まゆ、ヤママユ、カイコ

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ヒバリが上空に舞い上がって忙しく囀っていた。

畑の畦道ではギシギシやスイバの葉が立ち上がり始めた。

もう春は近いのだろう。

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人社会と結びつきが大きい昆虫と言えば、

養蜂のミツバチと、養蚕のカイコが筆頭に挙げられる。

さて、

今の時代、養蚕業とはどうなっているのだろうか。

昨日、綾町の工房で窺った話では、全国で養蚕を営んでいるのはわずか300軒程度。

しかし昨年、国による繭の買い上げ助成金がカットされたことから、一気に半減するだろう

ということだった。今では中国の安価な繭が輸入されており、

繊維業界で使われる絹糸のほとんどは中国産である。

九州での養蚕はどうなっているかと言えば、

宮崎県で数軒、そして熊本県で4軒程度という状況。高齢化に伴い今の世代限りで

廃業になるところが多いらしい。

国内における養蚕業の衰退を見るにつけ、とくに九州では厳しいだろうとほとんど

諦めていたが (どこを走っても桑畑を見ないからだった)、

宮崎県内に養蚕から織物を製品化するところまで行っている工房がある

と知っったのはつい最近のことだった。

私にとっての処女出版は偕成社の「ヤママユガ観察事典」(1998)。

蛾をテーマとして取り上げた次の本はポプラ社の「どこにいるの?シャクトリムシ」(2007)、

そして同じくポプラ社「いのちのカプセル まゆ」(2008)。

蛾という昆虫の魅力を私なりに写真絵本という形で表現してみた。

昆虫趣味という好事家の狭い世界ではなく、広く世の中の方に興味を向けて欲しい

という願いも込められている。

カイコについてはすでにいろいろな本が出ていることもあり、

私は資料カットとしてカイコの生活史を撮影はしてきたが、養蚕業そのものの撮影には

取り組んだことがない。身近に養蚕業が無かったことも理由としてある。

しかし、「綾の手紬染織工房」の方から声を掛けていただき、

養蚕の現場を取材し撮影してみようという気になった。

もちろん養蚕だけでなく、糸を紡ぎ、染め、織るところまでの工程にも

たいへん興味が湧いている。

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