愛媛の冬、ふたたび

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 昨日も書いたように、この八幡神社では20年ほど前にサツマニシキの幼虫を見つけたことを思い出したからだ。神社を左手に見ながら反時計回りに裏参道へと車を乗り入れてみた。ちょうど車3台が止められる駐車スペースがある。

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 正月の飾り付けなどで境内は忙しそうに働く人の姿があった。その脇をすり抜けるようにして、鎮守の森のなかを歩いてみた。
 少し薄暗い森のなかのわだちを歩くうち、20年前の記憶がふと蘇ってくる。あのときは、「山ちゃん」と呼ばれ多くの方から親しまれていた虫屋のYさんに、この森を案内してもらったのであった。Yさんが何を探していたのか、その記憶はもう無い。少なくとも甲虫類をねらっていただろうことは確かだ。しかし、私はたしかにこの薄暗い森のなかで、サツマニシキの鮮やかな色彩をした幼虫を拾ったことだけはしっかりと憶えている。初めて見る幼虫の姿に驚愕したのは言うまでもないが、その当時はサツマニシキの食樹を知らなかった。

 だが、やはりあった。サツマニシキの食樹、ヤマモガシが。その幼虫を拾ったあたりと思しき場所にちゃんとあった。

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 ヤマモガシをこうして見るのは久しぶりのこと。そして、20年前にサツマニシキの食樹を知っていたなら、ここでしつこく幼虫の姿を探し求めたはずだ。まるで極彩色の消しゴムのような本種の幼虫をただただ感心して眺めていたが、じつを言うと、そのときにはサツマニシキという種名すらも知らなかったし、持ち帰っても食樹がわからないからとそのまま地面に戻したのではなかったろうか。たぶんそうだったように思う。

 サツマニシキは幼虫で越冬をする。同じマラダガ科のホタルガ幼虫のように若齢で越冬するのだろうか?それならば探すコツもわかるはずだがと思いつつ、しばらくヤマモガシを舐めるようにして探索してみたが、食痕一つ見当たらなかった。

 ヤマモガシの樹から森の中の景色へと目を移すと、森のほぼ中心部にシイ類の巨木があった。

 まるで森の天井を支える大黒柱のような存在に見える。

 森の地面には下生えが稀であり、木々の間隔もゆったりしている。

ふと見ればヤマモガシの2メートル先に、ヤマビワが生えていた。下枝はほとんどなく、ひょろりと背丈を伸ばして樹冠部へと突き抜けている。

 このヤマビワを見た瞬間、私にはスミナガシの越冬蛹がすぐそこに見つかるだろうと思えた。
ヤマビワの幹を地面の根元へとなぞり、そしてそこから程遠くない辺りに、越冬蛹がぶら下がっているはずだ。その一連の視線移動をしていくと、なるほど、やはりスミナガシ越冬蛹と目が合った。

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 私の直感は当たったわけだ。
もうしっかりと見慣れたスミナガシ越冬蛹のシルエットには、2メートル先にあっても私の視線を吸い付けるような吸引力さえ感じさせる。

 いや実際、この森の中は蛹探しにはもってこいの条件が揃っていた。
まずはヤマビワの木の数が多いこと。そしてその下生えはほとんどなくすっきりしていること。
そのような状況からして、スミナガシ幼虫が蛹場所を選ぶときの、その幼虫の心理というものが、私には手に取るようにわかる。

 数分後にはさらに2頭目の蛹が見つかり、、、、、、、、、、、。
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 1時間と経ないうちに全部で6頭のスミナガシ越冬蛹を見つけ出すことができた。
私がこの冬に見つけたスミナガシ越冬蛹は、宮崎の三股町での成果を加えると、これで計8頭ということになる。
 いや別に見つけた数を誇るつもりではない。しかし、スミナガシの幼虫がどんな場所を蛹化場所として選んだのか、その道筋を想像し辿るというのは、けっこう楽しいのである。これこそ、昆虫観察の醍醐味の一つではないか、そう思える。

 そして、今回の6頭の越冬蛹を撮影しながら気付いたことは、その色彩にはたいへん個体差があって、バラエティに富んでいることであった。
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 スミナガシ越冬蛹の姿は枯れ葉への擬態という表現がふさわしいのかもしれない。
しかし、私にはそういった生物学的な説明よりも、もっと単純に惚れ惚れとするほどの魅力を感じる。
やがてスミナガシの成虫が羽化誕生してしまえば、ただの抜け殻となってしまうはかなさゆえ、ますますその造形美に心酔してしまいそうだ。

 八幡神社を出てから、国道沿いにあった「大介うどん」で遅い昼食をとった。
「大介うどん」はセルフサービスでうどんのトッピングを選べるシステムだ。麺は小さな笊に盛られてあって何杯ついでも料金は同じ。いつもなら3杯程度のところを、この日は5杯もついでしまった。
蛹の数に合わせて6杯、、、、とも思ったが、さすがにドンブリに盛りきれない。
 
 うどんは、やはり四国で味わうべし!    久しぶりにうどんの美味しさを堪能できた。








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