2010年10月アーカイブ


庭の隅に熟柿を置いてある。

鳥の好きな人なら餌台に置いて、メジロやウグイス、ヒヨドリ、他いろいろな鳥の観察、

ということになるだろうが、私の場合は虫がやって来るのを待っている。

餌台では絵にならないので、熟柿は地面にころがしてあるだけ。

熟柿に集まってくる虫のなかでもっとも大きな体は、クロコノマチョウだろう。

もともとうちの林には個体数が多い。

林のなかを歩けば必ず足元から飛び出してくるのがクロコノマチョウだ。

IMG_0440.jpgクロコノマチョウを見るたびに思い出すのは、

高校生のころ学校の理科準備室に置いてあった標本箱のこと。

その標本箱にはクロコノマチョウの秋型が入っていた。

大きな翅の先端にある眼状模様が魅力的だった。

どうしてもこのチョウを採集したい、と当時は憧れていた。

標本に付いていたラベルには、採集地「松山市 杉立」、

そして採集者の名前は、「山岡幸雄」とあった。

IMG_0478.jpg先日、松山の実家に戻っていたが、帰省したおりに毎回買い求めるのが愛媛新聞。

年に数回だけ読む地方新聞ではあるが、そのときに限ってか虫の記事が

載っている。

昨年の夏は、「ナナフシの♂発見!」という記事、そして今回は「アカギカメムシの佐田岬で

の記録」、さらに月2回の連載記事「愛媛のファーブル」。

「愛媛のファーブル」は第2、第4水曜日に掲載されており、

先日読んだ記事は16回目とあった。

この記事の副題には「山ちゃんの遺産」とある。

「山ちゃん」とは、故・山岡幸雄さんの愛称であった。

記事に添えられたメスグロヒョウモンの交尾写真は、山岡さんが生前に撮影なさったもの。

いろいろ語るべきことは多いが、今日は触れないでおこう。


クロコノマチョウをうしろから見ると、翅の先はピタリと閉じていないことが

よくわかる。

IMG_0441.jpg翅の反り返りが何か機能的に意味があるのかどうか?

連載「愛媛のファーブル」を読みたくなって、母親に新聞を買ってもらうよう頼んでおいた。




25日から28日の朝まで、松山市に滞在していた。

フルに動けるのは一日しかなかったが、ナニワトンボを一度は見ておきたい。

「ナニワ詣で」と言わしめるほどの魅力とは何だろうか?

百聞は一見に如かず。ナニワトンボは一体どんなトンボか自分の目で確かめたい。



松山では天候が不安定だったが、27日当日だけは午後から晴れるということだった。

母親を道後温泉に送ってから国道196号線に入り、北条方面へと赴いた。

瀬戸内地方にはため池が多いが、地図を広げると北条にもため池が点々と数多くある。

あらかじめ、ある方から教わっていたポイントの辺りを探索してみた。

ため池があれば、どこでもいいということだった。

まずは高縄神社を訪れてみる。ここにもため池があるからだが、

それよりか神社そのものに惹かれる。どこへ行っても必ず神社には立ち寄りたい。

境内に入ってみると、大きな武将が座っていた。

JX276530.jpg武将さんのお名前を調べ損なったが、立ち上がって歩き出したら恐そうだ。

そういう幼稚な感想しか抱けないが、それもちょっと寂しいなあ、とか独り言をつぶやきつつ、

別のため池を目指す。神社横の池にはまったくトンボの姿がなかった。

午前中、近辺のため池を回ってみたが、雲があって陽射しがほとんどなく、

しかも風がたいへん強く吹き荒れる。トンボが活動できるような状況ではない。

カトリヤンマと思われるヤンマが林の縁からヨレヨレと飛び出したのと、足元から

アカトンボ類が一匹、サッと飛び立っただけ。ともかく寒い。

これではイカンなあ、と場所を山間へと替えてみることにした。少しは風の影響が少ない

だろうか。

JX276544.jpg山すそに近いこの池からは沖合いの鹿島が見えていた(画面奥の小さな島)。

鹿島は昔からおいしい「鯛めし」で有名。

私が小学2年生のころ「鯛めし」を生まれて初めて食べたのがここ鹿島であった。

あのときの味の記憶は今でも蘇るほど、鮮烈であった。たいへん懐かしい。

それはともかく、この池に沿ってあるコンクリートの道、これは山間のミカン畑に続く

農道であり、軽トラックが一台通るだけでギリギリの道幅である。

白い轍の痕がおわかりになるだろうか。

片や池、片や水路というまるで橋のような細道を車で通過するときは少し緊張した。

こういうとき軽自動車であるといいなあとか、いやジムニーだと最適だよ!、と思うことは

よくある。幸い私の車、フェスティバミニワゴンのような小型車ならギリギリ通過可能

であり、ヒヤヒヤするだけで済んだ。田舎道ではともかく軽がいい。いづれは検討したい。

上の写真の池を背にして奥へと坂道を登っていくと、二つ目の池が左手にあった。

そこも通過して3つ目の池に到着。池の雰囲気はいい。ここで少し粘ろう。決めた。

それにしても風は相変わらず吹き続く。池の水面はいつまでもさざ波が治まらない。

IMG_0293.JPGそれでも正午を過ぎて1時になる頃には、陽射しが安定してきた。

車を降りて池の様子を眺めていると、足元のコンクリート面に小さな青いトンボがいた。

JX276563.jpgどうやらこれがナニワトンボらしい。いや、そうに違いない。

なんとも可愛らしいトンボじゃのう。

ナニワトンボはアカネ属の一種であり、いわゆる赤トンボの仲間だ。

でも体の色は青い。そして小柄で可愛い姿。

実際にナニワトンボを目の前にして、なるほど!!と得心がいった。

たしかに魅力的なトンボである。

思わずニコニコしながら撮影体勢を整える。

三つ目の池からさらに奥へと歩いてみれば、山の最奥にもう一つ大きな池があった。

ナニワトンボが多かったのは三つ目の池の周囲と最奥の池に向かう道の路上だった。

しかし、強風のためナニワトンボもコノシメトンボも、そしてオオキトンボも、

皆、地面にしがみついているだけ。飛翔する美しい姿はまったく見ることが出来ない。

こちらも地面に這いつくばって、ナニワトンボの顔を正面から見てみた。

IMG_0687.JPGトンボの活き活きした姿の撮影は諦めるしかない。強風がいっこうに止まないからだ。

しかし、このことが幸いしたと言えようか。

池の土手道を歩いていると、足元からバタバタと翅音がした。

足元を見れば、オオキトンボがコカマキリの鎌脚に押さえ込まれ、もがいていたのだ。

こういう場面はそうそう見れるものでもないだろう。と、思う。

IMG_0554.JPGコカマキリにとっては大き過ぎる獲物ではないかと感じるが、鎌脚の筋力はたいしたものだ。

暴れるオオキトンボの胸にガブリと噛み付き始めた。

どうやら私が気付いたのはオオキトンボを押さえ込んだ直後のようである。

IMG_0587.JPG周りに草があること、地面であることなどから、撮影にとっていいアングルがとりづらい。


IMG_0281.JPGオオキトンボもクズの葉に止まったものと、コンクリート地面にペタリと張り付いた姿しか

見ることできずじまいだった。

次々と見つかるナニワトンボも全部、コンクリート地面で日光浴するものばかり。

近づいても逃げない。意外とおっとりしたトンボだ。

それならばと、指をそっと差し出してみた。何回か失敗してのち、

ようやく「この指、止まれ!!」が、できた。

IMG_0318.JPGこうでもしないと、ナニワトンボの小柄な姿がわかりにくい。


上画面の路上や道端のコンクリート管にはナニワトンボが多かった。

そして交尾カップルも現れた。こちらはさすがに用心深い。近づくとすぐにフワリと

飛び立ちミカン畑に入って行った。すぐに地面に降りるも近づけばまた飛び立って

場所を替える。急峻な斜面を何度も這い上がりながら、ようやく証拠写真だけは撮れた。

IMG_0735.JPGナニワトンボというかなり稀なトンボが自分の郷里の近くに棲息していることを知ったのは

トンボ写真家の方達から教えてもらえたからだ。

お名前は省略させていただくが、ここに改めてお礼申し上げます。


★ 「ナニワ参り」ではなく、「ナニワ詣で」でした。訂正しました。★




27日の北条での使用機材は、

オリンパス E-620 14-54ミリズームレンズ

キャノン EOS-7D  15ミリ魚眼、60ミリマクロ、100ミリマクロ



松山から約8時間を経てわが家に戻ったのが午後3時40分。

八幡浜~臼杵のフェリー船内では2時間ほどたっぷり睡眠がとれた。

横揺れ防止のスタビライザーはかなり効果がある。

スタビライザーを搭載しているのはオレンジフェリーの新型船である。

船便の時刻がうまく合えば、できるだけオレンジフェリーを利用するようにしている。

八幡浜は、開くと「やはたはま」かとずっと思っていたが、

今朝のことフェリー乗り場の看板を見ると「やわたはま」と書いてあった。

声に出してみると、たしかに「やはたはま」は言いにくい。


さて、25日から今日まで、愛媛県、松山市の実家に滞在していた。

この間、今抱えている仕事の室内撮影も続けて行っていた。

仕事の合い間、外を歩いていると、

実家のすぐ近くで、ハラビロカマキリの褐色型を見つけた。

今年はこれで3匹目となった。

IMG_0395.JPG室内撮影の仕事も目処がついたので、昼間の時間が一日だけ空いた。

そこでせっかく松山まで来たのだから、北条の溜め池まで出向いて、

ナニワトンボとオオキトンボを見ておこうと思った。

今では北条は合併して松山市となっているが、

私が松山に住んでいるころは北条市であった。北条は松山の北に接してある。

長く松山に住んでいながら、ナニワトンボのことを私は知らずに過ごしてきた。

昨年の夏、北九州市でトンボ写真家の方たちと飲みながら、北条のナニワトンボのことが

話題に上がった。そのとき意気投合して「ナニワトンボ参りに行こう!」ということになった。

しかし、その後「ナニワトンボ参り」のことをすっかり忘れていた。

私はどうもトンボのことでそれほど情熱的になれない性質なのかもしれない。

そもそもナニワトンボは文献上でしか知らず、実物を見たことがなかった。

ナニワトンボのどこが魅力的なのか、正直言って私にはまったくわかっていなかったのだ。

ナニワトンボのことについては明日、詳しく紹介してみたい。


今日は雲が多く、はっきりとしない天候であった。

松山よりかわずかに気温は高めだが、こちら南九州も20度を下回りけっこう肌寒い。

日が暮れてから西空が赤く染まった。

JX286604.jpg


月夜

| | トラックバック(0)
昨夜、最後まで残っていたヤママユの繭が羽化した。

予想通り、大きなメスだった。

夕べからの雨は、今日の夕方には止んだ。

メスが移動しなければオスが飛来して交尾したかどうか確認できる。

なかなか思い通りにいかないもので、ヤママユのメスを見張っている時間がとれない。

玄関を出ると月が綺麗に見えた。満月は昨夜のこと。

月面のクレーターの起伏もよく見えた。

IMG_0183.jpg今日は都城市の母智丘公園で自然観察会が予定されていたが、雨で中止となった。

同時に地区のソフトボール体会も中止となり、その打ち上げ会が昼からあって、

私も参加させていただいた。昼から酒を飲むとけっこうこたえる。


先週、門川町立図書館で展示した写真パネルの様子。

PA220007.jpgここの展示は今週、28日まで。


明日から、しばらくブログ更新を休みます。




門川町に着いたのが午前9時半。うちからちょうど2時間半だった。

少し時間があったので、五十鈴小学校の裏手あたりの山間に入ってみた。

常緑樹林の林は感じが良い。

ヤマビワには、アオバセセリとスミナガシの若い幼虫がついていた。

急斜面には丸太製の蜂箱があちこちに置いてある。ニホンミツバチのウォンウォンという

翅音が巣箱の近くから聞こえてきた。

もう少し山道を奥まで入ってみたい気がした。また来てみたい。

午前10時、門川町立図書館にて写真パネルを展示。

明日の「図書館まつり」とその後一週間、展示をする予定。

展示作業は1時間ほどで終え、さっそく延岡市へと向かった。

延岡市の中心部にある愛宕山。ここを訪れるのは今日で3回目。

昼食は290円の「きつねうどん」。麺が細い。

これではあとでお腹が空くだろうなあ、と思ったが山道を歩くにはちょうどいい腹具合だ。

JX226521.jpg愛宕山の標高は250mほどだが、延岡の街並みを見下ろすことができる。

日向灘の白波が大きい。絶好のサーフィン日和ではないだろうか。

いや、サーフィンのことはまったく知らないので、絶好の条件かどうか、、、、?

さて、ベニツチカメムシの集団は期待通りに見つかった。

先日の奄美大島での観察を経て、ようやくボロボロノキの識別にも少し自信がついた。

ボロボロノキは特徴が掴みにくいと前にも書いたが、葉っぱを落としてしまったら

さすがに識別はできないだろう。

今の梢の状況はこんな感じである。

IMG_0173.jpgボロボロノキを確認できたら、ベニツチカメムシの集団は近くで見つかる。

そう念じて探す。

ボロボロノキがあれば必ずというわけでもないが、ともかくボロボロノキを見つけないこと

にはお話にならない。

奄美大島で見た集団よりかはるかに規模は小さいが、見つかると嬉しいものだ。

他にもきっと集団はあると思うが、今日は探索している時間がない。

IMG_0071.jpg今にも雨が降り出しそうな天気で条件は良くない。しかし、こういう日も当然ある。

ふと足元を見ると数匹のベニツチカメムシが歩いていた。

IMG_0165.jpgこのカメムシに夢中になるのは、なぜか?

しゃがみ込んで、じっと見つめてみる。

こう対峙しているだけで満足感に浸れる。それはなぜか?

「惚れる」という言葉をこういう場合に使っていいのだろうと思う。



ムクゲコノハ

| | トラックバック(0)
玄関の門灯へ最初にやって来たのは、ムクゲコノハだった。

午後6時10分ころ。

本来なら灯りではなく、もっと別に行き先があったはずだが。

翅を閉じていると、遠目では黒っぽい三角形にしか見えない。

IMG_0051.jpgフッと息を吹きかけるとバタバタ暴れたあと、下のように静止する。

「ワタシ、オコッテマス!!」

IMG_0062.jpg擬人的に解釈すれば、そうなのかもしれない。

飛んでいるときに胴体の鮮やかな色が一瞬見える。

IMG_0064.jpgやはり飛んでいるところを撮らないと、面白くない。


明日は、門川町立図書館まで出かける。

門川町といえば、日向市より北にあって延岡市のすぐ南に位置する。

家からはけっこう距離があり、高速道路をフルに使っても2時間半かかる。

天気が良ければどうしても立ち寄ってみたい場所がある。




モンシロモドキ

| | トラックバック(0)
本来なら5月に行われる犬の予防接種だが、口蹄疫の影響で今日になった。

近くの公民館に犬を連れて行くと、C子さんも来ていた。

C子さんのお宅の玄関前では以前アゲハ幼虫がたくさんついていたミカンの木がある。

じつはアゲハ幼虫が緊急に必要となったので、予防接種のあとC子さん宅を訪れる

つもりだった。話は早い。「ああ~そう言えばいたねえ~。でも今いるかしら?」

ミカンの木といっても高さ60センチほど。

こんなヒョロヒョロのミカンのどこが良いのか、やたらと卵が産み付けられていた。

さて、今日はどうだろうかと覗き込んでみれば、

終令が一匹、若令が3匹、いた。

「青虫なら全部持っていってねえ~。気持ちわるいわあ~。

あ、奥さんにサトイモ、これ差し上げて。」

サトイモまでいただいての帰り道。

あちこちでミカンを見て回るも、ナガサキアゲハ幼虫しか見つからず。

追加はできなかったが撮影には充分間に合う。

アゲハの蛹殻がいくつかついていたミカンの梢で、

モンシロモドキが見つかった。

XA192515.jpg
珍しくはないが見たいときに簡単に出会える蛾、でもない。


今日も夕方になって、キツネを見た。 午後6時8分。

これまでほぼ同じ場所で2回目撃しており、進む方向もまったく同じ。

どうやらキツネの通り道になっているようだ。時間帯は午後6時~8時の間。

気になって仕方が無い。



モンシロチョウ

| | トラックバック(0)
今日は締め切りがギリギリに迫ったため、いくつかの探し物をしてみた。

その一つがモンシロチョウの交尾拒否行動の写真。

10月にはモンシロチョウの個体数が増えるので、今がチャンスだ。

何箇所か目ぼしい畑を見て回ったが、モンシロチョウのたくさんいる場所がなかった。

一旦、引き揚げようとして家の手前400メートルのところで、

セイタカアワダチソウの花にモンシロチョウの姿が多いことに気付いた。

車を降りて近寄ってみれば、

すぐ下のダイコン畑一面にかなりの数のモンシロチョウが舞っていた。

畑は広くそれが4枚ある。数は数百~千匹以上にのぼるだろう。

畑を一巡するだけでもけっこう時間が掛かる。

不思議なのは幼虫の食害痕がほとんど見当たらないこと。

モンシロチョウは別の場所で育ったのだろうか?いやそうは思えないのだが。

よく見ると羽化したての新鮮な個体や、交尾カップルが多い。

IMG_9719.JPG
すぐに交尾拒否する場面も撮影できたが、満足のいくカットではなかった。

畑の真ん中のほうで交尾拒否の場面もあったが、畑に踏み込むわけにはいかない。

数が多いから条件がいいとも限らないようだ。

広い畑をぐるぐる歩きながら場所を替えてみることにした。

道路一本隔てた反対の畑に降りてみる。こちらにもダイコン畑はあるが

6畳敷きほどで狭く、畑にモンシロチョウは1,2匹たまにやってくるだけ。

しかし、畑の周辺で交尾拒否しているものが次々と見つかる。

オスが一箇所に固執して上下飛翔しているなら、そこに交尾拒否するメスが必ずいる。

オスの動きを見てそこへ全速力で駆けて行く。

ただしメスも敏感なのでうかつに近寄ると飛び立ってしまうことが多い。

何回か逃げられて失敗したあと、ようやく撮影できた。

IMG_97モンシロ.JPG
数匹のオスが一匹のメスを追い始めた。

IMG_9738.JPG
写真では判りにくいが、ピクセル等倍に拡大してみれば、追われている個体は

スジグロシロチョウのようである。異種を狂ったように追飛するモンシロチョウのオス達。

10分近くは続いたと思う。


セイタカワガタチソウの花にはモンシロチョウ以外に、

イシガケチョウ、キタテハ、ツマグロヒョウモン、そしてサツマニシキなども来ていた。

久しぶりに見るウラギンシジミのメス。

JX186443.jpg
羽化したばかりのようだ。翅の先が鋭くとがった秋型である。





IMG_9519.jpg
オオカマキリの終令幼虫だが、この時期になってもまだ羽化脱皮しない。

この幼虫は一ヶ月ほど前に玄関先で見つけて以来ずっと飼育している。

カマキリヤドリバエの大きな蛆虫が腹部の横を食い破って出てきたものの、そのことで特に

弱った様子もない。獲物を与えるとムシャムシャ元気に食べる。

ヤドリバエの寄生を受けたため変態ホルモンの分泌に異常をきたしているのであろうか。

それともまだヤドリバエの蛆虫が体内で育っているのであろうか。

羽化脱皮を撮影する目的で終令幼虫を探していたわけだが、

もはや羽化の撮影は無理だろうと思う。

万が一羽化したとしても前回(9月18日)のように羽化不全に終わるように感じる。


昨日、ニホンミツバチに刺された箇所が腫れてしまい、とにかく痛痒い。

刺されたとき痛みはしばらくして治まったので放っておいたのがマズかった。

こういうとき飲酒はあまり良くは無いが、

奄美大島で買い求めた泡盛『残波』30度は香りもよく、旨い!!


同じ集落の方からニホンミツバチの採蜜をするから、と声を掛けていただいた。

場所はうちから1キロ先の雑木林。

まずは下準備。

IMG_9340.jpg
巣箱を抱え上げてみれば、巣箱の重さで蜜の量もだいたい想像がつく。

「うん!重いぞ。これはどうかな?」

巣箱を用意した台の上に移動させ、前蓋を開ける。

IMG_9351.jpg
蓋にも巣盤がついているので、ナイフで切りながら慎重に開ける。

巣箱内一杯に巣盤が天井から垂れていた。

巣盤を一枚づつ丁寧に取り出す。

IMG_9381.jpg
巣盤は全部ではなく、三分の一は残しておく。

そうしておけば巣盤は冬を迎えるまでには元の規模まで回復できる。

この巣箱では働きバチの数はたいへん多いのだが、

思ったより貯蜜量が少ないということだった。

さっそく巣盤の一部をいただいた。

巣盤ごと口に入れると、なんとも濃厚な甘味が口中に広がる。

ああ、なんと幸せな時間であろうか!

IMG_9468.jpg
採蜜作業中、働きバチはパニック状態になるがほとんど刺して来ない。

作業なさる御夫婦は網帽子を被り、長袖で手袋をはめているが、私はTシャツ姿。

念のため帽子だけは被っていたが撮影中刺されることはなかった、、、、のだが。

最初の巣箱を終えて、もう一箱にとり掛かるとき、ちょっとハチの騒ぎ方が激しかった。

自分の立ち位置はハチの通り道を塞いでいるからヤバイなあ、と思った瞬間。

右手の人差し指付け根をチクンとやられた。

反射的に手にしていたカメラを落としてしまった。

ストラップを手首に巻いていなかったのもマズかった。

幸い地面は柔らかい土だったし、レンズから落下せずストロボが土まみれになった。

ニホンミツバチに刺されたのはこれで何度目だろう。

数年前、観察会の講師をしていて、

自然巣の前で「ええ、ニホンミツバチはおとなしくて滅多に刺されません」などと

解説をしている最中、参加者全員の見ている前で刺されたこともあった。


ニホンミツバチの飼い方や、採蜜の仕方には人によってかなり違いがある。

私が初めて取材、撮影した愛媛の方の場合、この方は名人とも呼ばれるほどの

熟練者だったが、そのときの様子は共著の「里山大百科」に載せた一連の写真である。

さすがに名人と言われるだけあって、網帽子も被らず素手で作業をしていた。

私はまるで自分が弟子にでもなった面持ちで、その作業の細かいところまで

しっかりと目に焼き付けた。


巣箱はできるだけ離して置いたほうが、一箱当たりの蜜量も多くなる。

できれば2キロ間隔で置くのがいいそうだ。しかし、それだと管理がたいへんである。

うちは1キロしか離れていないが、少しでも働きバチの活動域を広げれば

それに越したことはない。といいうことで、来春にはうちの敷地内にも

巣箱を一箱置いてもらえることになった。



事故

| | トラックバック(0)
居間の西側の窓ガラスにはタテハモドキの眼状模様写真を拡大して貼り付けてある。

それは鳥が窓ガラスに激突して事故死するのを防ぐためだ。

これまでの犠牲者は、ビンズイ、トラツグミ、シロハラ、そしてカワセミ。

トラツグミだけはしばらく身動きできなかったが、立ち直って飛び立って行った。

他は皆ほぼ即死であった。

ところが今朝のこと、メジロが新たな犠牲者となっていた。

チョロは朝ごはんを食べたばかりだから、冷静にこちらを見ているだけ。

IMG_9200.jpg
眼状模様の写真では効果がないようだ。

そういえば先日、奄美空港でこんな光景を見た。

PA080029.jpg
待合室の窓にタカのシルエットが貼り付けてあった。

待合室だけでなく空港の建物の各所の窓にも間隔を空けてこのシルエットが並んでいる。

眼状模様よりか、この方が威嚇効果が高いのだろうなあ、と感じた。


IMG_9216.jpg
近所の土手にノコンギクの群落があった。

うちの敷地の土手にも咲いてくれんかなあ、と思いながらカメラを向けた。

しかし、私はあえて自分の土地にいろいろな植物を移植することを避けている。

全くゼロではないが、虫好きの方が虫の食草や食樹を一生懸植えていることに比べれば、

限りなく植えていないことに近い。

ただし草刈りだけはやる。あるいはすでに植わっている草木をいじる、

移植する、ことくらいはする。

園芸植物や家庭菜園は嫁さんがやっており、私はほとんどタッチしない。

草刈りだけを施し、あとはどんな植物がやって来るか、それを楽しみに見ている、

待っている、だけである。

風にのって舞い降りてくる種。鳥や獣によって運ばれる種。

あれもこれもと欲しがらないほうが、未知数に委ねるほうが、面白いと思う。

じつは、この夏、サンショを買って来て植えた。

敷地内にはイヌザンショウの実生が多く、そこでアゲハ類が育つのだが、

仕事上、サンショが必要なことが多い。

渋々、サンショを植えたのだが、その全てが枯れてしまった。

その原因は科学的に究明すれば解明され、サンショを元気に育てる何らかの

手立てがあるのかもしれない。

しかし、サンショが土地に合わなかったのかそれはともかく、

よそからあえて持ち込まない、とした最初の方針に矛盾しており、

枯れてしまったサンショを整理しながら大いに反省したのであった。

そんなある日、嫁さんがオガタマノキの植木を買ってきた。

安かったから、というのだが、いまだにそれは植木鉢の中。

「それはねえ~、植えてもいいけど、たぶんここではうまく育たんよ。

何でか知らんけど。」



ヤママユの繁殖期

| | トラックバック(0)
一昨日(12日)の深夜にヤママユのメスが羽化した。

そして今朝のこと、そのメスが交尾していることに気付いた。

メスは辛抱強く?そのまま移動せずにオスを待ち続けていたのだ。

XA142365.jpg
昨夜は室内撮影が長引いて、一時間おきには起きていたので、

ついでに外のヤママユの様子も覗いていた。おそらくオスが飛来したのは推定で

午前4時~5時のころかと思われる。

おお!オスがやって来たかあ!と感激した。

メスは羽化当夜には交尾せず、二晩目以降から交尾するという研究報告にも合致する。

ということは、メスのコーリングは二晩目から開始するのだろうか?



敷地内に残されたヤママユの繭はあと2個となった。繭の大きさからしてどちらもメスが

羽化するのではないかと思える。今度はオスが飛来するところを撮影しておきたい。

XA142363.jpg
オスはメスの翅にしがみついているように見えるが、じつは脚は宙ぶらりんになっている。

メスは繭につかまりオスの体重を支えている。

メスのほうがはるかに体格が上回っているのだ。まあ説明しなくとも一目瞭然。

前にも交尾中のヤママユはたいへん神経質だと書いたが、

今朝は慎重に撮影してみた。動く気配を覚られたり、傍で風を起こすのは禁物。

ましてや枝葉に少しでも振動を与えてはならない。

余程注意していたのだが、午前8時半ころ私の体がクヌギの枝に触れてしまった。

案の定、オスは飛び跳ねるようにして真下の草むらにボテン!と落っこちた。

XA142401.jpg
落っこちたオスの翅はかなり擦れており、触角も傷んでいる。

XA142421.jpg
今日までたくましく生き延びてきた、つわものの表情だ。

そっと指に止まらせると大きな翅をふるわせウォーミングアップしたあと、一気に上空へと

舞い上がっていった。

と、その直後にジョロウグモの巣網に掛かってしまった。

XA142435.jpg
わが家の敷地内にはジョロウグモの巣網が無数、張られている。

この罠を避けて飛行するほうが困難なくらい網の密度は高い。

ヤママユのオスは猛烈に暴れまくり、ジョロウグモも一度は駆け寄っていったが、

すぐに逃げ出した。獲物が大き過ぎたのだ。

かれこれ暴れていたが、やがて糸が切れてオスは難を逃れることができた。

やれやれだ。

ヤママユの羽化時期には個体差が大きく、オスとメスの出会い頻度は低いとされている。

オスにはまだまだ仕事が残されている。次なるメスを求めて今夜も林を飛び回るのだろう。

このオスは低空飛翔をしばらく続けた後、うちの家庭菜園のサトイモの葉っぱに

ぶらさがって落ち着いた。どう見ても脚の掛かりが悪そうだが。

一方、ヤママユのメスは100~300個くらい卵を産む。

産卵数にはばらつきが大きいとされる。

先日、近くのクヌギ林で捕獲した交尾中だったメスは、網のなかでたくさん産卵した。

一晩でかなり産んだので翌日には放しておいた。

受精卵かどうかは産卵後10日もすれば卵内に幼虫の体が出来上がるので確認できる。



※昨日、奄美大島のアカギについてその移入された経緯がわからないと書いた。

  さっそくある方からご教示いただき、

  アカギはサトウキビから黒糖を煮出すときの燃料として、

  明治政府が移入を奨励したそうだ。

  サトウキビと関係があるという話は私も聞いていたがすっかり忘れていた。

  ご教示いただいた方にあらためてお礼を申し上げます。



日本の図鑑にはまだ載っていないキンカメムシ。

本種の国内での分類学的調査はまだ完了しておらず、したがって

正式和名はまだ無い。

まあ、本種の詳しい生態もわからないのであるが、ともかくアカギがホストである。

これだけは、はっきりしている。そして海外からやってきた虫でもある。

IMG_8737トリミング.jpg
金キラ金に輝く体はタマムシみたいだが、よくよく見れば本種はけっこう毛深いのである。

写真では鮮明でないが、逆光で見ると体の背面には白い短毛がびっしりと生えている。

沖縄の湊和雄さんが「ラデンキンカメムシ(螺鈿キンカメムシ)」という綺麗な名称を

ブログに書かれていた。私などもこの「ラデンキンカメムシ」という名称はいいなあ、と

思う方だがきちんと調査が完了した段階で正式和名が決まることだろう。

名前は大事なことだが、さらに本種の生態、そして日本に入ってきたルートなども

興味深い。

IMG_8968トリミング.jpg
奄美大島にはアカギがたくさん植わっている。それも街中を中心に人が植えたものだ。

鳥が種の運び屋となって、アカギは主に道路沿いに分布を拡大してきた。

アカギはもともと奄美大島には自生していなかったそうだ。

そのアカギが増えて、さらに大木化してくると

今度は社会生活の邪魔者扱いされるようになった。

では何故、人はアカギを植えたのか?

そこを私はまだよく調べていない。いや知りたいと思う。

今や邪魔者扱いされるアカギに綺麗なカメムシがよそからやって来て発生し始めた。

もしも、このカメムシがアカギの脅威、言い換えれば害虫となればちょうどいいかも、

などと考える人もいる。だが、キンカメムシがついたところでアカギの

勢力が衰えることは無さそうである。期待は的外れのようだ。

むしろ、この美麗なカメムシを見て喜ぶ人の方が多い。それも当然だろう。

同じキンカメムシの仲間で、アカギカメムシがいる。

本種のホストは主にアカメガシワである。うちの敷地内でも発生するようになった。

しかし、奇妙なことだ。何がと言えば、アカギカメムシという和名である。

アカギカメムシの和名は、アカギの木と関係があるのだろうか?と

普通ならそう疑問に感じる。

同じことがミカンキンカメムシにも言える。

ミカンキンカメムシのホストはセンダンであり、ミカンを加害することはあっても、

特にミカンとの深い関係はない。

ミカンキンカメムシは、センダンキンカメムシとしたほうが、よりわかり易い。

だがしかし、名前とは不思議なものだ。

そういう理屈はあまり意味がない。名前は一瞬にして、あるいは歴史のなかで

決まっていく。理屈に合わなくても、いつのまにか実体と重なって定着する。

やがて名前は一人歩きし始める。

一人歩きし始めた名前が実体となり、もはや否定しがたい存在となる。


今日の写真は、昨日、奄美大島で撮影したもの。

今回、成虫の集団を期待していたが、タイミングが悪かった。

24時間、島に滞在していれば撮影できたと思う。

ただし幼虫集団の綺麗な写真があらたに撮れた。

これから育っていく集団がいくつもあるのがわかった。

アカギの実がある限り、繁殖を続けていくのだろうか?

秋深まって、さらに冬となって、彼らはどう過ごしているだろうか?



午後6時45分。

鹿児島空港で出迎えてくれたのは、マツムシの「チンチロリン~」の合唱だった。

広い駐車場の植え込みから聞こえてくる。こんなところにマツムシが、それもこの時期に。

今日は奄美大島に日帰りで行ってきた。

IMG_0143.jpg
実がたくさんなっているアカギでは、キンカメムシの一種(Scutellera amethystina)が

繁殖している。このキンカメムシが育つ上ではアカギの実が不可欠である。

IMG_8711.jpg
実を吸っているとき、つまり活動している間はけっこう神経質で、できるだけ身体を隠す

ようにしていることが多い。人の気配にも敏感で近づいたらサッサと暗がりに潜り込む。

ところが葉上に集団形成して休んでいるときは、いかにも落ち着いている。

今日もタイミング悪く、成虫の集団は見れなかったが、幼虫たちでは各令期の集団が

見られた。

今日は葉うらに産み付けられた卵塊も初めて見た。2列にきちんと並べられたその数は

74個。

IMG_8837.jpg
卵塊は実の近くに産まれてあった。もう一つの卵塊はすでに孵化しており、

すぐ隣の葉うらに1令幼虫の集団がはりつていた。1令幼虫は餌をとらず、数日後に

2令へと脱皮する。

IMG_8872.jpg
アカギの梢ではアマミアオガエルをときどき見かける。

そして、アカギを見ているうちに、上空をクロツバメが一直線に飛んでいた。

下から仰ぎ見ると、腹部の赤色が良く目立つ。

クロツバメは先週の7日にも同じ場所で見た。アカギが食樹というから幼虫も探してみたが

見つからなかった。

クロツバメは昔、八重山諸島の西表島で見たことがある。


鹿児島空港から三股町のわが家までほぼ1時間で着いた。

夜道の路上を、ホンドキツネが横切って行った。

うちの周辺にはキツネが棲んでいるが、まだ巣穴は見つけていない。


奄美大島で撮影中、EOS-7Dの内蔵フラッシュがポップアップしなくなった。

「外部ストロボが使用中です」とふざけた表示が出る。

もう一台のEOS-7Dはあるので、すぐには困らなかったが、

不調になったカメラは使い始めて2ヶ月くらいだろうか。

こういうカメラの不調、すくなくともオリンパスのカメラではまったく経験がない。






赤いサシガメ

| | トラックバック(0)
キベリヒゲナガサシガメは、南西諸島ではときどき見かけるサシガメ。

先日、奄美大島の道端で久しぶりに出会った。

IMG_9640.jpg
全身赤色をしたサシガメにも関わらず、「キベリ」と付く和名に違和感があるが、

よ~く見れば前脚腿節上面などが薄い黄色である。ここに注目した和名なのだろうか?

それとも待てよ、うしろ翅を拡げると翅の縁が黄色い帯模様だったりして。

クルマバッタなどの和名は、うしろ翅の紋様の特徴に由来する。

しかし、キベリヒゲナガサシガメのうしろ翅を見る機会はたいへん稀なことだと思う。

先日、沖縄の湊和雄さんのブログでも本種が取り上げられていた。

★その後、12日に再び同じ場所に行ったところ、止めた車のドアに

キベリヒゲナガサシガメが飛来した。目の前でゆっくり飛んでいたので、

うしろ翅もよく観察できた。はばたいてはいるが、少なくとも黄色い帯模様はなかった。

全体に薄茶色の平凡な翅だった。稀、という記述は訂正したい。


奄美で期待していたオオジョロウグモは数個体を見ただけに終わったが、

現地で聞いた話では、今年は特に少ないということだった。

IMG_8560.jpg
奄美空港の北にある「あやまる岬」で撮影しやすいオオジョロウグモの巣網を見つけた。

セミのクロイワツクツクを捕食していた。

IMG_9530.jpg
オオジョロウグモが食事を始めた途端、待ってました!とばかりにシロカネイソウロウグモ

がワラワラと集まってきた。一体どこに居たのだろうと不思議に感じるほど数が多い。

まさに血の臭いを嗅ぎつけたハイエナである。


先週7日、奄美大島で見つけることができたベニツチカメムシ集団。

数箇所、ボロボロノキの場所を案内していただき、そのなかでも特に落果が多かったという

ポイントだった。

ボロボロノキから4メートルほど離れた林内だったので、気付くまで少し時間が掛かった。

ともかく規模の大きい集団だ。

IMG_8610.jpg

IMG_9697.jpg
少しでも林の中に入ると、ハブのことが気になる。

油断は禁物だが、あまり神経質になって行動範囲が狭まるのも勿体無い。

せめて長靴を履いておけば良かったと思う。

今年は、夏に幼虫が観察できたボロボロノキでも秋に入ってから成虫の姿が

消えてしまった場所が多いそうだ。通常、自分たちが育ったボロボロノキのすぐ傍で

集団形成するものが、他の場所に移ったのはそれなりの理由があるのだろう。

九州ではこうした集団も冬になると解消されて、地表の窪みなどに潜り込む。

ところが奄美大島では冬の間もずっとこのまま集団で過ごすということだ。

ボロボロノキは意外と特徴が掴みにくいので、落葉すると余計に見つけるのがたいへん。

それとまとまって生えている場所は稀で、ポツンポツンと散在しているので

結実期に一気に探し歩いておくのが早道かと思える。


( 写真上: EOS-7D  EF 15ミリ魚眼 )
( 写真下: EOS-7D  EF-S 60ミリマクロ )






ヤママユの交尾

| | トラックバック(0)
奄美大島に行っている間に、庭のクヌギにあったヤママユの繭の一つが羽化していた。

成虫の姿はすでに無かったが、ともかく今年のヤママユの羽化時期はたいへん遅い。

近所のソバ畑を撮影してから戻る途中、ヒガンバナで吸蜜するナガサキアゲハのメスを

見かけた。なんと!これが有尾型のメスだった。

一瞬採集しようかとも思ったが、オスがやって来て追飛するようになったので、

飛翔シーンをねらってみた。しかし、シャッターチャンスはあまりなく、

証拠写真程度しか撮影できなかったのは残念。

しつこく待ってみようと思い、付近をウロウロしていたら何本か並んでいるクヌギが

気になった。

JX106182.jpg
ふと梢を覗き込んでみるとヤママユのメスが止まっていた。

JX106185.jpg
さらに近寄ってみると、交尾中であることがわかった。

JX106193.jpg
野外で交尾を観察できたのは今回が初めてのこと。

以前、撮影した交尾は飼育下のことだったので、今日はけっこう嬉しかった。

オスは見ての通り、チョコレート色。

撮影しているうちに驚いて交尾が解け、雌雄とも地面に落ちてしまった。

交尾中のヤママユはたいへん神経質である。

JX106205.jpg

JX106227.jpg
交尾中の写真ではわかりづらいが、交尾していた場所はメスが羽脱した繭の傍だった。

JX106240.jpg
おそらくメスが羽化したのは一昨日の夜あたりで

そこへオスが飛来して交尾が成立したと思われる。

それでも午後2時過ぎまで交尾していたわけだから、交尾時間は長い。

採卵したいのでメスは捕獲した。お腹は卵がぎっしりと詰まっていて大きく膨らんでいる。

JX106232.jpg
(写真全て: E-620  ZUIKO D 14ー54ミリズーム )

















奄美大島

| | トラックバック(0)
5日から鹿児島県、奄美大島に滞在。本日の午後、宮崎に戻ってきた。

島では天候にも恵まれ、そして現地の自然に詳しい方達に案内していただき、

たいへん充実した撮影と観察ができた。

鹿児島空港に戻ってみれば、「奄美大島は悪天候のため着陸できないときには

鹿児島空港に戻ることもあります」などと、アナウンスがあった。

私はかなりラッキーだったようだ。

ところが空港前の駐車場から出ようとしたら、左前輪がパンクしていた。

ジャッキアップしてスペアタイヤに交換。「なんでやねん!!」

近くのスタンドでパンク修理を依頼したところ

タイヤの損傷がヒドイので新品に交換することに。

しかもタイヤの在庫がないので取り寄せるのに50分も待たされた。

まあ、これくらいのことではめげないが、ちょっと疲れた。

IMG_9338.jpg
謎のキンカメムシ幼虫。最近、奄美大島に入り全島に生息しているようだ。

食樹、これも外来種の、アカギ。

アカギは街路樹をはじめ人里環境に多い。

IMG_8569.jpg
アカギはやたらと大木になるため、とくに町中では問題視されている。

そのアカギにつくキンカメムシは、実がたくさんなっている木を選んで卵を産むようだ。

幼虫も成虫も実の汁を吸う。それ以外は写真のごとく葉っぱに集団を作って休んでいる。

IMG_9748.jpg
上の写真は今朝、撮影した幼虫集団。羽化したばかりの赤い成虫と昨夜あたりに羽化した

色付いた成虫も1匹見える。撮影している間にも2匹の幼虫が羽化脱皮を始めた。

本種は東南アジアや中国に生息しているキンカメムシに酷似しているものがいるが、

はたして何処から国内に入ってきたのか、そのルートなどは調査ができていない。

したがって、まだ正式和名も付いていない。

7月のこと、私はある方と出会い奄美大島のこのキンカメムシのことを知った。



奄美滞在のいきさつなど、また明日に紹介したい。



旅の秋

| | トラックバック(0)
明日からしばらく旅に出ます。

短い旅ですがその間、ブログ更新は休みます。                  新開 孝





秋空

| | トラックバック(0)
昨日の高倍率撮影の続きは、この記事の前に書いてあります。


予報では雨ということだったが、雨は日中と夕方に少しパラついた程度だった。

赤や白のヒガンバナはとっくに終了したうちの庭だが、

今は黄色いヒガンバナが花盛りとなっている。

IMG_8912.jpg
黄色いヒガンバナの株は少ない。花色以外の特徴としては、花弁のヘリが波打っている

こと、花が全体に大きいことなど。

先週修理出ししたキャノンのEF15ミリレンズが戻ってきた。

かれこれ7年前あたりから、カメラとの通信不良というエラーが時々発生するようになって

いたのだが、それをずっと放置したままだった。最近、使用頻度が増えたのでようやく

修理に出した。レンズ内の絞りユニットを交換。部品代は3000円程度だが、

工賃が9000円した。CPS会員だった昔なら、工賃は無料になったはず。

しかし、CPSの会費は年間13000円程度(昔の当時)を支払っていたが、滅多に機材の

修理出しも無く、まさに会費の掛け捨てのような状況が数年続いたので脱会した。

2年前頃から、キャノンのCPS会員になる審査基準が厳しくなったと聞いている。

ちょっと勿体無いことしたかな、と思うこともあったが今では気にならない。

庭に立ててあった竹竿の先にリスアカネが止まっていたので、

さっそく戻ってきたEF15ミリレンズの試し撮りをしてみた。

IMG_8978.jpg
「リスアカネ」のリスは、スイスのトンボ学者の名前らしいが、

どうしても動物のリスを思い浮かべてしまう。可愛い赤とんぼ、というイメージはぴったりだと

思える。


トレニアの指輪

| | トラックバック(0)
小さい昆虫や花を撮影するときの接写撮影のなかでも、

倍率が2倍を超えるあたりから高倍率撮影となるが、野外でしかも手持ち撮影となると

ある程度の熟練とそして日頃の鍛錬も必要。

今日は腕慣らしの目的で高倍率撮影の練習をしておいた。

まずはツユクサの花。

XA012031.jpg
トレニアの花には指輪があった!

XA012056.jpg
XA012123.jpg
トレニアの花や葉にはウンカ類の幼虫がいくつか着いていた。成虫もいたが数は少なく、

警戒心も強くていい角度から撮影できなかった。成虫はまたの機会としよう。

イネ科の花穂には、ハリカメムシの幼虫。

XA012092.jpg
XA012083.jpg
さて、上に並べた写真は全部、M.ZUIKO14-42ミリズームレンズの前玉はずしと

カメラはEPL-1を使用。

ストロボは内蔵ストロボをマニュアル1/4で発光、逆目からハクバのデジタルスレーブ

ストロボを発光させている。内蔵ストロボの前には自作の小さなディフューザーを輪ゴムで

装着。ISOを800、絞りはF16とした。

M.ZUIKO14-42ミリズームレンズの前玉はずしだと、

望遠側の最大倍率で撮影範囲は横幅が約1センチ。

高倍率とは言ってもそう倍率が高くはないが、それでも被写体をファインダー内に捉える

には慣れが必要である。EPL-1は稼動式電子ビュワーなので、地面近くの撮影時には

楽な姿勢がとれるので助かる。素通しのファインダーなら腹ばいになるような条件でも

立て膝つく程度で済む。