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クリオオアブラムシ 2007/12/25
 はじめてこの写真を見た人は,どう感じるだろうか?

 真ん中のでっかい芋虫のような生き物が女王のような存在で,飴色の卵を産み落とし,そのまわりには世話役のけらいたちが取り囲んでいるのではないか,そんな想像もできるのではないか。つまりアリのような社会性昆虫を連想するわけだ。

 たしかに世話役たちはみな体が小さく黒い姿がアリに似ているとも言える。大事そうに女王様を見守っているかのような光景にも写る。

 だが真相は違う。

 まず女王様みたくでっかい芋虫は,じつはヒラタアブの一種の幼虫である。
 そしてアリのごとくウジャウジャたくさんいるのは,クリオオアブラムシというアブラムシの一種であり,みんなメスである。びっしりと並んだ飴色の卵を産み落としたのは,このクリオオアブラムシのメス達である。

 クリオオアブラムシの群れのなかで,威張ったようにデーンと構えているヒラタアブ幼虫は,クリオオアブラムシを貪り喰って成長する。つまり女王様どころかクリオオアブラムシの天敵なのだ。しかしクリオオアブラムシには抵抗する術がまったくない。

 喰われても喰われても,クリオオアブラムシのコロニーは膨大な数の卵を残していける。壊滅的な被害を被るわけではないからか,クリオオアブラムシたちは天敵のヒラタアブ幼虫に対してまるで無頓着であるかのようだ。

 このような光景は今の時期,クリをはじめコナラやクヌギの幹の低い場所でよく見られる。さらにクリオオアブラムシに近似種のカシオオアブラムシは,常緑樹のマテバシイやアラカシで見つかるというが,私はまだ観察できていない。

(写真/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 
 新開 孝

アカハバビロオオキノコ 2007/12/24
 クヌギの立ち枯れにカワラタケがびっしり生えている(写真上)。このクヌギは前の住人であった方が切り倒したものだ。

 腐朽菌であるカワラタケは,クヌギの朽ち木を分解していく役目を果たす。するとこの朽ち木を餌として利用できる昆虫や小さな生き物が多数集まってくる。例えばクワガタムシやカブトムシなどの幼虫も潜り込んでくる。

 カワラタケそのものを餌とする昆虫もたくさんいて,オオキノコムシ科のアカハバビロオオキノコもその一種だ(写真中)。オオキノコムシ科は日本には100種近くいてどれもさまざまなキノコに生息する。
 このところ昼間の日射しが暖かいせいだろうか,アカハバビロオキノコの個体数は多い(写真下)。キノコを夢中になってかじっているものから,一生懸命メスを追いかけ回すオスの姿もあってにぎやかだ。


(写真/E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン/FL-36R,2台使用 RCモード)

新開 孝

田上の「おねっこ祭り」 2007/12/23
 来年の小正月にうちの地区(田上)では「おねっこ祭り」が催される。

 これはいわゆる「どんど焼き」である。こちらの地方では「どんど」とは言わず「おねっこ」と言うようだ。今日は午前9時から,その「おねっこ祭り」の準備に私も参加した。力仕事だから総勢は男衆ばかりだ。

 まずは竹林(マタケ)に出向いて組材料の竹をチェンソーで刈り出す作業から始まる。図面を読みながら切り倒した材を必要な寸法に現地で裁断していく。みんなそれぞれに動きながら手際が良い。私などは何一つ知らない立場なので,みなの様子を観察しながら竹材の運搬を手伝った。
 チェンソーや大きなナタを扱うので,それぞれが注意し合わないと危険も多い。皆さんはしかし冗談を飛ばし合いながら楽しそうに作業を進める。その会話の半分程度しか私には解読できないのだが,それでも楽しい雰囲気には惹き込まれていく。

 材料がトラックに積み上げられ,祭り会場となる田んぼに移動する。置きざりにされては困るので慌てて軽トラの荷台に飛び乗った。少しは身軽なところをアピールするつもりで大げさにジャンプしてカッコ良く荷台に飛び乗ったつもりだが,誰も見ていなかったようだ。

 そこで田んぼに着いてからも今度は荷台から勢い良くジャンプして降りてみたが,やはり誰も見ていなかったようだ。まるでこれでは映画のキートンみたいだなあ,と自分でも可笑しくなった。

 さていよいよ「おねっこ」のやぐらを組むとなると,いくらでも手数は必要だ。初心者の私でもできるところでは可能な限り労働を惜しまなかった。これは普段の林の手入れ作業とほぼ同じ形態だ。
 材木やササを抱える,持ち運ぶ,組み上げる,そういった肉体労働には私もすでに馴染んでいる。しかし,それでも今日の作業量にはけっこう疲れた。
 少しは要領よくサボれば良かったのかなあとも思ったが,皆さんの視線も感じるのだ。「新開さんよ,あんたが田上の真の住人と認められるにはね,,,,,,,,,」という重圧的な気配に過敏となるのだ。私はやはりまじめな人間なのだろう。

 「おねっこ」の神体の前には鳥井が建つ(写真下)。これも竹で組んだものだ。

 宮崎ではお寺は極めて稀である。どこに行っても神社がほとんどを占める。まさに神の国なのだ。


 作業は手際良く午前11時半には終了した。すると女性陣4人ばかりの方々が登場しておにぎりやみそ汁の昼食が用意された。田んぼで食べる昼食はなんとも旨い!!特に高菜の浅漬けは旨い!おかわりもしたくらいだ。
 そして卵焼きもでっかい!旨い!こんなでっかい卵焼きは初めてだ。卵焼きに砂糖が入っていないのもいい。私も卵焼きはよく作るが,こんなにでかいスケールでは焼いたことがない。写真で紹介できないのは残念だ(こういうときこそコンパクトデジカメは必要だろうと思った。明日にでも注文しようかと悩む)

 今日はかなりくたびれた作業だったけれど,明るい日射しのもとで食べるおにぎり昼食はほんとうに至福の感極まった。

 来年の1月12日の「おねっこ祭り」本番が楽しみである。初めての経験はこれまでにも数多く体験させてもらったが,田上でのイベントとしてはこれが今年最後となった。

 今年もあと数日を残すのみとなった。

新開 孝

ナガサキアゲハ幼虫にとっては厳しい季節 2007/12/22
 昨日,紹介したナガサキアゲハ幼虫の一匹は,今日になって完全に息絶えていた(写真下)。死因はよくわからないがやはり寒さだろうか?

 そしてもう一匹もどうやら危ない(写真上)。蛹になる前に力尽きてしまいそうだ。

 もうこの時期に蛹まで成長を進めていないと冬を乗り切れないのかもしれない。

 (写真下/E-3 魚眼8ミリ+FL36Rストロボ2台/RCモード使用  写真上は35ミリマクロ+1.4倍テレコン)
 

 『昆虫写真家の思いとは』

 以前,「文章もたっぷりある大人向けの昆虫写真本を出してほしい」というリクエストを何人かの方々からいただいたことがある。私がその手の本を出したのは阪急コミュニケーションズ社の『里山昆虫ガイドブック』と『里山蝶ガイドブック』が最後であってそれ以降は児童書のみしか出していない。おそらく今後も児童書しか出せないだろうと思う。

 残念ながら今の日本の世間一般では,自然志向の風潮が高まったとはいえ,やはり昆虫という生き物に興味を抱き関心を寄せる方々というのは,特に大人の世代においてはきわめて少数派でしかない。
 もう少し広げて昆虫以外の自然界の生き物に対象を向けても事情はそうは違わない。自然の生き物に興味を抱くことが特殊な世界だという認識が大勢を占めている以上は仕方が無い。マニアと言い放す感覚で麻痺している人の方が多勢なのだ。
 そういう中で自然写真家という職業(昆虫写真家も)が成り立つ条件というのがいかに厳しいかはお判りいただけるかと思う。

 例えば虫に興味を抱くのは子供の時期で,それはまさに子供の遊び相手であって,ある歳頃からは虫を卒業して,もっと別の現実的な社会に関心を向けるべきと考え,そしてそれを実行するのが当たり前との考えを疑うことなく実践している方も多い。多いというかそれが当たり前のようだ。

 私は自分の仕事として虫を探し歩き,あるいは虫を呼び寄せるために自分の敷地の林を整備したりまでする。これは仕事だからと胸をはって言えるのだが,世間ではそれをどうしても仕事とは認識し得ない方の方が多い。それも当たり前。

 どうしても虫などは子供の慰み,あるいはおもちゃだという認識しかもてない大人の多くの方はもういくら説得しても無理だと思う。大人というのは個人差もあろうけれど,社会人として熟成した方々だ。

 したがって私が昆虫の世界を紹介しようと力を入れるのはこれから将来のある子供達だ。そしてその子供達に影響力の強いお母さん方なのだ。ゴキブリを見て大騒ぎするお母さん方こそ,ほんとうはもっとも影響を及ぼしたい方々なのだ。
 子供はお母さん達の日々の言動をびったし吸い上げている。まさに鏡となっている。
 そのお母さんが忙しい家事の合間でも「ほらこんな虫が面白いことしているよ」という眼差しをもっていただければ,子供もゲームやスポーツばかりでなくもっと多様な感覚を養えるのではないかと思う。
 夏休みの昆虫観察会などでは,じつは子供たちとそれ以上にお母さん方にたくさん参加して欲しいのだ。いや子供抜きでもいい。お母さんだけの観察会こそやりたいのだ。顔をそむけて虫を見ようともしないお方々に,少しでもいい,「虫って案外可愛いのね」そう言わせたいのだ。それだけでもいい。少しでも関心を寄せることが大事なのだ。

 書店に並んでいる児童書を選ぶのは子供自身であっても,最終的に買うかどうかはお母さんの判断にかかっている。お母さんが自然や昆虫に興味が薄ければ,子供の情熱も伝わりにくいだろう。

 もちろん一方では自然や昆虫に興味を深く抱いてる,特に熟年層の方々の情熱にも一緒になって突き進みたい気持ちも強い。そういう方々の熱心さは,それをなんとか若者たちにも伝えてみたいくらいに思う。
 
 環境問題に社会的な関心が高い一方で,そこらへんに咲いている植物や虫けらの名前すら知らない人の方が多い。温暖化だどうだと騒いでみても,真に自然を見ようとはしていないから滑稽になる。

 自然の移り行きを自分の直感力で感じとることができれば,ほんとうはそれが一番ではないかと思う。それには少しでも自然を理解しようという姿勢が大事であり,例えば一つには虫のこと草木のことに関心を寄せることから始まるのではないだろうか。

新開 孝

ナガサキアゲハ幼虫の今日 2007/12/21
 先日の13,14日に紹介したナガサキアゲハ幼虫は,2匹のうち1匹は今日になって体調が悪くなったように見受ける(写真上)。そっと触れてもまったく反応がない。

 もう一匹の幼虫は軟便もしており,盛んに糸を吐いていたのでうまくいけば明日あたりには前蛹になっているかもしれない。

 霜が降りるような冷え込みが続くと,さすがに幼虫たちにとっても厳しいのかもしれない。


 (E-3  35ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 今朝は午前6時半に家を出て,宮崎県北部の延岡市に向かった。明日からは天候も崩れるようだったから,少し無理をして出発した。しかし,車中のラジオで天気情報を聞いていると宮崎北部ほど天候の崩れは早いということだ。そこで急遽,予定を変更して鰐塚山へと向かった。
 ところが鰐塚山の林道はまだ大雨災害の復旧工事で通行止めのままだった。ギリギリのところまで車を乗り入れてみたが,河川敷での改修工事も大規模でありこれはとうぶん車での入山は無理だとわかった。

 午前中いっぱい三股町のお隣の北郷町の山間部をロケハンしながら回ってみたがさしたる成果も無く,一旦うちに戻ることとなった。

 今日の動きは失敗だったと後悔した。ほんとうは串間市のフィールドに行くべきだったのだ。天候も南地方ほど安定していた。昨日行きそびれた目的地に行くのが正解だったのかもしれない。

 宮崎県各地のフィールドをまだまだほとんど把握できていない現状では,どうしても無駄な動きが多くなる。新開 孝

四本足との遭遇とは 2007/12/20
 今朝は林の手入れ作業を2時間ほどやってから,さらに来年の東京行き航空チケットの手配などを済ませていたので家を出るのが遅くなってしまった。
 今日は串間市の山間部をロケハンする予定だったが,現地に到着する時刻はすでにランチタイムになってしまった。

 もちろん串間市で昼食といえば,「マルチョン」と決まっている。1000円もする「特製ラーメン」は,その楽しみをひとまず先送りすることにして,今日は「ラーメン」と「焼きめし」を注文してみた。合せて1000円だからちょっとぜいたくなランチだ。
 「ラーメン」はその店の顔みたいなメニューだろうから,やはり一度は食してみなければ。出て来た「ラーメン」は期待通りの文句無しのスープ味,そして私好みの具材の取り合わせであった。スープは豚骨しょうゆ味というところだろうか。庶民的なおとなしい味だ。
 
 さて昼食後に向かうはずの山間に行く手前で,串間市の野鳥公園に立ち寄ってみた。遠目に照葉樹林が目に入ったからだ。そこでちょっと公園の遊歩道からそれて林に潜り込んでみれば,一本の立ち枯れの樹洞が気に掛かった。よく見ると樹洞の穴に獣の爪が引っかかっているのだ(写真上)。なんだかとても怪しい。
 
 ほぼ私の目線の高さで近づけば数センチの距離だ。そこに四つ足の爪先が見えているわけだ。いったい何だろうか?と不思議に思っていたのだが,そっと枯れ枝で突いてみれば,フンギャア!!とばかりでっかいぬいぐるみが樹洞の天井の穴から飛び出したのであった。こちらもびっくりした。

 なんとムササビだった(写真中)。

 しかもこのあと,私の目の前で大きくジャンプして,見事な滑空を披露してくれた。昼間にそんなシーンに出会すとは意外であり,滑空を見るのは初めてなのでほんとうに感激した。ムササビは滑空したあと杉の植林の大木に着地して姿を消してしまった。

 ムササビが休んでいた樹洞を仔細に見てみればめぐら用の詰めものが数カ所の穴ぼこからはみ出していた(写真下)。ちょっと気の毒なくらいお粗末なねぐらだったようだ。
 
新開 孝

安全対策とは 2007/12/19
 自分の所有する土地のなかに雑木林があるというのは,昆虫写真家という職業上たいへん有り難いことである。永い間夢見てきたことが実現したのだから嬉しくてたまらない。どれだけ小さくても狭くても毎日すぐにでも観察できるフィールドを得ることは日頃から細かい観察が行き届くのだから,地味であってもそういう環境が大事なのだ。

 しかし現状はそう甘くはない。たしかに今年の夏を振り返ってみれば,うちの雑木林では樹液レストランが賑わい,東京にいたころにはほとんど撮影できなかったシーンが,次々と撮影できて仕事は捗った。
 
 だがそれはマクロレンズの世界では通用しても,少し広い画角となると荒れた林の姿となってしまいいかにも情けない。さらに今後の林の遷移を考えても,今の雑木林はいづれササ薮に埋もれてしまうのは必至だ。ササの繁茂によてクヌギがどれも活力を失っているのである。

 そこでこの冬は林の下刈り大作戦に明け暮れる日々を送っている。

 斜面林での作業はとくに危険も多くなる。先日はまぶたを怪我したが,その前には顔面を太いホテイチクの幹で強打してあわや眼球直撃かという危険な場面もあった。斜面の上から伐採したホテイチクが滑り落ちて来たのだ。
 そこで思わぬ事態に対処する防具を調達してみた。ま,フェイスガードというお手軽な装具なのだが,これも着用しないよりかはたしかに有効な手段だろうと思える。

 
新開 孝

モンキアゲハの越冬蛹 2007/12/18
 照葉樹林の斜面を歩いてみた。場所は鹿児島県,財部町。

 林内のあちこちに巨石があって,その巨石が庇になったところは何だか怪しい。
怪しいというのは,そこに例えばスズメバチの巣などあるのではないかという期待が湧くのである。あるいはそこにマムシがとぐろを巻いて私を待っているかもしれないとワクワクする。
 もっともこの時期にマムシに出会えるチャンスは少ないと思うが,数日前にはヤマカガシがまだ活動していたから油断はできないだろう。

 さて,アラカシの大木が巨石に根を這っていたのだが,今日は意外な発見をした。
写真上の矢印先の割れ目に注目していただきたい(写真上)。

 なんとその割れ目に垂れた細い根の一本にモンキアゲハの越冬蛹がついていたのである(写真中)。

 なんとも格好良いスタイルである。モンキアゲハの蛹の体はほぼ直角に反り返っているのが特徴。
 辺りを見渡してみれば,2メートルほど離れた場所にカラスザンショウの大木があった。蛹となったモンキアゲハの幼虫が,そこで成長したことはほぼ間違いないだろう。

(写真上,中/E-500  魚眼8ミリ)
(写真下/E-3    50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 新開 孝

タイワントビナナフシ 2007/12/17(その3)
 先月の11月5日,玄関の植木でタイワントビナナフシを見つけた。そのタイワントビナナフシのことは以前に紹介したこともあるが,それからずっと飼育してきたのであった。

 餌はヤシャブシの葉っぱをよく食べてくれる。一緒に飼っていたトゲナナフシ2匹はすでに数日前に死んでしまったが,タイワントビナナフシはまだ元気でいる。

 昆虫の飛翔やジャンプなど,通常の撮影では難しいシーンなどはいろいろと特殊な装置を使う。今日はタイワントビナナフシの滑空シーン(写真)を撮影するべく室内セットを組んでみた。

 昔,銀塩フィルムカメラを使っていたころはEOS-1 RSがあればタイムラグを気にすること無く光電管センサーを使えていたが,今のデジタル一眼レフカメラになってからはタイムラグが大き過ぎて,例えば石ころを落とすような簡単そうなシーンですらセンサー使用での撮影はできない。で,仕方なくそういう撮影の場合はフィルムカメラを使うことにしていたのだが,先日,すっかり忘れ去っていた機材が私の手元に戻ってきた。
 それはKakoの高速応答シャッターという装置。すでにこの製品は販売されていないがたしか購入した当時(10年くらい前)で5万円くらいしたと思う。

 さっそくテスト撮影したのが今日の写真。
 タイワントビナナフシは高い梢から飛び降りるときなどに翅を開いてパラシュートのように使ったりするようだ。

(写真/ EOSキッスデジタルN  シグマ50ミリマクロ+KaKo高速応答シャッター+オムロンの対向式小型赤外線センサー+KaKo高速閃光ストロボ HS-22を2台+通常のスレーブストロボ2台使用)
新開 孝

モズのはやにえ 2007/12/17(その2)
 うちのクヌギの梢でマイマイカブリ幼虫(写真上),すぐそばのクリ林のクリの梢ではトノサマバッタ(写真中),カエルの一種(写真下)などがモズのはやにえで立てられていた。

 はやにえは暖かい日には多く立てられる。それは獲物をたくさん得ることができるからだろう。
 逆に霜が降りたような寒い日の午前中などは,次々とはやにえを探し出しては食べるモズの姿を見ることができる。

 はやにえはどうして立てるのか,それについての様々な研究例があるが,いくつかの説があって真相はかなり複雑のようだ。

 いづれにせよモズが立てたはやにえは厳冬期の貯蔵餌にもなり,またモズだけでなくこれを他の鳥や昆虫まで利用しているのも面白い。
 はやにえをついばんでいく鳥は,例えばこれまでにヒヨドリ,シジュウカラ,ジョウビタキなどで観察したことがある。
 また昆虫ではクロスズメバチが,クビキリギスやイナゴのメスのはやにえから卵だけを頻繁にかじり取っていくのを撮影したこともある。

 一時期,私がモズの撮影にのめりこんだのもモズの生活を見ていると昆虫のことや他の生き物についてのしがらみを教わることができると感じたからだ。
 私が生まれ育った松山の,それも重信川という河川敷や農耕地にはたいへん濃い密度でモズが棲んでいた。河川敷の草原などは絶好の観察場所だったが(実家のすぐ前)そこも後年しだいに荒れてしまい,立ち入ることも不可能なくらいササやぶとなってしまった。

 人里の自然とは人がつねに働きかけているからこそ,人里固有の自然環境が成立しそこに様々な生物の棲む世界が安定していく。そういう意味では今の私の住む敷地内の林や草原は,そこがいかに様々な生物で成り立つ豊かな自然環境になりうるかどうかは,私の意識しだいなのだ。

 怪我しても,二日酔いであっても,やはりここは頑張って林を草原を手入れせねばならない。その基盤造りの時期が今なのだ。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン) 
 新開 孝

ツワブキの花のお客さん 2007/12/17(その1)
 今朝は少し晴れ間が出ていたが午後からどんより曇ってたいへん寒くなった。

 日射しがあるうちは庭のツワブキの花にたくさんの虫が訪れていた。ツワブキの花もそろそろ終わりに近いが虫たちにとっては貴重な餌場となっているようだ。

 ウラナミシジミの後ろ翅には眼玉模様があってさらに尻尾のような尾状突起があるので,そこが偽の頭に見えるとも言われる(写真上)。たしかにそんなふうにも見えないこともない。鳥がこのチョウを見つけたとき,思わず頭と勘違いしてはねの後ろをついばんでしまうなら,翅が破れるだけでチョウは逃げることができるという筋書きだ。ほんとうかどうかはよくわからないようだが,そういう想像をしてみたくなるのが我々,人間なのだ。

 コハナバチの仲間もよく来ている。彼女らは成虫越冬するのだろう。春から夏にかけては子育てのために花粉団子をよく持ち帰って行くが,今のコハナバチは蜜を吸うだけだ。花粉を集める必要があるときの彼女達の動きはたいへん目まぐるしいが,今はゆったりと過ごしている。

(写真/E-3  50ミリマクロ+1.4倍テレコン)新開 孝

モンシロチョウ 2007/12/16
 今の時期,ここ宮崎県南部の三股町ではまだモンシロチョウが飛んでいる。庭のツワブキの花を訪れたり,畑のブロッコリーやアブラナに産卵していく姿も見かける。

 さて写真は昨日の朝に撮影したもの。
 道路の脇に生えていた菜っ葉(種類はわからない)が穴ぼこだらけになっていた(写真上)。

 よくみれば黒っぽい小さな糞粒が葉の付け根にころがっている。そっと葉をめくると霜を避けるようにモンシロチョウの幼虫が潜んでいた(写真中)。

 この株には他にも6匹の幼虫が潜んでいたから(写真下)菜っ葉も穴ぼこだらけになるはずだ。

 どの幼虫もほぼ成熟しているのでそのうち蛹になると思うが,気温が低いので成長は遅いようだ。

 モンシロチョウは基本的には蛹で冬越しすることになっているが,日本本土の暖地では幼虫で越冬することもある。沖縄などの暖地では冬でも成虫が飛んでいるそうだ。三股町では成虫で冬越しするものもいるのだろうか?
 
 (写真/E-500 50ミリマクロ+1.4倍テレコン)

 『忘年会』

 昨夜は小学校PTAの忘年会だった。
 会場は三股町役場の近くにある寿司屋さんだったが,偶然にも少し前にこのお店で昼食をとったばかりだ。ちょっと贅沢なランチではあったがたいへん美味しかった。滅多に寿司屋の暖簾をくぐることはないが,さらに驚いたことにこのお店はうちの子の担任の先生の,実家ということだった。
 忘年会には父兄,先生あわせて40名位が出席し,ゲームの催しには皆が子供のごとくはしゃいで楽しかった。こういう雰囲気の忘年会は初めての経験だ。

 二次会はパスしようと帰り支度をしていたら,PTA会長に拉致されてしまった。
二次会はすぐ道路をはさんで隣の小さなおでんスナック(?)だった。これまでカラオケは唄ったことがない私だが,初めてマイクを手にした。ちょっと自分でも不思議だった。唄った曲はイルカの『なごり雪』。

 普段は25度の焼酎をロックで飲んでいるが,昨夜は20度のお湯割。これは飲むペースがちと違ってくる。

 今朝はなまった体をほぐすべく,林のササ刈りに精を出した。
 作業中,切断した枯れササがいきなりはねて目に飛んで来た。あわやというところで反射的に眼をつぶったのだが,まぶたにおもいきり打ち当たってしまった。出血はなかったのでそのまま作業を続けたが,あとで鏡を見てびっくりした。まるでプロボクサーのパンチをくらったごとく派手な傷となっていた。

 しかしうちの雑木林のササ刈り作業もかなりはかどってきている。
 年内に少なくとも全体の3分の2程度は下刈りを終えそうだ。

 
新開 孝

簡易ライティングシステム 2007/12/15(その2)
 フォーサーズカメラで魚眼8ミリの近接撮影や,あるいは2倍以上の高倍率撮影を行なう際にはストロボの使い方にも一工夫が必要だ。
 
 先日から使い始めたばかりのOLYMPUSストロボ/FL-36Rのスレーブモードはこういうときにたいへん重宝する。まずは写真を見ていただければいかに簡単なセッティングであるかがわかる。

 6ミリ厚,幅4センチ,長さ30センチのアルミプレートにカメラとストロボ2台を取り付けるだけ。ストロボの固定には附属のフラッシュスタンドで,カメラはベルボンのクイックシューアダプターを使ってみた。
 ストロボの発光部には市販のディフューザーを被せてある。

 写真では魚眼8ミリをつけているが,このシステムでは35ミリマクロと2倍テレコンの組み合わせで最大に繰り出してもちゃんと光りが回る。
 作例は(その1)に紹介してあるので見ていただきたい。

 FL-36Rはスレーブモード+マニュアルモードにしておき,カメラの内蔵ストロボもマニュアルで最小光量の1/64にセットしておく。内蔵ストロボの光りの影響をできるだけ無くしておかないと,とくに魚眼8ミリで撮影する場合には影響してくる。   
 テスト撮影してみて驚いたのは,晴れた自然光下でしかも逆光条件であってもちゃんとスレーブ機能が働くことだ。内蔵ストロボの発光角度とFL-36Rの受光センサーの角度はまったく相対していないにもかかわらず,うまく発光するのである。FL-36Rのスレーブモードはたいへん優れているようだ。もっとも太陽光がもろに当たると稀にストロボが誤発光することもあるが,その逆の発光できなかったケースは皆無であったから実用上はまったく問題ないと言えるだろう。

 このシステムではストロボのダイヤル回転操作だけで光量調整が出来るから,撮影結果を順次見ながら,2台のFL-36Rの光量比をいろいろ細かく選ぶこともできる。
 マクロフラッシュあるいはツインマクロストロボはOLYMPUSや他社でもいくつか機種があるが,ツインマクロストロボではケーブルが邪魔になることと,でっかいコントローラがカメラのアクセサリーシューに乗っかることになるのでカメラのホールディング時のバランスも悪く,意外と扱いにくい面もあるだろう。
 その点,今回紹介したやり方では全体にスッキリしホールディングも安定している。そして,何といってもストロボを外せば様々な使い方ができて凡庸性が高い。ストロボとカメラの固定用プレートはちょっと工作するだけで良く,カメラザックの隙間に納まる大きさだ。

新開 孝

テスト撮影 2007/12/15(その1)
 (その2)で紹介したライティングシステムで撮影したのがこちら。

 (写真上/中)は魚眼8ミリに2倍テレコンを組み合わせて撮影。レンズは最大に繰り出してある。ツワブキの花に来たウラナミシジミと,ニシキギの実。

 (写真下)は35ミリマクロに2倍テレコンを組み合わせて最大倍率で撮影したもの。 ツワブキの花に来たツマグロキンバエ。

  35ミリマクロと2倍テレコンを組み合せれば,35ミリ判換算で最大4倍の接写が可能だが,テレコンの影響で露出倍数が余計にかかる。レンズの絞りがF22だと内蔵ストロボとディフューザーの組み合わせでは光量的に無理がある。しかしストロボFL36Rを今回のように2灯使うシステムでは光量的にも余裕ができる。

 もっともライティング効果から見ると,今回のシステムで仕上がる写真には日常に体験している視界感覚と違和感がある。ツインマクロというやり方は影のでにくい無難な写真が撮れるけれど,撮影条件などを考慮してから有効に使いたい。
 ストロボの使い方は被写体の条件に適した方法をそのつど選んでいけばいいので,その選択肢を日頃からあれこれ備えておくようにしている。

 (写真上,中/E-3  8ミリ魚眼+2倍テレコン)
 (写真下/E-3   35ミリマクロ+2倍テレコン)
 新開 孝
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