| 11/17にヤマグワの木に産み付けられたクワコの卵を紹介した。そしてクワコ成虫にはあまりお目にかかれないとも書いた。ところが今日午後2時、羽化したばかりのクワコ成虫に出会ってしまった。(写真上)この場所はキボシカミキリの産卵を撮影したヤマグワの木の並びである。触角が櫛状になっておりオスだとわかる。ムクノキの葉を綴った繭から出て来てそのまま止まっている。ぴかぴかの翅が綺麗だ。よく見るとクワコのうしろ翅の縁が目玉模様になっていることに初めて気付いた。このようにお尻を上向きに反り返したポーズをとっていると、目玉模様が余計に目立つから面白い。今夜にはメスを探し求めて夜空に飛び立つのであろう。夜間ヤマグワを見て回れば交尾しているカップルや、産卵中のメスに出会うのもそう難しくないのかもしれない。 ちなみにキボシカミキリは産卵を撮影してからも毎日オスを見かける。それもつい間近に羽化した新成虫のようだ。ヤマグワを利用するクワコとキボシカミキリが、同じ時期に成虫発生して産卵しているというのも興味深い。 ヤマグワの木につくもう一種の蛾がクワエダシャク。この幼虫も今朝見つけた(写真中)。クワエダシャクはこのまま幼虫で冬を越す。枝に擬態した姿は見事としか言い様がなく、少し目を離すと見失ってしまいそうだ。(写真下)は幼虫を背中側から見たところ。
『ベランダのコアシナガバチ』 10/13にベランダ外壁の植え込みで見つけたコアシナガバチの巣。朝起きるとまずはこの巣を見るのがずっと日課となっていたのだが 今日、午後1時。私の目の前で最後の二匹が巣から飛び去っていった。最後の二匹になったのは数日前だ。こうして少しづつ巣から飛び去っていったハチは新女王なのだが、さて何処でどうやって冬を越すのであろうか。ハチに詳しい同業者の藤丸篤夫さんに先日、話しを聞いてみた。するとさすが藤丸さん!何回か越冬中のアシナガバチを見たことがあるそうだ。いずれも竹筒の中だったという。 さすればこの冬は、竹筒を懸命に見て歩くという楽しみも出来た。 が、これはけっこう厄介な探索でもある。内視鏡レンズを備えたカメラでもないと観察も撮影もできそうにない。
『エリマキ幼虫、歩く!』 仮称、エリマキアブについては新たなコーナーを設けるとは言っても、種名の確定と生活史の全貌を私がまとめることができるのは今後順調にいっても来年の今頃であろうと思う。それまでこの虫について全く触れずに『ある記』を進めるというわけにもいかないだろう。ちょびっとずつだが、書き込ませていただくことにしよう。 さて、かの幼虫は襟巻き状態で微動だにせず、まさにアリジゴクのごとく「待ち伏せ」戦略を常としているのはもう間違いない事実である。何日も同じ枝の、同じ部位に同じ幼虫を見ることができるのだ。しかも私が抜き打ち的に訪れているにも関わらず、捕食シーンに出会うことは珍しくない。一見この待ち伏せ戦略の成果には疑問を持ちたくもなるのだが、あにはからんや、エリマキ幼虫たちのいわゆる「注文の多い料理店」は意外にも繁盛しているのである。もっともエリマキ幼虫の場合、産卵という時点において、母親成虫アブの配慮があると私はにらんでいるのだが。 さて一昨日、私は一匹のエリマキ幼虫が店閉まいして歩み出す瞬間についに立ち会うことができた!タール状の黒色液体を残し近くに移動していた幼虫が、再び動き出したその瞬間でもあった。その歩み方が、実にユニークなのであるが、、、、、!?。しかしこれこそはやはり動画で紹介すべきものだと思う。しばしそれには時間も必要であり、またもや乞う御期待となってしまう。御容赦願いたい。だがしかし、先日触れた驚愕の捕食シーンについては今日、触れておこう。これについてはいろいろ推察なさった方もおられるようだ。幼虫どうしの共食いではないか?とか。それは確かに飼育の当初ですでに観察されている。狭いケース内に2頭押し込まれて、共食いが発生したのであった。しかし、私が是非とも御報告したいのはそれではない。 今になって考えればそういうことがあってもおかしくはない、そう言ってしまうのは簡単なのだ。確かにこの『ある記』でもこれまでエノキの葉からいつゴマダラチョウ幼虫が落ち葉へ移動するのかと、連日注目してきた私ではないか。そうエノキである!エノキワタアブラムシを捕食するエリマキ幼虫が棲んでおるのは、エノキなのだ!だとすれば今のこの時期、エノキの枝を移動するゴマダラチョウ幼虫が「注文の多い料理店」のメニュー項目に入っていたとしたら!?おお!振り返ってみればそうなのであるが、でもそんなあ!?であった。確かにすでにシロジュウシホシテントウを捕食しているエリマキ幼虫を見ている私であるから、そういうシナリオも検討して良かったはずなのだが、前にも書いたようにその一件だけでもって自分の思い込みを解消できなかったのである。一昨日の半狂乱に近くなった私が見た捕食シーンとは、そうゴマダラチョウ幼虫がエリマキ幼虫に吸血されている、その現場であったのだ!! ゴマダラチョウ幼虫は体のちょうどまん中あたりの横腹をエリマキ幼虫の口に捕らえられて宙ぶらりん状態になっていた。エリマキに対してゴマダラの体長は1.5倍はあろう。体重差はいかほどであろうか。とにかく物凄い獲物だ!11/17、午後2時の発見当初、ゴマダラチョウ幼虫はまだ捕獲された直後と見え、生前の姿をとどめていた。それがさすがにこの大きな餌から吸血するには多大な時間を必要とするのであろう。本日、最後の観察をした午後3時に至ってもなお、吸血状態のままなのである。丸2日間以上のお食事である。さすがにゴマダラ幼虫の体もくの字に折れ曲がり、萎れてきてはいる。明日もまたこの壮絶な捕食現場を訪れるつもりだ。
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