ベニシジミ、畦の自然

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         庭にベニシジミの交尾カップルがいた。

ベニシジミ交尾IMG_1289.JPG
 左の♀は羽化直後だろうか、新鮮だが、右の♂は翅がかなり擦れている。

ベニシジミはちょっとした草地環境でも普通に見られる蝶だが、意外と交尾カップルに

遭遇する機会は多くない。過去7年間で、今回を入れてわずか3回しか見ていない。


 ベニシジミは田畑の畦道にも多く棲息するが、畦という草地環境は農業上、人の管理作業が

定期的に入る。管理作業は大雑把には、年数回の草刈りと、年に一回の野焼き、である。

だからこそ草地の自然環境が維持されているわけで、畦は自然観察をする上でも

たいへん貴重なフィールドと捉えることができる。

 我が家のすぐ傍の畑は、畜産(牛)のため、牧草が年中栽培されている。

       Nさんと、Kさんの畑だ。  お二人の作業する姿を眺めることも多い。

作業の段取り、進め方など、自分のことのように興味を抱く。

畦は定期的に刈り込まれるが、植物の回復力も旺盛だ。刈っては伸び、伸びては刈り

のイタチごっこだ。たいへんな労力を要する。私も自分の林を手入れしてきて、

その実際の大変さを知るようになった。

 ところが、昨年の中頃からKさんの姿を見なくなり、畑が荒れ始めた。

あとで知ったのだが、事情あって牛を飼うのを止めたそうだ。

育牛のための牧草が必要なくなったのだ。

ある日、別の方が牧草を刈り取ったあと、あらたに畑は耕され、そして今年に入ってから

里芋が植え付けられた。他の農家の方が、野菜の栽培を始めたのだ。

そして植え付けと同時に、除草剤散布を大々的に行うようになった。

散布作業の日、たまたま庭からその様子を見ていた私は、暗い気分になった。

さて、その結果、現在では緑濃かった畦の草地環境は壊滅。まるで冬枯れ状態だ。

畦の比較.jpg          写真左が除草剤散布された畦で、右はNさんが手入れしている畦で
          除草剤散布はしていない。
          同じ日に撮影。

除草剤散布した畦は、この時期になんとも気色悪い光景を晒している。

もちろん自然観察など不可能。

除草剤と言うけれど、「枯れ葉剤」と言うべきで、枯れ残った残骸はそのまま放置

されている。犬の散歩をするときも除草剤を撒いた場所は避けるようにしているが、

そうでないと、犬が体調を崩すことがこれまでに何度もあった。

植物以外にも「枯れ葉剤」の悪影響を受ける生物は数多くいるのではないかと思う。

以前、Kさんは畦の刈草も牛の肥育に使っていた。ただし、蔓草を取り除いたりと

かなり手間の掛かる作業ではあったが、「枯れ葉剤」を使うことはなかった。

畦の草地環境では、四季折々、各種の植物が繁茂し、そこには様々な生き物が暮らして

いる。人の管理下にあっても、自然の営みがある。

除草剤を使用するのは労力の問題などそれなりの事情があることはわかる。

わかるけれど、農業というのは生産の場としてだけではなく、

自然環境の一つとして、眺める、遊ぶ、学ぶ、、、、、という様々な生業が成立し、

生活文化を豊かにする場でもあって欲しい。






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