|  |  | | 昨日「はやにえ」1号を見つけたエノキの梢ではイラガの繭も2つ見つかっていた。そのうち1つは部屋に持ち帰ったのだが、イラガの繭を上から見ると(写真上)、矢印で指し示したところに黒い小さな穴があることがわかる。穴の周辺には白っぽい綿くずのようなものまで付いている。私が繭を持ち帰ったわけはこの黒い穴を見つけたからだ。この穴は寄生蜂のイラガセイボウが産卵した痕なのである。そこで今日はさっそくこの繭内部を覗いてみることにした。 繭の外壁はとても固い。まずはアクリルカッターでカリカリと引っ掻くようにして穴枠の溝を掘っていく。ある程度溝ができたら今度はカッターナイフで慎重に繭壁を切断する。そうやって覗き穴ができたところで顔を見せたのがイラガセイボウの幼虫であった(写真下)。この幼虫を傷つけないよう細心の注意を払って穴を穿つ必要があったのである。 糸でできた網状のものはハチの幼虫がこしらえた繭である。それは非常に薄いものだが、強度的にはイラガの繭が固いのでまったく問題ないというわけだ。もちろん外側の繭を作ったイラガの幼虫は、ハチの子に食べられてしまったのである。ハチの幼虫はこのまま繭内で冬を越し、来年の初夏の頃蛹となり羽化する。羽化したあとは繭の壁を内側から時間をかけて喰い破って穴を穿ち出てくるのだ。繭は一見頑丈で安全なシェルターのように思われがちだが、意外にもそうではない。冬の間に鳥の嘴で割り砕かれ、中身がからっぽになった繭もけっこう見つかるからだ。昆虫にとって鳥は恐るべき存在である。今回、持ち帰った繭は中の幼虫を撮影したあと粘土で蓋をしておいた。おそらく来年にはハチの蛹の写真をお見せできることだろう。それにしてもこの固い繭に穴を穿つイラガセイボウのメスの産卵管の仕組みは一度じっくり見ておきたいものだ。
『エリマキアブ幼虫の恐るべき柔軟動作!』
昨日にも書いたようにエリマキアブ幼虫の数が減っていることもあり、先送りしていたビデオ撮影を急ぐ必要ができて今日はほぼこの作業に集中した。ただし幼虫消失の要因として「大半の幼虫たちが地上へ移動」していると、100%思っているわけではないことを補足しておこう。おそらくは天敵による捕食もけっこうあるのではないかと考えているのだが、その根拠となる証拠現場の一つはすでにおさえてある。ちょうど10日前のことだが、エノキの幹でエリマキアブ幼虫がハエトリグモの一種に捕らえられているのを目撃したのだ!そういえばクモたちは自分の体よりうんとでかい獲物をよく捕まえており、そのハンターぶりたるや凄いものがある。エノキの梢を眺めているとよくハエトリグモ類の目線にぶつかるのであるが、かれらはしかと顔を上げ私を睨んでいく。クモという天敵の存在も侮ってはいけない。それとシジュウカラやエナガが群れをなして梢の細い枝先までしきりと丹念に餌探ししているのを眺めていると、これも脅威に違いないであろうと思われる。 で、今日ビデオ撮影したシーンはエノキワタアブラムシを幼虫が捕食する場面であった。なんともこれは凄い!撮った私の腕前のことではなく、そう幼虫の恐るべき動きが!!もうこれは百聞は一見に如かず!残念ながら動画のアップはもう少し先になるので、しばしお待ち願いたい。
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