2009年2月アーカイブ


ヒメマルゴキブリ

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前回は丸くなるコガネムシだったが、今回は丸くなるゴキブリ。

本種、ヒメマルゴキブリも石垣島に生息している。

パッと見た姿は、どう見ても黒いダンゴムシだ。少し大柄だが。

ED5A7247.jpgしかし良く見ると、長い触角が目立ち、そしてたしかに脚は3対で6本だ。
翅の痕跡らしきものもあって、これはたしかに昆虫である。


ED5A7303.jpgだが、その丸くなる習性は、やはりダンゴムシだ。

ED5A7252.jpg
じわり、じわりと、体を伸ばす様子もまた、ダンゴムシだ。

ED5A7261.jpg

でも、やっぱり、その顔やら触覚やら、脚の格好は、

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、ほんとに、 ゴキブリ ッだ!!




マンマルコガネ

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今回は、ふたたび石垣島からの話題。

驚くとダンゴムシのように体を丸くする、コガネムシ。
それがマンマルコガネ、だ。

丸くなった球体の大きさは、3ミリ程度。
体を伸ばしても5ミリちょと、というとても小さなコガネムシ。

丸くなったところを腹側から見ると、
GV1K5848.jpg横から見れば、、、、、、、、、、、、、、、、、
GV1K5849.jpgそして、背面から眺めると、、、、、、、、、、
GV1K5859.jpgどこから見ても、達磨のようなこのマンマルコガネは、シロアリの巣のすぐ近くから見つかる。
どうやらシロアリと密接な関係にあるらしい。
一旦丸くなると、もう何時間でもそのままの姿勢を崩さないこともある、頑固者?臆病者?

マンマルコガネの撮影は、昆虫写真家の鈴木知之さんに詳しいポイントを教わったからできた。
ここにあらためて、お礼申し上げます。

教わったポイント以外でも、シロアリの巣を目当てに探してみると見つかったが、
まあ、とにかく小さいし、土まみれになっているので、うっかりすると見落としてしまう。

写真は、2005年、3月末に石垣島で撮影したもの。





阿蘇のクロシジミ

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アリの巣のなかで幼虫が育つという、その奇異な生態でよく知られているのが、
クロシジミだ。和名はなんともそっけないけれど。

私の郷里、愛媛県では成虫の古い採集記録はあるものの、近年はほぼ絶滅状態にあると言ってもいいだろう。だから学生時代のころから、クロシジミは幻のチョウであり、
憧れのチョウに過ぎなかった。

これまでもクロシジミについてはときおり気に掛けつつも、なんとしても撮影しようとは考えたことがなかった。
もしも身近な環境にクロシジミがいたなら話は別だが。
もっとも、武蔵野台地で、私が20年間住んだ、東京都清瀬市にも、
かつてはクロシジミがいたらしい。
日本での生態解明の発祥の地は、まさに武蔵野の雑木林だった。

しかし、いったいなぜ、クロシジミは各地で次々と消えてしまったのか。
その原因を考察してみれば、自然と人間社会との関わり方も、よく見えてくるに違いない。

さて、クロシジミとはもう一生縁がないかのように思っていた。
クロシジミを追い求めるよりか、私には他にやるべきことがたくさんあったからにも他ならない。

ところがまったく偶然にも、九州の阿蘇で初めてクロシジミに出会うことができた。
2005年の7月のことである。

P7222665.jpg阿蘇山の外輪山の一角。延々と牧草地が広がる風景は、どこかよその国という感じがする。
7月の猛暑のなか、ダイコクコガネを探し求めて歩いた。写真のお二人は同行者。




クロツバメシジミの魅力に取り付かれたきっかけは、
田淵行男写真文集『安曇野』(朝日新聞社)を手にしたときだった。

1976年に出版された写真文集『安曇野』の中に、
「消滅の記録3」として、クロツバメシジミの生態スケッチが見開きで載っている。

その美しい細密画を目にしたとき、このはかないチョウの生き様に強く憧れを抱いてしまったのだ。

P1010008.jpgツメレンゲで頭部を下にして静止しているクロツバメシジミの幼虫。
少し下方に卵の殻も見える。

P1010028.jpgクロツバメシジミの卵。
ふ化した幼虫はすぐに多肉質の葉内へと潜入し、内部を喰い進む。

愛媛のクロツバメシジミの撮影や観察は、あまりにも途切れ途切れに行われてきた。
したがって、このチョウの魅力を語るような文章も写真も、ほとんどまとまりようがない。

いつの日か、撮影や観察にたっぷりと時間を費やしてみたいものだが、
この先、実現できるであろうか?





今回は、四国、愛媛県に南下。

東京から高知までの長距離フェリーが就航していた頃は、かなり頻繁に四国へ通ったものだが、
この航路が廃止になってからは、お盆休み、正月のいづれかで年一回、帰省する程度となった。

今回の写真はすべて、2005年の10月に撮影したもの。

愛媛の深い谷間に棲むクロツバメシジミ。
食草ツメレンゲの開花と本種の吸蜜シーンのタイミングがどうしても合わず、10年間が過ぎた。
ようやくのこと、そのシーンを撮影できたのが2005年の10月だった。

P1010281.jpg愛媛県の急峻な谷間の崖に咲く、ツメレンゲの花。眼下に見える川は面河川。
画面奥の方角に進めば、やがて高知県との県境となる。








金華山ふたたび

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前回に続いて、宮城県、牡鹿半島沖合い、金華山の話題。

IMG_3425.jpg
(写真は、島内の林床の様子。低木層がほとんどなく、どこも歩き易い。2003年、5月撮影)

今回は一気に東北へと北上。

私が牡鹿半島の沖合いにある金華山を初めて訪れた理由とは、
その奇妙な植物相とシカの関係を見ておきたかったからである。
3月に出掛けたのも、島内の見通しの良い時期を選らんだわけであり、
昆虫の撮影は二の次であった。

地図を広げてみれば、東京から金華山まではずいぶんと離れている。
車での遠距離走行を躊躇って、仙台まで新幹線で赴き、そこでレンタカーに乗り継いで牡鹿半島へと
向かったのは、2001年のことだった。

P7112212.jpg(写真は2003年、10月に撮影した、金華山)


日本にもシュモクバエの一種がいたの!?ほんと!?

その驚愕すべき出会いは、1995年の7月3日のことだった。

あまりの暑さに木陰へと逃げ込み、渓流の大きな石の上に横たわっていたときのこと、、、。

石垣島1.jpg


今回も八重山諸島、石垣島で撮影した写真から。

キンカメムシ類は、よく見かけるアカスジキンカメムシや、局所的にしか見られないニシキキンカメムシなど美麗種が多く、けっこう人気が高い。

とくにアカスジキンカメムシは都心部の街路樹や公園などにも生息しており、飼育も簡単なことから、
親しみやすいカメムシとも言える。

もっとも、「カメムシはカメムシだろう!臭い虫だがね!」
の一言で見向きもしない人のほうが世の中では圧倒的に多数派だ。

私はよく口にするのだが、虫と出会って、その姿を見て得る感動によって、幸せになれることもある、と。
その幸せをみすみす逃してしまうというのは、たいへん勿体ない。
小さな生き物から何かを汲み取る感性、そういうものも少しは大事にしたい。

さて、今回のミカンキンカメムシ。

他の派手な色彩のキンカメムシと比べれば、かなり異色の存在だ。


ED5A8406.jpg


昨日の記事から、自動更新をしている。

このようなやり方は好まないが、事情あってしばらくパソコン環境から離れてしまう。
ならばブログ更新も休止すればよいようなものだが、
これまで紹介してこなかった内容の記事をこの機会に取り上げることにしてみた。

今回から数回は、八重山諸島の石垣島で撮影した写真から。


ED5A7657.jpg写真は、2003年、7月に撮影。アダンに潜むヤエヤマツダナナフシ


アヤヘリハネナガウンカ.jpg『新開孝の昆虫写真工房』のギャラリーに載せている写真から一枚。

たいへん美麗な輝きを放つこのアヤヘリハネナガウンカを撮影した場所は、
所沢市の狭山湖。1990年の7月19日だった。






私、新開の書くサインについては、これまであまり説明をしてなかった、と思う。

サイン.jpg
誰が見ても、これは何かしらの虫だろうとわかる。
して、この虫の正体は?

じつは、このサインのモデルとなった虫は、カマキリモドキ である。

 

朝焼けの霧島山

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午前7時半。

部屋の片付けをしていて、ふと窓の外を見れば、久しぶりに霧島山の山容が朝陽を浴びて輝いていた。

ここ数日間の暖かい日には、山容が霞んでいたが、
今日は正午を過ぎても一日中、霧島山が綺麗に見えていた。

修理出ししていたプリンターが直ったので、受け取りに行ったが、修理代は全部で8000円近くもした。
プリンターはたしか1万円程度であったから、なんともやりきれない。
こんど不調になったらどうしようか?と考えてしまう。

しかし、確定申告にはプリンターが必要なので、どうしても急ぎで修理した。
新品買ったほうが賢いのだろうか。といっても今のプリンターは1年と一ヶ月前に買ったもの。
わずか一ヶ月の差で修理代が掛かる。運が悪いのだろうか?


三股町では霧がよく出る。
お茶の栽培が盛んなのも、この霧が出やすい地形、気候によるのだろう。

今朝も外は真っ白だった。

W2155710.jpg


春一番

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春一番が九州地方で吹き荒れたのは昨日のこと。

そして、今日も生暖かい一日だった。こどもたちはTシャツ姿で遊んでいたが、
家の窓も開け放ってちょうどよいくらいだった。


X2142519.jpg敷地のアブラナの花には、キタテハが何度も訪れていた。
花とチョウの組み合わせという絵柄は久しぶりに見る。

ハナアブ類やミツバチなどは、少しでも陽射しがあれば花によくやってくるが、
さすがにチョウの姿はまだ少ない。



X2142493.jpgX2142494.jpgツチバチの一種もやって来たが、彼らはたしか土中で前蛹越冬ではないか?
このごろの陽気につられて、羽化が早まったようだ。



今日は、私の著書のなかから、一枚の写真を選んでみた。

P7285728.jpg この写真は、ポプラ社の ふしぎいっぱい写真絵本8 『どこにいるの?シャクトリムシ』の 見返しに使われている。

本書では、この写真についての説明がない。
そこでこの機会に、写真の解説を少ししておこう。

 まず、この糸にぶらさがったシャクトリムシの種名は、キオビゴマダラエダシャクという。
幼虫たちは、ふ化して間もない1令であり、彼らが糸でぶらさがっている葉っぱは、ヌルデ。
ヌルデも彼らの食樹の一つだ。

そして、
キオビゴマダラエダシャクの終令幼虫と成虫の写真も、本書の中には出ている。

 本書に載せた成虫の写真は、新潟県胎内市で2006年の7月に撮影したもの。
胎内川に架かる橋のたもとのアカメガシワで交尾していたところを車中から見つけたのであった。
このとき、昆虫カメラマンの森上信夫さんも同行していた。
キオビゴマダラエダシャクを笑顔で撮影している私の様子を横で見ていた森上さんは、何でこんなので喜んでいるの?何でそんなに興奮してんの?と少々、呆れ気味でもあったようだ。と、思う。

交尾カップルは撮影後に持ち帰ったのだが、メスがケースのなかでたくさんの卵を産んでくれた。
その卵はすべて無事にふ化し、そして私のうちで飼育をしたのであった。

キオビゴマダラエダシャクという尺蛾は普通種であり、どこにでもいる。
しかし、そうはいっても、彼らの生活ぶりを仔細に観察する機会はそうそうあるものでもない。

ちょうどシャクトリムシの写真絵本の仕事をしていたときに、こういった出会いがあったのも、
それは単に運が良かっただけのことかもしれない。

しかし、昆虫写真家としては、自分の集中力のなせる技だとか言って、少しは自慢しておき、そして自信にもつながるわけである。






春はもうすぐ

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今日もかなり暖かい一日だった。
となりの梅林では、セイヨウミツバチやハナアブたちが忙しく花を訪れていた。

W2125647.jpg 
虫の本の発売は春か、初夏になることがほとんどで、したがって本作りの作業はだいたい冬の間に行う。
 そこで作業が大詰めに入ってから慌ててプロフィール用写真などを探すことになる。
ところがシーズン中に撮影したプロフィール写真などは、まずない。

今朝はチョロと一緒に写ってみた。少しでも変化をつけようということだったが、やはり初夏から夏にかけて、暑い陽射しの下での撮影も心がけておきたいものだ。


さて、昨日から当ブログ『ひむか昆虫記』を公開したばかり。

ここのアドレスへは、ブログ『ひむか昆虫ある記』か、『新開孝の昆虫写真工房』内の「昆虫ある記」から文章を辿ればリンクされてはいるが、ホームページから直接はつながっていない。
したがって、見失って迷子になってしまう可能性もあるだろう。
しばらくは、仮設ブログ『ひむか昆虫ある記』を残しておくので、
なんとかそこの記事内から、こちらへリンクしていただき、ブックマークやお気に入りに登録していただければ、と思う。


もちろん、ホームページ『新開孝の昆虫写真工房』のリニューアル作業も進んでいるので、いづれ、このブログもそちらと統合される手筈である。

『ひむか昆虫記』の出だしは、本年2009年からということにこだわった。

「ひむか」というのは、宮崎の古名「日向国」からきている。
「日向」と書いて「ひむか」とも読む。
「日向」と表記すると、現在ある日向市と重なってしまうので、
あえて「ひむか」とした。

宮崎に来て、あちこちを巡れば、「ひむか神話街道」、「ひむか国」あるいは、
「ひむか薬局」、「焼き鳥ひむか」、「「ひむかケア」などなど、
「ひむか」のつく名称の看板や広告などが溢れている。

東京の清瀬市で、『新開孝の昆虫写真工房』を立ち上げたのが、2003年の11月。

それから2007年の3月まで、「昆虫ある記」は武蔵野のフィールドを中心に更新を続けてきた。小さく狭いフィールドをよくぞ毎日のように飽きもせず歩いたものだと思う。

そして、2007年の4月からは、家族共々、宮崎の地での新しい生活を始めた。
本来ならその時点で、「昆虫ある記」も刷新するべきだったが、
引越しに伴う生活の立て直し、フィールド探索などなど、やるべきことなすべきことが山積して、
ホームページに関わる作業を検討する余地など、まずなかった。

今となっては、たいへん出遅れてしまったのだが、宮崎の新天地で生活に馴染み、フィールドの感覚を掴み、人的なつながりをも構築するには、
最低でも2年は必要だった。

もちろん、まだまだ地元に溶け込んだ生活とも言い難い。
しかし、今のすみかが子供たちにとっては新たなる故郷になっていくことは間違いなく、その感触はいっそう現実味を帯びてきた。

宮崎での生活が2年目を迎える今年こそが、
新ブログ『ひむか昆虫記』の出だしとなるのも、
むしろふさわしいスタートラインに立ったのだと、自分ではそう納得している。









写真パネル

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3月と4月に予定している講演会では、同時に写真展示も行う。

といっても、写真展というほどに大げさなものではなく、ちょっとしたコーナーに10枚程度の写真パネルを展示することになっている。

今回はA2サイズのプリントを用意し、それをアルミフレームに納めてみた。


W2115626.jpg  以前は、A3ノビサイズまでのプリントなら、自分でプリントアウトできたのだが、
そのプリンターもついに不具合を生じ、どうしようもなくなって処分してしまった。
ただし、A3サイズではやはり展示パネルとして飾り付ける場合、物足りないものがある。

そこでA2サイズのプリントを業者に委ねてみたのだが、仕上がりは満足のいくものだった。







瞬間移動

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草むらに顔を近づけてみると、パチン、パチンと小さくはじける音がする。

あちこちでその音を追いかけてみるが、その正体はすぐどこかへと姿を消してしまう。
ようやくのことで、ヒシバッタの姿をとらえたと思ったら、次の瞬間、もういない。

まるで加速度装置で瞬間移動できる「サイボーグ009」、のようだ。

X2102413.jpg
 草むらにころがっていると、たいへん暖かい。ヒシバッタたちが元気なのもその
せいだろうか。

X2102418.jpg


つと虫

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ススキの葉っぱが二つ折りに綴られている。

X2082347.jpg あやしい。
これをそっと開いてみる。


X2082350.jpg 中にはイチモンジセセリの幼虫がいた。
顔には独特な紋様がある。


X2082360.jpg 幼虫の体長は、1センチ程度。まだ中令期だ。
イチモンジセセリの幼虫はときに稲にもつくので、害虫にもなる。
害虫としてのイチモンジセセリは、「つと虫」とも呼ばれる。




うらめしや~

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先日、ウスタビガのまゆを見つけたクヌギ林のなかには、
キノコのツチグリがあった。

 自然界において、ツチグリの胞子噴射とは
 どういうきっかけで起きるのだろうか。
 いや、じつは考えるまでもなく、
 私はその瞬間を偶然にも何回か目撃したことがある。
おそらく私と同じような経験をもつ人も少なからずいらっしゃるだろう。

まずは、連続写真を見ていただこう。

X2072246.jpg
X2072255.jpg

このところ林の整備作業が停滞している。
雨もこの時期にしてはよく降ったし、なにかと忙しい日々だ。

昆虫写真家にとって、冬は暇だろう、などということはない。
撮影量は、たしかに減る。しかし、そのぶんシーズンに備えてやるべきこと、
机上での作業もかなりあって、のんびりとはしていられない。


X2052167.jpg 以前、ツチイナゴのはやにえを紹介したことがある。
野焼きで炙り出されて、そこをモズに捕まったのではないか?
と、推測した。
そのツチイナゴは翌朝には忽然と姿を消していた。とても冷え込んだ朝だった。

 私はそのツチイナゴのはやにえが刺さっていた小枝に、ずっと注目してきた。
なぜなら、その場所はモズが好んではやにえを立てるだろうと思われたからだ。

 そして今日、まさにその同じ小枝に、ケラが刺さっていた。
まだ死後硬直はきておらず、新鮮なはやにえだ。
この小枝はよほど絶妙な角度をもってもモズを待ち受けているのだろう。

X2052185.jpg    クリ林に行ってみれば、ツマグロヒョウモンの幼虫が見事にブスリ。

X2052199.jpg     ツマグロヒョウモン幼虫はすでに成長著しく、中令期と思われる。

 今日はモンキチョウも元気良く飛んでいたし、
           もう早春さながらのポカポカ陽気だった。
                            
  こんな日が続くと、あれほど焦れていた薪ストーブも、
        ま、いいか、なんてあっさりと忘れてしまいそうだ。




番組のお知らせ

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案内ハガキ.jpg

こんどの日曜日(2月8日)、午後7時半~、NHK総合テレビの科学番組で、

「熱烈!メスから求愛 イワヒバリ」(ダーウィンが来た!生きもの新伝説)

が、放映される。興味ある方は是非、ご覧下さい。

 この番組の撮影をしたのは、私の友人である平野伸明さんが主宰する「つばめプロ」。
撮影カメラマンは若手の野沢耕治さん。
清瀬にいたころは、何度もお会いしたし、フィールドも一緒に歩いたことがある野沢さんは、長身で細面の男前。これからの活躍も期待される。
 「つばめプロ」には女性で鳥の研究者の若い新人スタッフもいらっしゃる。
昨年の暮れに、平野さんはじめ「つばめプロ」のスタッフの方々とささやかな飲み会があったけれど、皆さん生きものの映像作りに込める情熱に満ちていた。
 私はいつも一人で仕事をしているから、こういったチームで仕事をこなす方々がうらやましく映ることもある。もっとも、私は一人でいるのが好きだから、うらやましい、と言っても一過性のことだろうが。

 じつはイワヒバリの撮影談は、「つばめプロ」さんのブログでも以前からよく拝見していた。高い山岳地帯の山小屋に滞在しながらの撮影は、たいへんな苦労があったことと思う。
 実際、私は何度か平野さんから現場の様子などをじかに聞いていたのだが、昆虫写真家の私などには考えられないような苦労が数々あったようだ。

 もっとも番組の映像を見ているぶんには、そうした撮影の裏方の苦労や失敗などはほとんど垣間見ることはできないだろう。きっと綺麗で憧れるような自然風景に満ちているはずだ。
そして、イワヒバリのふしぎで驚くような生活の場面がきっちりと捉えられていることだろう。
 イワヒバリという鳥はアルプスの高地に棲んでいる、くらいの知識しかない私としては、今からその生態の映像を見るのがとても楽しみであり、ワクワクする。


足跡

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今日はけっこう雨が降った。
おかげで一日中、室内の仕事をできた。

今日の写真は昨日、撮影したもので、イノシシの足跡


W2025554.jpg 足跡の大きさから、まだ若い個体と想像する。
この足跡は山の斜面から駆け下りてきて、小川を飛び越え、林道へと降り立ったときについたことが窺える。
雨の水溜りが干上がって、ちょうどチョコクリームを塗りたくったようになっていた。
イノシシがまさに踏み込んだ瞬間、ピチャッ!とチョコクリームがはじけたのではないだろうか。

この場所は、こどもが通っている梶山小学校に近い。


昨年、スミナガシ越冬蛹を見つけた川沿いの林道に行ってみた。
フィールドへ出るのは久しぶりのような気がするが、こことてうちから車で10分とかからない。

若いクヌギ林を歩いてみれば、ヤママユのまゆ殻がいくつか梢にぶら下がっていた。
まゆ殻は無事に羽化できたもの、あるいはそうではなく鳥にでも喰い破られたものなど、それぞれの運命を語っている。

ふと隅っこのクヌギを眺めてみれば、「やまかます」が二つぶら下がっていた。

W2025530.jpg「やまかます」はヤママユのまゆとは違って、絹糸の色がそれほど色褪せてはいない。
その形といい、色合いといい、だから「やまかます」は人気がある。

「かます:叺」と聞いても、その意味がわかる人は滅多にいないだろう。
「かます」は、今の時代なら民族博物館などへ出向けば見ることができる。
例えば宮崎総合博物館なら2階の展示室の壁にぶら下がっている。

ウスタビガのまゆを「やまかます」あるいは「つりかます」と呼ぶ地方もあるが、その名称は「かます」によく似ている形状からきている。

以前にも書いたことがあるが、ある時期、私はウスタビガの撮影に没頭していた。
それで秋深まって、新潟の山中でウスタビガのまゆを探していた。
まだ羽化していないまゆを梢の合間から見つけ出すのはきわめて難しい。
徒労の挙句、羽化して抜け殻となったまゆばかりしか見つからない、そんな苦い経験をずいぶんと繰り返した。
そんなある日、山仕事に来ていた一人のおじいさんに出会ったのである。

私はウスタビガのまゆを探しているという説明をしながら、これは通じないな、と気付いてから、
「あのう、やまかます、かますみたいな緑色のまゆ、を探しているのです。」
と言い直すと、
おじいさんは急に笑顔になって、ときどき見るよと、嬉しそうに教えてくれたのであった。

別れ際、熊には用心しなさい、とも忠告してくれた。
おじいさんの人生と私のそれとは何の接点もないはずだが、そのときはおじいさんと気持ちを共有できたような頼もしい気分になれたことを思い出す。


ネジ

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わが家に朝陽が降り注ぐ時刻は、田上集落の中でも一番遅い方ではないか、と思う。

少し高台にはあっても、背後に藪立する林の壁に陽射しは遮られてしまうからだ。

W2015455.jpg日当たりの良い場所へと直行したくなるのが、朝の散歩気分である。

しかし、チョロにしてみればほんとうは、陽射しの暖かさよりも匂いの誘惑の方に従いたいらしい。
私の歩く方角とは別の方へ逸れようとする。でも、そのささやかな抵抗もすぐに諦め、おとなしく私の希望する道順の先を行くようになる。

ま、我慢してくれ。


W2015475.jpgこのごろにしては久しぶりに霜が降りた。
その白いふりかけのおかげで、シロアリの喰い痕だろうか、その彫刻がくっきりと鮮やかになる。
昨日の朝はヒバリが低空でさえずっていたが、、、、、、、。

前々から気になって、ときおりカメラを向けていたものがある。


W2015477.jpg田んぼの水路にある、水門だが、これは身の回りのあちこちに見つかるネジのなかでも、特大級であろう。
水門の稼動システムは、このネジの仕組みが要であり、それ以上でもそれ以下でもない。
この鉄製の水門には、どこか親しみを感じてしまう。
このような農業器械というものはどうにか周りの風景に馴染んでいる。

水門のまさに心臓部と言えるネジ棒の上部分には、塩ビパイプが被せてある。
大事な稼動部分のネジ山を保護しようという目的だろうか。

残念ながら、まだこの水門を誰かが操作している場面に行き当たったことはない。
勝手に自分で操作することなど、もちろん許されるはずがない。

人がネジのハンドルをクルクル回す様子を、私はまるで幼児のように好奇心たっぷりに眺めるのだろうと思う。だが、これまでのところ、ここの水門にやってくるのはアオサギをはじめとする水鳥達くらいのようだ。写真ではわからないが、ペンキのような水鳥の糞が夥しい。

(写真/E-520 14-54ミリズームレンズ)