ねぐらのキチョウ

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台所の勝手口からコンポストまで、歩いてちょうど、32歩。

毎晩、流しに溜まった調理屑をコンポストまで捨てに行くのは、私の仕事。

昨夜も懐中電灯を灯して歩きだしたら、すぐ脇の地面に、黄色い小さな三角帆が

浮き上がった。   キチョウ、だった。  これでも、ねぐらに違いない。

701A7162キチョウのねぐら.JPG今朝になって様子を見に行ったら、ほぼ横倒しの状態になっていた。

701A7181.JPG全身夜露をまとっている。 これでは動きようがない。 午前6時45分。

701A7194.JPG朝陽が届くようになって少し翅を持ち上げ始めた。  午前9時20分。

すっかり体が乾いて、飛び立って行ったのは、午前11時半過ぎのことだった。

キチョウがねぐらをとった庭は、この時期だとあまり陽射しが届かない。

なぜなら南側にある林のクヌギが大きくなりすぎて、日陰を作っているからだ。

 

      ジガバチモドキ属(Tripoxylon) の観察


昨日のこと、ジガバチモドキの一種の営巣場所を見つけた。

ちょうどクモを抱えて、竹筒の中に飛び込むところだった。

Trypoxylon (トリポキシロン)属は、国内に14、5種類もいるそうだ。

ジガバチモドキ T.obsonator (トリポキシロン・オブソナタ)は、西日本どこでも

密度の高い ハエトリグモ狩蜂である、、、と、岩田久仁雄「自然観察者の手記」に

ある。

そしてある夏の観察例では、54巣中、クモの種類・数は、ハエトリグモ類218匹、

ウズキドクグモ109匹、ササグモ17匹、で全て成体、であったと記されている。

ところが、私が昨日~今日にかけて観察したトリポキシロン属の一種(仮にA)は、

巣内にコガネグモばかりを溜め込んでいた。それもこの時期のことだから、

当然ながら全て小さな幼体であった。

完成した泥壁で閉じられた一つの巣房内には9匹のコガネグモが詰まっており、

次の部屋には4匹のコガネグモが入っており、5匹目を持ち帰ったところだった。

狩った獲物のクモの種類を見る限り、本種Aが、普通種とされるジガバチモドキ

( T.obsonator )とは異なるように思えるがどうだろう?


さて、ジガバチモドキ類のことを「自然観察者の手記」で拾い読みしていたら、

すっかり忘れていた内容に目が止まった。 少し長いが引用しておこう。

とにかくクモを唯一の餌として専攻する昆虫は、

意外に種類が少ないものである。

その代表的なものはなんといってもクモバチ科(ボンピリデー)という

大科に属する狩蜂である。これは明治の粗忽な一昆虫学者によって、

この科の小部分だけに見られる体色にもとづいてベッコウバチと

不適当に呼ばれているが、すべての種が幼虫時代にクモ一頭だけを

食べて成育するので、むしろクモバチと呼ぶべきであろう
。』

(岩田久仁雄 著:自然観察者の手記(朝日新聞出版)より)







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