2014年10月アーカイブ


昨日の夕方ねぐらについていたタテハモドキを、今朝7時半ころ覗いてみた。

やはり、触角を翅の間に隠していた。

タテハモドキ朝_MG_8389.JPG
体の向きも変わっていたね。

そしてすぐ傍に見落としていた仲間もいたよ。

タテハモドキ朝_MG_8398.JPG
今朝はシグマ50ミリマクロレンズ。このレンズは癖もあるけど、いい描写してくれるね。

キタテハはいませんでした、ねぐら場所を替えたかな?

さて、クロヒカゲ幼虫の飼育のみならず、ササやススキなど、イネ科植物を食べる

イモムシの餌管理のこと。

こうします。

ササ701A3254.JPG
見ればわかるよね。ササの葉の両端は切ってます。

私がこの方法を学んだのは、中学3年生かな。だからもう40年前になるけど、

実践したのは高校に入ってからだった。

この飼育方法が載っていたのは、保育社の「カラーブックス 日本の蝶・世界の蝶」

(1970)。久しぶりにページを開いてみれば、ササを使った飼育方法の箇所に赤線が

引かれてあった。

日本の蝶世界の蝶_MG_8380.JPG

今はどんな情報でもネットで簡単に入手できるが、本との出会いという感動などは

昔語りになってきそうだ。便利、便利だけで突き進んで、大事なことをどんどん

見失っていくのが今の社会なんだなあ。

この文庫本からは、多感な中学生時代、多大な影響を受けた。

今では中古本で50円程度で入手できるようだ。

先日、私はある遠方の方にメール送信した。するとその方から折り返し、

電話連絡をいただいた。じつに恐縮したが、初対面のメールやりとりより、

肉声を介した会話はなにより有り難かった。まだ会ったことがない方だが、

しゃべり言葉の中から、性格やそのときの気分やら、様々なことが

伺い知れる。それが鬱陶しい、と感じる人も多いだろうが、私はそうではない。

結局、私はなにがしかのやりとりを、メールだけで済ませるのは不本意で、

かならず面と向かって、膝を交えてお話をしたい。

したがって、その遠方の電話をいただいた方には、

必ず会いに行くつもりだ。そして、直接、お礼を告げたい。

その旅のスケジュールを、検討中です。




午後4時半ころ、林縁でねぐらについたタテハモドキ秋型。

タテハモドキ秋型_MG_8366.JPG
止まっている葉っぱは、イラクサ科のコアカソだろうか?

いやきちんと調べもせず、ずっとそう思い込んでいるのだが。

数メートル離れて、キタテハもねぐらについていた。

タテハモドキ、キタテハは、間近に寄ってもぴくりともしない。

もう落ち着いているようだったが、まだ触角が見えているので熟睡はしていない。

眠りに入れば、触角を羽の間に隠してしまうはずだ。

秋空_MG_8377.JPG
午後5時過ぎころの空。三日月が白く浮かんでいた。写真では見えないけど。

さて、昨日の朝脱皮したクロヒカゲ幼虫4令。

脱皮後は脱いだ皮を食べてのち長時間休む。

その休憩を終えてからササの葉をモリモリ食べ始めた。

クロヒカゲ4令幼虫顔IMG_8440.JPG
ツノがずいぶん立派になった。

ササの葉での飼育法は明日、書こうかと思う。想いでの詰まった本も紹介したい。













今朝、8時40分ころ、眠に入っていた3令幼虫が脱皮した。

ようやく脱皮の始まりから撮影もできた。

写真は、色づいて落ち着いた様子。午後3時半。
クロヒカゲ幼虫4令IMG_8349.JPG
室内で飼育しているから、野外よりか成長が早いようだ。

林に出てみると、まだクロヒカゲの成虫は飛んでいて、お腹の大きなメス2頭だった。

まだまだこれから産卵するだろう。その子らの越冬ステージはきっと

若〜中令だろう。

今、飼育している幼虫、このままいくと終令にまで成長しそうだ。

いやヘタすると蛹になり、羽化までいくのか?


飼育中のクロヒカゲ幼虫、今朝になって3回目の眠に入っていた。
クロヒカゲ3令_MG_8356.JPG

あと数時間で、アトムのような頭部は脱ぎ捨てられる。

よく見るとすでに頭部の中はほぼ空洞になっており、光が透けているのがわかる。

新しい、つまり4令の頭がもう出来上がっており、すぐうしろに待機している。





切り絵

| | トラックバック(0)
このところ毎朝、霧が出て辺り一面真っ白になる。

クモの巣網撮影には絶好日和だ。庭や林を1時間ほど撮り歩いた。

  ジョロウグモの糸に掛かった、アカメガシワの黄葉。
アカメガシワ_5A_2270.JPG
春の新芽は鮮やかな赤に目が奪われる、アカメガシワだが、秋にはこうして

黄葉を落とす。ああ〜、あっという間の一年だったなあ、とは毎年の想いだが、

歳を重ねるごとに加速している。

日没を目で追いながら、犬の散歩に出る。今日も仕事の都合上、短めの散歩だ。

アメリカセンダン草_MG_8306.JPG
センダングサの種子。

ホシヒメホウジャク_MG_8333.JPG
ねぐらについた、ホシヒメホウジャク。

ホシヒメホウジャクは、日中、様々な花を訪れてはホバリングしながら

蜜を吸っている。その様子はいかにも忙しない。

蛾の多くは夜行性というイメージが強いが、本種はこうして日没前には

ねぐらでおとなしくして夜を過ごす。

 
 一昨日の25日〜26日と、写真家の横塚眞己人さんとフィールド巡りをした。

横塚さんは24日に日南市で講演があり、そのあと仕事の撮影も兼ねて

宮崎のフィールドを巡るというので、私も同行させてもらった。

留守中のカイコの餌換えは、嫁さんにやってもらった。

イモムシを触れないが、葉を補充するだけなら(糞の掃除は無理!)

という条件で引き受けてくれた。

横塚さんと歩いたのは、猪八重渓谷、幸島、綾の照葉樹林。

続きはまたのちほど。








夕暮れ

| | トラックバック(0)
午後5時過ぎ。ススキの茎にツチイナゴがしがみついていた。

ツチイナゴ_MG_8281.JPG
もう少し明るいうちに犬の散歩に出たいとは思うが、仕事のこともあって

思い通りにはいかない。毎日、朝と夕に散歩、というのが犬を飼う場合、

最低条件ではないだろうか。それができないなら、犬を飼う気がしない。





昨夜はずっと仕事場で撮影待機。就寝したのは午前4時過ぎだった。

午前6時、起床。ふと机上のケース内を覗くと、クロヒカゲ幼虫が脱皮を

終えて、3令となっていた。

クロヒカゲ幼虫3令_5A_2030.JPG
「え!?やっぱり、アトム」 「いや、天女さま」

それはともかく、クロヒカゲ幼虫の頭部形態については、おそらく多型があると

思う。同ステージでも個体によってツノの長さや、色紋様に明らかな違いが見られる。

きちんと整理しないとはっきりとしたことが言えないが、

クロコノマチョウ幼虫の頭部多型とも違うように思え、もっと複雑に感じる。

写真の幼虫は、目の前でクロヒカゲが産卵するのを見て、その卵から飼育している

から、クロヒカゲ幼虫であることは疑いない。

今、この幼虫は3令であるが、年内に羽化することはなく、いづれ幼虫のまま

冬を越すだろう。冬越しのステージは2令〜終令と、巾があるようだ。

我が家の林では3令で越冬しているのがよく見つかるが、

これまで見つかった越冬幼虫の頭部形態は

今日の写真とはまるで違う。

1令〜終令(4令と5令があるようだ)の各ステージの頭部写真を

多くの個体で撮り比べると、面白そうだ。

私は飼育はあんまり得意ではないので、そこまで踏み込めないでいる。






クロヒカゲ幼虫が2回目の眠に入った。

クロヒカゲ2令2眠_5A_1973.JPG
頭部からお尻先端までの体長は、9ミリメートル。

9日前の1令期は、体長5.5ミリメートルだった。

2令へと脱皮したのは6日前で、それから今日までの間に食べたササの葉の面積は

ほぼ7mm×20mmの長方形になる。思ってたより少ない気がした。

しかしイモムシは令を増すごとに、右肩上がりで食べる量がグングン増える。

3令への脱皮は24〜30時間後となるので、2令幼虫の顔も今日で見納めである。

クロヒカゲ2令2眠顔_5A_1977.JPG
今朝は少し良くなったが、昨日から膝の筋肉痛が激しい。玄関で靴を履こうとしただ

けで笑いころげるほど痛かった。階段の上り下りやちょっとした

段差も顔をしかめてしまう。

20年前、屋久島の縄文杉まで登ったときは、翌日、膝が痛くて

堪えたが、それ以来の久々の筋肉痛かと思う。

縄文杉のときは片道5時間の山歩きだった。当時30歳代だからまだ若かった。

しかし、今回の筋肉痛の原因はそのような過酷な山歩きではない。

一昨日、庭でクサヒバリの撮影を行ったとき、無理な姿勢を保っていた。

撮影時間は1時間程度だったが、しゃがんだまま、カメラを構え、

クサヒバリが警戒を解くまで、じっと岩に成りきることを繰り返していた。

カメラのレンズが梢に触れたままでも、振動がクサヒバリに伝わらないように

硬直化する必要があった。クサヒバリは茂みの奥で鳴いている。

茂みをレンズでそっとかき分けながら撮影ポジションを確保していた。

撮影後は膝にしびれを感じた程度だったが、それが翌朝になってかなりの筋肉痛と

なった。低い椅子で上下に微動できるのがあれば、膝への負担も軽減できた

はずだ。ま、ともかく、自分も歳とったなあ、としみじみ思った。



クサヒバリ、鳴く

| | トラックバック(0)
フィリリリリリ〜、と賑やかな鳴き声がする。

朝から日中ずっと、その勢いは衰えない。けっこうな音量だが、

鳴き声の主、クサヒバリの知名度はきわめて低い。

夜は鳴かない。

目の前、すぐそこで鳴いているのがわかるが、なかなか姿が見つからない。

クサヒバリは小さいし、おまけに葉と葉の隙間などに

潜り込むようにして、そこで演奏しているからだ。

こっちも意地になって探す。腰をかがめ、ひたすら音源を探す。

どこや?どこや?

事情を知らない人が見れば、気が狂ったおっさん、だ。

がしかし、幸いにして、我が家は田舎である。

通りすがりの人はほぼ、皆無だ。

素っ裸でテンテコ踊りをしていても恥ずかしくない。ま、やらんけど。

さて、ツバキの茂みでしきりと鳴くクサヒバリ♂をなんとか見つけた。

クサヒバリ_MG_7816.JPG
前翅を激しく擦り合わせる様子を表現したかったが、失敗した。写真はNG。

午後5時47分。日没後、我が家の上空に夕焼け。

夕焼け_MG_7946.JPG


庭先の虫たち

| | トラックバック(0)
倉庫から絨毯を出して日干し。ここ南九州でも冬支度を始めた。

朝晩はけっこう冷え込むようになった。

日干ししていた絨毯の上で、トノサマバッタ♀が日光浴をしていた。

トノオサマバッタ_5A_1931.JPG
「あんたらの、好きそうな場所やね」

玄関先のコマユミでは、キバラヘリカメムシの羽化がダラダラと続いている。

キバラヘリカメムシ羽化_5A_1907.JPG
午前中、着払いの宅急便が届いた。 トリカルネット(タキロン株式会社)で、

巾1メートル、長さ15メートル巻き。

トリカルネットIMG_7595.JPG
代引きなんだから、届ける前に電話通知くらいするはずだが、いきなり来た。

しかも間が悪いことに応対したのは、嫁さんだった。

「代引きだって。1万なんぼだって。何これ?」

「ああ、これは仕事で必要な道具なんだよ。お金はちゃんと用意してあるから」

「これって何に使うの?」

「何って、おカイコさまだよ」

「こんなに必要なの?」

「いや、仕方が無いんだよ、切り売りを探したんだけど、県内のホームセンターも

ネットでも、切り売りなんて、どこにも無かったんだよ」

「どうすんのよ、コレ!」

「どうすんのよって、いろいろ園芸とかでも使えるよ。

 あ、切り売り広告しようかな〜。欲しい人いると思うよ。日本って案外、広いし」

「いないよ、バア〜か!」





ササ、食べてます

| | トラックバック(0)
昨日、脱皮したクロヒカゲ幼虫。今は2令。

ササの葉をモリモリ食べ始めた。

クロヒカゲ幼虫2令_MG_7693.JPG
食事を盛んに始めたのは今日の午後からだが、それで一気に体長が2倍近くまで伸びた。

すさまじい成長速度だ。

ササの葉はちょっと工夫すれば、4〜5日は保つから飼育は簡単。

正面から見た顔は、たしかにネコ顔だけど、昭和世代の私などは、手塚治虫の

「鉄腕アトム」を連想してしまう。もう自分は古い人間なんだなあ。

さて、話は変わるが、

カメラで使うSDカードにトラブルが発生。

パソコンに画像を吸い上げたあと、カメラに戻して初期化しようとしたら、

「書き込みできない状態です」との警告が出た。

SDカードを抜き取ってよく見れば、「上書き防止ボタン」部分が欠損していた。

SDカード0001.JPG
正常なカードはこちら、

SDカード0002.JPG
薄いプラ板部分だから、衝撃を受ければ容易に破損するようだ。

カードリーダーへの抜き差しは、ゆっくり丁寧にしないと、

こういうトラブルが生じるわけだ。

壊れたSDカード、保証期間は過ぎているので、無償交換とはいかない。

新品との交換費用はいくらだろうか?新規に買ったほうが安いのだろうか。

調べてみると、「Lock」ボタンのところをテープなどで覆えば、

書き込みできるようになるようだ。物理的に「LOCK」を判断しているらしい。

しかし、テープがカメラ内で剥がれてしまうトラブルも恐いので、

それはあくまでも抜き差しならぬ現場での応急処置でしかない。

新しいSDカードを購入すべきだ。ともかくも、SDカードは優しく丁寧に

扱うべし!



今朝、午前9時ころ、クロヒカゲ幼虫(1令)が脱皮した。

気付いたときには皮を脱ぎ終える寸前だった。入眠期間はほぼ30時間だった。

クロヒカゲ脱皮_MG_7508.JPG
上の写真は皮を脱ぎ終えたところだが、ズルズルと皮がお尻へとたぐられていく

様子はたいへん見づらい。肉眼ではまったくわからなかったが、頭部の付け根の

ふくらみが異常に大きくなっていたので、かろうじて脱皮していることに気付けた。

脱皮直後は、頭部の一対のツノは小さい。 これがしだいに伸びていく。

クロヒカゲ脱皮2_MG_7538.JPG
垂れ耳のようなツノがわかるだろうか。少しづつ伸びているのだ。

伸びきったところが、下の写真。このあとさらに黒く色づく。

クロヒカゲ脱皮4_MG_7609.JPG
顔の真ん中は薄緑色だが、それ意外は真っ黒になる。

クロヒカゲ幼虫の頭部は、2令まで真っ黒なんだ、と初めて知った。

3令幼虫は2011年の記事に載せている。




今朝、2時過ぎに撮影した、クロヒカゲ幼虫。

クロヒカゲ1令幼虫_MG_7500.JPG
「眠に入った」と昨日の記事に書いたが、イモムシが脱皮する前に必ず執り行う

手順、である。

眠に入ったかどうかは、頭の付け根の部分が膨らんだことでわかる。

しかも、食事をとらなくなり、じっと静止したままとなる。

「うん?病気か?」などと慌てることはない。

飼育管理の上では、一息つける。餌換えの労務からしばらく解放されるからだ。

だが一方、脱皮の瞬間を見逃すまい、と思えば、目が離せなくなる。

「まだか? そろそろ兆候が出始めたか?」

イモムシが小さいほど、脱皮の兆候を掴むのが難しい。ルーペでいちいち覗く。

このクロヒカゲ幼虫が入った飼育ケース、パソコンのモニターの

すぐ脇に置いてある。

眠はだいたい1日〜2日間程度だが、種差や個体差もあってそれ以上になることもある。










クワの葉を調達に出たついでに、鳶岡林道に入ってみた。

ここは少し上がるとアカマツが多く、ハルゼミの生息地としては

我が家からもっとも近い場所かと思う。松茸も生えているのだろうなあ、

今日も3台の軽トラとすれ違った。この林道に入るのは2年ぶりである。

スギ植林の伐採跡に、オトコエシの白い花が無数に咲いていて、

イシガケチョウが吸蜜していた。狭い範囲にけっこうな数が集まっていた。

これは♀、こっちは♂だな、と撮影しているうちに、ふと足下を見れば、

オオカマキリの♀が産卵していた。

オオカマキリ産卵IMG_7553.JPG
杉の苗木に産んでいた。

すぐ傍らに別の卵のうがあったが、そちらにはカマキリカツオブシムシが産卵中。

カマキリカツオブシムシに狙われると、オオカマキリの卵のうも一溜まりもない。

三股町の田園風景。

三股町田園IMG_7561.JPG
画面奥に霞む山並みの向こう側が、日南市となる。

今晩のこと、クロヒカゲ1令幼虫が眠に入った。






三日前にふ化した、クロヒカゲの幼虫。

ササの葉を食べて成長しているが、まだステージは1令である。

体の中には食べたササの葉そのものが、透けて見えているかのようだ。

クロヒカゲ幼虫_MG_7393.JPG
体長は約5.5ミリメートル。ふ化した直後に比べると3倍以上にも肥えている。

クロヒカゲ幼虫の3令以降の姿は撮影しているが、それより若いステージは

今回が初めてとなる。

クワゴ幼虫は、特別仕立てのまぶしに入れて、営繭を観察中。

特別といってもそんな大したものではなく、観察し易いもので、作るのも簡単。

日没直後、犬の散歩に出た。

あぜ道でねぐらについた、ミヤマアカネの♂がいた。

ミヤマアカネ_MG_7405.JPG
チョロは右後ろ足を傷めたようで、数日前から脚を地面につけないよう、

ビッコを引くようになった。最初のころは地面に触れただけでかなり痛がって、

散歩を取り止めたほどである。

それでも少しは痛みが和らいだのか、散歩には出たがり、後ろ足をかばいながらも

よく歩く。ただし、縁側に飛び上がることができなくなった。

ジャンプする際に、脚の踏ん張りが効かないようだ。

クワの葉

| | トラックバック(0)
台風19号はどうやら三股町のほぼ上空を通過していったようだ。

しかし風雨がもっとも激しかったのは接近する以前で(午前3時ころ)、

私は爆睡していてまったく気付きもしなかった。

今朝の10時過ぎころには一旦、晴れ間が出て(台風の目?)、

すぐに厚い雲に覆われたが、午後4時頃にはまた青空が戻ってきた。

都城市IMG_7451.JPG
写真は都城市、安久町のセンダン。奥に霧島山が小さく見える。

台風の直撃を受けたという印象は薄いが、三股町を流れる沖水川の今にも溢れそうな

凄まじい濁流を目にすると、やはりかなりの雨量があったのだなあ、と感じた。

カイコの餌、クワの葉を調達しに車で出掛けた。場所は車で7分程度のところ。

今の時期になると、クワの葉もかなり傷んできたり、黄ばんでしまい、

餌にはかろうじてなっても、写真撮影には使えないものがほとんどだ。

クワの葉IMG_7429.JPG
写真上の葉などは、まだましな方だが、瑞々しい緑葉にはほど遠い。

いや、カイコの弱々しい姿を見ていると、まだ食えるよねえ、という粗食を

与える気になれない。どうしても瑞々しい極上の餌をと、奔走する。

若木や幼木のクワだと、梅雨時に見る奇麗な葉をつけていて、狙い目である。

それを探して回り、何カ所かポイントを抑えおく。

桑畑の管理されたクワは、年中、剪定されて若葉をつけるよう手入れされているが、

野山のクワではそうはいかない。季節の進行とともに葉も老熟し、黄葉し落葉する。

まあ、それが自然の姿ではある。大きな桑でも一枚も使える葉がない、ということも

多く、我が家の近所はすべてそうである。

餌としては使えないが道ばたにあった大きなクワを見上げていたら、クワゴの幼虫と

繭がいくつも見つかった。

クワゴ幼虫IMG_7448.JPG
繭は葉を折り重ねた中にあって、慣れないとすぐには見つからないだろう。

クワゴ繭IMG_7428.JPG

先日、ふ化したクロヒカゲの幼虫は、ササの葉を食べて胴体は数倍にも成長した。

イモムシの宿命として、胴体は肥えても、頭の大きさは変わらない。

頭の大きさも成長するには、脱皮を繰り返すしかない。

さて、2令への脱皮まで何日かかるのだろうか?



庭のジュズダマでクロコノマチョウの幼虫が育っていたが、

先週、7個の蛹がぶら下がっていた。
クロコノマチョウ羽化_5A_1765.JPG

そのうち2個を回収し、人工足場に固定。

蛹の変化は速く、今朝のこと一頭が羽化した。

_5A_1770.JPG
クロコノマチョウは薄暗い林のなかで暮らし、昼間は地面で翅を閉じてじっとしている

ことが多い。盛んに飛翔するのは夕方であるが、

本種の翅の表側の紋様を拝める機会は滅多にない。

ところが、羽化直後はちょっとした刺激で、翅を全開にする。

まるでこちらを、威嚇しているようにも見える。


今日は、撮影とその準備作業をしつつも、スタジオの整備作業を行った。

撮影目的別のセットを増やし、できるだけ足下を整理した。







私が見る恐怖の夢とは、どろぼうに襲われるシーンが多く、

声に出して助けを呼ぼうとするが、声が出ない、という時間が

えらく長く苦しむ。

やっとこさ「どろぼう〜!」と叫んだ瞬間、目が醒めて、

夢はおしまい。

昨夜は、「ま、ま、まむし〜!!」と叫んで目が醒めた。

こんな夢は初めてだった。

すんでのところで、とぐろを巻いていたマムシを踏んづけそうになったが、

自分は歩いていたようでもあるし、自転車を漕いでいたのかもしれない。

ともかく、素足だったので、恐怖感に襲われた。

時計を見ると、夜中の2時半だった。

気になっていた機材工作の手直しをしておこうと、スタジオに入った。

工作を完了して、ふとクロヒカゲの卵をチェックしたら、卵殻を食い破っていた。

「もうすぐ、ふ化だ!」

ジャノメチョウ類の卵は、ふ化が近づくにつれ幼虫の頭部がくっきりと

透けて見えるようになる。クロヒカゲも例外ではない。

クロヒカゲ338makuro .jpg
幼虫が大あご(写真の赤茶色のところ)をときどき、ムニャムニャと動かしているのも

よく見える。しかし、この状態がかなり長い時間続く。いつふ化してもおかしくない

まま、待たされる。昆虫の変態を追いかけ始めると、寝る時間もなくなる。

仕事時間に区切りもなく、日常生活は成り立たなくなる。

最悪、家族もそっぽを向いてしまう。まあ、そうならないよう、気を使ってはいるが、

やはり無理があるのは仕方が無い。

いづれにせよ体がとても持たないので、適当に寝ることにはしている。

が、昨夜はマムシの夢で叩き起された。

「夢さん、ありがとう」とつぶやきながら、あらかじめセットしておいた

カメラにかじりつく。 ほどなく、ふ化が始まった。

午前4時05分。 ふ化し終えた幼虫は、やがて反転し、自分が納まっていた

半透明のカプセルを、食べ始めた。

_Z019081 (2).jpg
頭頂部にはわずかな瘤がある。脱皮をして成長するうちに、ここから長い突起、ツノが

伸びてくるのだろう。 2令幼虫の姿がどのようなものか、それは何としても

見ておきたい。これは楽しみだ。

ふ化幼虫の体は、純白だが、しばらくしてササの葉をかじると、体の中が濃い緑色に

なる。


本日、昼の12時40分から放映予定だったNHK宮崎放送の「夢追い人」は

理由はよくわからないが、放映されなかった。

自分は先週、甥の結婚式で松山に出掛けていたので、自分を取材したこの番組を

まだ観ていない。地震の報道があったので、番組が削られたのだ、と

息子が言うので多分そういうことだろう。

「お父さんの番組より、地震情報のほうが大事でしょう。

それに、俺はお父さんの出る番組なんか観たくないし!!」

じつに正直な、次男の言葉ではある。














でっかい、イモムシ

| | トラックバック(0)
先日、クロメンガタスズメの死骸を拾って、標本にした。

死んで間もない奇麗な体ではあったが、死骸には違いない。

生きた成虫を撮影したくて、茄子を喰っていた幼虫を採集しておいた。

茄子もボロボロに食害されて哀れだったし、畑の持ち主に見つかったら、

イモムシの運命はただごとでは済まないだろうし。

プリプリに肥えていたので、飼育の手間もあんまり掛からないだろうと

そう思っていたが、なんとイモムシの食欲は凄まじく!

茄子の葉も切れたので、うちの畑のミニトマトの葉を入れてみた。

喰いは鈍いが、ともかく喰ってはいる。ケースは糞だらけだ。ひとまず安心。
クロメンガタスズメ幼虫_5A_1696.JPG
そういえば、7日の夕方、午後6時半ころ、仕事部屋の窓に、コウモリガが

飛来して窓ガラスに何度もぶつかっていた。コウモリガは黄昏時に飛翔活動するが、

ちょうどその時間帯であったのだろう。彼らの行動時間は極めて短いらしい。

去年は羽化をねらってかなり時間を割いたが、今年はそれができなかった。

昨夜はうちのクヌギで、ヤママユの♂が羽化していた。茶色翅のタイプだった。


赤色ハイソックス

| | トラックバック(0)
「いつ羽化してもおかしくないだろう」

コマユミで育っているキバラヘリカメムシ幼虫たちを見ていて、

そう感じていた。

今朝のこと羽化第一号は午前7時半過ぎだった。

それから時間を隔てて、午後3時まで、6頭の幼虫が次々と羽化した。

あいにく小雨がときおり降っていたが、雨滴を浴びながら羽化することもあった。

羽化脱皮を終えてから体色が浮き出てくる間、じっとぶら下がったままでいる。

赤いハイソックス_5A_1558.JPG
撮影待機の間に機材工作をしておいた。

超接写における深度合成撮影に必要な、微動ステージの組み立てである。

ずっと先送りにしていたので、気になっていた。

こういった工作は、冬の間にでもやることだろうが、冬といえど、

私の場合、林の手入れの山仕事もあって、意外と時間がない。東京にいたころとは

まるで生活リズムが変わってしまった。

工作はまず、X軸微動ステージを自由雲台に取り付けるための、スペーサー作り。

スペーサーはアルミ製。材料は手元にあったもので間に合った。

工作は主に、穴あけとネジ切り作業。 穴あけはドリル盤を使う。

径3ミリのネジ切り作業⬇️は、ハンドタップで。

ねじ切り_MG_6984.JPG
自由雲台に取り付けるネジ穴は、ウィット1/4ネジ⬇️を切る。
ねじ切り_MG_6988.JPG
X軸ステージのみだが、とりあえずこれで間に合う。

XY軸ステージを購入しようかと迷ったが、経費節約で断念した。貧乏カメラマン

ゆえお金の使いどころには、かなり慎重になる。

昔は、フィルム代・現像代の請求書に怯える日々を送っていて、それから

解放されたと思いきや、今ではネットでの買い物の請求額に怯えるようになった。

であるから、ネット購入ではできるだけ代引きにして、

カード決済を極力使わないようにしている。

さて、微動ステージはほぼ完成した。

被写体を、1ミリ幅につき0.01ミリづつ正確に移動させ、百カット撮影できる。

私がこの装置を使って撮りたい被写体は、とくに昆虫の卵である。





先月、クロメンガタスズメ成虫の死骸を拾った。

いったいどこから飛来し、なぜ死んだのか、謎だらけだった。

今日の夕方、犬の散歩の途中、ナスの葉にでっかい芋虫を見つけた。

これが、クロメンガタスズメの幼虫だった。

クロメンガタスズメ_MG_6959.JPG
なるほど、胡麻ではなく、茄子を喰っていたのか!

幼虫は4頭いた。皆、でっぷりと肥えた熟令幼虫だった。

クヌギの梢で、かろうじてぶらさがっていたヤママユの繭。

ヤママユ繭_MG_6869.JPG
繭を支えていた葉は、全部萎れている。

繭は柄一本で、かろうじて枝に繋ぎ止められている。このクヌギは黄葉の進行が

速く落葉も目立つ。枝葉に紛れていた繭も、これではどんどんむき出しになっていく。

いやすでに、落下したものまであった。


背広とネクタイ

| | トラックバック(0)
夕方の犬の散歩は午後5時半過ぎ。鱗雲が夕日に赤く染まった。

夕暮れ_5A_1184.JPG

私が背広姿でネクタイをしめるのは冠婚葬祭のときのみで、

だからネクタイは白と黒しか持っていない。 先日、親戚の結婚式で久しぶりに

背広を着た。

将来、どんな職業に就くか迷っていた頃、ネクタイをしめなくてもいい

業種を絶対条件と決めていた。営業とか公務員などは、問題外だったわけだ。

首を締め付けるネクタイには、自虐的なイメージしかなかった。

一方で私は、職人に憧れていた。どんな職人かは決めてなかったが、

仕事場で一人、コツコツと作業をするのが合っていると思えた。

それはおそらく、私の父親が職人であり、父親の背中を見て育ったから

ではないか、と思うことがある。いや、たぶんそうだろう。

母親には申し訳ないが、子供の頃、私は父親に可愛がられ、父親のことが

大好きだった。母親はどちらかといえば、恐かった。

これは世間一般的には、逆なのかもしれないが、私の父親は私が病気で

寝込んだりするとつきっきりで看病をしてくれた想い出が強く印象に残っている。

だから、たまに父親に叱られると、猛烈に哀しかった。哀しくて泣いた。

しかし、不思議なことに、親に対しての思いはやがて逆転した。

大学受験を控えた高校生の頃、父親のことが鬱陶しくなった。それは、

父親がしきりと「公務員になるのがいい。」ということをくどいほど

言い続けたからだ。堅実な生き方は公務員だ、と決めつける

父親を尊敬できなくなった。私が何を望んでいるか、ということに

耳を傾けようとはしなかった。

一方で母親は、高校入学以降、ガラリと変貌し、自分の仕事に夢中となり、

私の学業とか進学希望とかには、まるで関心を示さなくなった。

それ以前は、いわゆる教育ママ的なところが、あんまり好きではなかった。

成績が落ちるともの凄く恐い顔をして怒った。

忙しくしている母親は変貌したが、それでも、毎日、

弁当だけはちゃんと作ってくれた。

なぜか私と距離をおくようになった母親。

父親はそれと反比例して、口うるさくなった。それはなぜか?

ヤママユ繭IMG_7217.JPG
台風18号の強風で、クヌギの梢から落下していたヤママユの繭。

羽化はもうじきかと思うが、こんなふうにして落下する繭もある。地面で羽化すると

さらに危険が増すことだろう。

松山の実家の洋服ダンスを開くと、背広が何着も掛かっている。

どれも父親が仕立てた背広だ。父親は紳士服仕立て職人だった。

仕事以外に、自分用にと背広をこれほど仕立てていたとは意外だった。

どの背広にも、「新開」と刺繍ネームが入っている。

私が袖を通すと、これが気持ち悪い程、ピッタリと納まる。


子供にとって、父親とはなんだろう?と、自分に子供ができて、逆の立場からも

考えるようになった。当たり前だが。










夕暮れ

| | トラックバック(0)
台風18号は四国沖を過ぎ去り、フェリーの運行は今朝から再開した。

秋晴れの下、海はしけていて、大きな船体が弾むように揺れ続けた。

舟底のスタビライザーが効いて、横揺れはほとんどない。

臼杵湾に近づくと揺れはほぼ治まり、いつも通りゆっくりと接岸した。

佐伯ICを降りると、山間をくねくねと続く国道10号線を走る。

宮崎県の北川ICと、大分県の佐伯ICを結ぶ高速道路が開通すれば、

いづれこの山間の国道も走る機会がなくなるだろうと思う。

午後3時半、宮崎の我が家に到着。

一週間ぶりの快晴。霧島山の山容が夕暮れのなか、くっきりと浮かんだ。

霧島山IMG_7173.JPG
草むらでは、無数のドヨウオニグモたちが巣網を張っている。

ドヨウオニグモIMG_7121.JPG
じっと眺めていると、時々なにかが糸に掛かってくる。

するとその瞬間、クモは小さな獲物へと素早く駆け寄っていく。

上へ下へと、けっこう忙しい。我々の目にはなかなか止まらないが、

クモの獲物となる小さな小さな昆虫たちが、まるで通勤ラッシュのごとく

草むら街道を行き来しているのだ。

ドヨウオニグモの巣網の糸が、夕日に輝くアングルを狙っていたら、

犬のチョロが待ちかねて、クウ〜ン、クウ〜ンと私を見上げる。

「そうだな、もう写真は無理だな。帰ろうか」


四国巡礼八十八ヶ所の46番札所、浄瑠璃寺は松山の実家から車で

5分程度の山間にある。

私は帰省するたびにこの浄瑠璃寺やその周辺のフィールドに足を運ぶことが

多い。浄瑠璃寺の駐車場にはキハダが植わっており、ミヤマカラスアゲハも

ここで繁殖している。

今朝は6時過ぎに赴き、山の斜面にある桑の葉を採取。

すると大きな葉に、クワゴの繭があった。

クワコ繭_MG_6988.JPG通常多くの場合、数枚の葉を綴じ合わせた中に営繭するのだが、ここの桑の葉は大きい

ために、谷折りしたところに繭を紡いでいる。これならむき出しになって見つけ易い。

何本も束ねた太い糸で葉を引き寄せ、谷折りしているのがよくわかる。

この繭から秋に羽化した成虫は交配後、♀なら産卵する。クワゴは卵越冬だ。

浄瑠璃寺の裏手で、ハラビロカマキリの卵のうを見つけた。

産卵されてからの日は浅い。

ハラビロカマキリ卵_MG_6983.JPG他の木で産卵中の♀もいたが、カメラを近づけると、敏捷に逃げてしまった。

明日は九州に戻る予定だが、台風の影響で全便欠航しているフェリーが

翌朝には運行再開してくれることを期待している。



はやにえ

| | トラックバック(0)
庭のコマユミで育っている、キバラヘリカメムシたち。

すでに成虫になったもの、若齢幼虫、まだ卵、とステージは様々。

脱皮したばかりの3令幼虫がいた。

キバラヘリ3令_01A2029.JPG先月、孵化したばかりの幼虫群を紹介したが、しばらくはダラダラと発生が

続くようだ。

昨日、近所の畑のなかにポツンと残された、桑の木を見に行った。

かつて養蚕が廃れた時代、南九州、都城盆地周辺でも、桑の抜根政策が行われ、

広大な面積を占めた桑畑は、徹底的に排除された。

今はどこを探しても桑畑はないが、あぜ道の傍らにポツンと生えた桑を

たまに見かける。梢を覗き込んでいたら、オンブバッタが枝に刺さっていた。

モズが立てた、はやにえ、である。

オンブバッタはやにえ_MG_6974.JPG
伊丹昆虫館では、昨日10月3日〜 プチ展示「モズのはやにえ」を開催している。

来年1月19日まで。://www.itakon.com/html/saishin.html




樹液レストラン

| | トラックバック(0)
昨日、ノコギリクワガタがいたクヌギ林。

樹液が出ていて、ヒメジャノメ、クロヒカゲ、クロコノマチョウ、

フクラスズメ、そして、ノコギリクワガタ、がときどきやって来る。

ノコギリクワガタはペアになっていた。

そこへ、おもむろに飛来したのが、ヒメスズメバチ、だった。

ヒメスズメバチ_01A2054.JPG
じつに久しぶりにスズメバチの姿を見た。

フクラスズメやノコギリクワガタのペアに体当たりして、追い散らそうとする。

フクラスズメは少し退いたが、クワガタは動じない。

どこかイライラしたヒメスズメバチは、じっくり樹液を吸うこともなく、

サッさと飛び去って行った。

台風が来週あたり接近しそうだ。それもあって、すぐ傍の田んぼでは稲刈り作業が

急ピッチで行われている。天候が崩れる前に、私も草刈り作業を行った。

今日は池の横と南斜面の道路沿いである。ずっとさぼっていたから、草丈が背を

超すところもあった。

2時間半ほど作業をやったら、汗びっしょりでけっこう疲れた。

マダニが多いので家に戻ると脱いだ服は殺虫剤で消毒し、すぐにシャワーを浴びた。

イノシシが頻繁に出没していることもあって、マダニには神経を使う。

(お知らせ)
明後日、4日土曜日午後0時40分〜、NHK宮崎のTV番組「夢追い人」に私が出演。

11日、18日、25日も同じ時間帯で放映されます。








春のころオオスズメバチ女王を何度か目撃した。

庭のクヌギの樹液に来ていたようだ。どこかで営巣するのだろうなあ、

とその姿をぼんやり眺めていた。

しかし、この夏は、ついに一度もオオスズメバチを見ていない。

いや、オオスズメバチだけではない。コガタ、ヒメ、キイロ、も

ほぼゼロに近い。ヒメは若干、飛来したが、例年に比べるべくもない。

我が家の林のことではあるが、周辺の林でもほとんど見かけなかった。

蜂採りのシーズンで、Hさんも「今年は少ないねえ〜」

とクヌギを見上げながらため息をつく。まだ成果は上がってないようだ。

たしかに樹液はタラタラと滴り落ちているが、集まる虫の姿も少ない。

サトキマダラヒカゲやシロテンハナムグリが、ちらほらの程度。

そこに、スズメバチの姿が、無い!

曇り空の下、気温も低めだったが、ノコギリクワガタ♂が庭に2頭。

すぐ傍のクヌギ林に1頭、佇んでいた(下写真)。

ノコギリクワガタ70D__MG_6742_0128.JPG
ノコギリクワガタの♂は、どれも気が強く元気に見えた。

羽化時期後半に入ったであろう、コウモリガ。

ノコギリクワガタのいたクヌギ林を少し覗いてみれば、

ジョロウグモに捕まったものがいた。

70D__MG_6735_0121.JPG
オニグモの一種に捕まったものも、1頭。

70D__MG_6636_0027.JPG
別の場所でもジョロウグモの巣網でボロボロになったコウモリガが、1頭

見つかっている。チョウやガは、鱗粉のおかげで巣網に掛かりにくいが、

飛び古して鱗粉が落ちてしまえば、クモの餌食になってしまう。

クモの餌食になる数が多くなるということは、やはり発生時期も終盤に入った、

と言えるだろうか。

クリの樹幹にあったコウモリガ幼虫のドーム型蓋に、穴が空いていた。

通常ならこの穴には、羽化殻が突き出ているのだが、羽化殻がない。

これはおかしい、と地面を探してみたら、やはり蛹の死骸がころがっていた。

蛹の腹部は大きく裂け、シデムシ類の幼虫が頭を突っ込んでいた。

ドーム型蓋は、地面に向かっており、何らかのアクシデントで羽化直前に

蛹は地面へと落下してしまったのだろう。

クリの幹は地面に対してほぼ平行に、大きく曲がっていて、

コウモリガ幼虫のトンネル開口部は地面向きに空いていたのである。

蛹は頭部でもってドーム型蓋を突き破るが、おそらくは穴が元に戻ろうと

する圧力に支えられて、飛び出すことなく静止する。

しかし、今回のケースでは真下向きのゆえ、蓋の穴による

圧着力(蛹を固定する力)に対して、

重力のほうがが勝ってしまったのではないだろうか?

文章だけで、蛹の死の原因を説明するのはもどかしいが、

コウモリガの羽化したあとに残る、蛹殻(羽化殻)を観察してもらいたい。

幼虫トンネルの開口部は、宿主樹の状態により様々だが、通常多くは

水平かあるいは若干斜め下向きである。真下に近い向きは稀である。