アミメカゲロウ目の最近のブログ記事


ツノトンボの孵化は午前中に行われ、それも正午前頃が多いようだ。

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写真はすでに卵塊の全てが孵化し終えたところだが、最初の孵化が始まったのは

午前11時過ぎのこと。数多く並んだ卵の孵化タイミングにはバラつきがあるが、

孵化時刻には斉一性があってそのバラつきはおよそ30分以内におさまるようだ。

幼虫の姿はよく知られたアリジゴクにそっくりである。

この幼虫たちはいづれ地表へと降りて行き、チリチリばらばらに分散する。

ツノトンボの幼虫は肉食であり、獲物を待ち伏せする点でもアリジゴクの生態と似通って

いる。

それであるにも関わらず、産卵場所が地表より高い(30~40センチ程度)位置に

決まっているのはなぜだろうか?


さて、先日のこと。近くのハルニレの樹液にやってきたカブトムシのオス。

最初は変なカナブンかい!?と思ったくらい、チビ介。

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写真右のチビ介は、標準サイズのオスと並べてみるとその大きさがよくわかる。

「なに、これ!?アハハハハハ、かわいい~!」

とは、嫁さんの反応。

私もこんなミニサイズのカブトムシは初めて見た。

こうなると、さしずめ関取の太ももにしがみつく小学生である。勝負にもならん。

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( 写真全て: EOS-7D EF-S60ミリマクロ )



水辺の撮影

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シオカラトンボの撮影は午前中おこなった。すぐ近くの谷戸である。

そこは隣町、都城市の山之口町になる。

青空が気持ちよいので、シオカラトンボの生息環境の絵もおさえておく。

先月にも同じ田んぼを撮影したが、今日のほうがダントツに条件がいい。

ここでもイノシシの被害は深刻だ。どの田んぼも電気柵で囲ってある。

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以前、牧場の電気柵は触れるとけっこうビシッ!!とくるので用心していたが、

写真のイノシシ用電気柵は手で触れてもほとんど感じない程度の電流だよ、と、

ちょうど居合わせた農家の方が教えてくれた。

ここの谷戸では昨年、ホウライチクにたくさんのアブラムシがついていて、

ここにオオテントウがいなければ嘘だろ!と思っていた。

しかしどうやらタイミングがうまく合っていなかったようで、ようやく今日になって

オオテントウ成虫の姿を確認できた。

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川向こうなので証拠写真程度しか撮れなかった(200ミリレンズでやっと)が、、

今日のところは他の撮影が目的であって、そちらが思った以上に順調にいったので、

オオテントウはまた次の機会に出直すことにした。

今日のように天候に恵まれ、予想以上の成果を得るということは、ほんとうに久しぶりの

ことだ。しかし、正午近くになって雲が出始め今にも雨が降り出しそうになり、

一旦家に引き揚げた。午後から宮崎牛の撮影も控えていた。

今日の谷戸の田んぼは、全部無農薬だそうだ。小規模でやっていること、人の出入りが

少ない閉鎖的な環境でもあることなどから、無農薬でもほとんど害虫被害が無いそうだ。

なるほど田んぼにはいろいろな水草が多く生えている。

私がシオカラトンボの撮影場所に選らんだ田んぼには2列ほど稲が植わっているが、

それ以外は休耕田そのもの。水生昆虫の天国みたいな水辺環境だ。

ほんとうは稲作をする予定だったが、2列田植えをしたところで田植え機が不調となり、

修理して直ったところで他の田んぼの田植えを急ぐことになり、そうこうするうちに

苗床が無くなってしまった、という説明を受けた。

つまり本来なら休耕する予定ではなかった田んぼのわけである。

そこがしかも無農薬。見ていると泥底には無数のヤゴがいて、コガタノゲンゴロウを

はじめさまざまな水生昆虫の密度が高い。

さて、家に戻ってみれば、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

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ツノトンボの卵が一斉に孵化していた。生まれたての赤ちゃんにしてはなんと凄いアゴ!


今日は待ちに待った、特注水中撮影用ハウジングが届いた。

このハウジングの紹介は明日。


悪い予感は当る

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今年は雨が多い。

3年前ここへ引っ越して来た当初、家の中にはムカデ、ゲジゲジが頻繁に現れた。

その年も雨がよく降ってジメジメとした日が続いた。

ふとそのことを思い出す。今年もムカデ、ゲジゲジが増えるのではないか。

もっとも私はそれほど困らないが家人は当たり前に騒ぐ。

家の中というのは人にとって快適な環境だが、他の生きものにだって良好な棲みかとなる。

それにいちいち文句つけていたらキリが無い。

さて、話は遡って先月、3月29日に日南市で見つけたヘビトンボの蛹。

その蛹が一昨日の夜に羽化したようだ。

そろそろ羽化間近とわかり羽化台となる枝を蛹部屋に接するように置いておいた。

昨日の朝、羽化台の下に蛹の抜け殻がころがっていることに気付いた。

XA180480調整.jpg蛹は蛹部屋を脱出して羽化台の枝かあるいはケースの縁あたりで無事に羽化したのだろう。

急いでヘビトンボの羽化成虫を探してみたが、どうしても見つからなかった。

撮影スタジオのなかをあちこち探し回っているうちに、壁面を歩くアシダカグモに目が止まった。

幼体だから小振りだが、ありゃ!?と嫌な予感がした。

私がヘビトンボを見つける前にアシダカグモが、、、、、、、、、、、、、、。

悪い予感は的中した。

XA180448.jpgさすがにアシダカグモだ。

私は一旦捜索を諦めて外出してしまったのだが、

アシダカグモが羽化してまだ弱々しいヘビトンボを見逃すはずがなかった。

部屋の隅っこに黒い翅が見えて喜んだのも束の間、すでにクモの餌食になっていた。

羽化台丸ごと飼育ケージで囲っておかなかったことを悔やんだがあとの祭りだ。


今現在、ヤママユとウスタビガの幼虫を飼育している。

数も多いのでコナラの水差しに幼虫をつけているが、これを囲ったりはしていない。

糞がたくさん落ちるので糞受けに大型の衣装ケースを使っているだけだ。

家のなかで徘徊するクモはアシダカグモだけではない。

小型のハエトリグモ類もいる。こういうクモが幼虫を捕食するかもしれない。

かもしれない、ではなく充分危険だ。ゲジ、ムカデもいるし。

ヤママユ、ウスタビガの幼虫たちはもうしばらくすると野外の樹に引越しさせる予定だから、

それまでの保護策を講じないといけない。まあ、軽い素材の網でも使うか。


(写真:オリンパス E-PL1 45ミリマクロ  )



噛み付く蛹

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今朝、5時50分頃、ヤママユが一匹ふ化した。

昨日、隣の林のコナラで見つけた7個の卵のうちの一個だ

さて、先日見つけたヘビトンボの蛹。

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ちょこんと触ってみれば、すぐに反応してよく動く。

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いや過敏に動くだけでなく、大アゴで噛み付いてくる。

蛹部屋に隠れてはいるが、もし外敵が侵入したとしても反撃することができるのだろう。

もっとも、この頑丈な大アゴは防衛手段のためというよりか、

蛹部屋の壁を破って脱出する際に必要となるのであろう。




孫太郎虫

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今日は日南市の飫肥城跡近くを流れる飫肥川の河川敷で観察会が行われた。

もう鯉のぼりが風になびいていた。海辺のほうでは「鰹のぼり」というのがあるらしいが、

一度見てみたい。

L1295504.jpg午前10時始まりだったので、少し早めに家を出て日南市酒谷の渓流に立ち寄ってみた。

ねらいはヘビトンボ幼虫の撮影。

川に近づくと目の前をヤマセミが上流へと飛んでいった。朝陽を浴びてじつにカッコよい。

ヘビトンボはアミメカゲロウ目に属し、私の大好きなカマキリモドキと同じ目になる。

前々から気になっていたが、ようやく幼虫を撮影することにした。

冷たい川水の中の石ころを10分ほどひっくり返してでっかい幼虫が見つかった。

体長は6センチほど。

JX2998303.jpg素手で捕まえたら、ガブリと噛まれた。2、3回噛まれたがたいして痛くはなかった。

大アゴは発達していて他の昆虫を捕食する。

JX2999422.jpgそれでも顔つきは恐くない。ヘビトンボ幼虫の全体像はムカデのようでもありこういう生きもの

を苦手とする方なら、かなり恐怖心を抱くとは思う。

ヘビトンボ幼虫は成熟すると上陸し、石の下などに蛹室を作ってそこで蛹になる。

蛹はカマキリモドキやウスバカゲロウなどと同じように、歩くことができて噛み付くこともする。

いよいよ羽化が近づくと(蛹期間は10日間だそうだ。ちなみに幼虫期間は1~3年。)、

蛹は蛹部屋から這い出し、翅を伸ばせる高所に定位して羽化脱皮を行う。

その羽化の瞬間を見てみたいと思っていたが、

観察会の帰り道に立ち寄った川べりの朽木で、ヘビトンボの蛹と前蛹が見つかった。

JX2999571.jpg先にも書いたように、蛹といえども手を出すと噛み付いてくる。


今日の観察会は参加メンバーが少なく、お母さん方が4名、そして子供が3名だった。

観察会はしかし、せいぜい10名くらいが上限でありできるだけ少ない人数の方がいい。

だから今日はゴージャスな観察会だったと思う。

お母さん方達と昼食をとりながらのお話も、いつもと違って井戸端会議みたく日常的な

会話となった。

※ ヘビトンボは分類学上、これまでのアミメカゲロウ目ヘビトンボ亜目ではなく、

ヘビトンボ目とされることもあるようだ。ご指摘いただいた方にお礼申し上げます。



日南市、南郷亜熱帯植物園。

じつは、先日訪れたこの園内では、もう一種、気になるアミメカゲロウ目の昆虫を見つけ

ている。

園内の「トロピカルドーム」のすぐ横の、石垣の中に産み付けられた卵である。

L12220144.jpg石垣の中に一個ずつ合計6個が確認できたが、固めて産むのではなく、それぞれ孤立して

いる。

JX2289812.jpgそれはどう見てもクサカゲロウ類の卵だが、紡錘型の卵というのも初めて見るものだ。

画面奥に白くぼやけて写っているのも卵。卵を吊り下げている糸の長さは5ミリくらいだ。

この産卵場所が選ればれた理由とは、雨が凌げることではないだろうか、と想像する。

それにしても奇妙な形の卵だ。

石垣の周辺を注意深く見てみたが、アブラムシのついた植物など何もない。

この場所に産卵した理由は雨を凌げること、乾燥していること、くらいしか思いつかない

ようなまさに人為的な環境であろうと思えた。

JX2289913.jpg見つけた卵のうち4個を持ち帰ったのだが、そのうち1個が本日の午後になってふ化した。

W22563391.jpgふ化した幼虫は、背中にびっしりと長い毛を生やしている。まるでヤマアラシのようだ。

大アゴは短くて頭長とほぼ同長。前屈みの姿勢のため大アゴを撮影するのは難しい。

クサカゲロウ類の幼虫の特徴を備えてはいるが、かなりの変わり者である。

※本種は、フトヒゲクサカゲロウ属の、オオフトヒゲクサカゲロウではないかと思われる。

本種の情報については千葉大学 応用昆虫学研究室のサイト図鑑を参考にさせていた

だいた。










私の虫の探し方は、主にルッキング(目で見て探す)に頼っている。

なので、長いこと昆虫写真をやっている割りに出会った虫の種類数は少ない。

昆虫採集学を駆使し、本格的に採集をしておれば、何倍、いや何十倍もの種類数の昆虫

に出会えていただろう。

もっともたくさんの種類数を目にし、手にしたところで、標本の同定作業をきちんと行わない

と、出会った昆虫の顔ぶれを憶えることにはならないのだが、、、、。


さて、先日22日、日南市の南郷亜熱帯植物園で、息子が素手で捕まえた虫が次の写真。

 JX2593201.jpgクサカゲロウの一種だが、こんな色模様の姿は初めて見た。

柔らかい体のクサカゲロウを上手に手のひらに挟んで捕まえたのは息子のお手柄だ。

明るい草地でクルマバッタを追いかけていたときだった。

クルマバッタのオスは数多くいたが、とくにでっかいメスは稀で、確認できたのは3匹

程度だった。

うちへ持ち帰ってから撮影していると、クサカゲロウのあの独特なニオイが漂ってきた。
W22463262.jpgいやしかし、この姿はなんとも謎めいている。

L1222005.jpg亜熱帯植物園の山には常緑照葉樹林が濃く残っている。

こんな森を眺めていれば、まだまだ謎めいた昆虫たちが姿を現すのではないかと

期待が膨らむ。こういう森は宮崎南部各地のあちこちで見られるが、

ただ残念ながら平地林はほとんど皆無に近く、森の中を彷徨うのは容易ではない。

(写真上/ E-620 ZUIKO D 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )

(写真中/ E-520 ZUIKO D 14-42ミリズーム改造 )

(写真下/ E-P1  M.ZUIKO D 14-4ミリズーム )

※ 本種は、フトヒゲクサカゲロウ属の、セアカクサカゲロウ、ではないかと思われる。

写真同定については、千葉大学 応用昆虫学研究室のサイト図鑑を参考にさせて

いただいた。