ササのしわざ

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三股町 田上

ネザサに食痕があった。これは怪しい。
クロヒカゲ701A9985.JPGそっとめくってみれば、葉裏の付け根近くに、クロヒカゲの越冬幼虫がいた。
クロヒカゲ701A9987.JPGすぐ近くで、ウスイロカザリバのマインも次々と見つかった。本種も幼虫越冬で、成虫が羽化するのは来年の6月頃となる。マインの形は特徴があり、初めての方でもすぐにわかるようになる。
ウスイロカザリバ701A9981.JPGクロヒカゲ幼虫の食痕、そしてウスイロカザリバ幼虫の潜入したマイン、といづれも
「虫のしわざ」。タケやササにも、虫のしわざが多数見つかる。

〜「虫のしわざ観察ガイド」はじめと終わりのない物語①〜

さて、来年早々、『虫のしわざ観察ガイド』(文一総合出版) が刊行されることになった。すでにだいぶ前からAmazonなどWEB上ではカバー写真画像が無いまま、予約受付が始まっている。版元の文一総合出版サイトの近刊情報にも載っている。
「虫のしわざ」をテーマにと思い立ったのは、10年以上も前だったが、本の企画として決まったのは、6年前のこと。したがってかなり前から「しわざ」と「しわざの主」、そして「しわざ」が出来る仕組みなど、撮影と調査をコツコツとスローテンポで続けてきた。やっている分には楽しい作業だが、ふと先を考えると、これで本がまとまるのだろうか?という不安も常につきまとっていた。やればやるほど、終わりが見えない世界であるからだ。絶対達成できないであろう「虫のしわざ大事典」なる超分厚い本の構想が立ちはだかり、無限の彼方に向かって挑戦しているような、そんな重圧さえ感じていた。たとえガイドブックとは言え、「大事典」に近づくだけの観察経験が必要とされると自分に言い聞かせていた。
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