2013年10月アーカイブ


宮崎のミカン

| | トラックバック(0)
宮崎県、綾町にある 「英農園」と「法華岳公園」に行ってきた。

明後日の観察会の下見である。

農園」は「はなぶさ のうえん」と読む。 しかし、ほとんどの人は「えい」と

読むので、農園では諦めたのか看板のフリガナには「えい」と書かれてあった。

IMG_0945.JPGミカン狩りの木は画面右側、左の白い袋がけしたものは、贈答用の日向夏。

宮崎の柑橘果物と言えば、私は日向夏が一番、好きだ。

摘んであったミカンを、お土産に1キロ(250円)買った。

嫁さんの実家は愛媛のミカン産地だから、頑固でよそのミカンは絶対口にしない。

ので、私一人用である。

法華岳公園は8年前の5月に一度だけ訪れたことがある。そのときは入り口で

ヒメツチハンミョウを撮影した。

道端の草むらを多数が徘徊していたのは、コマダラナガカメムシ だった。

写真も歩いている最中で、被写体ブレしている。

IMG_0951コマダラナガカメムシ.JPGコマダラナガカメムシのホストは、ダンドロボロギク、ウスベニニガナ、アキノノゲシなど

キク科植物だそうだ。  

付近にホストがあるはず、と探したが現場では見当たらなかった。


( 写真:     Canon EOS 6D   EF24-70mm f/4L IS USM 、 

                    EF100mm f/2.8 Macro USM 270EXⅡ  )








薩摩錦

| | トラックバック(0)
「薩摩錦」と書くと、いかにも美味そうな芋焼酎。

ではなく、残念ながら「サツマニシキ」とは、蛾の和名。

昼間に活動し、花にやって来るので、蝶みたいだが、触角の先端を見れば

蛾、とわかる。 翅のたたみ方も屋根型だから、やはり、蝶とは雰囲気が違う。

近所のセイタカアワダチソウに来ていた。  翅は少し擦れている。

3Z5A3169サツマニシキ.JPG       夢中で吸蜜していたので、優しくつまみ上げてみた。

3Z5A3174サツマニシキ.JPGつまむときは、翅の付け根をそっと持つ。

  するとたちまち、黄色い泡がジュルジュル~と出続ける。 けっこうな量だ。

          同時に両眼の下からも、こちらは白い泡が少しだけ出てくる。

いかにも毒々しい姿をしている理由は、この泡にあるようだ。

数年前、私はこの泡を舐めてみたことがある。

いろいろなところで、「悪臭を放つ泡」と記載されているが、匂いを感じない。

味も特に苦くてたまらない、というほどでもなかった。

しかし、この泡には青酸系の毒成分が含まれているそうだから、舐めるなどという

ことは、決して真似してはいけない。


ヤエヤマツダナナフシの出す泡は、ミントの香りがするので、舐めてみたくもなるが、

これも止めておくべきだ。  

危険に晒されて昆虫が出す分泌物には、それなりに理由がある。

分泌物の成分が、外敵をなだめるためのスウィーツである可能性も否定はできないが

(それも期待してみたいけど)、多くの場合、有毒である可能性の方が高い。

それにしても、サツマニシキの白と黄(レモン色)のダブル噴射の意味はなんであろうか?

サツマニシキ自身は毒成分にあたることはないのか?体表面がうまく泡を弾いていて

毒の影響を受けないだけか?  白泡は自分の目を守る解毒剤だったりして。

 
(写真:   Canon EOS 5D Mark III  EF100mm f/2.8L Macro IS USM  270EXⅡ )








先日、26日の午後5時少し前に、シモフリスズメ前蛹が脱皮を始めた。

(幼虫が脱皮して蛹になることを、蛹化「ようか」と言います。)

蛹化撮影に失敗した前回は、幼虫が前蛹になってから5日目に蛹化した。

なので今回も5日目にあたる25日の午後から監視態勢に入った。

とくに25日の深夜からは、1時間ごとに起きて様子を窺っていた。

で、結局、脱皮(蛹化)は26日の夕方になったわけだ。

蛹化脱皮が始まる1時間前に蠕動運動(これを陣痛と私は呼ぶ)が

わずかな時間、続いた。でも、いよいよだ、という緊張感には乏しい。

本番の脱皮開始はかなり明確にわかる。

この瞬間、安堵感がドドっとこみ上げてくる。

  ギュン、ギュン、と幼虫時代の外皮がお尻へとたぐられていく。 

やがて頭部から外皮が裂けて、蛹の姿が現れた。

3Z5A2955蛹化.JPG一対の短い突起が、小腮。  おわかりになるだろうか?    初めはこんなに短い。

二本の小腮は、根元からしだいに合わさっていき、それと同時に、徐々に伸びていく。

かなり細かく連続撮影したので、合成して動画もできるだろう。

しかし、なぜ小腮が体から飛び出してしまうのだろうか? 

成虫の口吻が長いからという理由だけでは、説明がつきそうにない。 

小腮の先端部は体表面に接しているだけなのか、それとも癒着するのだろうか?

3Z5A3090.JPGこうなると、次は、この蛹が羽化する瞬間も是非、見てみたいものだ。

小腮環の中はどうなっているのだろう?

( 写真:    Canon EOS 5D Mark III     EF100mm f/2.8L Macro IS USM )














新刊本の見本が届いた。


構成・文:小杉みのり   写真:新開孝    岩崎書店

このシリーズでは、「うまれたよ!セミ」も続いて刊行予定。

B4変型判だから、少し大きいサイズになる。

IMG_0892あらかし.JPG
ア・ラ・カ・シ 

く・も・の・い・と

( 写真:    Canon EOS 6D    EF70-300mm f/4-5.6L IS USM )

敷地内のイヌビワを見て回った。

イヌビワは萌芽力が逞しく、切っても切っても新しい枝が伸びてくる。

先月もかなり剪定したばかりだ。

イヌビワの実を一つ一つ手に取って見ると、

イヌビワオナガコバチのメスが歩いていた。

701A6697イヌビワオナガコバチ.JPGイヌビワオナガコバチの産卵を撮影したのはずいぶん以前のことだが、

場所は沖縄県、石垣島。 そのとき初めて本種を見て、感激しながら撮影したのも

懐かしい。

他にもいないか、しつこく見ていると、なんと産卵管を刺したままの死骸があった。

701A6706イヌビワオナガコバチ死骸.JPG先日も紹介したヒラアシキバチなど、キバチ類ではよくあることだが、

オナガコバチでも、産卵管が抜けず死んでしまうことがあるようだ。

産卵管が抜けなくなったか、あるいは抜こうとして焦っているうちに、クモなど天敵に

吸血されてしまった可能性も考えられる。 がいづれにせよ、深く産卵管を刺し込み

産卵するというのは、いかにもリスクが大きいようである。

( 写真:    Canon EOS 5D Mark III    MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo

                         ストロボ430EXⅡ )

※ 先日、予告?したシモフリスズメ幼虫の蛹化が、本日の午後5時少し前に

始まった。予定日より一日遅れだった。

あの長い小腮環がどのように出現するのか、とても興味があったが、

その一部始終を写真撮影できた。幼虫時代の皮を脱いだ瞬間、思わず「おお!」

と声に出してカメラを覗いていた。

まだ、現時点で撮影中なので(途中からインターバル自動撮影)、後日、

紹介したいと思う。





先日、ヒラアシキバチのオスを羽化したばかりのメスと一緒にしてみた。

ヒラアシキバチの発生木(エノキ)まで、私の仕事部屋からはちょうど30歩。

すぐ傍なので、移動させたところでさほどストレスを与えてはいない、とは思う。

写真画面左が、オス。メスに比べて小さい。

3Z5A2406.JPG
一晩、このカップルのお見合いをさせたが、はっきりした配偶行動は見られなかった。

むしろ、オスがメスに近寄ると(故意ではなく狭いケース内ゆえ)、

メスは腹部を持ち上げ、オスに対して攻撃的な行動を繰り返していた。

3Z5A2402.JPGヒラアシキバチは、危険が迫るとオスもメスも、お尻を突き上げる姿勢をとる。

腹部先端には短い突起がある。 


( 写真:   Canon EOS 5D Mark III     EF100mm f/2.8L Macro IS USM  )




稲刈り

| | トラックバック(0)
一昨日から昨日までは、汗ばむほどの晴天だったが、今日はずっと雨。

朝晩はかなり冷える。  写真は昨日、撮影。

3Z5A2778稲刈り.JPG近所の田んぼでは稲刈り作業が連日、続いていた。

緑色のネットは、イノシシ対策。例年、画面奥の林沿いが狙われるそうだ。

県道に近い田んぼ(画面右方向)には出てこないとも言われている。

シラネセンキュウの花にはホウジャクの仲間や、スズメバチ達がよくやって来る。

赤蜂こと、キイロスズメバチも常連客だ。

701A5989アカバチ.JPG入れ替わりで、コガタスズメバチも登場。

3Z5A2827.JPGあとで別カットをチェックしていたら、

このコガタスズメバチの腹部にはスズメバチネジレバネの

寄生が確認できた。ネジレバネ♀の頭部がしっかりと見えていたのである。

柿の木はあちこちに植わっているが、ほとんど収穫されずにいる。

701A6658.JPG( 写真:   Canon EOS 5D Mark III   EF100mm f/2.8L Macro IS USM

                 柿の写真のみ EF8-15mm f/4L FISHEYE USM )

※ シモフリスズメ幼虫、2頭目が20日にクサギを離れて、土に潜った。

   蛹化予定はおそらく、25日あたり頃かと思う。

   庭のウスイロオオエダシャク幼虫もでっぷりと肥えていたが、昨日、

   コマユミを離れていた。すっかり縮んで枯れ葉の間に潜り込んだ。


我が家の庭や近所周辺のことだが、

今年はやたらと、バッタが多い。   特に、ショウリョウバッタとトノサマバッタだ。

近くの農道を歩けば、まさに紙吹雪のごとくトノサマバッタが跳ね散っていく。

写真は羽化直後のツチイナゴだが、本種は毎年多いので今年、とくに

増えているとも感じられないが、どうだろう。

IMG_6845ツチイナゴ羽化.JPGトノサマバッタは終齢幼虫がものすごくいて、毎日、次々と羽化している。

その横では交尾、産卵も見られる。

ショウリョウバッタに至っては、これまであまり見る機会の無かった交尾カップルを

頻繁に目にする。個体数が多いので、緑色、褐色型、中間型と体色パターンも

一通り敷地内で見れた。

そういえば、バッタではないが、ハラビロカマキリの褐色型も頻繁に目撃している。

本種も例年よりか多めだろうか。いや、オオカマキリも多く感じている。

猛暑、少雨などの気候変動が影響しているのだろうか?


さて、昨日、セイタカワアワダチソウの花に多くの蝶たちが集まっていることを書いたが、

その中で、タテハモドキは全部、秋型とした。

しかし、今朝のこと、秋型に混じって、夏型が2頭いた。一頭はボロボロだったが、

もう一頭はそれほどでもない。

夏型(左)と秋型(右)が、並んだので少し距離は離れているが撮影してみた。

翅を開くタイミングがなかなか合わない。まあ、なんとか証拠写真にはなるだろう。

3Z5A2540夏型と秋型.JPG(写真:     下:Canon EOS 5D Mark III     EF100mm f/2.8L Macro IS USM 

           上:Canon EOS Kiss X6i    EF-S60mm f/2.8 Macro USM     )







クスサンの交尾

| | トラックバック(0)
庭のヤシャブシで交尾中のクスサン(楠蚕)を見つけたのは、午前9時40分頃。

約3メートルの高さの梢にいた。    写真画面左が♂、右が♀。

701A6395クスサン交尾.JPG♂はピカピカのグレータイプ。

梢に紛れたこのカップル、通常なら見落としていただろう。

クスサンの交尾を見るのは、これが初めて。


数日前、我が家の林でふと見上げたクヌギの枝に、ヤママユのメスがいた。

翅はかなり傷んでいたが、お腹はパンパンに膨らんでいたので、

採卵用にと網かごに入れておいた。 クヌギの枝を入れておいたら思惑通り、

卵を20数個、産んでくれた。もう少し卵は欲しかったが、翅がさらにボロボロになる前に

放すことにした。網から出すと、最初は地面に落ちて暴れていたが、やがて大空へと

舞い上がって姿を消した。

その飛跡を追っているとき、ヤシャブシの梢に枯れ葉のようなクスサン♀の姿が

チラリと見えたのであった。  ヤママユに、感謝!


3Z5A2467メスグロヒョウモン.JPG近所の草むらでは、蝶たちで賑わっていた。もちろん、蜂やアブやハエやいろんな昆虫も

集まっていたが、人の目を惹くのは、大型の蝶たちだ。

上の写真は、メスグロヒョウモン♀にツマグロヒョウモン♂2頭が絡んでいるところ。

ダントツに多かった蝶はイシガケチョウ、キタテハ、タテハモドキ。

モンキチョウ、モンシロチョウ、ヒメアカタテハは、ちらほらと見えるだけ。

一番デッカイ、メスグロヒョウモンは一頭だけ。

タテハモドキを狭い場所で多数、見るのは久しぶりのことだ。 どれも、秋型。

ヒメアカタテハは、中学生のとき初めて展翅標本にした蝶だ。

下校途中に学生帽で捕まえた。 ドキドキしながら展翅したことが懐かしい。

仔細な記憶はすっ飛んでしまったが、志賀昆虫社の昆虫針がなく、洋裁針を刺したと思う。

701A6424ヒメアカタテハ.JPG      秋空に舞う、ヒメアカタテハ。    

草むらを駆け回っているうちに、花粉だらけになった。マダニもいっぱい拾ったかもしれない。

しかも久しぶりに汗だくになった。 マダニのことも気になるので、

家に引き上げてすぐに、シャワーを浴びた。

( 写真:   Canon EOS 5D Mark III     EF100mm f/2.8L Macro IS USM 、

   EF8-15mm f/4L FISHEYE USM    270EXⅡ )       






( 今日、その1 )

庭の草むらだけでも、昆虫観察に事欠かない。

同じ場所に一時間も座り込んでいたなら、さらに多くの姿を目にできるはずだ。

アカスジカスミカメもよく見かける、カメムシだ。

科名はカスミカメムシなのに、種和名は○○○カスミカメ、と省略されているのは何故?

まあ、それはどうでもいいことだが、、、。

IMG_0792アカスジカスミカメムシ.JPG林のへりの草むらには、ヤマトヒバリの雌雄がいた。

まずは、♂。

IMG_0705.JPGそして、♀。  写真の♀は、短翅型のようだ。

IMG_0718.JPG
( 写真:Canon EOS 6D     MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo

                                 ストロボ MT-24EX )

ゴトン、ガチャン!!と、派手な音を立てて、カメラが落ちた。

落差1メートル。着地したのはコンクリート面。 上記のEOS6Dと65ミリマクロレンズ

そしてストロボの組み合わせだから、結構、重量がある。  それが落っこちた。

ショックでカードカバーが開いていた。

見た目に損傷箇所は無かったが、しばらく撮影していると、

電源を一旦入れ直すように、とエラーメッセージが出るようになった。

ときたまだが、どのような条件でそうなるのかよくわからない。

まあ、しかし落下した衝撃でカメラに何らかの不具合が発生したのは間違いないだろう。

5、6台のカメラがフル稼働しているので、修理出しでEOS-6Dが抜けるのは、痛い。






標本

| | トラックバック(0)
( 今日、その2 )

仕事で必要となったモンシロチョウの標本。

久しぶりに展翅標本作りをした。

IMG_6774.JPG学生の頃、博物館のバイトでずいぶんと展翅をした。海外の蝶ばかりだったので、

結構、楽しいバイトだったが、数は多かった。

モンシロチョウの標本はかなり以前に作ったものがあったはずで、それを探していたら、

ヒメカマキリモドキの標本が出てきた。       ラベルには「18・Ⅶ・1988」とある。

IMG_6655ヒメカマキリモドキ♀.JPG

私が30歳のとき、所沢市で出会った、ヒメカマキリモドキの♀である。

25年前の7月18日、エノキの葉上にちょこんと止まっていた本種を生け捕りにして、

アパートに持ち帰った。  当時の様子は、拙著「ぼくは昆虫カメラマン」に書いてある。

部屋の中で数日間、観察飼育を行ったが、この♀は産卵することなく死んでしまった。

しかし、このヒメカマキリモドキとの出会いから、私はきわめて大事なきっかけを得た。

もしもこの出会いがなかったなら、

昆虫カメラマンへの道筋も、別の方向へと進んでいたかもしれない。

想い出深い、まさに記念すべき標本だが、記憶から完全に抜け落ちていた。

展翅、展脚することなく、台紙に載せただけの簡易標本だが、

この♀の生前の姿がありありと浮かび上がって、目頭が熱くなった。

結局、探していたモンシロチョウの標本は見当たらなかったが、多分そうだろうとは

思っていた。

標本は撮影の仕事で必要な限りでしか、作らない。

 少し標本箱を整理していたら、ラベルのない、ハサミツノカメムシの

ペアも出てきた。カメムシだから、すっかり退色して、生前の面影は無い。

IMG_6661.JPG                           左が♂、右が♀。



( 写真:   Canon EOS Kiss X6i     EF-S60mm f/2.8 Macro USM  )














昨日、頭部が開口部からすっかり外に出た瞬間、

ヒラアシキバチのオスに間違いないと思った  (昨日撮影)

IMG_0525ヒラアシキバチ♂.JPG穴が小さいこと、頭部や前胸部が黒いことから、オレンジ色のメスとは明らかに違う。

もっとも、開口部(あな)の大きさだけでは判断できない。メスの体長にはかなり個体差が

あるからだ。

穴が小さいからと言って、オスとは限らない、どころか、オスは極めて稀らしい。

しかし、このオスは急に穴の奥へと引っ込んでしまった。メスでも外を窺っている時は

たしかに神経質で、私が覗き込むと、サッと引っ込んでしまうことはよくある。

ただし、上写真のように、ここまで頭が出てしまえば、通常、出直しはしない。

さて、今日は少なくとも午後には外に出てくるだろうと、ときどき覗いてみた。

が、いっこうに出るそぶりすら見せない。

このまま弱って死んでしまうことも有りうる。実際、穴の中で死んだメスを見ている。

出てこない、あるいは出られない理由はわからないが、

ともかく脱出できずに死んでしまっては困る。

そこでオスに出てもらうべく、穴を拡張してみた。 穴の周辺部からナイフで慎重に

削ってみた。すり鉢状に削っていくと、前胸前部まで解放することができた。

その瞬間、オスは頭を揺らしながら、ゆっくりと体を抜き出し始めた。

701A6249ヒラアシキバチ♂.JPGメスに比べて一回り小さいだろうか。長い産卵管はたしかに無い。

体は細かい木屑まみれだ。

701A6282ヒラアシキバチ♂.JPGエノキ腐朽材には2メートルの高さに渡って、無数の羽脱穴が開いており、

次々とヒラアシキバチのメス達が旅立っている。オスが極めて稀ということを、

私はつい最近まで知らなかった。なので、この場所にオスが姿を見せないことが、

不思議であった。 ヒラアシキバチが単為生殖だとすると、オスは何のために

産まれてくるのだろうか?  


(写真:    Canon EOS 5D Mark III 、   Canon EOS 6D

     MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo 、 EF100mm f/2.8L Macro IS USM

     600EX-RT2灯 、 MT-24EX )









エノキ衰弱木に来ていたキバチの一種をこれまで、

キバラヒラアシキバチ、としていましたが、これは誤りで、

正しくは、ヒラアシキバチ、だったので、ここに訂正します。

すでに以前の記事内の種名は訂正してあります。


さて、そのヒラアシキバチ。

産卵が終了したあと、今度は別の場所から新成虫の羽化が始まっていた。

IMG_0515ヒラアシキバチ.JPG耳を澄ますと、パチ、パチ、パチ、とかすかに爪切りのような音がする。

エノキ材中でトンネルを穿つ音なのであった。

これはかなりの労力と時間を要する。

頭が出るまでの穴が開いても、すぐには出てこれない。

3回、羽脱の現場を観察したが、硬い材からの脱出は容易ではないようだ。

一匹だけだが、脱出できず穴の中で息絶えた者もいた。

羽化してくるのは、ほとんどがメスであるが、今日は♂らしき頭が穴の奥に見えた。

しかし、夕方になって気温が下がると、穴の中で静止してしまった。

おそらく明日の午前中には出てくるかと思うが、

ヒオラアシキバチのオスは、是非とも見てみたい。

今朝の、霧島山。

IMG_0513.JPG
画面には入っていないが、左下のほうにでっかい携帯電話中継局アンテナが

建っている。これからもアンテナはどんどん増殖するそうだが、

便利さと景観破壊とを天秤にかける、という思考すら、

もうこの日本にはないのかもしれない。




701A5583コウモリガ.JPG( 写真:  Canon EOS 5D Mark III    EF100mm f/2.8L Macro IS USM  600EX-RT )

 羽化時刻は推定だが、午後1時~2時頃かと思う。

以前、切り倒したアカメガシワの幹から蛹を一個取り出したが、

それとは高さの違う場所にもう一個蛹が入っていたらしい。

切断して積み上げておいた材から羽化殻が見つかった。

窪みの奥にあった坑道口を、見落としていたようだ。

そろそろ、コウモリガの羽化時期も終盤かと思える。

クサギの幼木で、現在、2個の蛹を継続観察中。

クサギやアカメガシワは材質が柔らかいためか、コウモリガ幼虫がよく潜行しており、

大人の親指程度の太さの幹や枝からも羽化している。

人の背丈ほどの幼木一本でも、3~4頭ものコウモリガが羽脱しているのを見ると、

クサギ、アカメガシワは、コウモリガの成長にうってつけの条件を具えているのだろう。

雨は午前中には上がり、風もそれほど強くはなかった。

午後5時頃になって、少しだけ陽射しも出た。

庭で機材を撤収していると、霧島山のシルエットが鮮やかに見えた。

3Z5A2363.JPG
( 写真:     Canon EOS 5D Mark III     EF70-300mm f/4-5.6L IS USM )


※ お知らせ


     昆虫写真家の 高嶋清明さんの写真展 「昆虫空間」 の

      案内ハガキをいただきました。

11月7日~13日まで、オリンパスギャラリー東京(神田・小川町交差点そば)で
開催されます。

はがき011.jpg午前10時~午後6時。最終日午後3時。日曜日、祝日は休館なので、ご注意を。



キツネノハナガサ

| | トラックバック(0)
数日前、スミナガシ幼虫の様子を覗きに行った森のなかで、

ヤマビワの根元近くの地面に、小さなキノコを見つけた。

3Z5A1837.JPG傘はとても薄く、直径は2センチほどで、細く長い柄といい、特徴のあるキノコだ。

これならすぐに調べがつくだろうとキノコ図鑑をめくっていくと、ほどなく、

ハラタケ科の「キツネノハナガサ」、とわかった。

傘を真上から見下ろしてみると、 淡いレモン色が散らばっている。

薄い傘なので、下側から少しだけ、光を入れてみた。

3Z5A1813.JPG「キツネノハナガサ」という和名は、憶え易い。 同じハラタケ科の仲間には、

「キツネノカラカサ」というのもあった。

キツネノハナガサを下から見上げてみる。

3Z5A1822.JPG地面に寝転がっての撮影となった。

ちなみに、スミナガシ幼虫は3頭いたが、全部、消えてしまった。

( 写真:   Canon EOS 5D Mark III レンズ    EF100mm f/2.8L Macro IS USM 

                            600EX-RT 2灯  )



近所のノブドウの実は小粒だが、妖しい色に目が惹かれる。

701A4998ノブドウ.JPGこの色は、例えば鳥たちの食欲をそそる色とは違うのだろう。

荒れ放題の杉林のせいで、日の出の陽射しが届くのは遅いが、

ようやく溢れてきた光に、ジョロウグモの巣網が輝いていた。

IMG_0376.JPG10月は、ともかく忙しい。一年の中で、一番忙しいかもしれないと、あらためて思った。

昆虫たちは、冬を目前にしているから、それぞれに締めくくりの態勢に入っているのだ。

その姿は活気に満ちている。   なので、追いかける人間も、当然、忙しくなる。

右往左往していたら、目の前に、ヒメカマキリがいた。  我が家の庭。

擬死をするかな、と手を出してみたら、、、、、、、、、、、、、なんと!

威嚇行動に出た。   まるで、ダンスでも踊っているようだ。

3Z5A2268ヒメカマキリ威嚇行動.JPGしかし、これまで、ヒメカマキリの威嚇行動は一度も見たことがない。

そして、さらに不思議なのは、

このメスは、いろいろ刺激を与えても、威嚇はすれど、擬死は一切しなかった。

オオカマキリやチョウセンカマキリ、あるいはハラビロカマキリの威嚇行動で見られる、

鎌足をボクサーのごとく構える仕草は、全くやらないのも、特徴的だった。

翅をわずかに広げ、前脚を大きく伸ばすだけ。前脚の腿節の内側が赤いことは

意外な発見だった。








クスサン

| | トラックバック(0)
羽化時刻は、午後5時過ぎ。

クスサン♂羽化.jpg
同じ場所で育ったクスサンの繭だが、羽化日はバラけていて一斉とはいかない。

13個の繭のうち、これまでに羽化したのは、2オス、1メスのみ。

このまま、ダラダラと羽化していくのだろうか。

一方、我が家の林のコウモリガも、ダラダラと羽化が続いている。

( 写真:   Canon EOS 5D Mark III    EF100mm f/2.8L Macro IS USM )

奇妙な写真だが、これは梢から繭だけを引っペがしてきたので、こういうことになった。

繭は空中に浮かんでおり、そこから羽化したクスサンにとって、

足場は繭しかなかったのである。





ギンヤンマ

| | トラックバック(0)
昨日と同じ池で、午前中はトンボのビデオ撮影を行った。

IMG_0409池.JPG
(写真: Canon EOS 6D EF17-40mm f/4L USM )

昨日より光の条件は格段にいいが、トンボの姿がかなり減っていた。

いや、そこそこいるのだが、昨日の超過密な状況とは一変して、じつに静かだ。

そのおかげで、ギンヤンマも落ち着いてパトロール飛翔を続けていた。

池の水面上でのホバリング飛翔は長く、1カットで20秒近くもビデオ撮影できた。

ビデオから写真に切り替えてみたものの、写真はあまり撮れなかった。

ZA122091ギンヤンマ.JPG
( 写真: OM-D E-M5 M.75-300ミリズーム )

昨日のヒメアカタテハを撮影した同じ場所で、今朝は新鮮なキタテハを撮影できた。

特にビデオ撮影では、いい動きをしてくれた。

ZA122022.JPG              ( 写真: OM-D E-M5 M.75-300ミリズーム )






泳ぐカマキリ

| | トラックバック(0)
トンボのビデオ撮影に、三股町内の池に行った。

ギンヤンマ、タイワンウチワヤンマ、ショウジョウトンボ、ベニトンボ、シオカラトンボと

皆、忙しく飛び交っていた。池の中央で、ギンヤンマのカップルが成立し、

連結産卵も始まった。

草むらから風に流されて飛び出したのは、ヒメアカタテハだった。

今朝にも羽化したと思われ、翅が乾ききっていないようだ。

しばらく、日光浴をしていた。

ZA111942ヒメアカタテハ.jpg池の水面には、ハラビロカマキリが漂っていた。

上手に泳いでいるようにも見えるし、溺れそうになっているようにも、見える。

ZA111952泳ぐハラビロカマキリ.jpg手が届くところまで流れてきたので、掬い上げてみると、すぐに鎌を構えて威嚇してきた。

なんだ、元気じゃないか!とは思わなかった。

この時期、泳いでるカマキリはほぼ間違いなく、ハリガネムシを宿しているからだ。

威嚇するハラビロカマキリを持ち上げ、お腹をしばらく揉んでみると、

お尻から、黒く長い針金虫が、ニュリ、ルリルリ~っと垂れ落ちてきた。

( 写真: OM-D E-M5 M.60ミリマクロ、 M.75-300ミリズーム )


「小枝」の正体

| | トラックバック(0)
昨日の「小枝」は、ウスイロオオエダシャクという、蛾の幼虫。

いわゆる「シャクトリムシ(尺取虫)」。

IMG_6608小枝2.JPG
マサキ、ニシキギ、コマユミなど、庭木にもつくので、身近な尺取虫かもしれない。

( 写真:   Canon EOS Kiss X6i     EF40mm f/2.8 STM+魚ロ目8号 270EX-Ⅱ)

小枝と恐い顔

| | トラックバック(0)
蒸し暑い一日だった。

玄関先のコマユミに、「小枝」があった。

3Z5A1543ウスイロオオエダシャク.JPG洗濯物を干していた嫁さんを手招きした。    「ああ~、ぶっとい枝みたいなヤツでしょ。」

そういえば、ずっと以前にも手招きしたことがあった。 毎年、コマユミにこの「小枝」が

ちょこんと伸びている。    もちろん、「イモムシ」である。

真横から見れば、口から伸びた糸でバレバレだが、目にした最初は、ハッとさせられる。

3Z5A1547ウスイロオオエダシャク.JPG昨夜、クスサンのメスが羽化した。 繭は三股町の文化会館で採集したもの。

そして、午後4時半頃、今度は、オスが羽化していた。 

3Z5A1744クスサン♂.JPG触れると大暴れして、下手すると翅が折れたりする。ボキッと翅が折れると飛べなくなる。

クスサンのオスを怒らせてしまった。

もう、触りません。

(写真:    Canon EOS 5D Mark III レンズ    EF100mm f/2.8L Macro IS USM 
                                  
                                            600EX-RT )




小腮環の秘密

| | トラックバック(0)
どうしても出掛けねばならない用事があった。午後4時前。

午後6時過ぎ。

家に戻ってみると、シモフリスズメの前蛹が、すでに脱皮を終えていた。

残念、無念!である。

3Z5A1442シモフリスズメ蛹.JPGクサギを離れて徘徊していた熟令幼虫を、黒土と赤玉土の混合土に置いてやると、

「ああ!ココ!ココ!」と喜んで、潜り込んだのは数日前のこと。

土中で体をくねらせて、楕円形の蛹部屋を拵えた。

そっと土を掘り返し、蛹化の観察ができる態勢にしておいたのだが、、、、、、、、、、、、。

推定では写真撮影した20~30分前に脱皮したと思える。

幼虫の皮を脱いだ瞬間、あの長い小腮環は、どんな形状をしていたのだろうか?

只今、もう一匹だけ、シモフリスズメ幼虫を飼育中である。

       残されたチャンスは、あと一度しかない!!


( 写真:   Canon EOS 5D Mark III     EF100mm f/2.8L Macro IS USM  )


毛束の意味は?

| | トラックバック(0)
台風24号の接近とあって、さすがに晴れ間はなかった。

しかし、雨は降ったり止んだりで、蒸し暑い一日だった。

学校は軒並み休校となったが、退屈したうちの子供はカッパを着て友達の家に

遊びに行った。 休校にするほどか?  という、風雨ではあった。

今朝は午前4時から撮影の仕事。

新聞配達の兄ちゃんは午前4時半にバイクでくる。毎朝、ご苦労さん!

私の仕事とは、出勤、退社の制限時刻はないけれど、土日祝日など休日も一切無い。

相手は、虫である。虫に人間社会の決め事など、無縁である。

ここ数日、コウモリガの羽化が続く。

コウモリガ成虫の体長には、かなりの個体差があり、それは

幼虫期を過ごした樹木の幹の太さなどに相対している。

今日は径2センチときわめて細いアカメガシワの幹内で、蛹を見つけた。

その蛹は本日の、午後4時過ぎには羽化したが、非常に小柄なコウモリガだった。

後ろ脚を見たところ、メスとわかった。

コウモリガの雌雄判別は、後ろ脚に毛束があるか否かで、すぐ分かる。

オスには、明るい黄土色の毛束がビッチリ生えている。

701A4849毛束.JPGこの毛束は、体の下側から見る必要があるが、それさえ知っていれば雌雄判別は

簡単である。 

数日前の写真だが、ヒメジャノメ。

701A4393ヒメジャノメ.JPG私は、蛇の目蝶の仲間が好きだ。 派手な色合いはないが、

その眼玉模様がどうしても、気になる。 いろいろ説はあるが、

この眼玉模様のメッセージは、誰に届いているのであろうか?


( 写真:   Canon EOS 5D Mark III   MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo、

         EF100mm f/2.8L Macro IS USM  270EXⅡ、600EX-RT )




渡りの季節

| | トラックバック(0)
頻繁に小雨が降るので、半野外スタジオで仕事をしていた。

午前中、しきりと猛禽の鳴き声が集落の上空から聴こえていた。

気になって外に出てみると、 すぐ上空をサシバが滑空していた。

IMG_0152サシバ.JPG秋は南下する渡り鳥たちが、都城盆地を通過していく。

サアーッと雨が降っては、夏のような陽射しもときおりあった。 少し蒸し暑い。

今朝も、虹がよく出た。

IMG_0144虹.JPG雲が切れていれば、画面奥に霧島山が見えていたのだが。

(写真:    Canon EOS 6D    EF17-40mm f/4L USM 

                                   EF70-300mm f/4-5.6L IS USM )

※ 昨日のプライアシャチホコ幼虫は、今朝になってみると赤色を帯びて、

  すぐに土中に潜り込んだ。

  蛾類では繭を作ることなく、土中で営繭するものも、多い。


虹の日

| | トラックバック(0)
朝陽が窓から射し込んでいたが、窓越しに外を眺めると、霧雨が降っていた。

しかも気温は高めで、アブラゼミが元気に鳴いていた。

庭に出ると、西の方角に虹が出ていた。

IMG_0026虹.JPG 広角レンズ24ミリでは納まらず、超広角レンズに取り替えているときに、陽射しが途絶えた。

レンズの選択が甘かった。

このあともずっと虹は出ていたが、写真のようなコントラストの強い絵柄は撮影できなかった。

クヌギの剪定をしていたら、プライアシャチホコ幼虫がいた。

IMG_0065.JPG秋空が綺麗だった。

三股町では各小学校で運動会が催された。 

うちの嫁さんは伝統芸能保存会のメンバーとして、梶山小学校の運動会に参加。

子供たちが踊る俵踊りの伴奏に、三味線を弾いた。

今日もコウモリガの羽化があった。

その羽化個体を撮影していたら、足元にでっかいアカガエルをくわえたヤマカガシがいた。

少し黒化型気味のヤマカガシだ。

藪に引きずり込もうとしていたので、「ちょっと、待った!」とばかり、

アカガエルの後ろ脚を摘んで阻止した。 しばらく、私とヤマカガシの綱引きとなった。

獲物がでかいだけあって、ヤマカガシもそうそう簡単には諦めがつかないようだった。

でも、これは無理だな、と思った瞬間、ヤマカガシは獲物から口を外して、逃走してしまった。

蛇と綱引きしたのは、これが初めてだった。 アカガエルはすでにかなり弱っていた。

(写真: Canon EOS 6D     EF24-70mm f/4L IS USM 、シグマ50ミリマクロ 

                                     270EXⅡ )



木こりの一日

| | トラックバック(0)
小雨になった午後、林に入ってアカメガシワを6本切り倒した。

池に倒れ込んだ2本は、これを引き上げるのが大変だった。 ともかく重たい!

少し引き上げては裁断して、軽くしていった。

汗と雨雫で、全身びしょ濡れになった。 チェンソーを扱うと心身共に疲れる。


先日、クサギから回収しておいたシモフリスズメが、蛹化前の色変わりをしていた。

別種のイモムシに見える。 クサギを離れてやたらと歩き回る。

IMG_6577シモフリスズメ.JPGずいぶん赤味を帯びているが、 酒を飲ませたわけではない。

問題はこれからだ。  蛹化脱皮の瞬間を見ておきたい。

蛹の小腮環なるものが、どうやって出現するのか知りたいのである。

この一匹だけでは心許無いと思っていたら、

同じクサギの木に、中令幼虫を見つけることができた。 えらく尻尾が長い。

3Z5A0995.JPG( 写真:    Canon EOS Kiss X6i  EF40mm f/2.8 STM+魚ロ目8号 
        
        Canon EOS 5D Mark III    EF100mm f/2.8L Macro IS USM

                                  270EXⅡ、430EX  )



森の中の出会い

| | トラックバック(0)
「普通種」と図鑑にあっても、なかなか出会えない虫も多い。

本種も以前から気になっていた、シャクガの仲間。 薄暗い森の中で見つけた。

スカシエダシャク1004.JPG翅に透けた模様があって、とても素敵な蛾である。  

和名も憶え易く、  スカシエダシャク

スカシエダシャクに出会えたのは、ヤマビワのスミナガシ幼虫を観察していたときであった。

つまり、スカシエダシャクとの遭遇は、副産物ということになる。

私は誰.JPGスミナガシ幼虫、3令であろうか?

( 写真:    Canon EOS 5D Mark III 、  EF100mm f/2.8L Macro IS USM、

           MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo 、 600EX-RT )





山間のフィールドに出掛けたものの、飲料水を忘れてしまった。

日南市、北郷町。

しかし、湧水があったので水分補給はできた。

昼前には引き上げる予定だったが、フィールドに出ると予定通りとはいかない。

昼食は用意していなかったが、水は確保できた。

予定を狂わしたのは、ボタンヅルワタムシのコロニーを発見したことだった。

ボタンヅルという蔓植物も初めて目にしたが、アブラムシのおかげでそれと

すぐにわかった。 昆虫から植物を教わることは、多い。

例えば、昔、アワブキを知ったのも、スミナガシとアオバセセリのおかげだった。

ボタンヅルワタムシについては、長くなるので割愛しておこう。

ボタンヅルの近くには、ナンバンギセルがたくさん花を咲かせていた。

もうピークは過ぎて、萎れた花も多かった。

その花を眺めていると、アザミウマの一種のシルエットがあった。 とても小さい。

701A4561ナンバンギセルの中のアザミウマ.JPG一個の花につき、多方は1頭だが、一つだけ2頭入っていた。

ナンバンギセルの花弁の内側はネバネバしているが、アザミウマは平気で歩いていた。

アザミウマの体には花粉がたくさん付いていた。

701A4598アザミウマSP.JPG
アケボノソウはまだ蕾が多かったが、花にはトビイロケアりが来ていた。

701A4606アケボンオソウとアリ.JPG(写真:    Canon EOS 5D Mark III   MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo、

        EF100mm f/2.8L Macro IS USM  600EX-RT 2灯 )







あけび

| | トラックバック(0)

ヒラアシキバチの産卵、今朝は3頭のメスが来ていた。

立ち枯れエノキにはアケビの蔓が絡んでおり、アケビの実がいっぱいぶら下がっている。

701A4326アケビ.JPG四季折々、私たちの目を楽しませてくれる、アケビ。 美味しそうに見える姿だけで満足できる。




9月半ば~10月にかけてが、コウモリガの羽化時期であるようだ。

初秋のこの時期に羽化する大型蛾には、ヤママユ、ヒメヤママユ、クスサンなどがいる。

名前からしても異色の、蝙蝠蛾。

幼虫は生木の材中にトンネルを穿ち、糞の排泄口には大きなパッドで蓋をしている。

パッドは自ら吐いた糸と材屑を混ぜ合わせたもので、手で簡単に剥がせる。

剥がしても、夜中のうちに幼虫は修復作業を済ませている。

餌は樹液だろうか?カミキリムシ幼虫と同じような生活をしているのだろう。

ともかく一般多くのイモムシのような、食葉は一切しない。

蛹になる前に、パッドの内側、開口部にピッタリの蓋をする。

これを私は 「蛹室蓋」 と仮に呼んでいる。

「蛹室蓋」は白くしっかりと開口部を塞ぐ。いづれ、この「蛹室蓋」の写真も紹介したい。

で、蛹化が済むと、当然ながら大きなパッドを剥がしても修繕されることはなく、

開口部がだらしなく晒され、蛹室蓋が見えるようになるわけだ。

さて、このところ毎日、羽化を待っているが、羽化を撮影する前に、

「蛹をきちんと見ておきたい。」  と、 思った。

まずは、私の手の上に乗せた写真をご覧あれ。

IMG_9944手の上の蛹.JPG蛹の全長は、ほぼ8センチ。  腹部の節間が伸びきっており、しかもクネクネとよく動く。

まるで、イモムシそのものだ。 ずっしりと重量感がある。 軽く握り締めると、

手の中で移動するが、その力は結構、強い。

腹側から全身を見てみた。 頭部近くに眼が黒く光っている。

IMG_9953コウモリガ蛹001.JPG腹部節間が伸びきった状態で、体をくねらせながら、垂直トンネル内を上下移動できる。

ときおり、トンネル開口部から外へ顔を突き出しては、振動や音には敏感に反応して

素早くトンネル奥深くへと退去する。 このとき、「蛹室蓋」は外れてしまうようだ。

黒バックの写真撮影には、ちょっとした工夫をした。いや、かなり時間を要した。

蛹を採集するために、アカメガシワの幹を一本、チェンソーで切り倒した。

もちろん、我が家の林である。

開口部から蛹を無傷のまま抜き出すことは、不可能だ。

切り倒した幹を切断し、幼虫トンネルに注意しながら、これを割る。

かなり汗だくとなった。使ったハンマーは2.7キロ、柄の長さは1メートル。

タガネは、1.9キロのもので、材を簡単に割り切ることができる。 

この作業も気を付けないと、自分の足を割砕くことになりかねない。


アカメガシワは繁殖力が旺盛で増えすぎてしまうので、昨年から少しづつ間伐している。

切り倒したアカメガシワは、同じ集落の方が、風呂の薪用にと持って行かれる。

薪のお返しには、新米が届く。 最初から物々交換を期待していたわけではないが、

撤去してもらえるだけでも有難いことなのに、お礼まで頂いて、たいへん恐縮する。

アカメガシワの材は柔らかい。しかし、薪以外には使い途がないと言われた。



( 写真:  Canon EOS 6D  シグマ50ミリマクロ  )




午前中、エノキ立ち枯れに、ヒラアシキバチのメスが2頭、産卵に来ていた。

ようやくキバチの産卵行動を撮影することができた。

701A4058キマダラヒラアシキバチ産卵.JPG産卵時間は長い。 下向きの姿勢だったメスの顔をアップで撮影しておいた。

3Z5A0814キマダラヒラアシキバチ顔.JPG
1時間ほどして、一頭は飛び去り、もう一頭はまだ産卵を続けていた。


(写真:   Canon EOS 5D Mark III     MP-E65mm f/2.8 1-5x Macro Photo、

         EF100mm f/2.8L Macro IS USM、 270EXⅡ、FL-600R )