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コカマキリの産卵 2006/10/29
 10月半ば頃から、コカマキリのメスの姿が目立つ。ちょうどその頃は、ハラビロカマキリのメスの姿が減り始めたかな、という時期と重なるような気もする。

 そして面白いのは、その産卵場所である。コカマキリのメスの多くは、空堀川遊歩道に面した金網柵の上部庇に集中して見つかり、なおかつそこが産卵場所となるケースが毎年、多く見られる。ここでは、ハラビロカマキリはほとんど産卵しない。

 本来、コカマキリの産卵場所は、比較的地面に近くて、なおかつ石の裏側とか、はがれかかった樹皮の裏側とか、すぐに目につくような場所を避けている。まさに雨を凌げる空間を選んでいるかのようであり、金網柵の庇もこの条件にあてはまるのであろうと思われる。

 こういう隠蔽的な場所への産卵というのは、例えば他のカマキリでは、ヒメカマキリ、サツマヒメカマキリ、あるいはウスバカマキリなどで見られる習性であり、対してハラビロカマキリやオオカマキリ、チョウセンカマキリなどは、人目にもよく目立つ、梢や草、樹皮面、あるいは建築物の表面などオープンな空間が産卵場所となっている。

 今日のコカマキリの産卵は、午後4時15分に撮影したが、だいたい午後3時以降から産卵する例が多く、時間帯はその日の気温などにも影響を受けるものと思われる。

(EOSキッスデジタルN マクロEF100ミリ 内蔵ストロボ+ケンコー影とり)

 『お知らせ』

 以前あった「新開孝の昆虫写真工房編集室」のメールアドレスは削除しております。
 当ホームページへのご意見、ご感想、新開への直の連絡等は、こちらのアドレスまでお願いします。御手数ですが、コピーしてお使い下さい。

 yamakamasu@shinkai.info


新開 孝

葉っぱを食べるヤマアラシとは? 2006/10/27(その1)
 カラスウリの葉っぱをひっくり返すと、丸い網目状の食べ痕がたくさん見つかる。その食べ痕をいくつもめくっているうちに、トホシテントウの幼虫も見つかるはずだ(写真上)。

 幼虫は葉うらに貼付いて、葉の表面を舐めとるように摂食するも、けっして葉を貫通するまで食べ進むことはない。器用と言えば、器用だし、そしてそのこだわりとは、一体何であろうか?と首をかしげたくなる。

 さて、今日はいろいろなステージの幼虫を見ながら、脱皮直後の個体に行き当たった(写真中)。なるほど、あの痛そうなトゲトゲも、脱皮時にはいかにも柔らかなゼリー質と化し、それが時間経つうちに黒く色付き、また固くなっていくのだろう。写真下は、脱皮殻。

 ところで、トホシテントウは幼虫越冬。しかしながらこれまで、越冬中の幼虫を見つけたことがない。この冬は、なんとかその越冬幼虫を見つけてみたいと思う。幼虫は来年の5月ころに蛹となるようだ。

(写真上/EOSキッスデジタルN  マクロEF100ミリ)
(写真中、下/EOS-5D  マクロ65ミリ サンパック改造ストロボ、ハクバデジタルスレーブストロボ使用)

新開 孝

ミナミカマバエ 2006/10/27(その2)
 ミナミカマバエは水辺に棲む小さな肉食バエである。

 体長はせいぜい4ミリ前後だから、よほど意識してかからないと、このハエに出会うことはできない。
 17年前にこのミナミカマバエの撮影に少し熱中したことがあるとは前に書いたが、先日、うちのすぐ近所のある場所で、久しぶりにこのハエを見つけた。

 しかし、見つかった個体数はせいぜい5、6匹であり、撮影条件もきわめて悪い。昔のように彼らの生き様や、表情を撮影することはこの場所では断念するしかないようだ。別の生息地をあらたに見つけたほうがいい。

 思えば、何もないようにしか見えない場所で、いい歳したおっさんがカメラを構えて、しゃがみ込み、ときには腹這いになり、かと思えば石のごとく水辺にむかってじっと厳しい視線を注いでいたりと、傍目から見れば、できれば関わりたくない狂人としか見えないことだろう。
 まだカメラを携えているから警察沙汰にならずに済んでいるのかもしれないが、、、、、。

 (EOS-5D マクロ65ミリ  サンパック改造ストロボ使用)

  『接写用改造ストロボの出番』

 3倍近くの接写も、近頃はOLYMPUSフォーサーズのボディと35ミリマクロ+1.4倍テレコンの組み合わせを使う事も多い。この場合、倍率は2.8倍。ストロボは内蔵ストロボと拡散版の併用である。野外撮影では、この身軽でコンパクトな撮影スタイルは楽でいいのだが、しかし、問題もある。
 フォーサーズと言えど、接写倍率が高くなると被写界深度は急激に浅くなり、絞りも11から16まで絞り込みたい。すると大概は、内蔵ストロボのパワーをFULLにしなければならず(現状のフォーサーズではISO感度を400以上で使うことは画質的に厳しい)、そうなるとストロボ閃光時間の関係で、被写体のちょっとした動作がけっこうブレてしまうのである。
 例えばミナミカマバエが、鎌状の前脚を伸ばす仕草を撮影したのであるが、これは見事にブレてしまった。

 やはり内蔵ストロボはそれなりの使い方をしなければならず、高倍率接写などでは専用の外付けストロボを使ったほうがいい。かと言って、フォーサーズのコンパクトなボディに接写用外部ストロボを組み合わせるのは、バランスも良くない。
 結局、昔から使ってきた接写専用改造ストロボの出番となり、それを載せるカメラシステムはでかくても、がっしりしていることが肝要である。サンパックB3000Sとツイン発光部の組み合わせを久しぶりに使ってみた。
 
 
 新開 孝

アメンボの食事 2006/10/26
 昨日は見事に秋晴れとなったが、予定していたアメンボの撮影の条件としては逆に不都合であった。

 きれいに晴れていると、日向と日陰のコントラストがあまりにも強く、また水面への空の写り込みをうまく拾えないので、例えばアメンボの脚先がつくる水面の窪みがきっちりと描写できない。
 今日は、晴れてはいても雲が適度にあって、その雲の水面への写り込みをうまく選んでカメラを向ければ、アメンボの水面上に踏ん張った様子がよくわかる写真が撮れた。

 そんなアメンボの姿の基本的なシーンを撮影していたところ、アオイトトンボが風に流されてきた。どういう理由か、力尽きて池に落ちたらしい。イトトンボがもがいて波紋が起きると、ツツッーとアメンボが近寄ってきた(写真上)。
 さらにしばらくすると、獲物の臭いを嗅ぎ付けた仲間が、次から次へと集まってきて、えらい騒ぎとなってしまった(写真下)。
 アメンボの脚は長いので、もうどれがどのアメンボのものやらわからない。いかにも吸血しにくそうだけど、それなりに整然と食事にありついているようだ。とくにアメンボ同士で争いなどは見られない。
 

 (EOSキッスデジタルN マクロEF100ミリ)


 『野塩保育園で虫のお話』

 野塩保育園は、私の子供兄弟二人がそれぞれ6年間づつお世話になった保育園である。初めての子供だったお兄ちゃんを、いきなり零歳児から預けるときには、正直言ってたいへん不安でもあった。そしてなんだか子供に対して申し訳ない後ろめたさもあった。全てが初めての経験だったから当然のことではあるが、そういう想い出もあっという間に、懐かしい記憶になってしまった。
 兄弟は4歳離れているので、二人併せて10年間もここの保育園に送り迎えをしていたわけで、その送迎の仕事はだいたいが私の役目であった。

 さて、かねてからいつかは虫のお話、講演をとお約束していたが、ようやくにして本日、それを実現できた。液晶プロジェクターにノートパソコンとハンディカムを接続し、前半45分を写真で、最後にビデオ映像10分を披露した。

 登場する昆虫は、ほとんどがうちの近所で撮影したものであり、保育園の子供達が散歩する場所とも重なっているので、少しは現実味のある印象を持っていただけたのではないか、と思う。
 実際、私が撮影している現場で、保育園の散歩組さんに鉢合わせしたことは過去に幾度もある。虫が苦手とおっしゃる保母さんでも、目の前にいる昆虫の生きざまにほんの少し私の解説を加えれば、一瞬にして楽しいひとときに感じられたのではないだろうか?
 自然界のさまざまな生き物に対して、人によってはいろいろ好き嫌いや、苦手意識などがあるのは当然のことである。でも、生き物の名前や、どうやって暮らしているのか、などといった具体的な情報を付加して実際に見つめる機会があれば、そのときから虫などに対する捉え方もきっと変わっていくのではないか、そう期待したいのである。

 

新開 孝

アメリカザリガニの闘争 2006/10/25
 小川の水面下を、アメリカザリガニが歩いていた。明るい日射しの下、歩く姿に落ち着きが無い。どうやら手頃な隠れ家を探している様子だった。右手のハサミを失っているのを見るにつけ、このザリガニにもいろいろ苦労があったようだ。

 しばらくして棒杭の隙間に隠れ家を見つけたのだが、そこにはすでに先客がいた(写真上)。すると片手ザリガニは、強気にも先住者を追い出しにかかった。そして、あっという間に左ハサミでもって、相手を隠れ家の外へと投げ飛ばしたのである(写真中)。

 なるほど、追い出された方はまだ若い個体であったことが窺える(写真下)。あっさりと追い出されはしたが、体つきはもう立派である。投げ飛ばされてからも納得がいかないと見えて、一旦は隠れ家に戻ろうと挑んでみたが、やはり相手の人生経験?の豊富さが、若さのエネルギーよりか上回っていたようだ。若者はすごすごと新居探しに励む決断をしたようだ。
 まさに技が力を制した、そんなところではないだろうか。

(E-330 ズイコーズーム50-200 ストロボFL-50使用)

『絶滅するという生きものを、どう捉えるのか?』

 アメリカザリガニは、かつて人為的に海外から日本に持ち込まれた外来生物であり、じつは国内の各地でけっこう深刻な問題を巻き起こしている。このことはあまりにもよく知られた事実でありながら、その深刻さを認識できる人は少数派であり、とくに教育の現場の教師の方々の多くは、外来生物の問題を熟慮することなく、便利な教材としてかアメリカザリガニを捉えておられないようだ。

 アメリカザリガニが、日本各地でその生息域を広げることは、一方で在来の生きものたちの一部が、かなり壊滅に近い状況に追い込まれている、という事実もあり、そのような事実をどのように認識するのか、と問いかける必要もあるだろう。

 ある生物種がもう少しで絶滅する、という現状を目の当たりにすれば、この事実を前にして、少なくともこれをどう捉え、どう理解すべきか、普通の人は考えるはずだ。普通とはなんだ?と問う人もあろうが、絶滅、という言葉を聞いて、「それも定めよ!」と簡単に言い放せるならば、ことは簡単である。

 じつはこの私も、アメリカザリガニについては、小さい子供のころから慣れ親しんできた、それこそ憧れの生きものであり、網をもって興奮した時期も懐かしい。それほどにアメリカザリガニは、すっかり日本に土着してしまったのである。
 しかしながら、馴染めばそれでいいのか?そういう自問も今の時代こそ、問われるべきではないだろうか?それは、このところの日本国民の異常なペットブームに関わる問題であり、なんでも面白くて、癒しの効果のある生きものを人間社会に持ち込む、その節操の無さに、少しは考えてみてよ、と異議をとなえる者は、私一人ではないだろう、と思う。

 さて、日本の生物の、それも絶滅に瀕している種について、真剣にその問題に取り組んでいる方々はたくさんいらっしゃる。この問題はいかにも人間臭い問題となり、社会的にはなかなか厄介ではある。
 でも、ここで肝心なことは現場の事実をきちんと捉えるという作業だろうと思う。いったい、この日本の自然界で、どんな生き物たちに、どういった深刻な問題が生じているか?そういう事実をまずは知る必要がある。
 その問題認識を問う場として、以下の催しが参考になるだろう。

 今月24日〜29日に新宿御苑で「日本蝶類保全協会」のイベントが開催されるている。「絶滅の危機にあるチョウ類とその保全」展。
http://japan-inter.net/butterfly-conservation/TOPEvents.html

 
新開 孝

アケビコノハ 2006/10/24
 都内での用事を済ませてうちに戻ってみると、マンションの外壁にアケビコノハが止まっていた。昨夜あたりに、近くの雑木林から灯りにつられて飛来したのだろう。

 そっと手に乗せようとしたら、急にはばたいて逃げてしまった。アケビコノハはずいぶんと昔に何度も撮影したことがあるが、秋の雑木林を歩いていると、足下からいきなり飛び出してきてびっくりさせられる。

 アケビコノハは夜行性であり、他の多くの蛾類と同じように、成虫の生活を写真でとらえることは、極めて難しい。ただし、彼らは夏の夜の果樹園にしばしば飛来し、果実から吸汁する。それがために、害虫として嫌われることもある。果樹園を経営する方にとっては招かざる存在であり、それも当然のことだろう。

 もう20年以上も前のこと、私は四国の実家の近くで、ガガイモの花のそばで交尾中の本種を撮影したことがある。それは天候のすぐれない曇り空の下、日中の出来事であった。

(E-500  マクロ35ミリ+1.4倍テレコン)


 今日は、免許証の更新で新宿の都庁に赴いた。
 私はある事情で、免許書が優良ではなかったので、うちにもっとも近い石神井警察署での更新はできず、最寄りの更新場所は府中試験場であった。しかし、ここは交通の便も悪く、いかにも陰気な場所という印象がこれまで強かった。そこで、他の用事も兼ねて動ける、新宿の都庁の免許書更新センターに行ってみることにした。都庁を訪れるのも初めてだし、これが最後でもあるから、一度くらい見学しておこうと思ったのだが、結局、都庁のどこも見学せず用事だけ済ませてさっさと、地下街のカレー屋に飛び込んでしまった。
 ただ今回の選択は正解であり、平日とはいえ人も少なく、更新手続きもかつてなく迅速に終了した。もっとも1時間の講習は免れることができず、これは仕方が無かったが、巨大な都庁の一角のこじんまりとした空間で、スムーズに手続きを終えることができた。なんと言っても多くの人で混雑しないのが良い。
 しかし、更新手続料金はいかにも高い、と感じた。

新開 孝

ハードディスクは、ときに幻と化す! 2006/10/23
 本日は朝からずっと部屋に籠ったまま、写真探しとそのリスト整理などに時間を費やし、外出できなかった。幸いにも一日中雨だったので、おかげで室内作業に専念することができた。

 私の撮影の仕事では、2004年度からほぼ完全にデジタル写真に移行しており、したがって去年あたりから取り組んでいる自著の出版本などは、ほとんど100%に近い割合でデジタル写真を使っている。
 本作りのスタートラインでは、過去のポジフィルムを有効に活かして、できるだけ無駄を省くように考えてはいても、じつは撮影を初めてみれば、デジタル撮影というのはポジフィルムの時代よりか格段に生産性が高く、いつのまにか当初の予定よりか上回る撮影項目をこなしてしまっていることに気付く。そうなると、本の構成にも余裕ができて、敢てポジフィルムのストックを使わなくても良いというケースが多くなってくるわけである。

 ところが、一方でデジタルならではの、深刻で困った問題も発生してくる。
特に保存データの扱いだが、今日は2003年に撮り貯めたデータの入っている外付けハードディスク2台が、急にパソコン上で認識できなくなった。どうやら周辺機器のドライバーソフトとコンフリクトを生じているのではないか、という疑いが濃いのであるが、もしそうでなければいよいよ深刻である。
 
 私はデータのバックアップを逐一、DVDディスクなどに焼き込むことはほとんどしておらず、全てハードディスクに頼っている。そこで少なくとも2台のハードディスクに分散化する対策を施しつつあるが、デジタル移行の初期のころのデータについては、まだその対策が追いついていないのであった。

 少し悔しい気もするが、もしも2003年の1年間の撮影データを失ったとすれば、それはそれで、もっといい写真を撮ればいいだろう、とも思う。2003年度といえば、まだ銀塩フィルムカメラを主力で使っている時期で、デジタルカメラは400万画素のEOS-1Dをテスト的に使っていた頃ではある。
 テスト的とは言っても、カメラはけっこう高価だった!それだけに思い入れは強く、デジタルに100%移行したい!という気持ちが先行していたころだった。

 そういう過渡期に撮影した写真には、やはり迷いも多かったのではないか?
そう思い直すことで、究極の事態に覚悟もしておいたほうが良さそうだ。

 
新開 孝

三匹の子豚 2006/10/22
 台所の窓の外にはクスノキが茂っており、例年、アオスジアゲハが卵を産んでいく。

 先月、9月7日には母チョウが産卵している写真を紹介したが、そのときの卵はやがて10月3日に終令幼虫として育ち、その写真を再び紹介している。そして、そのときの幼虫はやがて無事に蛹となったのであるが、今朝になって寄生を受けて死んでいることがわかった。寄生バエのウジ虫が蛹の殻を突き破って出たのは、つい最近のようである。

 ところが、今月に入ってから再び、若い幼虫が5匹見つかった。一枚の葉っぱの裏に5匹が並んでいたので、けっこう目立っていた。食事のたびに離散するも、休息するときには皆が、元の場所へと戻ってくるのであった。
 その様子を面白がって眺めていたが、ここ数日に至って集合場所に戻ってくるのは、3匹だけとなった。あとの2匹はそれぞれ分家してしまい、孤独に過ごしている。

 今いる幼虫たちが無事に成長できたとすれば、みんな越冬蛹になると思われるが、11月おそくにも飛んでいる成虫を見かけることもあるので、断言はできない。

(E-300  マクロ50ミリ+中間リングEX-25)

 新開 孝

トンボの催眠マジック、ふたたび 2006/10/21(その2)
 近所の「せせらぎ公園」に下の子供と散歩に出掛けたおり、アオイトトンボを見つけた(写真上)。

 「トンボがいるよ」と教えたら、子供は前にやった「トンボマジック」を試してみたい、と張り切って捕まえようとする。簡単には捕まらないだろうと見ていたら、あっという間に指で摘んでいた。

 先々週にアキアカネやウスバキトンボで何度か経験しているので、子供はさっそく自分の膝の上で、手際良くマジックを開始(写真中)。私も半信半疑で眺めていたが、なんと見事にアオイトトンボはでんぐり返ったまま、動かなくなった(写真下)。
 ただし、手を打ち合わせた程度では覚醒せず、脚に触れてやるとびっくりしたように飛んで行った。

 このトンボを仰向けにして、翅を根元から外側にむけて擦ると、まるで眠りこけたようになる、という現象は、どうやらアカネ類のみならず、トンボの仲間の多くに起きうるようである。もっともオニヤンマのようなでっかい種類でも有効なのかどうか、まだまだ試してみたい気がするが、そうなってくるとまずは捕獲そのものが、チョイと手掴かみで、というわけにもいかない。

(E-500  ズイコーデジタルズーム14−54ミリ)新開 孝

アシブトハナアブの卵、ふたたび 2006/10/21
 昨日、見つけたアシブトハナアブの卵をさらに拡大撮影してみた。
 
 さて、こうした高倍率の接写では、被写体の固定方法や焦点面の選択など、撮影前のセッティング作業が重要であり、その作業いかんによって写真の仕上がりの善し悪しが決まる。
 その作業のなかでも厄介な一つは、被写体に付着した微小なホコリの除去であろう。この作業を徹底して行なうには、撮影台にセッティングする前に、実体顕微鏡下で丁寧に掃除を行なう必要がある。

 今日は卵塊に繊維状のホコリが着いていたので、これを面相筆で取り去ろうとしたのだが、ハナアブの卵は少し触れただけでパラパラと分離してころがり落ちてしまうことがわかった。そこで結局、できるだけホコリを避けて撮影することにした。厄介とはまさにこのことで、被写体によっては非常にデリケートなものもよくあるので、常に細心の注意が必要である。
 
 今回撮影に使用したレンズは、OLYMPUSの旧OMシステム、マクロ20ミリで、これとOLYMPUSベローズを組み合わせた。カメラはEOS-5D。
 照明は正面側に、NikonマクロスピードライトSB-21を使用し、逆側にサンパックのB3000Sを1灯配置するというきわめてシンプルなもの。SB-21は池袋のミヤマ商会で新古品を安く入手した。

『ストロボは消耗品だが、、、、、、』

 先日も書いたが、私の所有しているストロボのうち、スレーブ専用として使ってきた小型ストロボが立て続けに、4台も作動しなくなった。撮影機材のなかでもストロボは故障する確率が高いので、いきなり困ることがないよう、予備ストロボを用意はしているが、これで予備が目減りしたわけだから、さっそくその対処もしないといけなくなった。
 そういう事情から、都内に出たおりには、普段からこまめに中古カメラ店を回り、安い新古品ストロボがあればできるだけ購入しておきたいのである。私の場合、TTLオートやさらに進化した最新の調光システムはほとんど必要としないので、昔のマニュアル中心の製品で充分ありがたい。

 なお、先日、2台も動かなくなったハクバのデジタルスレーブストロボについては、その故障の原因を問い合わせている最中なので、メーカー側から解答が戻り次第、報告したいと思う。なにせ、超小型のスレーブストロボは捨て難い機材であり、そうそう簡単には諦め切れないのであった。
 
 新開 孝

アシブトハナアブの卵 2006/10/20
 畑の脇に水を張った発泡スチロールのケースが3ケース並べてあった。泥が底に厚く盛られており、水生植物を栽培していたのだろうと思う。枯れ残った茎の脇には、雑草がポツポツ生えている。

 なんとなくそのケースを眺めていると、水面に何度も触れるように舞うアシブトハナアブの姿があった。それは産卵に関わる行動ではないか?すぐに私はそう感じて、しゃがみ込んでみた。

 するとやはり、雑草の葉っぱには無数の卵塊が産み付けられていた(写真上)。

 さらにしばらく待っていると、アシブトハナアブのメスがやって来て、水面近くの葉うらで産卵を始めた(写真中、下)。

 どうやらアシブトハナアブの場合、水際に産卵して、ふ化した幼虫たちは自力で水中へと移動するようだ。

(E-500  マクロ35ミリ)

 17年前、当時住んでいた東村山市のアパートの近所で、ミナミカマバエという奇妙なハエの撮影に熱中したことがある。

 アパートは西武池袋線の秋津駅から歩いて5分の場所にあり、そこから歩いて2分のところには小川が流れていた。小川は秋津神社のそばの湧き水から流れており、やがて柳瀬川に合流するまで、ほとんどが護岸もされていない、きわめて自然度が高いせせらぎであった。小川と言っても幅は広いところでもせいぜい1メートルに満たないものだったが、クリ林や畑、草地などを巡るゆるやかな流れは見ているだけでも心地よく、私は頻繁にそこへ出向いていた。2月末ころにはヒキガエルの産卵も毎年盛んであった。

 そんな小川の周辺は、近年、住宅やアパートが立ち並び激変してしまった。おかげで、線路沿いにあった雑木林への小道も閉鎖され、かつてはシロスジカミキリの産卵や、ノコギリクワガタ、ヒラタクワガタといった昆虫たちを撮影したクヌギの木にも行き着くことができなくなっていた。
 
 今日はある目的でこの場所を久々に訪れてみたのだが、あまりにも変わり果てた環境に覚悟はしていたが、唖然とするしかなかった。護岸されていない小川の一部はまだわずかに残されていたが、まず間違いなくミナミカマバエはもう生息していないだろう。
 その小川のそばには、かつてあった畑の名残りのような菜園があり、その脇には
アシブトハナアブの産卵するケースが置かれていたのである。

 このところ、私はかつて頻繁に訪れていたフィールドを、過去の記憶を辿りながら再度、歩いてみている。そのフィールドというのは、私が居住してきた西武池袋線の秋津駅周辺ということに他ならなず、きわめて狭い範囲である。半径わずか2キロの円周内だろうと思う。
 どこをどう巡ってみても、昆虫写真家という私の職業の身にとって、あまりにも厳しい環境になってしまった、と言わざるを得ない。
 
 自然保護の活動も清瀬市内ではきわめて熱心に取り組まれてはいるが、住環境を求める人々のエネルギーの前には、あまりにも微弱である。

 東京を去る決意は、若いころから決めていたことではあるが、このわが町、清瀬がここまで住居主体の町に激変してしまうとは、想像できなかったことであった。


 新開 孝

『新開 孝からのお知らせ』 2006/10/19(その2)
 すでにお気付きの方もいらっしゃると思いますが、「新開孝の昆虫写真工房編集室」宛のメールアドレスは、しばらく前に削除いたしました。

 これにつき、新開への直メールアドレスを新規に設置します。

 新規アドレスは、yamakamasu@shinkai.info です。

 これまでに編集室宛にメールをいただいた方々みなさま全てに、新規アドレスをお知らせする作業は時間が掛かり過ぎ、たいへんご迷惑を御掛けしております。
 とりあえず新規アドレスを「昆虫ある記」の更新のなかで、一週間おきに告知いたしますので、よろしくお願いします。

(写真/日没時のジョロウグモ EOSキッスデジタルN シグマ50ミリマクロ)新開 孝

トホシクビボソハムシ 2006/10/19
 クコの紫色の花と朱色の実を、今は同時に見ることができる。

 花にはよくミツバチなどが来ているが、葉っぱを暴食する虫もいて、とくに目立つのは、トホシクビボソハムシである(写真上)。もっとも小さな甲虫だから食べ痕ばかりが目立って、虫の姿はそれなりに意識してかからないと、ちっとも目に入ってこない。

 「トホシ」と和名はついているが、黒斑がまったくない無紋タイプが多く、今日観察したクコの株上では、文字通り「トホシ」を背負った個体はわずか一匹であった。
 成虫も幼虫も、クコの葉を食べるのであるが、幼虫は自分の背中に排泄物を背負っており(写真中)、頭部と胸脚以外はまさに、うんちのかたまりなのである。つまり自分の糞が身を守る隠蔽物となっているのである。

(写真上、中/EOSキッスデジタルN  マクロ65ミリ)
(写真下/EOSキッスデジタルN   シグマ50ミリマクロ)新開 孝

ジョロウグモの獲物 2006/10/18(その3)
 ジョロウグモの網巣は、とくに林縁部に多い。そういう場所は、獲物となる昆虫類が多く訪れ、また通過する空間であり、じつに巧妙な場所選びをしているなあ、と感心させられる。

 どういう昆虫たちが、クモの仕掛けたトラップに捕まったのか調べてみるのも面白い。
(写真上/アキアカネ、写真下/ツクツクボウシとアオマツムシ)

(E-500  ズイコーデジタルズーム50-200ミリ ストロボFL−50使用)

 
『ハクバのデジタルスレーブストロボ』

 ハクバのデジタルスレーブストロボは、手のひらサイズで小さく、野外で多灯撮影を行なうときには、けっこう便利で使ってきた。室内撮影でも、ちょっと光りをアクセントとして加えたいときなど、重宝することもあった。

 それでこのストロボはこれまで3台を使ってきたのだが、すでに1台が一月程前、そして2台目が昨日、まったく作動しなくなってしまった。
 2台とも購入してから1年も経ておらず、1台は一ヶ月半しか使っていない。こんなに早くも不調(というか完全な故障)になるというのは、どういうことだろうか?

 振り返ってみれば、もっとも多機能的に使用し、長く使用に耐えているストロボは、サンパックのB3000Sくらいではないかと思う。もっともこのストロボも以前に4台まとめ買いをしたとき、不安になって店頭で発光テストをしてみたら、一台はまったく作動せず、危ういところで交換した、という経験がないでもないが、、、。新開 孝
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