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新開 孝

マダラハネナガウンカ 2008/08/09
 最初はススキの葉で見つけたのだが、本種は翅を左右に一文字状に拡げ、ペタリと葉っぱに貼付いたように静止していた。しかし、一旦警戒心を与えたためか、その最初のポーズは2度と見せてくれなかった。

 ハネナガウンカの仲間は国内に何種類かいるようだが、種類によっては菌類から汁を吸って成長するものもいたりして、その形態のみならず生態についてもたいへん興味深い。

 当『昆虫写真工房』のギャラリーに「アヤヘリハネナガウンカ」の写真を載せてあるが、本種はハネナガウンカ科のなかでも最大級の大きさがあって、野外でばったり出会ったときなどは驚かされる。しかも大きな翅はシャボン玉のような光沢があってたいへん美しい。

(写真上/E-3   シグマ105ミリマクロ) 
(写真下/E-520  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

新開 孝

スケバハゴロモとハゴロモヤドリガ 2008/08/08
 スケバハゴロモが植物の茎から汁を吸っていた(写真上)。

 「透け翅ハゴロモ」という名前のごとく翅が透けている。ちなみに「スケベハゴロモ」と間違えないように。こう書くとかえって必ず間違えるものだが、、。

 さて、写真のスケバハゴロモは、見たところ特に異常なし、、、、、と一度は判断した。ところが横向きから撮った写真画像をチェックしてみると、わずかに怪しい物体が確認できた。

 そこで両翅を摘んで体側面を見てみた(写真中)。
 左腹部側面にへばりついている桃色の塊は、ハゴロモヤドリガの幼虫である。
 幼虫は頭をスケバハゴロモのお尻の方に向けてしがみついている。スケバハゴロモが飛ぼうが、跳ねようが、振り落とされることはない。もしも振り落とされるようなことがあれば、それはハゴロモヤドリガ幼虫にとっては死を意味するからだ。

 ハゴロモヤドリガ幼虫の頭を見てみた(写真下)。
 スケバハゴロモの腹部表面に口をあてがっている。しかし、どの部分からどのようにして養分を吸収しているのか、接写レベルの拡大率ではまったくわからない。しかし、おそらくスケバハゴロモの体内から養分を掠め取っていることは間違いないだろう。

 ハゴロモヤドリガ幼虫はさらに大きく成長し、そのころには体表面が真っ白な粉に覆われる。白い塊を抱えたまま、何喰わぬ顔をして過ごしているスケバハゴロモや、あるいはベッコウハゴロモたちの姿はけっこう多く見つかる。

(写真上、中/E-520   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
(写真下/E-3      ズイコーマクロ38ミリ+オートベローズ)

 

 
 新開 孝

オオトリノフンダマシの脱皮と交尾 2008/08/06
 糸にぶら下がったまま、脱皮中だったのは、オオトリノフンダマシのメス。
見つけたときには、頭胸部と腹部は完全に抜け、脚が半分まで抜けたところだった。野外でクモの脱皮を最初から観察する機会は滅多に無いが、こうして途中から目撃することはよくある。

 オオトリノフンダマシの脱皮を見ているうちに、いつのまにやら本種のオスが糸を伝わって降りて来た。脱皮行動に気をとられて、オスの接近にはまったく気付かなかった。あっと思う間に、メスの腹部に乗っかると、まだ脚が抜け切らないうちに交尾が始まった(写真上)。オスはメスに比べるとずいぶんと小さな体。

 風のせいで糸にぶら下がったままクルクルと回転するから、撮影はずいぶんと苦労した。クルリ、クリクラと回って腹部背面の独特な紋様が見えた(写真中)。ダランと脚を広げているところは火星人みたいだが、まだ脚がしっかりとしていないからだ。

 しばらくして脚もしっかりすると、全脚をぎゅっと縮めた姿勢となった(写真下)。

 脱皮中だったメスは、この脱皮で成体となったわけで、つまり処女であることは確実。処女誕生と同時にオスは実に見事なタイミングで彼女をしとめたことになる。メスも脱皮中とあっては、相手のオスを選ぶこともできず、好きも嫌いもなく交尾を受け入れるしかなかったのだろう。

 このような交尾の仕方はクモではよくあることなのかどうか?
例えば昆虫のチョウでは、メスが蛹から羽化した瞬間にオスが待ち構えていて即交尾に至ることが観察されている。

(写真/E-520  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 
新開 孝

クロマダラソテツシジミ 2008/08/05(その1)
 クロマダラソテツシジミが九州の鹿児島県へと上陸してからほどなく、宮崎県南部からも次々と発見されたのは去年のこと。

 すでにこのチョウについては、さまざまな方達が調査をし、さらに多くの方がブログ等でも写真や観察文を掲載している。クロマダラソテツシジミの話題はかなり盛り上がっていたようだ。
 ぼくは多くの人が騒げば騒ぐほど、そこに背を向けるひねくれた性格の持主でもある。したがってクロマダラソテツシジミをすぐにも見てみたいとは一度も思わなかった。

 ところが先日、ある方から都井岬でクロマダラソテツシジミが発生しているとの情報をいただいた。宮崎県最南端に位置する都井岬方面はクロマダラソテツシジミに関係なく、たいへん興味を抱いている場所でもあり、去年の秋に初めて訪れたばかり。その都井岬ならば是非とも出掛けてみたくなり、それにクロマダラソテツシジミも一度は見ておこうか、という気持ちも少し湧いてきた。

 さて、現地に着くと車窓からすぐにも、ソテツに絡むようにして舞うクロマダラソテツシジミの姿が多数見られ、拍子抜けするほどだった。
 交尾カップル(写真上)も数組見られ、ソテツの若葉に産卵するメス(写真中)も容易く観察できた。産卵された卵の数も半端ではない(写真下/卵の直径0.5ミリ程度)。これではソテツの被害という状況も想像できるような気がした。クロマダラソテツシジミの幼虫による食害を見かねて、農薬散布での駆除も行なわれるそうだ。

 ソテツを巡りながらの撮影はともかく暑い。日陰で一休みしていると、足下の芝地をそこかしこに歩く、コハンミョウの姿が多かった。コハンミョウは普通種だが、ひさしぶりに見たような気がする。

(写真上/E-520  25ミリレンズ+2倍テレコン+魚露目8号)
(写真中/E-520  50ミリマクロ)
(写真下/E-3   ズイコー20ミリマクロ+オートベローズ)

 新開 孝

母虫集団を発見!! 2008/08/05(その2)
 クロマダラソテツシジミの撮影を一通り終えてから日南市方面へと向かい始めた矢先のこと。車を運転していたぼくは、一瞬その鮮やかな姿を見逃さなかった。

 「いたあ!!」

 大きな声を張り上げて、道の脇に車を停めた。車を降りると急いでいま来た道をダッシュで駈け戻る。「まさか見間違いではないよなあ〜!?」

 アカメガシワの梢を見上げると、やはりいたのであった。アカギカメムシのメス親が。しかも、あちこちの葉裏で数多くのメス親が、卵かふ化幼虫たちを抱えている最中。そのメスの数は2本のアカメガシワで総数20〜30匹以上はいたと推測できる。
 母虫たちはアカメガシワの葉裏にいるので、車道からだとまったくの死角になって気付きもしない。しかし、風のせいか一枚の葉だけが捻れて葉裏側が露出し、しかも一番色鮮やかなメスがそこにいたという二重の幸運に恵まれたのであった。

 今日、都井岬を訪れた理由には、じつはこのアカギカメムシを見つけてみたい、という下心もあってのこと。しかし、この探索はそう簡単にはいかないだろうとも覚悟していた。なにさまアカメガシワはどこにでもたくさん生えているからだ。
 
 八重山諸島での過去の観察体験や人から伺った話でも、アカギカメムシの居場所は意外と局地的であり、どのアカメガシワにでも見つかるというのではなかった。屋久島でも極めてピンポイントでしか見ていない。そんなことを思い起こせば、本来の分布地から遠く北に離れている宮崎県での探索となると、なおさらであろうと言える。

 まだ白い卵を抱えているメス(写真上)、あるいはすでにふ化幼虫を抱えているメス(写真中)、ふ化直前の卵を抱えているメスなど、ステージは様々だった。しかし、なぜかオスの姿はまったく見ていない。

 なお写真上に写っておられる方は、今回、都井岬のクロマダラソテツシジミ生息場所を案内してくれたMYさん。6月にはウラナミジャノメの生息地を案内してくれた方だ。
 MYさんはアカギカメムシは初めて見るとのことで、ずいぶんと感動なさったようだ。OLYMPUS E−420で激写しつつ、これなら絶対、他でも見つかるはず!必ず見つけると張り切っていらっしゃる。大いに成果を期待しております。

 いづれにせよ、ぼくはこの串間市のアカメガシワにこれから何度も通うことになりそうだ。

(写真上、中/E-520  8ミリ魚眼+1.4倍テレコン)
(写真下/E-520    35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

追記/
 この『昆虫ある記』に掲載されている写真は、カーソルを写真上においてクリックすれば、拡大表示(現在600×600ピクセル)できます。
 この写真の拡大表示について、まだ気付いてない方もおられる、ということを聞き及び、あらためてここにお知らせ致します。
 新開 孝

フトハチモドキバエ?、ふたたび 2008/08/04
 仕事部屋の窓にデガシラバエ科の一種が止まっていた(写真上、中)。
 夜の灯火に飛来したのかもしれない。

 5月17日にも同じデガシラバエ科の一種を撮影し紹介した(写真下)。

 5月の個体と本日の個体とでは、体の紋様に違いが見られるが、雌雄の違いであろうか?それとも別種なのか?あとで調べてみたいと思う。


 (写真上、中/E-520  50ミリマクロ)
新開 孝

オオツバメエダシャク 2008/08/03
 早朝の犬の散歩で、オオツバメエダシャクのオスを見つけた(写真上)。
シャクガ科のなかでも最大クラスで、前翅長は45ミリもある。

 しかし、なんだか様子が変だ。よく見れば、アズチグモに捕食されていたのであった(写真中)。 

 本種はうちのライトにもまだ飛来したことはない。手のひらの上に乗せてその大きさを撮影してみた(写真下)。オスだから触角も大きい。


(写真/E-520  50ミリマクロ)新開 孝

ショウリョウバッタの季節 2008/08/02
 ショウリョウバッタのメス成虫を庭で見つけた。体はまだ柔らかいので羽化して間もないようだ(写真上)。

 ショウリョウバッタのオス成虫は先月中ごろからけっこう見かけていたが、メスの方は終令幼虫ばかりだった。ようやくメスの羽化も始まったようだ。

 2日前の夜、メスの幼虫で写真のような赤味を帯びた個体を見つけている(写真下)。ちょっと残念だったのは、この幼虫を逃してしまったことだ。この幼虫が羽化したなら、どんな成虫になっただろうか?

(写真/E-520  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

マタタビ 2008/08/01(その0)
 大きなドングリのような形をしたマタタビの果実。
 熟すと黄色く色付くようだが、そのような完熟の果実をしかと見た記憶が無い。

 マタタビは薬用になるそうだが、これが食用にならないのは残念な気がしてならない。

 マタタビは山間の渓流沿いなどに多いが、ここ三股町では長田渓谷あたりでたくさん見かける。すぐ近所にマタタビが自生しているというのは、嬉しい気がする。

(写真/E-3  シグマ105ミリマクロ)新開 孝

ミナミカマバエという肉食バエ 2008/08/01(その1)
 先月なかばにショウジョウトンボやベニトンボを撮影した池を、ふたたび訪れてみた。目的はミナミカマバエの観察。

 ウェダーも用意していたが、あまりの暑さに使う気がしなかった。しかし、水辺を徘徊するミナミカマバエを低姿勢で撮影するには、ウェダーとそして肘当てがあればたいへん助かる。肘当てはウェットスーツの素材が良さそうだ。

 さて、ミナミカマバエの個体数はかなり多い。今日久しぶりに彼らを観察してみていくつかのことに気付いた。じつはこれまでの観察というのは、秋や冬に集中して行なっており、こうして真夏に観察するのは初めてのこと。
 
 真夏の強烈な日射しを浴びるせいだろうか、体をほぼ垂直に立てて静止する個体が多く見られた(写真上)。このような直立姿勢は、秋や冬の観察ではまったく見ていない。
 ミナミカマバエの特徴として、頭を上げ体を45度まで立てる姿勢をよくとる。この姿勢で鎌状の大きな前脚を構えると、まるでボクサーの姿にも見える。体長は5ミリにも満たない小さな体だが、この特徴ある姿勢でカマバエとすぐにもわかる。
 それが直立姿勢ともなると、もっと目立つのである。

 水辺に棲息していながら、意外や彼らは水面を苦手とする。水面上を歩くのはヘタで、それはまるで飛行艇が浮いている状況にも似ているだろう。飛行艇はプロペラの起こす風力と羽根の揚力によって移動し、水面から飛び立つことができるが、水面上をあちこちと自由自在に移動することは苦手だ。ミナミカマバエもうまく歩けないので、翅のはばたきでなんとか移動して、近くの石や枯れ葉の島へと上陸するのである。

 彼らの獲物はまず動くもの。動くものなら何にでも反応し、すばやく鎌をふりかざすか、あるいは飛びかかる。石の上にふんばったまま、水面下を漂うボウフラもさかんに狙う。ボウフラも動きは俊敏だから、そうそう簡単には捕まらないだろうと思っていたが、なんとオニボウフラ(蚊の蛹)を捕らえて食べているミナミカマバエがいた(写真中)。

 そして、もう一つ今日の収穫は、交尾を観察できたこと(写真下)。

ぼくが所沢市のフィールドで過去に行なったミナミカマバエ観察というのは、もう18年も前のことだが、その秋冬の季節においては、一度も交尾を見ていない。今日の観察では何組かの交尾ペアを見たのだが、やはり繁殖時期というのがあるのだろう。交尾していたメスのお腹は大きく膨らんでいた。
 こうなると、泥中に産卵するものと思われる、その産卵行動も撮影してみたいものだ。



(写真/E-3  35ミリマクロ+2倍テレコン、ディフューザー+内蔵ストロボFull発光/f16/ISO400)新開 孝

ベニトンボ 2008/08/01(その2)
 ミナミカマバエの観察、撮影が一段落してから、池のアメンボやトンボたちを眺めてみた。
 
 今日もベニトンボは2匹いたが、ショウジョウトンボの姿が見えない。



 (写真/E-3  50-200ミリズーム)新開 孝

今日の夕焼け 2008/07/31(その3)
 「夕立と夕焼け」(その1)では、今日の夕焼けはうっすらと赤く染まっただけなどと書いたが、更新アップを終えて夕食に向かおうとしたら、日没の赤い太陽が綺麗に空を染めていた。
 
 縁側に出て、しばし日没の光景を眺めてみた。

 (写真/E-3  14-54ミリズーム)

 新開 孝

葉に化けます 2008/07/31(その2)
 ヒメクダマキモドキの幼虫だろうか(写真上)?敷地内でもっともよく見かけるキリギリス科の一種である。
 この幼虫は自分の居場所を選んでいるのだろうと思う。葉っぱに身を寄せるようにして、微動だにしない。そしてそれが一番落ち着くのであろう。

 体を仔細に眺めてみれば、小さな翅芽が左右合せて2対ある(写真中)。お尻には短い産卵管もあるので、メスとわかる。

 正面に回り込んでみると、何かに驚いたような顔をしている。(写真下)

 ヒメクダマキモドキ?の幼虫を眺めていると、ササで育っていたヒサゴクサキリ幼虫たちのことが気になってきた。もうだいぶ大きくなっただろうか?

(写真/E-520   35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 

新開 孝
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