『薩摩古道』を歩く

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[ 宮崎県 都城市 山之口町 ]

三股町のすぐ北隣が、山之口町である。

国道269号線を走りながらいつも気になっていた、城山。

標高335mの小さな山だが車窓から見る限り頂上まで照葉樹林で覆われている。

これまでその山頂までの道がわからず、足を踏み入れることがなかった。

2万5千分の一地形図を眺めてみると、どうやらルートがあるようだ。

淡島神社なら知っている。そこから今日は少し歩いてみた。

数年前までは無かった「薩摩古道」という標識があちこちに立てられ、

少し道が整備されていることに驚きながら進んでみた。

『薩摩古道」入り口の淡島神社にはスダジイの巨木(樹齢400年とある)がある。

3Z5A1336スダジイ巨木.JPG車が置けるよう整備された河原を進む。そこから先は人が歩けるだけの狭い道になる。

3Z5A1206.JPG薄暗い照葉樹林内を進むとほどなく、レンガ造りのトンネルがあった。

奥行は20メートルほどだが、屈んでようやく歩ける背の低いトンネルだ。

3Z5A1170トンネル1.JPGしかし、このトンネルは脇道。どうやら水を通すトンネルではないだろうか。

先は明るいが入っていく勇気はない。

つい最近の倒木に思われる。でっかいスダジイが道を塞いでいた。ここは思い切り

しゃがんで通り抜ける。気をつけないと背負ったザックを引っ掛けてしまう。

3Z5A1201.JPG「薩摩古道」は古大内川に沿って奥へと続く。渓流を右手に見下ろしながら歩むが、

道は狭い。うっかりすると滑落しそうだ。こういう渓流の河原をイノシシの親子が

歩いているのを見かけることがある。今日も足元から若いイノシシが飛び出したし、

対岸の茂みでガサゴソとイノシシらしい物音がしきりと聞こえてきた。

3Z5A1197薩摩古道1.JPG深く掘り下げられた道を進む。木の根っこの土が洗い流され、むき出しの根元が目の前に

迫る中を歩く。まるで地中探検をしているような気分にもなる。いい感じだ。

3Z5A1216.JPG途中明るい場所もある。ヤマノイモの種子だろう。

3Z5A1203.JPGズンズン進むとやがて広い林道と合流した。

この林道を進むと日豊本線の信号所に出た。ここは複線になっており、上下線が離合する

場所でもある。ここ以外はほとんどが単線である。

3Z5A1270信号所.JPGこの信号所の手前50メートルほど戻った所にもトンネルがあった。

3Z5A1231.JPGトンネルは日豊本線の下をくぐっており、こちらは天井も高く、これでも車が通れる

構造である。真ん中には古大内川が通っているが、ここを跨ぐようにして走行できる仕組み

だ。川が増水したら危険だろうが。

結局、今日は城山山頂ルートそのものには入れなかった。

山頂を仰いでみれば、なんと北側斜面はスギ植林であった。

IMG_3809城山.JPG上写真画面左がご覧のようにスギ植林。つまり269号線から眺めていたのは写真画面

右側の樹林であったのだ。実際、今日歩いて気づいたのは、遠目には鬱蒼とした

照葉樹林のように見えてはいても、あちこちにスギ植林の浸食が入っており、

山の森はズタズタにされていることがよくわかった。少しイヤ、かなりがっかりした。

3Z5A1278スカシダワラ.JPG帰り道、目の前の梢に「透かし俵」があった。

この繭を紡いだ幼虫クスサンは、すぐ傍のクスノキで育ったものと思われる。

照葉樹林の規模は以前から想像していたよりか狭いことがわかったが、

それでもうちから比較的近い場所で、渓流沿いの林などはキノコ類も多く、

昆虫観察にも期待が持てそうだと感じた。

淡島神社に入る道は小型自動車一台がギリギリの道幅だが、

別ルートで林道もある。

ただしこの林道は今盛んにスギ伐採作業が進んでおり、大型トラックが出入りするため

運悪いと離合することができない。作業休止の日曜日なら林道から入れそうだ。

私は平日に入りたいので、こういうときはスーパーカブが活躍する。


( 使用機材:EOSー5DマークⅢ、キッスデジタルXi6、EF17-40ミリズームL、

 EF100ミリマクロL )


一昨日、「このブログは近々、休刊します。」と書いたら、

「あんたのことだから、それは休肝の間違いでは(笑)」と突っ込まれた。

たしかに、それも言えてますが。

雑誌が休刊すると言う場合、たいていは「廃刊」を意味する。

「ひむか昆虫記」は2009年に始めたが、その前身の「昆虫ある記」は

2003年11月からオープンした。つまり合わせれば昨年の11月でブログ更新は

9年間続いたことになる。10年に届かず中途半端かもしれない。


宮崎に移転してから今年の3月でちょうど丸6年ともなる。

宮崎でのブログ更新がほぼ6年を迎え、そろそろ区切りをつけてもいいだろうという

思いが半年くらい前からあった。昨年の11月、「昆虫ある記」も合わせて

9年目を迎えたことからそこを一区切りにして一旦、打ち切ろうとも考えたのだが、

忙しさにかまけてズルズルと続いてしまった。年賀の挨拶では迷いもあって、

続行宣言までしてしまったが、やはりここは正直に撤回したい。

ブログという形でいろいろ昆虫観察を中心に綴ってきたが、

自分でもマンネリ化したことが気になり、もしも続けるとすれば

「新・ひむか昆虫記」という新たなスタイルをとりたい、と思うようになった。

「ひむか昆虫記」は今後、3月一杯までは更新を続け、

宮崎に来てから6周年目を記念して終了としたい。

ここは区切りとして敢えて年度にこだわろうかと思う。


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