| じつを言うと私はまだチッチゼミを見たことがない。鳴き声はさんざん聞いているのに今までに姿を見る機会はゼロである。図鑑を開いても「小枝の上側で鳴いていて、姿がみえにくい。」と書かれているので、あながち私の努力が足りないだけではなさそうだ。「チッ、チッ、チッ、チッ、、、、」という時計の秒針が刻むような音色は、猛暑のなかでものどかな気分にさせてくれる、と私は感じる。愛媛県宇和島市の薬師谷渓谷で午前中撮影したあと56号線を北上し「法花津峠(ほけづ)」へ回ってみた。昼食は途中にあったラーメンの「豚太郎(とんたろう)」に寄る。ここも広くチェ−ン店を展開しており、本店は高知県にあるようだ。味はそこそこ。正油ラーメンが450円。東京ではあまり見かけない細長いモヤシがたっぷり入っているのが嬉しい。セルフのおでんもある。が、しかし今日入った店はどうしたことか、出汁が今一つよろしくない!どこの店でも無難な味という保険が失効中!のようだ。で、法花津峠。ここは宇和海から遠く九州まで見渡せる展望良好な場所(写真上)。展望台から先には手摺などなく絶壁にちかい急斜面となっている。そこには背の低いウバメガシがアカマツとともに岩にへばりつくように繁茂している。そして足下からチッチゼミのあの鳴き声が聞こえてくるではないか。つまりチッチゼミは私の目線よりずっと低い位置に潜んでいるのだ。これは姿を見る、いや撮影できるチャンスではないだろうか!私は頭を左右、斜めとねじっては鳴き声の出所を正確に突き止めようとした。しかし、アカマツもウバメガシもその近くへ寄るにはかなり急勾配を下る必要があり、ロープで確保しないと危険極まりない。悔しいがあきらめるしかない。チッチゼミ撮影にロープを準備!これは教訓として頭に刻んでおかねばならない。山道をゆっくり国道へと降りていると、ミカン畑ではスプリンクラーがゆったり散水している(写真下)。そこから聞こえてくる音が「チッ、チッ、チッ、チッ、、、、」。
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