まどい

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今月11日に産下された卵のうから、今朝になって子グモが出のうしていた。
まどいIMG_8835.JPG
画面下方の奥に白く見えるのが、卵のう。子グモは一カ所にかたまっていて、これを「まどい」と呼ぶ。
産卵の時期もまちまちだが、それにともなって出のうのタイミングにもかなりの巾がある。

うちの庭で確認できているコガネグモ(♀)は、7頭。敷地全部をくまなく探せばもっといることだろう。
コガネグモIMG_8848.JPG去年の4月に刊行した、岩崎書店の
「よみきかせ いきもの しゃしんえほん 24  うまれたよ! クモ

では、コガネグモの一生を扱った。

撮影は2014年からスタートしたものの、
コガネグモが少ない年がしばらく続いたこともあって、当初はうまくいくか少し不安だった。しかし、2014年の春、まるで私の期待に応えてくれるかのように、近所の谷津田では発生量が盛り返し、予定していた撮影を順調に進めることができた。

とは言え、他の仕事との時間配分の調整や、天候なども睨みながらの撮影は、苦労が絶えなかった。いつものことではあるが。

なかでも出のうの瞬間を捉えることは、最初から無理だろうと半ば諦めていた。卵のう内で孵化した子グモは10日以上を経てから出のうする。
けれど、その予兆などは外観からは一切窺えないからだ。それでも、3個の卵のうを毎日、見続けていたら、ある朝、そのうちの一個から出のうが一斉に始まった
瞬間を捉えることができた。
しかも、次の日からは泊まりがけで出掛ける予定が入っていたのだから、これほどの幸運はほかに無いであろうと喜んだのは言うまでもない。

毎日眺める、と書けば簡単のようであるが、この毎日、24時間とまでは言わないが、くる日もくる日も12時間以上、神経を通わせ続けることはかなりの精神的疲労となる。食事もときどき中断したりと、日常生活はズタズタに細切れにされる。
もちろん、苦しいだけではない。いづれ報われるであろう撮影の瞬間を想像することで、楽しみへと転化もしている。成功の瞬間をよりリアルに描けるかどうかは、かなり大事なポイントでもある。


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