陶芸家の技とは?

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三股町 田上

玄関の門灯横に、スズバチが泥巣を作り始めた。

スズバチ.JPG数日前に気付いたときは、作りかけて放棄したのかと勘違いしたが、昨日になってトックリ型の泥巣が一個完成し、今朝には襟の部分が排除され、泥で封印されていた。

そして今朝のこと、第一泥巣部屋の上部に、第二泥巣の建造が始まっていた。

スズバチIMG_4043.JPGスズバチの泥巣作りはこれまでにも撮影したことがあるが、それは完成間近の段階で、トックリ型の個室の建造はまだしっかりとした観察もできていない。以前にチャンスもあったのだが、途中で放棄してしまったのだ。

入り口の襟の部分の製作工程などは特にじっくり見ておきたいし、もちろん撮影したい。

じつは今日明日中に片付けるデスクワークがあったのだが、スズバチの泥巣作り撮影のチャンスを逃すわけにもいかない。予定を急遽変更して、カメラを携え玄関に陣取ることにした。

スズバチの場合、まずは水場に行き吸水を行う。次に土の採取場所へ移動し、水を吐き戻して泥玉粘土を拵える。これを大事そうに抱えて、営巣場所に正確に戻って来る。一旦この作業が始まると、このテンポは結構早く進む。うっかり目を離していると、肝心な工程を見落としてしまうので、気が抜けない。

巣に近寄ると最初は警戒して、こちらに向かってきたりするが、決して刺したりしないし、じっとしているとすぐに馴れて、作業を再開し、作業に熱中するとどんなに近寄っても平気となる。巣造りしているハチの体に指先で触れても全然平気だった。

大アゴと前脚のふ節を使って、泥玉を薄い壁に仕上げていく様は、陶芸家の技を凌ぐのでは、と思えるほど見事だ。

襟の仕上げを終えた後、産卵をして(産卵も初めて撮影できた)、どこかへ去って行った。
4ミリ径の入り口から、泥壷内部の天井から短い糸でぶら下がった卵が一個見える。
作業の続きは、明日に持ち越しとなった。

このあとの作業は、幼虫の餌となるイモムシの搬入である。そのためには、イモムシの狩りが必要で
スズバチはセンダンにつく、フトスジエダシャクを専門に狩るようだ。
泥巣一部屋に、3〜8頭を貯蔵するらしい(岩田久仁雄「自然観察者の手記」より)。

明日もこの泥巣から目が離せなくなった。


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