| うちのマンション裏手には、アブラナ科の一種が群生する草地が狭いながらもある。春ともなれば黄色い花壇となり、いろんな虫がやって来る。そのアブラナの一種は夏、秋にも根生葉を繁らせるので、「モンシロチョウ」や「スジグロシロチョウ」、そしてカメムシの「ナガメ」などが秋遅くまで繁殖を繰り返す。草刈りされてもしばらくすると根生葉が地面から湧いて出て来る。今も青々と葉が繁っていて、七草粥にでも摘めそうだ。 ここはガス工事屋の資材置き場ともなっており、物置き小屋がいくつかある。そこの外壁を見ると「スジグロシロチョウの越冬蛹」が付いている(写真上)。モンシロチョウの蛹もあるが、スジグロの方が多いようだ。 ツマキチョウの蛹!も一つあったが、残念ながらこれは寄生されて体が崩れてしまっている。 ともかくこうして小屋の外壁などであれば、まだ安全かもしれないが、小屋からはみ出た資材などに付いたものは、人為的な移動の際に潰れてしまう可能性が高い。今日も資材が動かされ配置が替わってみると、あらたに二つの蛹が登場してきた。今までは物影になって見えなかったものが、私の目に止まったのだが、これには救出の手を伸ばすことにした。そっと傷つけないように蛹を剥がしていくつか回収したのである。 その蛹を部屋で撮影してみた。チョウの蛹には怪しい魅力を感じて、私は好きでたまらない。 こけしのような蛹には、生命が宿っているのか無いのか、はたまた寝ているのか起きているのか、といったきわどい存在感が漂い、それがいいのだ。 このスジグロシロチョウ蛹も翅のあたりを透かして見ると、薄い緑色のゼリーのようで実に神秘的だ。 スジグロシロチョウの蛹はモンシロチョウの蛹とよく似ているが、写真の矢印で示した突起がモンシロチョウより大きく張り出しているので、簡単に区別できる(写真中)。また蛹を背中から眺めると頭の突起も長いぶん、モンシロチョウよりか、ほっそりした体型だ(写真下)。 | |