| 昨夜のシャクガ幼虫脱皮は、深夜3時を過ぎていた。待機している私にとって、もっとも眠くなる時間帯であるが、ほぼ予想していたことなので辛抱強く待つことができた。おっ、始まったか!5分ばかしウトウトしかけていたが、即座にカメラやストロボの電源を入れ、ファインダーを覗く。脱皮が始まる直前に尾脚(一番後ろの脚)で体を固定すると、幼虫はぶらんと逆さまの格好になった。やはり!!そうしてお尻の方へとグイグイ薄皮が手繰り寄せられていき、お面をはずすようにして古い頭殻を振り落とした(写真上)。 このままどんどん皮を脱いでいくと、幼虫は足場を失いまっ逆さまに落下する。ではどうする?と見ていると、手繰り寄せられた皮がお尻に集まった段階で、体操選手のごとく腹筋力(?)でもって一気に体前半を尾脚の方へと折り曲げ、6対の胸脚で葉っぱにしがみついた(写真中)。 胸脚でしっかり踏ん張り、体を固定すると、今度は尾脚を浮かしてお尻を持ち上げ、シャクトリムシスタイルで落ち着いた(写真下)。そこで皮を脱ぎ捨てると、脱皮終了である。 逆さになって脱皮が始まり終了するまではわずか6分しか経っていない。もっとも脱皮兆候が見え始めたのは30時間以上も前からだ。
シャクトリムシ、つまりシャクガ類の幼虫が脱皮するときは、このような逆さま姿勢になることに私が気付いたのは、8年前のことである。そのときはトビモンオオエダシャクの若い幼虫の脱皮を初めて撮影したときであった。最初は枝から天空に頭を向けて直立姿勢をとっていた幼虫が、脱皮開始直前にだらりと逆さ吊り状態になったときは驚いたものである。その後、野外の林で他の種類のシャクガ幼虫が逆さになって脱皮を待つ姿を散見するようになって、この「逆さま脱皮」がシャクガ幼虫たちの共通する習性であろうと確信に近いものを抱くようになっていた。脱皮を直接観察できたのは8年前の一回きりであったから、今回は確認のためにどうしても見届けたかったのである。 もっともシャクガ類の全てがこのような脱皮をするのかどうかは疑っておいた方が良さそうである。
「アカネズミの死体」
落ち葉の下に隠しておいたアカネズミの死体には、それと判る昆虫は来ていなかった。夏場なら死肉解体業の昆虫たちが、それは賑やかに集まっているところだが。
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