キチキチばった、ふたたび

| | トラックバック(0)
昨日、ゲンジボタル発生地の下見をしていると、クヌギの梢にぶら下がっていた。

PXB70506.jpgこのヤママユの繭殻は昨年の夏に羽化したもの。繭糸の色はすっかり褪せている。

繭の大きさからしてメスのものだろう。

うちのヤママユ幼虫たちはまだ葉っぱを食べ続けている。

ショウリョウバッタのことを、キチキチバッタとも呼ぶのは、飛翔するときに翅が擦れて

「キチキチ、、、、、、、」と音を立てるからだが、これはオスのみで、

メスは軽いジャンプしかできないので、発音はしない。

XA274944.jpg写真はショウリョウバッタの1令幼虫。キチキチと音を立てるようになるのは成虫。

ところが「キチキチバッタ」という和名は、もともとショウリョウバッタモドキにつけられていた、

ということが『日本昆虫記』(講談社、1967)のなかで書かれてあった。

ええ!そうなんだ。ショウリョウバッタモドキという不名誉な名称はあとで決まったことらしい。

ショウリョウバッタモドキは飛んでも、音がしない。音がしないのでは、

キチキチというのは非常に不適切、とされモドキに改名されたのである。

つけられた和名が、虫の形態、習性、分類学上の位置付けなどにふさわしくないとされ、

変更されることは少なくない。和名変更では不評を買うこともあり、その典型が

ウスバシロチョウをウスバアゲハにしようと提唱されたケースだが、結局ウスバアゲハは

定着しなかった。山手線をE電にしようとした改悪が、あっけなく頓挫したようなものだ。

ところで、アリスアブという和名が、アリノスアブに改変されて、これが定着しつつある。

私は以前、自著「珍虫の愛虫記」(1999)でも書いたけれど、アリノスアブという和名には

馴染めない。アリスアブという和名を改変する根拠は誤解をうけないようにという、

まさに説明的な名称にこだわるゆえなのか。しかし改変する理由が希薄に感じる。

、あえて馴染まれた和名を改変する必要があるのだろうか?と不思議でならない。

アリノスアブという名称に違和感をおぼえる人は私だけではないようだ。

もっともショウリョウバッタのように、アリスアブはメジャーな?虫ではない。

和名が変わろうが、どうしようが、あまり騒がれることもないように見受ける。



さて、本日から四国へ移動。

しばらく、この「ひむか昆虫記」は更新をお休みします。


(写真上:オリンパス EPL-1 M.DIGITAL 9-18ミリズーム )

(写真下:オリンパス EPL-1 LEICA 45ミリマクロ  FLー36R使用 ) 
« きちきちバッタ       農業用水路を掬う »