるか、そこがカメラマンの腕の見せ所ともなる。

 コガタノゲンゴロウとの出会いで、ぼくも少しは水生昆虫に向き合ってみたいと思うようになった。

 だからといって、売れ線の水生昆虫写真を水槽セットで大量生産する気はしない。すれば売れることもよく知っているが、ひねくれた昆虫写真家も一人くらい、居てもいいではないか。

(写真/E-3  ズイコーデジタル50ミリマクロ)

新開 孝

朝の訪問者 2008/10/21(その2)
 玄関に出て見上げれば、こちらを見下ろす影あり。

 BATMAN!?新開 孝

朝の訪問者 2008/10/21(その3)
 玄関前をせわしく舞っていたのは、ルリタテハだ。
 朝陽を浴びて日光浴しては、また力強くはばたき次々と場所を変えていく。翅も
綺麗でおそらく羽化してから日も浅いと思えた。ルリタテハが翅を拡げた写真は樹液に来ているときのものがほとんど。したがって今朝のチャンスは捉えておきたい。
 そこでシグマ105ミリマクロレンズをE-3につけて、ルリタテハをちゃんと撮影しておくことにした。フォーサーズだと210ミリマクロに相当する画角だ。ルリタテハはたいへん神経質だから、距離をとりたい。こういうときには望遠マクロの出番だ。OLYMPUSズイコーデジタル50-200ミリズームもよく使うが、今朝の場合、かなり接近できることも予想されたから等倍まで寄れる105ミリマクロにしてみた。

 が、予想に反して今朝のルリタテハはかなり気難しい。いかに忍び足で接近しようとも、こちらの動きを察知してすぐに飛び立ってしまう。ついには屋根を飛び越えて姿を消してしまった。
 他に撮影の準備なども控えていたから、諦めようかと思っていたところ、ふたたびルリタテハが玄関前に戻ってきた。そして、ぼくの長靴に止まってしきりと口吻を伸ばし始めた(写真上)。
 さらに玄関前をゆっくり舞いながら、玄関マットや玄関網戸に止まって、またもや口吻を伸ばす。いったい何が染み込んでいるのだろう?ルリタテハは夢中になって吸い続けるようになった(写真中、下)。そうなると、いくら近づいても平気だ。

 (写真上、中/E-3  シグマ105ミリマクロ)
 (写真下/E-3    ズイコーデジタル8ミリ魚眼)新開 孝

キオビエダシャク 2008/10/20(その1)
キオビエダシャクの記事が続く。
 
 今日は日射しが強く、空を見上げれば夏雲が浮かんでいた。けっこう暑い。
 午前中からうちの回りでも、キオビエダシャクがビュン、ビュン、飛び交っている。たしかに昨年には見なかった光景だ。

 田んぼでは稲はざがにぎやかに並ぶようになった。そしてその田んぼの周辺では放置された耕地にセイタカアワダチソウが繁茂している。ずっと昔なら、こんな光景はあり得なかっただろう。ずっと見渡すかぎりに、田んぼや畑が続き、山はあちこちで伐採されて炭や薪の供給源となり、萌芽更新が盛んに行なわれていたことだろう。

 いったい日本の農業はどうなってしまうのだろう。農業無くして、国は生きていけないはずだが。

 さて、少し前ならとても違和感があったであろう写真の光景も、今やこれも定着しようとしているかのようだ。

(写真/E-3  50ミリマクロ)
新開 孝

ボロ屋 2008/10/20(その2)
 カラムシの群落が畦道に続く。刈られても刈られても、またニョキニョキ生えてくる、じつに逞しい草だ。あちらで消えても、こちらであらたに出現し、まるでモグラ叩きにも似ていると思う。

 そのカラムシの葉がきれいに二つ折りされると、遠目にも白く目立つ。葉っぱの裏は白いからで、つまり二つ折りにする犯人は必ず、葉っぱの表を内側に裏側を外側にするという、厳格な性格の持主なのだ。もちろん、その犯人とはアカタテハの幼虫である。

 今朝出会った幼虫は、すでに隠れ家の葉っぱを内側から食べ進み、ときおり自分の姿を隙間から晒していた(写真上)。しかも真新しい糞まで隠れ家の下に溜めてしまい、もう隠れ家どころでは無くなっている。おそらく、この幼虫はそろそろ引っ越しを考えているところではないだろうか?

 ちょっと失礼して、ボロ屋の壁を開いてみた(写真中)。

 同じカラムシ群落をひとわたり眺めていると、蛹が露になっていた(写真下)。蛹のこもる部屋も、通常は糸で綴って外からは見えないように設えるのだが、どうしたわけか、手抜き工事となっている。

(写真/E-3 50ミリマクロ)

 新開 孝

ツマグロキチョウ 2008/10/20(その3)
 本種の食草、カワラケツメイをどうも見落としているようだ。

 歩いて2分のタイワンツバメシジミ生息地に、このごろツマグロキチョウが舞うようになった。しかし、近辺でカワラケツメイはまだ見ていない。
 3匹が狭い場所でヒョン、ヒョンと跳ねるように飛び交う。飛び方からして、混生するキチョウとはまったく違うのがよくわかる。

 お昼前に小3の子どもの授業参観に出向いてみた。授業は「生活」の時間で、今日は英語だった。耳から覚える英語は良いなあ、と思えた。みんな楽しそうだ。クラス皆で一斉にしゃべるときは元気だが、一人一人、指名されてしゃべるとなると、きゅうに自信がなくなる子が目立つ。照れも入るのだろう。

 窓の外の運動場が強い日射しで白く見える。教室の外をころがるようにして黄色いチョウが過ぎ去った。
 それもツマグロキチョウだった。

(写真/E-3  50ミリマクロ)
新開 孝

アケビの実 2008/10/19(その1)
 アケビの実をはじめて食べたのは小学5年生のころだったと思う。
 父親がどこからか貰ってきたものを、おいしいから食べろと言われて、最初は尻込みした。かなり躊躇したあと、一口食べて、「あ!バナナの味に似ている」と感激したのも懐かしい。
 しかし、いかんせん、アケビの果肉には種が多くて食べ辛い。

 今日はうちのすぐ前の薮で見つけたアケビの実を、さっそく小学3年生の息子に見せてみた。「これ知ってる?おいしいよ。」

 すると息子は「あ!それ知ってる!前に友だちの庭でもらったけど、超!まずかった!」と、嫌な顔されてしまった。
 なんだ、もう体験済みか、とがっくり。

(写真/E-3 50ミリマクロ)

※ 新開への連絡先はこちらまで↓
  yamakamasu@shinkai.info

 新開 孝

モロコシ畑のシロモンノメイガ 2008/10/19(その2)
 午前6時過ぎ、モロコシ畑で交尾しているシロモンノメイガを見つけた。

 本種は明るい草地を昼間にさかんに飛び、花に来る姿もよく見かける。






 (写真上、下/E-520  50ミリマクロ)新開 孝

キオビエダシャクの交尾 2008/10/18(その1)
 「あのう先日、かわったチョウを見たんです!それで、新開さんにお尋ねしようと思って、、、」

 この疑問の声を聞いたとたん、ぼくは「ハハア〜ン、キオビエダシャクのことだな!」とすぐにもわかる。

 たしかにこのところ、三股町内でもっとも数多く舞っているチョウ、いや蛾なのだが、それが、キオビエダシャクだ。
 初めて見る人にとってはとても印象的な翅の色模様のうえ、昼間に飛び交い、そして花に来ている姿は、誰にとってもチョウだとしか思えないだろう。

 そのキオビエダシャクが午後5時過ぎころに、交尾していた。
 キオビエダシャクの交尾は初めて見た。

(写真/E-3 50ミリマクロ)
 新開 孝

秋の食材 2008/10/18。(その2)
 上空をサンショウクイがさえずりながら飛んでいく。

  ピリリ、ピリリ、ピリリ。

 そしてうちの回りでは、山椒の実が目立ち始めた(写真上)。

  長い竿を持って林縁を歩く人によく会うようになった。
 竿を持つ手と、もう片手には大きな平笊を持っている。ときどき立ち止まっては高い梢を竿で叩いている。ヤマノイモのむかご(写真下)採りだ。

 (写真/E-3   50ミリマクロ)新開 孝

タイワンツバメシジミのその後 2008/10/18(その3)
 うちから歩いて2分のタイワンツバメシジミ発生地。

 幼虫たちはどんな様子か見に行ってみた。さすがにシバハギは花の時期を終えた。ただ一つだけ花が残っていたが、それ以外にまったく花は無い。
 たくさんの豆果も、なかには茶色いものも混じってきた。

 その豆果を見ていくとタイワンツバメシジミの幼虫は次々と見つかった。とくにアリが来ていれば、発見率も高まる(写真上)。

 赤い矢印の先の白い部分からは、甘露状の分泌液が出るようで、そこをアリは頻繁に舐めていた(写真下/トリミング)。

(写真/E-3   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

※ 写真のアリは、「ルリアリ」というご指摘をいただきました。ありがとうございます。よーく見ると、ほんのわずかですが、たしかに瑠璃色を帯びています。新開 孝

ハンミョウの死因とは? 2008/10/17
 カナムグラの群落を見てみると、羽化したばかりのキタテハやあるいは蛹(写真上)などが多い。

 谷津田の奥の休耕田にはキンエノコログサの群落が黄色く輝き、畦にワレモコウの花がポツンと咲いていたりと、稲作とは違った野草の賑やかさがあった。その休耕田にカナムガラがのさばっている箇所もあったのである。
 しかも、アオタテハモドキまで飛び出してきた。証拠写真しか撮れなかったが、アオタテハモドキを宮崎に来てから見るのは、これで3回目。

 カナムグラを眺めていると、ハンミョウの死骸が蔓に絡んでいた(写真中、下)。首を蔓に挟まれて、ギロチン状態となっている。これは死んでからここに引っ掛かたのか、あるいは不運にも蔓に挟まって息絶えたのか、その真相はわからない。

 昔、外人プロレスラーで「ボボ・ブラジル」というのがいた。このレスラーの凄いところは、ともかく頭突きが必殺技なのであった。無茶苦茶、頭が固く、コツンと頭突き攻撃一発でジャイアント馬場ですら、苦しがって、でんぐり返るほどであった(といって、すでにジャインアト馬場を知る人もいないか?)。

 オーバーアクションで観客に受けるボボ・ブラジルだったが、そのボボにもいろいろ弱点があった。とくに足腰が弱く、膝蹴りとかくらうと、もう参ったとばかりに手を合わせてやめてくれと、懇願したりする。ま、それも相手の意表をつく作戦ではあったが。それと、ボボに際立っていたのは、ロープ技に弱いことだった。

 相手にロープへと投げ飛ばされると、なぜだかかなりの確率で、自らロープに首が挟まってしまうのだった。こうなってしまうと、もう反撃どころか自滅に近い。悪役レスラーはわざと相手をロープに首を挟みつけるのもいたが、もちろんこれは反則技である。

 (写真すべて/E-3 50ミリマクロ)

 新開 孝

夕暮れ 2008/10/16(散歩写真)
 今日は久しぶりに草刈りをした。
子供の通学路となっている畑の間の坂道だ。トラクターが通るので轍が深く、その窪みのために草刈りは厄介だ。
 燃料が余ったので、うちの敷地の北側斜面も刈っておいた。

 汗だくになったあと、犬の散歩に出てみた。今日も子ども達が池で釣りをしている。その元気な声は谷津田中に響いていた。新開 孝

そば畑のキオビエダシャク 2008/10/15
 三股町のそこかしこで、キオビエダシャクがビュンビュン飛び交っている。今年はどうやら大量発生しているようだ。

 近所のそば畑(写真上)でも吸蜜している姿があった(写真中)。
 チョウでは、キタテハが一番多く、他にはタテハモドキ、メスグロヒョウモンのメス、アオスジアゲハ、イチモンジセセリ、アカタテハ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモン、イシガケチョウなどが来ていて、賑やかだ。

 ツマグロヒョウモンのオスは、キオビエダシャクを見るとさかんに求愛していた(写真下)。他の場所でもしつこく追飛しているのを目撃したが、キオビエダシャクのあの派手なオレンジ色の帯が、ツマグロヒョウモンのオスにとっては魅力的に映るのだろうか?

そば畑での賑わいを見ていると、キオビエダシャクは蛾というより、チョウに見えて来る。


(写真上/E-520  14-54ミリズーム)
(写真中、下/ E-520  50-200ミリズーム)  
新開 孝
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