なぞの、、、、、穴、そして後悔。

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クヌギの梢で営繭したヤママユ。

今朝、その繭を見上げてみれば、なんと小さな穴がぽっかり、開いていた。

X33120114.jpg営繭直後にはなかったから、ここ数日内に開いた穴だ。

いったい誰の仕業か!?   この繭は予定していた仕事の撮影には使えなくなった。

ちょっと、いやかなり残念。

はしごに登って思案していると、オオスズメバチのでっかい女王がやってきた。

X33120133.jpgカメラのレンズにつきまとうので、どうしてもフォーカスがこない。 これも困った。

刺すつもりはない、つまり攻撃的ではない、ということは何となくわかるが、

それでも耳元でブオ~ン、ブオ~ンとつきまとわれると、あまりいい気持ちがしない。

ゆっくりとはしごを降りたが、それでもオオスズメバチは離れない。

こういうとき、パニックになって急いで逃げようとはしないことだ。ともかくゆっくりと離れる。


さて、問題の繭の穴だ。

X3312021.jpgよ~く、見てみると、穴の縁は繭の外側にめくれている。

どうやら、穴は繭の内側から開けられたようだ。

すると寄生バチとか、寄生バエの仕業だろうか?

気になるので、繭を枝から取り外し穴のところから切り開いてみた。

X3312057.jpg繭のなかには元気におしりを回転させる、蛹がいた。

蛹の外皮をくまなく調べてみたが、どこにも異常が見当たらない。

蛹は触角の形状から、メスだとわかる。

では、蛹はまったく無傷でなんともないのだろうか? 穴は誰の仕業なのか?


そこで、この繭を紡いだヤママユ幼虫にいったいどんな事態が生じたのかを、

想像してみよう。


まず、この幼虫は野外で採集した卵から飼育している。

もしも寄生バチや寄生バエに産卵されたとするなら、そのタイミングは越冬中の卵の時期か、

あるいは、野外のクヌギに移した時点と考えられる。

この幼虫は4令期に室内飼育から屋外クヌギの梢へ移し、袋がけ飼育したのだが、

袋をかける前から寄生昆虫が、梢ですでに待機していた可能性もあるだろう。

その確率はきわめて低いと考えたいが、完全に否定もできない。

寄生を受けたタイミングというのも、どうも腑に落ちないのだが、それを置いとくとして、、、、、

さて、では寄生昆虫の脱出口が開いているにもかかわらず、

蛹が無事なのはなぜか?

もちろん謎の穴が寄生昆虫の脱出口と仮定してのことだ。



繭のなかで幼虫が前蛹のときにすでに寄生昆虫が幼虫の

体外へ脱出し、蛹化とともにその脱出口が修復されたという推測はどうだろう。

じつは、この謎の穴と同じような穴を昨年の真冬にも見つけたことがあり、

以前に「昆虫ある記」で紹介したことがある。そのときの穴はもっと小さかったが。

で、その繭内部にはカチカチになった蛹が入っていたものの、

蛹に外傷は見当たらず、不思議な気がしていた。乾燥した蛹を分解すると、

すでに成虫の体も完成していたと記憶している。

つまり、今回の穴の開いた繭も、今のところ蛹は一見元気に見えるが、

じつはすでに寄生昆虫からなんらかの栄養収奪を受けて、

致命的な損傷を体内に蒙っているのではないか。蛹が死ぬのもいずれ時間の問題?

 とまあ、想像をめぐらしてみるのだが、真相はまったくわからない。


 ともかく、割り開いた繭の中で横たわっている蛹が、今後どうなるのかを見届けるしか

ないだろう。

( 写真上2枚/ E-3 ズイコーデジタル8ミリ魚眼 ストロボFL-36R2灯 ツインフラッシュブラケット )

( 写真下2枚/ E-3 ズイコーデジタル35ミリマクロ+1.4倍テレコン )

と、ここまで書いてから、、、、、、、

待てよ、オオスズメバチを疑ってみる必要はなかったか?

そして、穴はほんとうに内側から穿たれたものと断定してよいのか?

と、ふたたび考え直してみた。


つまり、穴はまだ穿孔過程にあってこれからまだ大きくなっていく可能性もあったのではないか?

私ははやとちりをして、寄生昆虫の可能性のみに固執したのではないか?

繭はあのまま梢に残しておいて、もっと様子を見てみる必要があったのではないか?

そう考えてみても、時すでに遅し!!

オオスズメバチが私にまとわりついた理由をもう少し検討してみるべきだったが、

鼻からオオスズメバチが繭に穴を穿つという行動が信じられなかったのである。

そうではないかもしれず、もしかしたら他の昆虫か何かが丁寧にかじりとるように

穴を穿ったなら、穴の縁が外側にめくれていた理由にもなるはずだ。

う~ん、残念。

後日、6月17日になって、割り開いた繭のなかの蛹から、

ヤママユの♀が羽化した。つまり、寄生は受けていなかったのである。

どうやら穴を開けようとした犯人は、やはりオオスズメバチであったのかもしれない。

(6月21日、記入。)


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