| クヌギクチナガオオアブラムシ 2006/10/13(その1) | | 大きなクヌギの幹で、多数のクロクサアリが群れている(写真上)。
クロクサアリはクヌギの根際の空洞内に営巣しており、そこから樹上へと列をなし餌探しに出掛ける。彼らの餌の多くはアブラムシ類が出す甘露と呼ばれる汁である。クヌギには多種類のアブラムシがついているが、そのほとんどが高い梢の枝や葉っぱで生活している。
ところがアブラムシのなかでも、クヌギの低い場所に好んで生活するものがいる。そのアブラムシは「クヌギクチナガオオアブラムシ」で、幹の表面の窪んだ谷間に体を埋めるようにして群れている。 クロクサアリが幹に縦長く群れているのは、このアブラムシの甘露を摂取するためだが、ときには土や木屑を塗り固めて、「アブラムシの谷」を完全に覆い隠してしまうことも多い。
このクヌギクチナガオオアブラムシは、自分の体長よりかはるかに長い口吻をもっており、その口吻から繰り出される口針はさらに長く、その口針をクヌギの幹内に深く差し込んで植物の汁を吸い上げる。クロクサアリにとってみれば、アブラムシはまさに栄養供給ポンプ、あるいは食物供給ポンプという役割を果たしているわけである。だから、このアブラムシを彼らが大事そうに取り囲んでいるのであり、あるいはその餌資源の魅力に囚われてしまっているのかもしれない。 アブラムシをきちんと撮影したいので、なんとかアリたちを一時的にでも排除しようと息を吹きかけたり、筆でかきとったりしてみるが、すぐに戻ってきてしまい自分たちの体でアブラムシの谷を覆い隠してしまうのである。
クヌギクチナガオオアブラムシは、通常一匹のメス成虫とそのメスが産み落とした子供たちとで一つのコロニーを形成していることが多いようだ。どうやらクヌギの幹表面の谷間の一つ一つの面積は小さいので、どうしてもアブラムシが離れ離れとならざるを得ないのではないか、と想像する。
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