羽化

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昆虫が育つ上では、かならず脱皮を何回かおこなう。

これを変態というのは誰でも知っていることだが、「変態」と口に出して言うのは

なんとなく誤解を招きそうで、これを「変身」などと言い替えたりする。

さて、昆虫が成長を遂げて最後に行う脱皮が、「羽化」である。

幼虫時代にはなかった翅が成虫ではちゃんと揃うので、「羽化」というわけだ。

ここで「羽化」の「羽」がなぜ「翅」と書かないかは、よく知らない。

ところで、世の中では「羽化」と「孵化」がよく混同されて使われていることが多い。

「孵化」は、幼虫が卵から生まれ出てくることを指す言葉だ。

なぜ「孵化」と「羽化」が混同されてしまうのか?

これも理由はよくわからないが、ニワトリの孵化に「誕生」という強い認識があって、

昆虫の場合に成虫へ変身を遂げること(「羽化」)を、これも誕生と捉えるとき、

認識度の高いニワトリの「孵化」が、そのまま昆虫の羽化に置き換わるのであろうか?

私がいろいろな方と虫のお話をしていると、

この「孵化」と「羽化」を取り違えている人に出くわす機会は少なくない。

その取り違え方は、孵化を羽化とする場合と、羽化を孵化とする場合の

両方あることからも、これは「う」と「ふ」の発音が似ていることからくる混同かもしれない。

つまり漢字を念頭に入れてお話していないからかもしれない。

すると、昆虫の誕生日というのはいつを指すのだろう?

卵が産み落とされた瞬間か?それとも孵化したとき?

人間の感覚からすれば、やはり誕生日は孵化の日ではないだろうか。

そして強引に当てはめるならば、羽化は成人式?ということか。

羽化と孵化の違いを説明するとき、この誕生日と成人式という言い替えなどは

わかり易いかもしれないが、これはこれでまた別の誤解を招きそうだ。

前置きが長くなったが、

今朝はベニシジミがやっと羽化した。

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だいぶ前、このブログで3月に蛹化を紹介した蛹が羽化したわけだ。

地面近くの草むらで羽化するベニシジミは、

翅を伸ばす場所を求めて、しばらくはチョコチョコと歩きまわる。

( 写真/  E-3  ズイコーデジタル50ミリマクロ+2倍テレコン )


シジミチョウ類の羽化は、たいへん素早いという印象が強い。

もちろん個体差もずいぶんあって、今朝のベニシジミは幸いにもゆっくりと羽化してくれた。

しかし、大概は速いのであって、蛹から抜け出すシーンを撮影するとき、

以前は連写モードを使っていたことがある。

その場合、ストロボの発光間隔も連写に同調させる必要があるので、

ストロボの電源には積層電池を使うか、ストロボの光量を最低に設定して

台数で光量を稼いだりしたものだ。

パリッと蛹の頭部に割れ目が入った瞬間シャッターを押し込みあとはカメラまかせ。

ビデオ撮影だと回し続けていればよく、フォーカス移動に専念できるからやり易い。

しかし動画では蛹に割れ目がはいる前の段階から絵が欲しいから、

羽化の少し手前のタイミングで撮影ボタンを押せるようにしないといけない。

私はオオミドリシジミの羽化をビデオで何回か撮影しているが、

そのタイミングを掴むまでずいぶんと苦労した。
















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