| オオスズメバチ女王の巣作り 2004/05/02(その1) | |  | | | 昨日、中里雑木林に赴いたらこのような注意書きの札がぶら下がっていた。
この場所はオオスズメバチ女王が単独で巣作りを始めた所であり、遊歩道の脇であるから当然の対処であろうと思う。
私が『清瀬の自然を守る会』の会員の方にお話しした結果である。会では自然全般への御理解が深いと思い、しかも中里の雑木林の管理にも関わっているので、今後のことは会の方達と相談するのが順当だと思われた。
こうして札でもって勧告してもらえると、間違ってもいきなり市役所なりへ市民の方から駆除願いが行ったりはしないだろうと期待したいのだ。 もっとも現時点でオオスズメバチの巣作りだと、気付く人は皆無に近いだろうが。
今日、写真の札をかけてくれた会員の方とお話ししてみると、会としてはしばらく様子を見てみたい、ということで少し安心した。しかしいずれは市役所に駆除を要請するともおっしゃる。 私は市役所に駆除を要請することには反対の意志を伝えた。 行政を巻き込むとそこで要らぬ税金を使うことになるからだ。 それと今の段階なら薬剤など使わなくても、巣場所の移設や排除は簡単にできる。 巣が大きな規模まで発展すれば問題だが、現時点では何も恐れる事態は発生し得ない。それまでにはまだ時間的猶予もたっぷりある。 使うべきは人々の頭だ。税金ではない。自然とともに歩もうという『清瀬の自然を守る会』の主旨からすれば、おおいにここで策を練るべきではないだろうか。
ただ、今日の観察ではさらにもう一匹の女王が少し離れた場所で巣作りを始めたことが判明した。 先の女王とは4メートルほどしか離れていない。 帯状に積まれた朽ち木の山は、様々な生き物にとって実に魅力的な巣場所には違い無い。 その中でオオスズメバチだけが疎まれるのも、考えてみれば非常に気の毒でもある。 概ね排除という考えになりかけていた私も、今日の時点ですっかり考えが一転した。
おそらく市役所なる行政を説得するのは不可能だと考えるが、ここはむしろオオスズメバチに営巣させてやるべきではないか! そしてこの場所への立ち入りを禁止するのだ。遊歩道を一部コース変更すればいい。 今や自然を潰し、叩きのめし、生活の都合に併せて改変し、危険とみるやすぐさま排除し、というような横暴を働いて、先人の知恵を大事にしなくなった私たち、日本人は、そもそも雑木林の自然を大事にしようと立ち上がったのであればこそ、ここいらで、我々人間たるものが、一歩下がってみてはどうだろうか。 オオスズメバチの巣は近寄らなければ危険はない。彼らが生きるということは、中里の雑木林が健全な生態系を維持し得ているという証拠ではないか。 現に林床植物を守るという主旨ではロープ柵を張り巡らし、人の侵入を規制しているのである。 これがオオスズメバチのためにはできない、というのでは矛盾しているとも言えるだろう。 住居地域が林に隣接しているからなどという口実で、駆除を優先するのがいずれ行政の考えそうなことだろうなあ。
オオスズメバチの巣を残せ!人がそこを立ち去れ!などと主張するのは私一人くらいだろう。 こういう発言をすれば、ハチから被害を被ったら、誰が責任とるのだ!という議論に終始するのみだ。あるいは「お前は虫が好きだから、そういう身勝手なことを言うのだ。」とも誹られそうだ。
私はなんだかどうせ期待し得ない発展に望みを託すのは止めることにして静観することにした。
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