山仕事

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[ 宮崎県 三股町 ]

ふと町道へ目をやると、はるか先にKおばあちゃんの後ろ姿があった。

しまった!と思ったがすでに手遅れだった。

Kおばあちゃんは、ここのところ毎日、我が家のすぐ前の林に通っている。

手押し車は腰掛けにもなるが、その手押し車に山ほど薪を積んで持ち帰るのが

Kおばあちゃんの、日課である。

「たいへんだけどなあ、リハビリになるかならなあ。」

そう言ってカラカラと明るく笑う。

「これだけたくさんの薪だけど、何に使うの?」との質問に、

「風呂、沸かすのさ。これで一晩分だわさ。」

つまりKおばあちゃんは、毎日、風呂を沸かす薪を拾い集めているのだ。

目いっぱい積んだ薪の写真は以前にも撮影しているが、

もっと納得のいく写真を撮っておきたい。

「おじいちゃんは山へ芝刈りに、おばあちゃんは川に洗濯に、、、、」

いや、しかしKおばあちゃんは、今、一人暮らしである。

薪で沸かす風呂は、いいだろうなあ~とは思う。

風呂に入るときの気持ちはまったく違うだろうなあ、とは想像する。

中公新書「日記が語る日本の農村」(松本盆地の畑に八十年)中村靖彦著

によると、昭和初期の頃の農村では風呂を沸かして入るというのは

たいへん稀で、一週間に一度、それも沸かしたとなると近所の人も招いて

湯を貸したというから、入浴そのものが貴重な時間であったらしい。

便利な生活に慣れてしまった今の私たちには理解の及ばない時代が

すぐ昔までは、たしかにあったのだが、

Kおばあちゃんは、そういう時代を生きてきた方なのだ。

記事の内容には関係ないが、我が家の林に来たエナガの写真。

B_000400エナガ顔.JPG



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