フチグロトゲエダシャク幼虫、ふたたび

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 午前6時45分、仕事部屋のパソコンを立ち上げていると、

東の方角から、アカショウビンの澄んだ囀りが聞こえてきた。

かなり近くで囀っているので、思わず外に出てみたが、姿は無かった。


 さて、朝一番で調べたいことがあった。

昨夜、フチグロトゲエダシャク幼虫 について、急に記憶が蘇ったからだ。

先日、ジガバチの一種が運んでいた獲物が、フチグロトゲエダシャク幼虫ではないか、

と書いた。 

 先に結論から書くと、我が家のすぐ傍には、フチグロトゲエダシャクが棲息している

ことがほぼ確実となったのである。

私はこのシャクガ幼虫を以前にも見たような気が一瞬したが、すぐに思い出せず、

モヤモヤしていた。

じつは、3年前の5月はじめ、このシャクガ幼虫を見たどころか、撮影もしていたのだ。

        幼虫の写真は2011年5月3日に撮影したもの↓

フチグロトゲエダシャク幼虫IMG_0954.JPG我が家から200メートルも離れていない場所で、しかも、この幼虫は11頭も見つかっている。

これだけ特徴のあるイモムシなのに、なぜ記憶からスッポリ抜け落ちていたのか?

撮影当時、なぜイモムシの正体をすぐに調べなかったのか?

         まずは写真を見ていただこう↓

コンボウアメバチIMG_0949.JPG イモムシはみな、繭に化けたのである。

 ヒメバチ科のチビアメバチ類の繭が、萎びたイモムシの死骸と並んでいた。

イモムシの体型を保っている個体は2頭しか残っていなかった。萎びてはいても、

同種のイモムシと判った。萎びていく途中の段階なども観察できたからだ。

そこで私は、そのチビアメバチのことが気になって、繭を紡ぐシーンを撮影する

チャンスを窺っていた。   当時、このイモムシの正体を知っていたなら、

寄生されていない個体をなんとしてでも探し回ったであろうと思う。

 しかし、私はイモムシの種名はあとで調べればいいや、と軽く考え、チビアメバチの

繭作りの撮影に没頭してしまった。実際、見つかったイモムシは全部、寄生されており、

クシャクシャになった。

写真上のフチグロトゲエダシャク幼虫からも、このあとチビアメバチ幼虫が

体を突き破って現れ、繭を紡いだ。

その様子は最初から完璧に撮影できて、私は大満足したついでに、

油断もしてしまった。

寄生を受けていたイモムシは全部で11頭。おそらく寄生された影響なのだろう、

どのイモムシも草地の高い場所へと上り詰め、よく目立っていた。

体内から寄生バチの大きな蛆が体表を食い破って外に出るまで、

イモムシは何事もないかのように振舞っており、外見からは異常な事態には気付かない。

高台に上り詰める、という行動以外には。

 先日、ジガバチからこのイモムシについて教わることがなかったなら、

3年前の写真データをチェックする機会はずっと先になっていたと思う。

チビアメバチの脱出、繭作り、という場面の撮影・観察において、

宿主となったイモムシの正体をおざなりにしたことは、とても悔やまれる。

 ともあれ、近所の狭い範囲に幼虫が発生していたという事実がわかり、

なおかつ、今年もまたその近辺で発生していたことも、ほぼ間違いないと思う。

 では、それならなぜ、これまでフチグロトゲエダシャク成虫に出会えていないのか?

 この疑問への答えも知りたいが、今はまだ間に合うかもしれない、幼虫探しを

時間が許す限りやってみたい、と思う。


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