ササコナフキツノアブラムシとゴイシシジミ

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ササコナフキツノアブラムシは文字通り、ササ類の葉っぱに群れてつくアブラムシ。

白い粉をふいた集団がびっしりとササの葉うらについており、なんじゃこれは!

と驚いた方も多いことだろう。。

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(  写真/ E-520  ZUIKO D35ミリマクロ+1.4倍テレコン )


このアブラムシは普通に見られるが、発生場所は局所に偏る傾向があって、

いざ探すとなるとあちこちにいくらでもいるアブラムシでもない。

先日、近所の林縁でかなりまとまって発生していることに気付き、しばらく通ってみることに

した。白く目立つコロニーではあるが、葉うらに隠れているのでうっかり見過ごすことも

多い。今回はツンツンと舞うゴイシシジミのおかげで発見することができた。

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( 写真/ E-620  ZUIKO D 50ミリマクロ )

ゴイシシジミはアブラムシの群れの近くに卵を産みつける。

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( 写真/ E-620  ZUIKO 20ミリマクロ オートベローズ )

学研の幼虫図鑑によれば、ゴイシシジミ卵の直径は0.35ミリ、高さ0.15ミリとなっている。

たしかに小さい卵だ。卵の天井は平坦であり特徴的だが、他のシジミチョウの卵に比べた

ら単調で面白くない。しかし写真の卵はアブラムシの粉をまとっているから、卵のほんとう

の姿はもっと綺麗なのかもしれない。撮影するなら産卵直後に行うべきなのだろう。


さて、ササコナフキツノアブラムシの群れには、兵隊アブラムシがいることで有名だ。

兵隊アブラムシは群れにやって来る天敵に対して攻撃を加え、群れの防衛に貢献する。

群れの周辺を歩き回り、警戒を怠らないのだ。

そして例えば、ゴイシシジミの卵を発見すると、これを潰そうとしたり、あるいは引き剥がし

て排除しようと努める。次の写真は、兵隊アブラムシがツノを卵の下にあてがい、

てこの原理を使って引き剥がそうとしている場面。

JX1901121.jpgしかし、兵隊の努力は報われることがない。ゴイシシジミの卵は潰れもせず、

ピクリとも動かない。それほど強固にできており、しっかりと葉の表面に接着され

ているのである。

見ていると、次々と兵隊がやって来て攻撃を加えてはあきらめて去っていく。

もちろん兵隊たちの攻撃はいつも無力なわけではない。

天敵の種類によっては卵を潰し、捕食者を撃退する場面も見ることができる。

つまり、ササコナフキツノアブラムシに特化した天敵と、そうではなく兵隊たちに

排除されてしまう捕食者たちの両者がいるわけである。



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