タケトゲハムシと、ニホンホホビロコメツキモドキ

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台風22号の影響で宮崎も朝から雨。

今日は、ササやタケに深く関わる昆虫、タケトゲハムシとニホンホホビロコメツキモドキについて簡単に。

2007年転居当初、ササ、タケがびっしりと繁った敷地内の林には一歩も踏み込むことができませんでした。
林の面積は約700坪(2,159㎡)。元々は杉林だったようですが、そのあとにクヌギを植栽しており、ケヤキも
かなり植えてあります。手入れされなくなってからどれくらい経っているのかわかりませんが、カラスザンショウ、
センダン、アカメガシワ、クサギ、ハゼノキ、イチイガシ、アラカシ、モチノキ、などが入っていました。

大量にあるササやタケを伐採し処分する作業は、林業組合に委ねるのがいいと聞いていましたが、
迷いました。私が描く林の姿とは、少しづつ作業を進めるなかで模索していくしかないと考えたからです。
あくまでも自然観察にうってつけの林にしたかったわけです。
自分でも描き切れないものを、第三者に伝えるのは不可能です。
そこで自分一人の力で林の下刈り作業を進めました。まだ刈り残した箇所もかなりありますが、
2年掛けて観察路を確保し、明るく風通しの良い林に整備することができました。

東京で暮らしていた頃にはまったく経験の無かった山仕事ですから、道具類の買い出しやその選び方など、何もかもが新鮮でした。
慣れない作業では、あわや大怪我の一歩手前まで、ということも幾度かありました。

さて、ササ、タケの葉っぱには、タケトゲハムシのしわざが、枯れ茎にはニホンホボビロコメツキモドキの
しわざが、それぞれ多数見つかります。しわざを足がかりに四季折々、昆虫観察を進めることができます。
このことをきっかけに『虫のしわざ観察ガイド』(文一総合出版)の企画を立ち上げたりしました。

タケトゲハムシは九州にだけ分布するとされていましたが、現在では四国でも確認されており、未確認ですが本州にも入っている
可能性は高いと思っています。
タケトゲハムシの体を腹側からガラス越しに見てみました。ササやタケの表面にピッタリ張り付く脚の仕組みがあります。(写真撮影日:2008年3月4日)
たえけ.JPGニホンホホビロコメツキモドキは、メスの顔が左右非対称になっているのが特徴で、ずっと以前から注目していました。
東京にいた頃、その顔を正面から捉えた写真画像は見当たりませんでした。
そもそも重箱の隅をつつくような、そんなことにこだわる人など、世の中ではごく少数派であったのは間違いありません。
私はひねくれた性格でしょうけど、こういうことには異常なほどにこだわります。
「どんな顔しているの?」それを見てみたい!という好奇心と、なぜ左右非対称なのか、その理由を知りたかったのです。
メスの正面から見た顔を写真に撮影したくて、見たくて、そして期待通りに出会いが訪れました。
もちろん、それは敷地内の庭や林で実現しました。
オスはメスと違って、左右対称で普通の顔です。メスだけ、というのが非対称の謎解きのヒントになります。

産卵は、固い竹筒内部の空洞に産卵管を刺し入れて行われます。
(写真撮影日:2008年5月5日)
ニホンホホビロ卵.jpg節と節の間に、原則、一個しか産みません。つまり、節間の密室空間が、幼虫一匹の専用ゆりかごになるのです。
原則と書いたのは、じつは例外も稀にあるからです。それでも結果的には、一つのゆりかごでは一頭の幼虫しか生き残れません。
卵は昆虫のなかでも大型です。しかも卵期は数日間ときわめて短いのです。


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