匍匐前進も虚しい日とは

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私に通勤時刻はない。朝には「さあー、仕事始め!」と自分で唱えるだけ。

しかし、退社時刻もないので、一日のどこからどこまでが仕事か、判然とはしない。

ときには虫から仕事をせかされることもある。

脱皮が間近、羽化が間近、産卵しそう、、、、。食事中だろうが、何しておろうが、

カメラの前にかじりつかねばならない。 家族の団欒を幾度となく、抜け出した。

突然、食卓から去ってしまう父親の姿を見て、幼い子供たちは、どう感じていたか。

今頃になって、少し考えるようになった。

朝、余裕をもって「さあ、これから仕事だ。」と言える日は、少ないかもしれない。

だが、虫からせかされるほうが楽ではある。

大概は、待てども待てども始まらないドラマに、期待の重みを抱え、

エネルギーを消耗する。   待つことに苦しみを感じ取るとき、これが結構キツイ。

緊張感を損なわずに、楽観的な気分でいられるように、仕向ける。それが、コツ。


我が家の林を歩くことが、仕事初めの日のこともある。

今朝はいい天気だった。   シイタケもだいぶ出てきた。 覗きに行く楽しみもある。

701A6939.JPGジョロウグモの巣網は、よけて歩くのも難しいほど、多い。

701A6966ジョロウグモ.JPGしかし、ずいぶんとくたびれたものだ。 ここまでボロになったら、一旦回収して(食べて)

作り直した方がいいのでは、と余計な心配をしたくなる。  まだ、産卵は少し先だろう。

少し遅目に山中のフィールドにでかけ、昼前に戻った。

山中といっても片道25分程度だ。 これが助かる。 フィールドまで近い、これが大事だ。

田舎暮らしでは日常生活で車を使うことが格段に多くなった。

清瀬にいたころのように、電車や自転車で、とはいかない。

ガソリン代の支出には神経を遣うようになった。  

我が家を目前にして、路面のトノサマバッタが目に入った。 とにかく数が多い。

交尾カップルもいたので、一旦、車を家の駐車場に入れてから、

歩いて戻って撮影してみた。 

IMG_7255トノサマバッタ交尾.JPGこのところ、交尾カップルの近接撮影には、ことごとく失敗している。

個体差もあるが、1メートルも寄ると、決まってカップルが解けて、飛散してしまうのだ。

それで今日は、まず望遠ズーム300ミリ端で撮影してみた。

路面に腹ばいになってカメラを構えた。こういう場合、カメラマンベストのポケットに

小物をあれこれ詰めていると、痛くて辛い。いや怪我しそうだ。普段、ベストのポケットには

極力、小物を入れないようにはしている。だいたい、詰め込むと膨らんで、カッコ悪い。

カッコも、大事だ。

望遠で撮影したあと、魚眼レンズに替えて、そっと匍匐前進した。

しかし、あっと言う間もなく、雌雄は別々の方角に飛んで逃げてしまった。  やっぱりな。

路面に腹ばいになっていられる時間は短い。  通行量は少ないとはいえ、車はすぐ来る。

目の前で、次々とトノサマバッタが轢かれた。

701A7095.JPG ( 写真:    Canon EOS 5D Mark III     EOS Kiss X6i

        EF24-70mm f/4L IS USM、  EF8-15mm f/4L FISHEYE USM、 

        EF70-300mm f/4-5.6L IS USM    )
















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