| ヤマノイモの葉っぱに波形の「切り取り線」を見つけた。
葉っぱの縁2カ所から始まって2本の切り取り線は互いにぶつかる手前で留まっている。したがって、その切り取られなかった部分を折り目として、切り取り線の内側をぺろんと左右どちらかへ折り返せば、そこはサンドイッチ状態となる。 そのサンドイッチの具になっているのは、ダイミョウセセリの幼虫である。
ヤマノイモにこうして作られたダイミョウセセリの幼虫巣は、幼虫の成長に伴い変化する。写真の巣は、ほぼ熟令期のものだが、もっと若い幼虫の巣での切り取り線はストレートな切り取り方で、写真のように波打ってはいない。
幼虫の体が大きく成長すると、当然ながらその体を納める巣のサイズも大きくする必要がある。ヤマノイモの葉っぱは薄くて柔らかいので、大きい断片にした場合には、構造的に弱い。 幼虫巣の造りはいたって簡単で、二枚に折り返した屋根の部分の縁を数カ所、糸で綴っているだけだ。 このとき屋根の縁を波形にしておけば、単調な曲線よりかは構造的な強度が得られるのではないか、と想像している。そしてその強度に助けられて、糸での綴り留めも数カ所に施すだけで済ますことができているのではないか。
ダイミョウセセリの幼虫巣には、建材の節約と建築作業の効率化、という少なくとも2点の工夫があるのではないか、と思った。  | |