カマキリヤドリバエ

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先週の4日、オオカマキリの幼虫を見つけたはいいが、

その幼虫の体から寄生バエの蛆が出てきたことを書いた。

そして、オオカマキリ幼虫の寿命はそう長くは無いであろうと諦めていた。

ところがである。

一週間たった今日にいたっても、幼虫は獲物を食べてはお腹を肥やし元気に生きている。

さて、今朝のこと。


庭に出てヤママユの繭が羽化していないか点検などして、玄関に戻った。

ふと足元の植え込みにあるツワブキに目を落とせば、葉うらにオオカマキリがいた。

なんと、しかも幼虫が。

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まだ幼虫がいるのかあ!?と驚いたが、むこうから私の懐に飛び込んできたようなもの。

しかし、待てよ、と疑ってみた。こやつも寄生されているのではないか?

カマキリを手にとってみれば、やはり疑いは適中。

背中に寄生バエの卵が2個産みつけられていた。

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腹部の脇には傷のような痕跡もある。腹部全体の色模様もまだらになっている。

どうやらこのカマキリ幼虫の体からも蛆虫がすでに脱出したあとかもしれない。

以前、「インセクタリュウム」でカマキリの寄生バエの記事を読んだことを思い出し、

バックナンバーを調べてみた。

すると1993年の8月号に「カマキリに寄生するヤドリバエの生活史」(岩崎 拓)という

記事が見つかった。当時はざっと流し読みしただけで、しっかりと読んでいなかった。

この記事によれば、カマキリヤドリバエの寄生を受け、なおかつ蛆虫が体外に出ても

寄生を受けたカマキリが全部死んでしまうわけではなく、

生き延びて成長する個体もいる、と書いてあった。

なるほど、そういうことだったのか。

寄生を受ければ何らかのダメージが残り、大抵は死に至ると思い込んでいた。

こういう宿主に大きなダメージを与えない寄生を捕食寄生と区別するか、

あるいは連続的な現象なので、区別するべきではない、という考え方の両者がある。

カマキリヤドリバエの場合、宿主のカマキリが必ずしも死ぬわけではない、といっても

死ぬ個体もいることにはいる。その死因を厳密に特定する必要もあるだろうが、

やはりカマキリの生活に何らかの影響を与えるのではないだろうか?

例えば、寄生を受けることで成長が遅れたり、生殖活動にマイナスダメージが残るとか。

この時期になって幼虫で見つかるというのは、寄生を受けたことが影響している可能性も

あるのではないだろうか?


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