2012年6月アーカイブ


[ 愛媛県 松山市 ]

築40年近い実家は、クロゴキブリの生態観察にはうってつけである。

夜遅く台所で酒を飲んでいると、まさに酒仲間として登場するのがクロゴキブリ達である。

私の親は、「ゴキブリなんぞ見たこともない。ゴキブリホイホイ掛けているし、いるわけがない」

と宣うのだが、そんなわけがない。築40年の古い家屋の流し周りはゴキブリ天国である。

そこで今日は、台所の流しの裏側を観察してみた。

そこまでしなくても流しの扉を開けるだけでも事足りるのだが。

流しの裏側は凄いことになっていた。

クrゴキブリのうんちだらけ。卵嚢もかなり付着していた。

ゴキブリが嫌われる理由には、姿や行動だけでなく、

彼らが撒き散らす糞の痕跡も大きい。その夥しい糞を見ていると、さすがの

私もこれではイカン!と思うのであった。これは汚い。

しかも何となく、ゴキブリ臭が漂う。これもイカン。カメムシのいい香りとはまったく違う。

ゴキブリの棲家の匂いはやはり、不愉快である。

で、生態観察もそこそこに、いや観察も怠り無く続けながら、室内撮影もこなしつつ、

台所の大掃除を行った。

ゴキブリのしわざの写真も撮ったのではあるが、掲載は避けておこう。

製薬会社はせっせとゴキブリ駆除製品を開発し次々tと新商品を販売するが、

まさかゴキブリを根絶しようとは考えていないはずである。

そこそこ成果のある製品を小出しにしながらも

ゴキブリ天国あっての製品販売が成り立つわけだから。

ゴキブリがまったくいなくなっては、制薬会社も困るだろう。







[ 愛媛県 松山市 ]

ゴキブリのことに触れたのでさっそく。

P6280075モリチャバネゴキブリ交尾.jpg
( 写真:モリチャバネゴキブリ   OM-D E-M5  マクロ45ミリレンズ  )

写真は昨日、浄瑠璃寺の林で撮影。

アジサイの上で交尾していたが、ゴキブリの交尾をこれまでほとんど見たことがない、

ということに改めて気づいたのであった。

モリチャバネゴキブリなどはまだ可愛い方だと思える。

家屋害虫として名高いクロゴキブリが、嫌われる理由というものが、

じつは私などにはしだいに不明確になってきている。どこがダメなんだろう?

とその理由を探してみれば、姿としては毛深い脚、油にまみれたような体表、

行動面では、すばやい動作、ときに空中を舞い人の体に飛び移る、、、、などなど。

しかし、上記のような特徴を持っている昆虫はほかにも多数いて、

クロゴキブリの専売特許でもない。

身近なところではコオロギなんかは、ゴキブリにきわめて似ているとも言える。

細かく分析すればするほどゴキブリが嫌われる理由を私は見失いそうになるが、

見た目のイメージというのは人が頭の中で作り上げるものだ。

気持ち悪いというイメージは一旦出来上がってしまうと、それを

解体して変更したりするのはたいへん難しい。

逆に何らかの拍子で気持ち悪い、というイメージが崩壊すれば、

あれほど気持ち悪かったのが嘘のように消え去り、もはや思い描くことさえ

できなくなる。

残念ながら、今の私は台所に出没するクロゴキブリを他の昆虫と同じように

素手で摘むことができる。たしかに滑って掴みづらくはあるが、

いっこうに平気であり、家族が遠まきにさも気味悪がっている様子が不思議でならない。

昔は自分も気味悪がっていた時期があったのだが、、、、。





[ 愛媛県 松山市 ]

P6280045ウコンエダシャク新成虫.jpg        ( ウコンエダシャク :OM-D E-M5  マクロ45ミリレンズ )

飼育昆虫の食草を調達しにいつもの久谷へ行ってみた。

帰りに浄瑠璃寺に立ち寄ってみたら、蓮の茎で羽化直後のヤブヤンマがいた。

蓮の開花も増えてきて撮影に訪れるカメラマンの姿も見かけるようになった。

先日は野鳥を主に撮影しているという二人組のご婦人に出会った。

最初はモズを撮影されていたが、そのうち蓮池でトンボ撮影に切り替えていた。

野鳥写真をされる方にはトンボや蝶も撮影する方が多いが、

やはり望遠レンズがそのまま使えることもあるかと思う。

ご婦人から聞いた話では、ここの蓮池はトンボの撮影ポイントとして

結構広く知られているようだ。

今日は望遠ズームレンズを敢えて持ってこなかったので、

池から離れてお寺の林の裏に回ってみた。

オオカマキリと思われる1令幼虫が狭い範囲に数多くいた。

分散していないのでどうやら今朝にも孵化したばかりではないだろうか。

同じ場所に4令と思われる幼虫もいた。飼育昆虫を増やしたくないのだが、

気になるので少し捕獲して飼育することにした。本当にオオカマキリだろうか?

チョウセンカマキリとの違いが若齢で見分けることができるだろうか?

ササの葉にはタケトゲハムシの食痕が多くついていた。

透かしてみると中に幼虫がいた。

P6280036タケトゲハムシ幼虫.jpgしかし、薄皮だけを残して上手に食べ進むものだ。成虫は葉の外側からやはり

舐めとるように食べ進む。

P6280060タケトゲハムシ成虫.jpgササの葉の中は幼児食で、外側は大人食というわけだ。

タケトゲハムシは九州以南に分布と保育社の図鑑にはあったが、四国、本州にも

分布を拡げたのだろうか。

さて、冒頭に掲載したウコンエダシャクは、羽化したばかりの新鮮な個体だった。

すぐ近くに食樹のタブノキもあったので、なるほどと思えた。


~ 新刊本のお知らせ ~

ポプラ社から「てのひらしゃしんえほん」シリーズの

            新刊「むし」が7月に出ます。

13×13センチの可愛らしい写真絵本です。

0歳~2歳のこどもがお母さんと一緒に初めて出会う虫たち。

ほんとうはここに、ゴキブリも入れて欲しかったのだが、

ゴキブリは多くの人にとって「虫」というよりは恐いとか汚いとかいうイメージが

強過ぎるのだろう。

今後、ゴキブリが好かれるような写真を撮っておきたいとも思う。




働きアリ

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[ 愛媛県 松山市 ]

小雨が朝から断続的に降り続く。

早朝に室内撮影をしたあとは、出版社に送る写真の準備作業に没頭していた。

ので、今日の写真は昨日撮影したもの。

トビイロシワアリであろうか? 植物の種子を運んでいた。

P6260034_01アリ運ぶ.jpg
( 写真: OM-D E-M5   マクロ45ミリレンズ )

窓を開けていると涼しい風が入ってくる。

風のせいだろう、しばらくすると肌寒くなってきた。





[ 愛媛県 松山市 ]

実家の庭の柿の木。ときどき覗き込んでみると何かしら虫の姿がある。

今日はナガゴマフカミキリが数頭、集まっていた。

そして初めて気づいたのが、キノカワガ幼虫の習性。

数頭いた幼虫の全部が、葉っぱの縁で休んでいる。

縁にこだわる理由でもあるのだろうか?

まずは中令幼虫。

P6260001_01キノカワガ中令幼虫.jpgおそらくこの幼虫が残したものと思われる、食痕がある。

次に若齢幼虫。こちらは葉の表面を舐めとったような食痕である。

P6260004キノカワガ若齢と食痕.jpgキノカワガ幼虫の姿は、イモムシのなかでもシンプル過ぎてあまり興味が湧くこともなかった

が、彼らなりの「こだわり」を知ってみると、魅力を感じるようになってきた。

冬には実家の傍のあちこちの木で成虫の姿が多い。

昨年の暮れに撮影した成虫の姿はこちら ↓

20111227_26.jpg成虫も幼虫も、止まり方において「こだわり」があるようだ。

使用機材: OM-D E-M5  、 E-PL2

        M.14-42ミリズームレンズ+魚露目8号レンズ、 マクロ45ミリレンズ




ドウガネブイブイ

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[ 愛媛県 松山市 ]

実家の庭にドウガネブイブイがいた。

P6250021ドウガネブイブイ.jpg
( 写真: OM-D E-M5   マクロ45ミリレンズ )

宮崎の我が家周辺ではドウガネブイブイは稀であるが、松山では普通に見かける。

普通種であっても地域ごとに顔ぶれの違いがあって、そういった小さな発見の楽しみがある。

松山滞在は今日で2週間となった。

今頃、我が家の林や庭の草も相当に伸びていることだろう。

これほど長く家を空けたことがないので、たいへん気になっている。

松山市の人口は約51万。

松山平野の面積からして人口密度はかなり高いと言えるだろう。

ゆったりとした宮崎の我が家に早く帰りたくなった。

短期間なら気楽だが、しばらく暮らすにはしんどい土地だと感じるようになった。

東京に暮らしていた25年間は、松山が郷里でそこに戻るとゆったりできて、

空の星の数も多いことが嬉しかった。

しかし、今では星の数でも宮崎のほうがはるかに多い。

私の子供たちにとっての郷里はもう、宮崎の家であろう。

昨日、小学校~中学校時代の同級生の友人に20数年ぶりに会ってきた。

懐かしい話で盛り上がった。残念ながら彼は事情あって断酒していたが、

昔と些かも変わっていなかった。話しているうちに少し気分が晴れた。








[ 愛媛県 松山市 ]

昨夜は「星の岡温泉」近くの土手でオオマツヨイグサを撮影した。

川をはさんで住宅街があり、午後8時半、帰宅する車、自転車、歩行者も多いが、

群落のある土手道は狭く車は入ってこれない。

昼間は散歩道になるが、夜は街灯の無い暗闇の土手道を歩く人は皆無だ。

オオマツヨイグサの華麗な開花姿は、

忙しく行き交う人々の目には全く入っていないようだった。

P6230028オオマツヨイグサ.jpg
( 写真: OM-D E-M5  M.12-50ミリズーム  FL300R 2灯使用 )

昨夜は室内撮影の予定があってオオマツヨイグサ撮影に時間を掛けることができなかったが、

また後日あらためて出直すつもりでいる。これほどの群落を他では見たことがない。

細長く続く群落全体を表現したいとは思うが、条件が厳しい。

昨夜から今朝にかけて、松山の実家ではWiMaxの接続が全くできなかった。

エリアの圏内ギリギリのためか、天候条件の影響を大きく受ける。





月見草

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松山市内の通い慣れた道で、月見草の群落が目に入っていた。

松山滞在も一週間を過ぎたが、その月見草は、オオマツヨイグサではないか?

と思い、今日はわずかな時間、車を止めて撮影しておいた。

ほんとうは、夜に撮影したいのだが今の状況では無理だ。

P6200129オオマツヨイグサ.jpg

P6200139オオマツヨイグサ2.jpg
( 写真: OM-D E-M5  12-50ミリ M.ズームレンズ )

この川は星の岡温泉のすぐ近くにあるが、撮影しているときにちょうど草刈をしている方が

いた。どうやら近所の人のようだ。しかし、月見草は大事に残されている。

元々は誰かが植えたものだろうか。

30メートルほども川沿いに続く月見草の群落を、これまで見たことがないので、

最初はずいぶんと驚いた。




[ 愛媛県松山市 ]


昨日はWiMAXの接続が夜になって不安定になり、更新できなかった。

雨が降ると接続が切れることが多い。

ノートパソコンを庭に持ち出すと少し受信が回復するけれど。

昨日はある昆虫の卵を探すために、「湯築城址公園」に行ってみた。

これで4回目。

すでに孵化シーズン真っ最中であり、見つかるかどうか不安もあった。

案の定、孵化殻が次々と見つかり不安は適中。

しかしそうそう簡単に諦めるわけにもいかない。

さらにしつこく探してみると、あった!今にも孵化しそうな卵が。

粘りに粘って、必要な数を確保できた。正直、ホッとした。

さて、

四日前に一旦は持ち帰ったヒラズゲンセイ♂を元の公園に放した。

このオスは最初に摘んだときに黄色いカンタリジン液を出したが、

その後はいくら触っても出すことはなかった。

糞は一度排泄したが、クマバチの糞とそっくりな黄褐色の軟便だった。

クマバチ幼虫の餌を横取りして育ったのであるから当然といえば当然だろう。

立派な大顎を持っているが、噛まれたことはない。

配偶行動時に大顎を使ってメスの体を押さえ込むことが観察されている。

オス同士での闘争にも使うだろうか。

P6180083ヒラズゲンセイ.jpg
( 写真: OM-D E-M5   マクロ45ミリレンズ )

ヒラズゲンセイのオスには随分と憧れを抱いてきたが、その容姿はカッコいいというより

むしろ可愛らしい表情をしている。

ヒラズゲンセイは乾燥標本にすると体色が褪せてしまう。

公園をしばらく歩いていたら、ヤニサシガメ に続いて、

トガリシロオビサビカミキリ がいた。

P6180121トガリシロオビサビカミキリ.jpg
( 写真: OM-D E-M5  マクロ45ミリレンズ )

「湯築城址公園」を訪れるたびに思うことは、

こうした自然環境がある程度残され公園が、都城市や三股町にもあればいいのだが、

ということである。


今日は母親の手術が行われ、私は朝から病棟で待機している。

さすがに今日は仕事をオフとしたが、夜には室内撮影を再び予定している。

病院は街中(私が卒業した県立松山南高等学校のすぐ傍)にあるので、

天候に関係なくWiMAXの受信状態はすこぶる安定している。

病棟は老朽化しており、北側に新しい病棟が建築中である。

本来なら松山城とその城下町を一望にできるはずだったが、

建築中の巨大なビルに遮られている。








ヒメアカタテハ

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[ 愛媛県 松山市 ]


午後になってから陽射しも出てきた。

仕事でナナホシテントウを探していたら、ヒメアカタテハがノアザミで吸蜜していた。

012ヒメアカタテハ.JPG
( 写真:EOSー7D  マクロ100ミリ )

中学1年生のころ、初めて学生帽で捕まえたのがヒメアカタテハだったことを思い出した。

昆虫針もなく洋裁用のまち針で標本にしたのも懐かしい。

コスモポリタンという用語を覚えたのも、その頃だった。

それにしても重信川の土手の植生がすっかり変わってしまったことに驚く。







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[ 愛媛県 松山市 ]


飼育昆虫の世話をする。もちろん撮影の下準備も同時に進行する。

そうこうするうちに、午前中もあっと言う間に終わる。

外は雨だ。 合羽を羽織っていろいろ作業をこなす。

午後からは室内撮影。被写体の大きさは1ミリとちょっと。それも歩く。

撮影は椅子に座ってできるが、かなり疲れる。

午後7時過ぎ、買い求めたサザエを、つぼ焼きに。

さざえ.jpg瀬戸内のサザエは突起がほとんどない、おだやかな貝殻。

松山に滞在するときは、たいていこの一品を肴にする。

テレビのドラマを久しぶりに観た。




[ 愛媛県 松山市 ]
 
午前中、街中に出る用事があったので今日もまた「湯築城址公園」に

立ち寄ってみた。陽射しは無いが、かなり蒸し暑い。もしかしたら、出ているのではないか。

正午過ぎころ、藤棚に一匹のヒラズゲンセイ♂が見えた。

自分で見つけた、初めての♂である。

P6150055ヒラズゲンセイおす.jpgすぐ下にいた若い子連れの奥様方に声を掛けてから撮影開始。

「え~、クマバチは恐いかと思っていたけど、刺さないの!!」

「可愛いぬいぐるみみたいな、クマさんですよ。この赤い虫は、、、、、、、、、、、、、、」

「へえ~、スゴ~い。物知りの旦那さんが、欲しい~!!」

嬉しいこと、言ってくれるではないですか。ちょっと脚色しましたが。




赤いクワガタムシ

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[ 愛媛県、松山市 ]

梅雨の合間の晴れ間は今日までで、明日からは雨模様のようだ。

室内撮影のこともあって、どうしても午前中は出掛けることができなかった。

ようやく動けるようになったのは、正午過ぎのこと。

強い陽射しの中、「子規記念博物館」横の駐車場に車を入れ急ぎ足で藤棚へと

向かった。昨日も訪れた湯築城址公園である。

しかし、見上げたクマバチの巣穴にヒラズゲンセイの姿は無かった。

しばらくして、愛媛大学農学部、応用生命化学の院生、原さんも来られた。

昨日出会った学生さんとは、彼のことである。

「こんな蒸し暑い日は絶好のチャンスなんですけど、、、」

しばらく原さんと話しながら藤棚を見ていたが、埒があかない。

そこで原さんが以前に捕らえていたメスとオスを持って来てくださった。

初めて見るヒラズゲンセイのオスは、じつに立派な姿であった。

P6140119ヒラズゲンセイ♂.jpg
( 写真: OM-D E-M5  マクロ45ミリレンズ )

ヒラズゲンセイは、クマバチの巣穴のすぐ近くに佇んでいることがほとんどらしい。

あるいは上空を乱舞することもあるらしい。

飛ぶ姿は是非、見てみたいものだ。

クマバチはヒラズゲンセイの姿に気付くと飛び出してきて、かなり神経質にまとわりつく

ような行動をとったが、どうやら個体差もあるようで、まったく巣穴から出てこないものも

ある。

ああ、しかし、ヒラズゲンセイ♂の迫力は生きている姿を見て初めて納得がいった。

原さんにあらためて感謝致します。

生きたヒラズゲンセイ♀の体臭は独特なもので、今日初めて匂ってみて、

それが、タイワントビナナフシの体臭とそっくりであることに驚いた。

この特有の匂いは、漢方薬の朝鮮人参に似ているとこれまでの講演でも語ってきた。

いったいどういう化学成分なのか、どんな機能を持つのか興味あるところだ。

昨年の6月末、都城市乙房保育園でヒラズゲンセイのメスを捕らえることができたが、

たしかそのときには匂いを嗅いだ記憶がない。そのメスはすでに産卵済みで

捕らえた翌日には死んでしまった。


さてこうなると、是非とも別の産地を自分の目で見つけたいという思いが強くなる。

きっと、松山平野のあちこちに、ヒラズゲンセイの発生地があるはずで、

案外、実家の近くにいてもおかしくはないと思えてきた。

しかし、梅雨のあいだの晴れ間、というわずかなチャンスしかない。





ポプラ社の写真絵本「じゅえきレストラン」の見本が昨日届いた。

じゅえきレストラン.jpgポプラ社写真絵本シリーズで私の本は、これで6冊目となった。

既刊は「うんちレストラン」、「いのちのカプセル まゆ」、「どこにいるの!? シャクトリムシ」

「クモのいと」、「むしのかお」 。

第一冊目の「うんちレストラン」は伊地知英信さんが構成・文を担当。

担当編集者のNさんと、伊地知さん、そして私の三人が最初に会ったのはたしか九段坂

あたりだったと思うが、「糞虫で絵本を作りたい」という提案をいただいた。

ちょうどその頃、私はダイコクコガネの撮影を進めており、宮城県の金華山にも

糞虫の撮影で通っていた(大震災のあと金華山はどうなっただろうか)。

三人はすぐに意気投合し、本のタイトルもその場ですぐ「うんちレストラン」と決まった。

じつはその当時すでに「レストラン」つながりで「樹液」をやりたい、とも考えていた。

しかし、樹液に集まる昆虫の撮影は意外と捗らなかった。

とくに以前住んでいた清瀬市周辺、あるいは所沢市などのフィールドでは

樹液そのものが少なく、あっても集まる昆虫の顔ぶれは貧弱であった。

山梨や近県のフィールドへ出かける手もあっただろうが、経費的にも

時間的ロスの面からも実行不可能だった。

ようやく撮影に弾みがついたのは、宮崎に移転してから。

敷地内のクヌギ樹液には今まで滅多に見られなかった、昆虫の賑わいがあって、

手応えを得たのである。そしてこちら南九州ではハルニレの樹液が多く、

安定した樹液酒場にも恵まれた。

今回の写真絵本ではページ数の制約もあって、紹介しきれなかった写真の数が

多いのは言うまでもない。

そうした写真の数々が、いづれまた違う形で活かされるよう「じゅえきレストラン」

に通う日々は今後も続くことと思う。

また、この写真絵本の次回作の構想もすでにある。ずっと私がこだわってきた

虫の世界の一つだ。




[ 愛媛県 松山市 ]

午前中は少し時間があったので、道後温泉のすぐ傍、湯築城址公園に行ってみた。

梅雨の晴れ間にヒラズゲンセイが出ているのではないか、そう思えたのだ。

発生場所は藤棚のレッドウッド材に多数ある、クマバチの巣である。

しばらく巣穴を見上げていると、自転車でやってきた若者が同じように

巣穴を見上げ始めた。ああ、どう見ても「虫屋」の気配がする。

彼はなんと私の母校、愛媛大学農学部の学生さんであった。

肝心のヒラズゲンセイは現れなかったが、すでに今月はじめには複数個体が

発生していること、採集者がけっこう来ていること、

および生態についての貴重な観察情報を聞くことができた。

ありがとうございました。

今日は絶好の天候条件であったものの、もしかしたら朝早くすでに

採集者が入った可能性もあると聞き、私は直感的にこれ以上粘ってもダメだと

感じて昼前には退散した。

さて、飼育昆虫の食草をいくつか確保せねなならず、

思い当たるフィールドへ回ってみた。場所は久谷方面。

四国巡礼八十八ヶ所の札所、「浄瑠璃寺」は好きな場所で立ち寄ってみた。

キハダの青い実を見上げながら、ここの境内にも立派なオガタマノキがあることに

初めて気づいた。そして寺の裏手には蓮池が数年前に出来たことも初めて知った。

P6130021蓮池.jpg
( 写真:OM-D E-M5  M.ズイコーデジタル12ー50ミリズーム )

水深は浅いが、ヤゴの抜け殻が多い。ときおりクロスジギンヤンマがやって来るほかに、

ショウジョウトンボ、ハラビロトンボ、モノサシトンボ、オオシオカラトンボなどがいた。

さらに、ヨツボシトンボも2頭だけだが確認できた。

098ヨツボシトンボ.JPG
( 写真: EOSー7D EF70-300ミリズーム )

ここの池には「チョウトンボも多いのよ」とも居合わせた女性から聞いた。

蓮池が出来たのは5年ほど以前のことらしい。

見る人によればここはトンボの楽園とも言えるだろう。蓮の花は一輪だけ開いていた。

モノサシトンボがあちこちで盛んに産卵していた。

249モノサシトンボ飛翔.JPG
( 写真: EOSー7D EF70-300ミリズーム )

モノサシトンボを度々飛び立たせるのは、アメンボの仕業であった。

飼育昆虫の食草を確保できる場所はしばらくして見つけることができた。

土地の持ち主に断ってから、採取しておいた。これで、3~4日分はあるだろう。

ポポーの実はまだ小さいが、クリの花はもう終盤。

今頃、宮崎ではとっくに散っていることだろう。

P6130089栗の花.jpg
( 写真:OM-D E-M5  M.ズイコーデジタル12ー50ミリズーム )







飼育昆虫の種類はそう多くもないが、長距離移動には神経を使った。

幸いフェリーでは、外部デッキに車を置けた。小雨の中、気温も低く助かった。

外部デッキは混んでいるときにしか使わず、普段は閉鎖されている。

もし車内の気温が上がるようであれば、飼育昆虫を収めた大きなカゴ二つを

客室まで抱えて持ち込むつもりだったが、それは回避できたわけだ。

松山の実家ではさっそく仕事の態勢を整えた。終わったのは昨夜遅く。

今朝からはさっそく撮影開始だ。

P6120018松山.jpg六畳間は、機材やら飼育スペースで埋め尽くされてしまった。

寝るときには撮影台や三脚を片隅に寄せる。

まあ、僻地の民宿で仕事をしていることと同じなのであり、特別なことではない。

快適なスタジオで長く仕事をしていると、逆に新鮮に思えてけっこう楽しめる。

若干、想定外のこともあってホームセンターに走る、というのもこれまたいつものこと。

工作用のハサミで気に入っているものがあり、同じものを二つ持っている。

今日はそのハサミを使っていて、ザックリと中指先端を切ってしまった。

ドボドボと血が出て止まらないので、水道水でたっぷり洗い流してから

ティッシュでギュッと押さえていた。

これは医者に縫ってもらったほうがいいかな、とも思ったが、

切断面は綺麗なので、バンドエイドで強く巻いて押さえておいたら、

出血は止まった。

初歩的なミスをしたのも、その理由がわかっているので、仕方がないと思うが、

事故はしかし、できるだけ避けたいものだ。


※新開への連絡はこちらまで↓

ネームアドレス.jpg




羽化、間近

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出発直前、ちょっとしたアクシデントがあって、船便を一つ遅らせた。

大分県、臼杵の町に着いたのは、午後2時過ぎ。

さっそく麦焼酎「白壽」25度と、遅まきながら
永幡嘉之さんの著書、

「巨大津波は生態系をどう変えたか」

(講談社ブルーバックス)を買い求め乗船。

ようやく今日になって書店に行くことができた。読むのが今頃になって申し訳ない気がする。

永幡さんの真摯で、情熱的な行動に脱帽。もっといろいろ感想はあるが、

まずは多くの方にも読んでいただきたいと、思った。


昨日のクワカミキリの蛹、ますます色づいてきた。

P6110011クワカミキリ蛹.jpg


イラガセイボウの蛹は、いよいよ羽化間近だ。

P6110008イラガセイボウ.jpg
( 写真:OM-D E-M5   マクロ45ミリマクロ )





蛹、ふたたび

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キツイ陽射しを受けて庭に立っていると、

コオニヤンマのオスが私の顔面直前まで近寄ってきた。

コオニヤンマが急旋回して私から離れていく途中、上空からオニヤンマが突然

現れ、コオニオヤンマを追い散らしていった。

5月の連休頃から探し求めていたオニヤンマが、ようやく姿を現した。

一週間早く現れてくれれば、と思うが自然の成り行きに注文はつけられない。

松山市の河原の倒木ヤナギから見つけたクワカミキリ幼虫がすでに蛹になっていた。

P6090256クワカミキリ蛹.jpg
( 写真: OM-D E-M5   マクロ45ミリレンズ  )


長~い触角をうまくカールして納めているところが、じつにカッコいい。


OM-D E-M5を使うとき、「LVブースト」は常にオンにしているが、これは暗い場面でも

ファインダーが明るく見えるので助かる。

しかし逆に「LVブーストON」状態ではまったくピント合わせができない場面もあって、

それは例えば夜間撮影で補助光を使うとき。

懐中電灯で被写体を照らすと背景とのコントラストが強くなり過ぎ、

被写体が白く飛んでしまうからである。

こういうときはすかさず「LVブーストOFF」に切り替える。


さて、明日からしばらく、松山市に滞在。2週間以上になりそうなので、

機材そして、飼育昆虫の一切を移動しなければならない。

機材は撮影機材以外に工具類、飼育道具類などと多岐に渡るので、ちょっとした

引越し騒動である。さすがにデスクトップパソコンまで持っていく気にはなれない。

松山でのネット環境は、WiMAXであるが、圏内であっても電波状態によっては

接続がたいへん不安定になることも多い。

なので仕事上は不都合なことも生じるだろうが、仕方が無い。



都城市、安久児童館の観察会。今日は今年度、第一回目。

児童館の手前で、センダンに呼び止められた気がした。

WW096773センダンの木.jpg観察会は児童館のすぐ近くの散歩コースを巡ってみた。

さすがに虫の種類、数ともに多い。とくにバッタ類の幼虫たち。

マイマイカブリは捕まえて、匂いを嗅いでもらった。

WW096791マイマイカブリ.jpg児童館に戻ってから、蝶の展翅を実演した。

WW096794蝶の展翅.jpg展翅板は段ボールとコルクで自作。

午前中で観察会は終了。

午後2時ころ、庭でノコギリクワガタのオスを3匹。そしてヒラクワガタを一匹。

P6090232のこぎりくわがた.jpg
P6090220ノコギリクワガタ.jpgクワガタムシを見たい子供たち、うちにおいで。

自分で見つけたのは採集オーケーです。ただし美人のお母さん同伴が条件です。

ま、それは冗談ですけど。









[ 三股町 ]

以前、我が家の林のヒサカキ葉上でカギバ科の蛹を見つけ、

それが羽化してクロモンカギバだったことが判明した。

本種の食樹はハゼノキであり、よく調べてみるとヒサカキの背後にでっかい

ハゼノキが生えていた。しかし、下枝がまったく無いので幼虫を見つけるのは

かなり難しい。

クロモンカギバの幼虫を確認しておきたいと、ハゼノキに気をつけていたのだが、

なんと4年前の2008年6月25日、すでにクロモンカギバ幼虫を撮影していたのであった。

R0012520.jpg
(写真: リコー GX100 )

撮影日がわかったので、もう少し先になれば幼虫を再発見できるかもしれない。

4年前はおざなりに証拠写真程度しか撮っていない。







ジリジリ照りつける野外スタジオ(ただの庭だが)で撮影待機。

このところあちこちのフィールドに出る時間が無い。

室内撮影が多いのでどこかに出掛けたくなるが、それでも野外スタジオでの仕事は

気分がずっと良い。何より日射しが有り難い。

太陽を横切る金星も2回ほど観察できたが、撮影はしていない。

それどころではなかった。

野外スタジオで椅子に座っていると、足下でパチンッと弾ける音が時々する。

ふと目をやると、カラスノエンドウの黒い鞘が弾けて種子を飛ばす瞬間が見えた。

もう地上部は枯れてしまいほとんど姿は目立たないが、黒い鞘があちこちにある。

パチンという音で思い出したことがある。

先月のこと、やはり野外スタジオで待機中、

ツツジの植え込みからしきりと「パチン、パチン、、、、」と音がしていた。

茂みの奥の方だったので最初はなかなか何の音なのかわからなかった。

近づきすぎると音が止んでしまう。

何回かしつこく覗き込むうちに、やっと正体がわかった。

ヤブキリの幼虫がオオカマキリの卵のうをかじっていたのである。

手前の障害物を除いているうちにヤブキリは逃げてしまい、もう戻ってこなかったのは

残念だった。

イラガセイボウの蛹。かなり色づいてきた。まだ触角、脚、翅が透明。

いらがせいぼう蛹.jpg
( 写真: OM-D   E-M5    マクロ45ミリレンズ )

[ 三股町 ]

仕事部屋の外灯にはさまざまな昆虫が飛来する。

その昆虫をねらって、アマガエルが常駐するようになった。

毎朝、外灯を覗くたびにアマガエルと目が合う。

先月は多かった、オオゾウムシはめっきり減ってしまった。

入れ替わるかのようにアオカミキリモドキが飛来している。

そして、昨夜は マダラメカクシゾウムシ が家壁に張り付いていた。

マダラメカクシゾウムシ正面.jpg体に触れると、脚を縮めて死にまねをする。

マダラメカクシゾウムシ擬死.jpg
( 写真: OM-D E-M5  45ミリマクロレンズ )



[ 三股町 ]

先月30日のこと、庭で産卵中のキマダラセセリを見たので、

産んだすぐ直後の卵を回収し、さっそく撮影しておいた。

L1300279キマダラセセリ卵.jpg水羊羹か、わらび餅といった、美味しそうなイメージが漂う。やっぱり和菓子である。


( 写真: E-P1  ズイコーマクロ38ミリ+OLYMPUSオ-トべローズ )




ヒメクロイラガ

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[ 三股町 ]

すぐ傍のクヌギ林の梢で、ヒメクロイラガ を見つけた。

P6030030ひめくろいらが.jpg
少し離れた位置から見れば、枯れ葉そっくりである。

もっと枝に密着した姿勢をとったほうが隠蔽効果があるようにも思えるが、

あえて脚を伸ばし、体を浮かせるというのが、彼らの独特なポーズでもある。

頭のツノのように見える突起物は、口器の一部で「下唇鬚(かしんしゅ)labial palp」という。

トノサマバッタの口を想像して欲しいが、下向きの鬚のように見える器官が、labial palpだ。


( 写真: OM-D  E-M5    45ミリマクロ )



色付いた蛹

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5月30日に紹介した、リンゴカミキリの蛹

翅や触角など色付いてきた。

P6020004りんごかみきり.jpgイラガの繭の一つを割り開いてみれば、まだ前蛹の状態だった。

P6020015イラガ前蛹.jpg
( 写真: OM-D  E-M5  45ミリマクロ )



携帯基地局設置問題では、少々熱くなり過ぎたかもしれない。

設置されてしまうと撤去に持っていくのはさらに難しい。そういう焦りの気持ちもあったろうし、

日頃から感じていた「自治会」の意義なども、一挙に噴出したからに他ならない。

私の発言が地区の中でどのように影響したかは定かでないが、

設置工事がキャンセルになったことには、正直、安堵の気持ちがある。

今後はしかし、どうなるであろうか。

またいつの日か、同じような問題が出てきたとき、私はどういった行動をとるべきか、

今のうちから冷静に考えておくことと同時に、事実関係の情報をしっかりと収集し

自分なりに整理しておくことが必要かとも思う。

なお、これまでの一連の記事のなかで少し割愛した部分もある。反省。


コガネグモ

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[ 三股町 ]

あちこちの池を巡っているうちに、ある休耕田でコガネグモが多い場所を見つけた。

これまでに見た産地のなかでも、ダントツに密度が濃い。

ステージも大小の幼体から成虫まで様々。

うちの周囲でも2007年当初はけっこう多かったが、年々減少している。

大きさにしても、体の紋様にしても、コガネグモはクモの代表としての風格がある。

P6010002コガネグモ.jpg
( 写真: OM-D E-M5  45ミリマクロ  )


コガネグモが網巣を張る様子の撮影ではけっこう苦労したことがある。

網巣を張る場合、室内ではうまくいかず、必ず野外で撮影する必要があり、

なおかつ糸をくっきり写し出すには、ライティングの工夫もいる。


今夜は、嫁さんと三股町の上米公園(かみよね)にゲンジボタルを見に行った。

車道のすぐ脇の用水路で郡飛していた。数は多い。

見学に来る人も多い。

しかしとにかく車が頻繁に横を走るので、撮影は不可能である。

この用水路を見下ろす高台に老人ホームがある。