| ゴマダラチョウが先日羽化したエノキの枝を少し剪定した。
駐車場へ通じる小道の脇なので、他の誰かにいつバッサリ枝落としされるかわかったもんでない。昆虫観察の自衛策として先手を打っておくのだ。
剪定しているうちに小枝で「ヒモワタカイガラムシ」が見つかった(写真上)。
白い筒状のものはカイガラムシが分泌したロウ物質。
わたしはこれまでロウ物質の中身を見たことがなかったのだが、本日初めて断面を切り開いてみた。
すると白いロウ物質は薄皮でしかなく、この筒の中には橙色の小さな卵がぎっしりと詰まっていた(写真下)。
卵は長楕円形で1ミリにも満たない。筒全体に納まっている卵の数は膨大な数字になるだろうと思う。
この卵が孵化するのがいつ頃で、その幼虫たちがどのように暮らして成長するのであろうか? どこにでも見かけるこのヒモワタカイガラムシについて、私は何も知らない。 もっともヒモワタカイガラムシを見て、これが昆虫の一種と気付く人もそう多くはないのかもしれない。 それほどに昆虫としての存在感が希薄ではあるのだ。 昆虫が進化の過程で植物化する生き方を選んだというようなヒモワタカイガラムシは、まさに生命の神秘を感じさせてくれる。
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