イラガの季節

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[ 愛媛県 松山市 ]

実家の庭では毎年イラガが発生するが、今年は特に数が多い。

ちょうど2回目の営繭期で、残り少なくなった幼虫は皆、でっぷりとした熟令ばかりだ。

B_006287イラガ幼虫.JPGイラガの繭は幹や枝などに作られるが、とくに枝又の場合が多いように思える。

B_006272.JPG営繭に先立って、繭が接地する土台部分は幼虫があらかじめ削り掘る作業を施す。

繭外形の丸みに土台の形状を合わせ、より接地面を増やして安定を確保できるわけだ。

しかし、繭の接地面積が広い平面上では削る作業を省略する。

というか削ること自体が不可能な場合もある。

B_006284コンクリート壁の繭.JPG上の写真は実家の外壁コンクリート面についた繭。

こういう平面上で繭を紡ぐ作業はどう見てもやりづらいのではないだろうか、と思えるが、

とくに繭形状に狂いはない。

さて、今の時期にできる繭は、このまま冬を越す。

イラガの食樹は落葉樹なので、葉っぱに繭を作るのは地面に落下してしまうのでまずい。

ところが柿の木を見上げていると、葉裏についた繭が一つだけあった。

B_006282葉っぱで営繭.JPGするとこの場合、葉っぱが冬になっても落ちないよう、葉柄部にしっかりと吐糸している

だろうか、と見てみたがまったくその処置は施されていなかった。

で、葉っぱの表側を見ると穴が空いていた。

B_006281かじった穴.JPGこの穴を覗き込むと繭壁にも同じ径の穴がぽっかりと空いていたのである。

このイラガ繭からは、実はイラガセイボウがすでに脱出していたのだ。

つまり、この繭が紡がれたのは今の時期ではなく、6月ころの一つ前の世代である。

6月の繭は、夏の間に羽化する。つまり落葉の冬を迎えることがない。

イラガ幼虫はそのことを熟知していて葉っぱ上での営繭も躊躇しなかったのだろうか?

6月ころの営繭場所についてしっかり調べておく必要があるが、

その時期でも葉っぱでの営繭はきわめて少ない。

( 写真: EOS-7D  EF100ミリマクロ  270EXⅡ  )


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