衣替え

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昨日から今日にかけて雨が断続的に降り、寒い。

2月の末には冬物の洋服をほとんど片付けておいたのだが、

ちょっと後悔している。

さて、昨日のこと。

庭の畑でアオクサカメムシを見かけた。

アオクサカメムシは落ち葉の間かそれとも梢の茂みの中か、あるいは人工物の隙間か

そういう雨風を凌げる狭い場所に潜んでいたに違いない。

JX088150.jpgもっとも、越冬しているアオクサカメムシをこれまで見つけたことはない。

カメムシの越冬スタイルは圧倒的に成虫態が多いのであるが、

落ち葉の下でよく見つかる。

広い林床で冬越しカメムシを探す場合には、大きな木の根元などに探索範囲を絞ってみると

効率が上がる。これはオオムラサキやゴマダラチョウの越冬幼虫探しと似ている。

カメムシも秋に好んで集まる樹があって、その樹から地面へ下り落ち葉の間に潜りこむ。

カメムシの足取りを想像しながら、冬の林をひたすら彷徨い歩く私。

寒風の吹きぬける雑木林のなかで、

何かに憑かれたかのようにフラフラと歩くおっさん。誰の目から見てもただただ怪しいだけだ。

もしかして首吊りでもするのではないか?などと勘ぐられるかもしれない。

しかし、おっさんの目は妙に輝いている。希望に満ちている。ちょっと疲れ気味だが、、、。

幸いというか雑木林で人に会うことはほとんど無い。誰かに見られていることもない。

私は人の気配には相当、敏感であり、もし誰かが視界の届く範囲にいるならば、

必ず私の方が先に察知する。雑木林や山の中でもっとも注意を払うべきなのは、

案外、人間であろうかと思う。


もう25年も昔のことだが、大きなアカメガシワの根元の落ち葉から、

オオツノカメムシの雌雄を合わせて7匹見つけ出したことがある。

これには驚いた。場所は東京都大田区、池上本門寺。

カメムシには秋の頃に遠距離移動するものが多いが、オオツノもそうであるらしい。

どこをどう見渡してもオオツノカメムシの育つケンポナシの樹がない上に

普段はまったく見かけないにも関わらず、突如都会の公園などに現れることがある。

発生場所から遠く離れ適当な越冬場所を見つけるとそこに潜りこむのだろう。

オオツノカメムシは人間でいう肩にあたる部分に真っ赤で立派な角がある。

そして体はつややかな緑色。その緑と赤のコントラストがたいへん美しいカメムシだ。

落ち葉の下から見つけ出したオオツノカメムシはくすんだ茶褐色をしており、

角の赤色もいくぶん色あせている。

カメムシの仲間は冬になると地味な色に衣替えするものが多い。

これを私は勝手に「越冬カラー」と呼んでいる。

今日紹介した写真のアオクサカメムシは、越冬カラーから活動期の綺麗な緑色へと

移行しつつあるのではないだろうか。



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