| 今日の写真は、数日前の23日に撮影したもの。
コナラの樹皮がめくれた所へお尻を差し入れ、産卵していたのはヘラクヌギカメムシのメスである(写真上、中)。 本種とよく似たクヌギカメムシとの区別点である、「腹部気門部分」が見えており、そこが黒く縁どりされていないことから、ヘラクヌギカメムシと断定できる。 別の場所の樹皮裏に産卵されていた卵塊も見つけた(写真下)。
近年、クヌギカメムシのほうは数が減っているということだが、たしかに清瀬や所沢周辺などでも、その傾向を強く感じる。その理由たるやまったく想像すらできないが、雑木林のクヌギやコナラと密接な関係をもって生きるクヌギカメムシ類が衰退していくのは、寂しい限りである。
さて、クヌギカメムシ科にはヘラクヌギカメムシとクヌギカメムシ、サジクヌギカメムシ、そしてナシカメムシの4種がいる。なかでもUrostylis属の、ヘラ、クヌギ、サジの3種はきわめてよく似ており、形態から識別するにも慎重を要する。 しかし、この3種のそれぞれの産卵習性を見ていると、かなり種ごとに違いがあるようで、私はその産卵習性の違いという観点からも3種を区別できるのではないだろうか、と感じている。 サジクヌギは武蔵野周辺ではほとんど生息していないようなので(標高が高い場所か、あるいは少し北の地方に見られる)、とりあえずは過去の観察経験に頼るしかないが、クヌギ、ヘラの2種は平野部の雑木林で混生しているので、この冬はもう一度、その産卵習性の違いの観察を積み重ねておきたい、と思っている。
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