水辺に集うカマキリ

| | トラックバック(0)
一昨日、ハリガネムシを見たことが気になって仕方が無い。

おそらく、今日あたりもカマキリが水辺に来ているのではないか?

ハリガネムシは、夏~秋にかけてのこの時期が旬なのだ。

さっそく近所の公園に再び出掛けてみた。

この公園にはコンクリートで固めた大きな人口池があるが、

ところどころに雨水の水溜まりがあるだけ。シオカラトンボやオオシオカラトンボのオスが

なわばりを張っており、ときおりギンヤンマのオスも偵察にやってくる。

その水溜りもたいへん浅くて、運動靴でも平気で歩ける。

ともかくコンクリートの平らな池の底は広場になっており、そこにカマキリがいれば

一目瞭然。たいへん目立つのである。

池の底に降り立って、数歩歩いたところでハラビロカマキリの死骸が一つあった。

水に浸っている。そしてなんとそのすぐ傍らにハリガネムシがいた。

ハリガネムシは死んだハラビロカマキリから出てきたのであろう。しかし、

ハリガネムシも死んでいるようでカチカチに硬直していた。なぜ死んだのか?

広い池を歩いて見ていくと他にもハラビロカマキリが4匹、そしてオオカマキリが

一匹いた。どの個体も水辺へとやってきたのだろう。

ハラビロカマキリの一匹を捕らえて、お腹を摘んでみた。

親指と人差し指で揉むようにしてみると、体内に潜んでいる固いハリガネムシの輪郭が

感触でわかる。そうしてしばらく揉んでいると、お尻のほうからムニュ~と、

ハリガネムシのお出ましだ。

JX060601.jpgとりあえず最初に見つけたカマキリは皆、ケースに回収しておいた。

ハラビロカマキリ4匹とオオカマキリ1匹の計、5匹だ。

そうしてしばらく先ほどお出ましになったハリガネムシを撮影したり眺めているうちに、

ふと池の向こうを見やれば、なんとまたもやハラビロカマキリが歩いている。

いつの間にやってきたのだろう。

水紋を描きながら、水の中を歩く姿がなんとも印象的である。

JX0606395.jpgそれはどう見ても、催眠術に掛かってフラフラしているのではないかと想像したくなる光景

ではないだろうか。

このハラビロカマキリを撮影しているうちに、また別の場所ではオオカマキリがヨタヨタと

水たまりの中を歩いていた。

結局、ハラビロカマキリは7匹、オオカマキリは2匹を、池の中で見たわけである。

これは偶然、池の近くに来たもの、というよりか、やはりカマキリ達は池に吸い寄せられる

ようにしてやって来た、と考えるほうが自然のような気がする。

さて、回収したカマキリをうちに持ち帰り、お腹のマッサージをしてみると、

オオカマキリ2匹からと、ハラビロカマキリ一匹から、それぞれハリガネムシが出てきた。

JX0607141.jpg3匹のハリガネムシは体色がすべて異なっている。

一番色が濃い個体には、白いまばら模様があり、他は薄いベージュ色と茶色のモノトーン。

同じ水槽に入れてみたら、たちまち写真のごとくグチャグチャに絡まってしまった。

しばらく放置しておくと、ほぐれてそれぞれが活発にうごめいている。

JX0607342.jpgJX0607381.jpgユラ、ユラ、ユラ、、、、、、と、

狭い水槽の底でうごめくハリガネムシ。ま、ちょっとこれは不気味ではある。


ハリガネムシは、類線形動物門、ハリガネムシ目というグループに分類されていて、

世界に280種もいるそうだ。

ハリガネムシの幼虫は淡水性で、卵からふ化したあと水底を這う。

その幼虫がユスリカやカゲロウの幼虫に食べられると、幼虫は袋に包まれ保護される。

ユスリカやカゲロウが成虫となってやがてカマキリに食べられると、カマキリの体のなかで

生育し、写真のようなハリガネムシ成体となる。

ハリガネムシはカマキリの体の外へと出ると、小川や池のなかで暮らす

(平凡社『日本動物大百科・7巻』より)。

水中生活へ戻るためには、カマキリが水辺へと行ってもらわなければ困るのである。

ハリガネムシは雌雄異体だそうだ。オスとメスが交尾して翌春、産卵するという。

おそらく交尾は、水辺に到達できた直後に行うのではないだろうか。

そのほうがオスとメスの遭遇率は高いだろうと思える。

水槽に入れたハリガネムシは水中で越冬するということだが、

どうやって冬ごしさせればいいのか検討もつかない。

それにこの3匹のハリガネムシのどれがメスでどれがオスなのかもわからない。

全部、オスかもしれないし、全部、メスかもしれない。

あるいは別種だったりして、、、、、。

とりあえずは庭に置いてある睡蓮鉢に移しておこうと思う。

ハリガネムシの繁殖を願うならば、さらにカマキリを捕らえてきて、

ハリガネムシを増員しておかねばならないだろう。


« 炭火焼き       頭はどちら? »