昨日に引き続き、高倍率接写撮影時の工夫について。
前置きが長くなりそうなので、まずはMP-E65ミリレンズに装着した
自作ディフューザーの写真を。仕上がりは雑だがこれで5倍の接写まで内蔵ストロボで
撮影できる。もちろんいくつか条件も加わるが、それはのちほど。
一見して材料費がタダ同然とおわかりになるだろう。
キャノンのマクロレンズMP-E65ミリ、現状では他社メーカーで類似のレンズが無く
このレンズがあるがためにキャノンを選らんだ、という方も多い(とくに昆虫写真とか)。
あるいはニコンやオリンパスを使っていても、65ミリマクロだけは使いたいので、
渋々このレンズとカメラを買ったという方も少なくない。
MP-E65ミリレンズで撮影するとき、倍率が上がれば鏡筒が長く伸びる。
そのためカメラボディの内蔵ストロボでは鏡筒に光が遮られて光が被写体に
うまく当たらず、内臓ストロボが使えない、というのが常識。
そのためメーカー側が推奨しているのが、自社のマクロツインストロボMT-24EX。
2灯の発光部がケーブルでストロボ本体から離して使えるため、
上記のような高倍率撮影ではとても役に立つストロボとなっている。
2灯の発光部はレンズ先端にワンタッチで装着できるリング状のシューアダプターに
固定できる。マクロツインストロボのシステム自体はたいへんよくできている。
しかし、発光部の位置はレンズ先端周囲に限定されてしまい、
さまざまなライティング条件をこなす自由度が無いのが、最大の欠点でもある。
また使用するレンズも限定されてしまう。まあ、もとともと接写専用として開発された
ストロボだから、何本かのマクロレンズで使うことしか想定されていないのは仕方が無い。
発光部の取り付け方をいろいろ工夫しているカメラマンもいて、
私もレンズの三脚座にT型のシューアダプターをを取り付けたりして使ったこともある。
レンズ先端よりか幾分か後ろの位置に発光部を固定したかったからである。
あるいはアメリカの
Really Right Stuff社からは、かなり充実したアクセサリーが
販売されており、国内のカメラマンで使っている方もおられるようだ。
RRS社のストロボアクセサリーBシリーズは、レンズの特長に合わせて、
マクロツインストロボの発光部がいろいろな位置に配置できるようになっている。
アクセサリーの仕上がり具合など画像で見る限りでも、惚れ惚れするほどだ。
つい私もRRS社のHPにログインして、Bシリーズのアクセサリー類をとりあえず
買い物カゴに入れてみた。しかし、いくら円高とはいえ、
2灯発光部の固定用アクセサリー類のパーツを全部揃えてみれば、
その金額はキャノンのマクロツインストロボMT-24EXが買えてまだ余裕があるくらい、
非常に高価なものとなった。いやお金のある方には、このシステムを是非お薦めしたい。
一旦は熱くなった私だが、金額を見て冷静になった。
そもそも私はマクロツインストロボMT-24EXを持っていても、野外で使うことがない。
いやマクロツインストロボMT-24EXに限らず、カメラのアクセサリーシューにストロボを
付けること自体を好まず、カメラボディはすっきりさせていたい、というこだわりがある。
なので、どうしても内蔵ストロボを有効に使いたい。
さて、先に紹介したMP-E65ミリレンズ用のディフューザーだが。
これを横から見てみるとこうなっている。マジックの下書き線が残っていてカッコ悪いが。
ディフューザーの形状はレンズフード型だが、レンズ先端のフィルターネジではなく、
先端よりか数センチ後ろの鏡筒に固定している。そしてディフューザーの上部、もっとも
突出した庇部分は、レンズ先端からわずか数ミリはみだしているに過ぎない。ここが肝心。
もう一度、前から見た写真を。
昆虫撮影では地面ギリギリの位置で撮影することも多いので、ディフューザー下部は
できるだけカットしてある。
この半フード型のディフューザーは、透明ペットボトル(2L)の底の部分を切り出したもの。
そこに発泡シートを貼り付けている。
したがって材料はタダで入手可能なこともあるだろう。まさにタダ同然。
貼り付け方は雑だが、レンズ上部に素抜けの部分が少し残してある。
この素抜け部分から内蔵ストロボの直接光が通ってしまうが、鏡筒とレンズフードに遮られ
被写体に直接当たることはない。むしろこの直接光がディフューザー内部で内面反射して
光量のかさ上げに役立っているだろう(ちゃんと検証していないことをお断りしておく)。
正直言うと、この素抜け部分は単にシートを貼り忘れたのであり、最初から意図したもので
はない。ところがあとから発光テストしてみて、ここを貼り足さないことに決めたわけだ。
さて内蔵ストロボはガイドナンバーが小さいこともあり、倍率が高くなってくると
さすがに光量不足となる。ディフューザーまでの距離が長くなり光のロスが大きい。
光のロスが如実に問題となるのは倍率が×3倍から。
それ以下の×2.5倍まではISO 400、F11~16での撮影が可能。
3倍から5倍までの倍率では、F11以上に絞り込むにはISOを1600あるいは3200まで
上げる必要がある。
ただし3倍以上の高倍率では絞りをあまり絞り込まないほうが鮮明な写真になる。
3倍を超えたらほとんどの場合、私はF8で撮影している。
F8だと最大倍率×5倍であっても ISO 800で撮影可能。
ところで実際の撮影では、内蔵ストロボとディフューザーの組み合わせだけで撮影
することは少なく、これにスレーブストロボを一灯かそれ以上を組み合わせる。
EOS-7Dの内蔵ストロボはEーTTLのオート設定で、
スレーブストロボはオリンパスのFL-36Rをカメラから離れた位置から発光させる。
キャノンのスピードライト430XⅡを使うこともあるが、このストロボはマニュアル光量の
調整にボタン操作が煩わしい。FL-36Rだとダイアルの回転操作で調整できるので
手探りでもクリック数と回転方向で光量のさじ加減がわかるのがいい。
スレーブストロボの光は重要で、ライティング条件にもよるがこのストロボのおかげで
内蔵ストロボの光量不足も解消できる。
さて、この半フード型ディフューザーをオリンパスのEPL-1+M.Zuiko14-42ミリ
前玉はずし用にも作ってみた。
以前は
つい立式のディフューザーを使っていた。
これだと発光部がレンズ左側にあるため光は拡散しても画面右側に影が強く出る
ことも間々あった。ところが半フード型ディフューザーだと、画面全体に光がより回るように
なって、影が出にくくなる。
ディフューザーに発泡シートを貼る前の様子の写真がこれ↓
この場合、ディフューザーの先端はレンズ先端を超えていない。ディフューザー下部は
できるだけ切り詰めている。
半フード型ディフューザーだと、レンズ側面部からの光も加わるので、画面全体に光が
回るようになる。
MP-E65ミリにしろ、この前玉はずしにしろ、高倍率撮影となるとレンズ先端から
被写体までの距離は短い。長くて4センチあればいいほうで、MP-E65ミリだと
3センチそこそこ、前玉はずしではなんと2センチ足らず。
被写体までの距離が短いことから、ディフューザーの形状、大きさも今回のような
半フード型で充分間に合うわけだ。
EPL-1+M.Zuiko14-42ミリ前玉はずしでは、写真のように大きなサイズは必要なく
もっと小さな容量(350ml)のペットボトルでも間に合う。
ただレンズ両サイドの発光面積が欲しかったので、MP-E65ミリ用と同じサイズの
ペットボトルの底を使ってみた。穴開け位置は中心からかなりズラしてある。
半フード型ディフューザーの工作は短時間で、簡単にできる。
気をつけることは、ペットボトルの底中心部分はかなり分厚く硬いので、
ここを切断するには一苦労する。プラ専用ニッパーなどあればいいだろう。
またレンズ鏡筒にはめる穴は、しっかりと固定できるよう微妙に内径を小さくしておくこと。
まあ、工作と言えるほどの工作でもなく、思いついたらハサミかカッターナイフで
誰でもすぐ試してみることができるだろう。ただし、怪我しないようにご用心を。
このディフューザーなら携行するにも荷物にならず、また壊れたり紛失しても、
すぐに工作組み立てが、旅先であっても可能である。
身軽な内蔵ストロボ+ディフューザーのシステムを使えば、
EOS-7D+MP-E65ミリレンズを野外でも使ってみよう、という気になれる。
これまで、MP-E65ミリレンズは室内撮影専用になっていた。
もっともスレーブストロボの固定方法などは昔からいろいと工夫してきたから、
問題はない。このやり方は撮影場所などの条件によってさまざまな道具が必要。
EOS-7D+MP-E65ミリレンズだと、片手でカメラを構え、左手でスレーブストロボを
支えるなんてことは不可能だ。
それにしても、RRS社のフラッシュアクセサリーには未練が残る。
ああいうアクセサリー類を製作する業者が国内にもあればなあ、とつくづく思う。