2010年2月アーカイブ


旅立ち

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庭仕事をしていて大勢のアリが一ヵ所に群れているのに気付いた。午後1時半ころ。

羽アリの姿も多い。

よく見れば、クロナガアリだった。

クロナガアリの結婚飛行を見るのは初めてだ。

雄アリ、雌アリ、そして働きアリがグジャッと固まって蠢いている。

急いでカメラを取って戻ってみると、羽アリの数は極端に少なくなっていた。

それもそのはず、次々と離陸しては青空に吸い込まれるように消えていく。

W22812602.jpg写真画面下が働きアリで、上が雌アリ。

雌アリは草などによじ登っては空中へと舞い上がっていく。

オオイヌノフグリの花上は安定が悪く、うまく飛び立てないようだ。

何度も失敗してから別の草の上で無事に飛び立っていった。

W22812791.jpg今日は陽射しが強く暖かい一日だったが、

クロナガアリの結構飛行の時期は通常、5月ころのはず。

いくら暖かいとは言え結婚飛行のタイミングとしては早過ぎるのではないだろうか。

旅立っていった雌アリと雄アリたちが無事に交尾し、新しい巣場所へと潜り込める

だろうか。


似たもの同士

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明日からはまた雨や曇りの日が続くようだ。

今日は気温も高く気持ちよく晴れた。

こんな日は朝のうちに洗濯、そして布団干しにと忙しく動く。

一段落してから犬の散歩途中でアブラナの花畑に寄ってみた。さすがに虫の姿も多い。

久しぶりにニホンミツバチを見た。

W22811802.jpgうちの近辺ではなぜかニホンミツバチを見る機会は少ない。

セイヨウミツバチの方が圧倒的に多いのだが、近くで養蜂をしている農家も無い。

趣味半分で飼っている方がいらっしゃるのかもしれないし、

私はセイヨウミツバチが野生化している可能性もあるのではないか?と疑ってもいる。

以前、長崎県の田代原という所で野生化したセイヨウミツバチを見たことがあるからだ。

セイヨウミツバチは人工物の隙間に営巣しており、かなり驚いた。

野生化したセイヨウミツバチは和歌山県の神社でも見たことがあるが、日本本土では

稀であるようだ。

それはともかく、アブラナの花に来ているミツバチたちに混じって紛らわしいハナアブ類も

多い。特によく似ているのが、シマハナアブ↓だろう。

W22812051.jpgこうして大きく写真にしてしまうとあまり似ていないが、野外で実際に見比べてみると

一瞬見間違えそうになる。

こちらはカメムシのなかまのヒメナガメ花の間に潜んでいる。

W22812001.jpg「姫菜亀」という和名の通り、本種はアブラナ科の植物の汁を好んで吸い、そして

彼らのこどもたちもこの植物上で育つ。つまりヒメナガメにとっての食草というわけだ。

暖かくなったとはいえまだ個体数は少ないが、やがてあちこちからアブラナに集まってくる。

食草ではないがアブラナにはよくアブラムシもつくため、ナナホシテントウの姿も見かける。

W22811582.jpgヒメナガメやナガメの体は橙色と黒の紋様だが、遠目にはナナホシテントウに似ていなくも

無い。警告色という点では互いに共通しているかもしれない。


(写真:E-520  35ミリマクロレンズ+1.4倍テレコン ) 



早春の雑木林でよく出会う虫の一つが、アカスジアオリンガ だ。

武蔵野のフィールドでは印象深い蛾であった。

アカスジアオリンガの幼虫はクヌギで育つので、クヌギ林に多い。

わが家の雑木林もクヌギ林である。今春、宮崎に来て初めてお目にかかった。

W22710691.jpg写真の個体はオス。メスは全体に薄い若草色をしていて、オスとは紋様がかなり異なる。

秋のころクヌギの葉うらにボートを伏せたような繭を紡ぎ、蛹で越冬する。

したがって春に羽化するときは落ち葉の中である。

W22710652.jpg体の構造上、葉っぱなどに止まっていると顔の様子は見えない。あえて急所の頭部を

隠しているかのように見える。

武蔵野の雑木林では芽吹いたばかりのコナラの若葉に止まっていたのを撮影したことがあ

るが、見事な隠蔽擬態であった。止まる場所を問わなくても、目立ちにくい紋様ではある。

頭部、そして胸部に密生する体毛を見ていると、思わず撫でてみたくなるほど綺麗だ。

本種はこのあと2世代目が夏型として登場する。

(写真:オリンパスE-520 35ミリマクロ+1.4倍テレコン )

ちょっと早い羽化

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JX257654.jpg
キクキンウワバが、羽化した。

去年の暮れ、ニンジン畑でニンジンの葉っぱにくるまれた蛹を見つけた。

ニンジンの葉を食べて育った蛾とはなんだろう?と、不思議に思って持ち帰っておいた。

その蛹が今日になって羽化した。

室内で保管していたので羽化が早まったのだろう。

どうやらキクキンウワバ幼虫はニンジンではなく、その近くに植えられていた他の植物上で

そだったのではないかと思われる。それともニンジンの葉を食うこともあるだろうか?

和名にあるとおり翅には金色の紋様がある。

しかしその金色を写真でうまく表現できなかった。以前撮った写真では、もっと金色に輝いて

いたと記憶している。

キクキンウワバは普通種で身近に多い。

例えば東京の清瀬に住んでいた頃、マンション裏の草地でもよく見かけた。

キクキンウワバを撮影していて、ふと気になったのがイボタガの蛹だ。

去年、ある方から幼虫をいただいて飼育した蛹である。

土の中から蛹を掘り出してみたが、まだ羽化は少し先のようだ。





春がきた

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今日も暖かい一日だった。

モンシロチョウ、キチョウ、キタテハなどの舞う姿が目立った。

庭のアブラナ(セイヨウカラシナ?)の花にはイシガケチョウのメスが来ていた。

吸蜜に余念がないのか、近づいても逃げない。

IMG_10102.jpg成虫で越冬できるのはメスだけだろうか。春先に出会うイシガケチョウはいつもメスばかり。

遠目にはモンシロチョウにも見えるが、慣れれば飛び方でイシガケチョウとすぐわかる。

IMG_09783.jpgクヌギやコナラの芽吹きはまだまだ先だが、もう待ちきれない!とばかり、

チャミノガの幼虫が枝をかじっていた。

IMG_10431.jpg
今日の写真は全部、キャノンEOSキッスデジタルN+100ミリマクロ。

このところスタジオ撮影が忙しくなってきた。

カメラはキャノンEOSー5Dとオリンパスカメラ。撮影項目ごとにカメラが固定されるので、

野外持ち出しカメラに余裕がなくなってきた。

室内撮影と並行して写真の蔵出し作業、種名の確認作業など、デスクワークもピッチが

上がってきた。












シイタケ

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近所の方がシイタケのコマ打ちをするから、と連絡をくれた。

うちでもコマ打ちをやるから、参考のためにも見ておきたい。

さっそく駆けつけてみると、その方の家の手前でモズがトカゲを襲っている最中。

4月並みの暖かさでトカゲも動きだしたようだ。

路面上のトカゲを襲っていたモズは、私が駆け寄っていてもすぐには逃げようとしない。

獲物を置き去りにはできない心境?だろうか。やがてすぐ近くのミカンの梢に

移動し、こちらをじっと見つめている。

トカゲは成熟した大きな個体だが、頭部のあたりから出血がおびただしい。

動くことはできないようだが、私が傍にしゃがみ込むと頭を上げて威嚇する。

家を出るとき望遠ズームレンズをカメラバックから抜いたのは誤算だった。

モズはあきらめてコマ打ち作業をしている場所へと急いだ。

W22310301.jpg写真上の画面奥にはクヌギ材が積んである。レールのように組んだ角材の上に材を置き、

電動ドリルで穴を開ける。材をころがしながら15センチ間隔くらいだろうか。

穴が開いた材はレールの上を移動させ、画面手前のもう一人の方がコマ打ちをする。

このように二人で組んで流れ作業にすれば効率もよい。材は乾燥してあるがそれでも重い。

レール上で作業するのはたいへんやり易いのがよくわかった。

レールの角材を支えているのは養蜂の飼育箱だ。

もともとここのお宅では養蜂をやっていた。だから蜂箱があちこちに積み上げてある。

養蜂は先代限りで止めてしまったということだが、その理由の一つにレンゲが虫害にあって

ダメになってしまったと聞いた。アルファルファゾウムシの仕業ということだ。

このゾウムシによる被害は全国的に見られるようだが、私の住む地域も例外ではないようだ。

今年はアルファルファゾウムシにも気をつけてみたい。


倉庫の天井の梁にツバメの巣があった。

毎年、営巣しているのか聞いてみると、ここ数年ツバメは来ていないらしい。

ネコを飼っているからだ。巣の傍には階段があり、ネコが至近距離まで来るようでは

ツバメも営巣どころではないだろう。母屋の玄関先にも営巣していたそうだが、

ある年アオダイショウが登って雛が全部食べられたそうだ。それ以来、営巣しないという。

うちにもツバメが来て欲しいと思うが、ツバメが営巣場所に選ぶ条件とは何だろうか?


うちの玄関先の軒下には巣箱を設置してある。

つい2,3日前から、ここの巣箱にスズメが来るようになった。

冬のあいだはまったく姿を消していたスズメが戻ってきたのである。

スズメたちのさえずりが庭先から聞こえるようになり、もう完全に春が到着した。

スズメが季節の変わり目を告げてくれる、というのは意外な発見だった。

ウグイスのさえずりもよく聞くようになった。モンシロチョウも普通に飛んでいる。

草むらから聞こえてくる虫の音は、正体がわからない。



クマバチの巣

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引き続き、クマバチの巣。

うちの林で拾った枯れ枝は長さ60センチ。ほぼ中央に直径13ミリの穴がある。

写真下、2本の矢印で示した内側に巣トンネルが穿たれている。

JX227458のコピー1.jpgこの枯れ枝はクヌギだが、幹から折れて地上に落下したようだ。

中央部の巣口から左右にトンネルが続いている。枯れ枝は曲がっているので難しいが、

工夫しながら二つに割ってみた。

断面の様子はまたいづれ紹介したいが巣トンネルの中には、クマバチが5匹入っていた。

親バチとその子供たちだろう。それとも親バチはすでに出て死んでしまったのだろうか?

巣トンネルの断面を綺麗に割り出すことができたが、今日は暖かいせいもあって、

5匹のうち1匹だけは飛んで逃げてしまった。

中の様子を確認してから、二つに割った枯れ枝を合わせて、紐できつく縛っておいた。

数匹いる娘たちは、やがて春になれば分散していく。

分散していった娘たちは枯れ枝を見つけて、そこに新しい巣トンネルを穿つ。

クマバチはまるで熊さんのぬいぐるみのようで、じつに可愛い。

手で摘めばもちろん刺されるが、そうでないかぎり彼らが積極的に人を刺すことはない。

「くまばち」「くまんばち」という言葉は、地方によってはスズメバチのことをさし、

恐いハチというイメージが強い。野山で出会った方にクマバチのことを話していると

スズメバチと誤解されて、話がうまく通じないことをよく経験する。

それで思い出したのだが、私が幼稚園児のころハチの歌に合わせて踊ったことがある。

「ぶん、ぶん、ぶん、はちがとぶ、、、」の歌だったろうか。

頭にはハチの絵を切り抜いた冠をかぶることになった。

その冠は各自、母親に作ってもらった。

私の母親が描いたハチはなぜかクマバチだった。それも背面から見た構図で

今から思えば、どうやら図鑑を参考にしたのだろう。

その冠の絵柄はかなりリアルに描けていて、私は満足し鼻高々であった。

ところが幼稚園で踊る当日、園児の友達たちの反応は今ひとつだった。

クマバチの絵柄はとてもハチには見えず、ハエだと笑われたのであった。

これにはたいへんなショックを受けた。そういえばクマバチなど実物を見たことはない。

ハエだ、と言われるとそうとも思えたのである。

うちに戻ってから母親に泣きながら、描き直して!と訴えたのを憶えている。

新しい絵柄は黄色と黒の縞模様のあるミツバチだったと思う。

この話を母親に電話で聞いてみたら、まったく全然、憶えていなかった。

大人の目線でどうでもよいようなことが、子供にしてみればたいそうなことが、

いくらでもあるだろう。

ふと、自分の子供たちにも私が気付かないだけで、ほんとうは辛い想いをしたことが

多々あったのだろうなあ、と気になった。











巣跡

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クスノキの大木を仰いでみる。

このクスノキは池の傍に生えているが、人の手で植えられたのだろう。

樹齢はどれくらいだろうか。

3メートルほどの高さに枯れ枝がちょこんと突き出ていた。

L12052182.jpg枝の太さは大人の上腕くらいはある。枯れて途中から折れてしまったのだろう。

こういう枯れ枝をクマバチが見逃すはずがない。

よく見てみると、枯れ枝のほぼ中央部に綺麗な丸穴が開いていた(下写真、矢印先)。

JX207414のコピー1.jpg穴の直径は13ミリ。クマバチの巣の口はだいたいこの程度であり、見事な円形。

巣口を中心にして枝の長さは60センチもあれば営巣できるようだ。

巣口の向きは雨が入らないように下向きになっており、径は小さいがコゲラなどキツツキ類の

巣穴と構造はよく似ている。

池の出水溝に掛かっている橋の下には、泥蜂類の巣跡がいくつか付いていた。

JX2073973.jpg細長い穴の開いたつぼ型のものは、ヒメベッコウ類の巣だろう。


※ 泥巣の正体は、ドロジガバチ属のモンキジガバチ、キゴシジガバチ、アメリカジガバチ

のいづれかのもの、とのご指摘をいただきました。

ヒメベッコウ類の壷はもっと小さく平面的に並べます。うっかりしておりました。

そういえば学生の頃、友達の家のトイレの天井にキゴシジガバチが営巣しているのを

見た記憶があります。場所も場所なので、きちんと観察しませんでした。

今年は是非とも、ドロジガバチ属の営巣を観察してみたいものです。

ご指摘いただいた方にお礼、申し上げます。












朝一番で1時間ほど山仕事をした。

スコップで穴堀だ。1メートルほど掘り進むと黒土の層から白っぽい粘土層となる。

掘りながら思ったことは、クロナガアリの巣の断面のことだった。

うちの庭には少なくとも2箇所にクロナガアリの巣がある。

とは言っても、クロナガアリの巣は4~5メートルも地下に続いている。

さて、土堀をしていたら、エビガラスズメの蛹が転がり出てきた。

JX207378.jpgまるで太古の埋葬品でも掘り当てたような気がする。それほどに不思議な形をしている。

この蛹は土中で冬越しをして5月ころに羽化する。


前にオオシオカラトンボのヤゴを紹介した。

今日は気になっていたシオカラトンボのヤゴを探してみた。

すると20匹のヤゴを掬うことができ、そのうち15匹がシオカラトンボで、

あとの5匹がオオシオカラトンボであった。

写真では左の個体が、シオカラトンボのヤゴ。

JX207453.jpgよく似たヤゴ2種のもっとも確実な区別点は腹部の背中に棘があるか無いか。

左のシオカラトンボには背棘が無い。

こうして並べてみると、色の違いや細かい部分での違いもあるように見えるが、

個体差もあるから、やはり背棘を見るのが一番確実だろう。





犬の散歩コースに集落センター(公民館)の広場がある。

そこの休憩テントには毎年、植栽木の枯れ木が横たわっている。

L11951391.jpg植栽木も病気になったりして、弱ったり枝が腐ったりする。

そういう部位は切断するが処分するにも厄介だ。

やはり朽木にして、いづれ土に戻ってもらうのが良い。

L11951284.jpg今、ころがっている朽木はコブシの枝だと思う。

この朽木をどけてみれば、お決まりのようにカブトムシ幼虫の糞がたくさん出てくる。

そして、もちろん幼虫の姿も。

L11951353.jpg朽木とは書いたが、その腐朽度はまだそれほどでもない。そのせいかカブトムシ幼虫の餌

としては栄養に劣るものがあるのだろう。幼虫のサイズはまだ小さい。

しかし、カブトムシのメスはいろんな場所の朽木をよく探し出すものだと、感心したくなる。

集落のどこを歩いても、見つかる朽木下の土中はカブトムシ幼虫の棲みかになっている。





にらめっこ

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うちの敷地に隣接する池では、アメンボが泳いでいる。

一昨日から紹介してきた池である。

この時期にもうアメンボが活動している!と驚くべきなのか、

それともここ南九州ではほぼ通年、アメンボが見られるのか、よくわからない。

ともかく、冷たい冬風の下、アメンボが何匹も気持ちよさそうに泳いでいる。

交尾カップルもいたが、それはどうやら写真下のコセアカアメンボのようだ。

JX1771691.jpg水辺に誘導しているうちに、メスは逃げてしまった。写真はオスである。

他にたくさん泳いでいるのは、アメンボ(ナミアメンボ)のほうで、体色は黒い。

アメンボ類は水面に落ちてもがいている小さな虫を捕食して暮らしている。

獲物がもがけば水面に波が立ち、その波動をアメンボはキャッチするということらしい。

水面でもっぱら生活するから、アメンボは半水生昆虫などとも呼ばれる。

アメンボは潜水できない、、、、、、と思う。産卵するときにメスが体を沈めることがあるようだ

が、普段は水面に浮かんでいる。

その水面を境界面として、アメンボとは逆さまの暮らしをしているのが、

マツモムシだ。

マツモムシは水中で背泳ぎをしながら、水面に落ちてくる獲物を窺っている。

JX1872812.jpgマツモムシの姿勢を見ていると、長い後ろ脚は泳ぐためのオールとして使い、

中脚の先端は水面でもがく獲物をキャッチするアンテナとして、

そして前脚は獲物をすばやく押さえ込むがために待機している、かのようだ。

こうして水中を漂いながら獲物を待っているから、「待つ」「藻」「虫」なのだろうか?


水中にいるマツモムシを撮影する場合、池の水がよほど綺麗に澄んでいない限り、

上のような写真にはならない。今日の写真は室内の水槽に移して撮影したもの。

残念ながらうちのすぐ傍の池は猛烈に濁っており、カメラを沈めて撮影するのはほとんど

無理と思える。

沢から流れ込む場所では比較的水が澄んでいるが、その辺りは水深がとても浅い。


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昨日、池の裏側に通じる道のことを書いた。

池は沢から流れ込む水を溜めている。

沢から流れ出る砂が堆積し抽水植物が繁茂している。水辺は浅く長靴で歩ける。

池で水生生物を観察したり採集するには、沢水の流れ込む池の裏に入るのがいい。

L11749981.jpgところがそこへ至る道はササ藪で埋もれており、たいへん歩きづらい。

そこで今朝は道を切り拓いてみた。

道具は、ノコギリとナタだ。

道を塞いでいるのはほとんどが、メダケとホテイチク。

メダケは筆のごとく頂上部に少しだけ枝葉がついているだけなので、刈っても扱い易い。

厄介なのがホテイチクの方だ。幹の下部から長い二又の枝が多数生えているからだ。

しかもこの枝が硬く弾力があるので、うっかりするとしなって顔面を打たれることもある。

ヘタをすると目を突き刺しかねず、危ない。

したがってホテイチクを刈るときは、まず枝をナタでもってできるだけ払っておく。

L11749922.jpgメダケもホテイチクも、根っこから切り倒したあとは1メートル程度の長さに細切れにする。

それらを順次、邪魔にならない場所に積み上げておく。こう書くとなんとも単純な作業ではあ

るが、細かい神経も使う。量もあるからけっこう体力も要る。

ホテイチクの枝を払うときには、枝の付け根を残さないように正確に丁寧にナタを入れる。

そうしないと、刈り残った付け根部分が鋭い鉤となって、あとで運搬する際など

手に怪我をする危険性があるからだ。また、幹を短く切断するのもできるだけノコギリを

使う。メダケの場合はナタでスパッと切ったほうが速いのだが、ナタで斜めにつけた切断面

があとあと、やはり思わぬ怪我につながるからである。

ナタを使うからには、当然ながら基本的な注意が必要だ。

ナタで思い出すのが、動物写真家の横塚眞己人さん

横塚さんの著書「追いかけて、イリオモテヤマネコ」(宝島社)のなかで、

ナタの手元が狂って、ご自分の膝をパックリ割ってしまったくだりがある。

それも西表島の密林の中での出来事。病院もなければ駆け込む民家もない。

幸い切り口が綺麗だったので、横塚さんはタオルできつく縛り山中でビバークし、

次の日には傷口がピッタリくっついて、歩けたそうだ。

大事にならなくて良かったけれど、想像するだけでも膝のあたりがヅキヅキしてきそうな話だ。

山仕事をしていると怪我は絶えない。しかし、怪我してもできるだけ軽く済むように

あらゆる危険性を想定して、慎重に作業を行うしかない。

今朝は2時間ほどかかってようやく池の裏までの道を拓いた。

道幅は軽トラが余裕で通れるほどある。そしてこの道が奥のほうでうちの斜面林から大きく

カーブを描いている道と繋がっていることもわかった。

これまであまりにも藪が濃く、見通せなかった地形の部分がしだいにわかってきた。

2時間の作業を終えると背中が汗でびっしょりとなった。

うちに戻って下着とシャツを替えた。

さて、本日も池で網を入れてみたり、しばらく観察もしてみた。

またその話などは近いうちに書いてみたい。










池の虫

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わが家の東隣には薄暗い杉林の縁に小さな沢がある。

その沢の流れは谷津田の手前で堰き止められ、池になっている。

この池にはアオサギやカワセミもよく来ている。

細い沢が流れ込む池の奥に回ってみて、網を入れてみた。

さっそく網に入ったのは、タイコウチだ。タイコウチは水生カメムシ。

JX1671252.jpg注射針のような口と逆三角形の顔が特徴的だが、体全体は泥や藻類でおおわれており、

枯葉のようにも見える。ほとんどじっとしており、動いたとしてもたいへんゆったりしている。

それとは逆に一旦泳ぎだすと、忙しい動きをしていたのは、ウスイロシマゲンゴロウ

JX1671351.jpgウスイロシマゲンゴロウは体長1センチあまり。腹側は少し赤味を帯びている。

池の奥に通じる小道はわが家の敷地であるが、今はササ藪になっていて歩きづらい。

頻繁に訪れたいので、小道の藪刈りをせねばと思った。

沢は見るからにオニヤンマの産卵場所である。




コロギス

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先日、山仕事中に偶然見つけたコロギス幼虫。

複眼をアップにしてみた。

JX147004トリミング.jpgコロギスはケースに落ち葉と一緒に入れて、室内に置いてある。

私の仕事部屋はたいへん寒いので、容器から落ち葉ごと取り出しても

コロギスは落ち着いており、じっと伏せの姿勢を保っている。

JX147033.jpg伏せの姿勢のままだから、顔の正面の写真を撮影するのは容易ではない。

JX147041.jpg本来なら体の数倍もの長さがある触角は、短く切れている。

コロギス幼虫はこれまでにいろいろな試練に晒されてきたのだろう。






ホダ木

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ずっと中断していた山仕事だが、今日は子供に手伝ってもらって行ってみた。

中学2年の上の子は、野球部で鍛えているだけあって役に立つ。

キツイ作業は彼にまかせてみた。通常なら土日は部活の練習でいつもいないのだが、

今はテスト前なので野球部の練習もなく、ずっと一日中家にいてくれる。

技ではまだ負けないが、体力では、もう子供に敵わない。

そんな子供の姿を見ていて、この子が私と一緒に過ごすのもあと4年くらいなのかなあ、

と思った。いったい子供の目に、私はどう写っているのだろうか?と気になることもある。

午前中、山仕事を二人でやっている最中、近所の方がクヌギの切断に来てくれた。

去年の12月に切り倒したクヌギを、ホダ木用に切断するわけである。

JX1369411.jpg林床に横たわっていた大きなクヌギを1メートルくらいの長さで切断していく。

クヌギはスギなどと違ってかなり硬いので、チェンソーもきちんと手入れされたものでないと

すぐに切れなくなってしまう。やはり3本のクヌギを切断し終わったところで、切れが悪く

なってしまった。うちのクヌギは太いから、チェンソーの歯が減るのも速いのだ。

そこで用意してあった予備の歯に交換することになった。

JX1369692.jpgチェンソーの歯の交換の仕方や、普段のメンテナンスなど教わることができ、

たいへん参考になった。ずっと放置してあるうちのチェンソーも、歯の交換、エンジンの整備

などきちんとやらなければなあ、と反省した。

クヌギをホダ木サイズに切断し終えても、すぐに菌を植えるわけではない。

このままさらに1週間ほど寝かしておいて、乾燥させるのである。




昨日の朝、玄関の庇でジョロウグモが卵のうの糸かけ作業を行っていた。

おそらく前夜あたりに、産卵を終えたのだろう。

W2111008.jpgこのジョロウグモのメスは昨年の秋から玄関の庇下の巣網にずっと頑張っていた。

雪が降ろうとも、激しい風雨に見舞われようとも、巣網の中央から離れようとは

しなかった。いや、動こうにも動けない事情があったのかもしれない。

大丈夫だろうか?と、ときおり気になって竹ざおの先で軽く体に触れてみたりしたが、

そのたびにほんのわずかだがジョロウグモは体や脚をねじるようにして、

生きてますから!」と答えてくれた。

ジョロウグモといえば秋に産卵し、メス親は冬を迎えると同時に死に絶え、

冬を越すのは卵だけ、と思い込んでいた。

しかし、冬という季節が曖昧に感じられるこの南九州では、ジョロウグモの生活史においても

季節感が希薄である。もっとも、まだ冬であることには変わりないので、

玄関の庇にある卵のうは一応冬の低温を経験してから春を迎えることにはなる。

たいへん短い期間ではあっても。


今朝は車の修理出しで中途半端な時間をやり過ごす間、うちの林の中を散策してみた。

林の散策というか、観察歩きは毎日欠かさず行っているわけでもない。

ここ数日間歩いてなかったのだが、そのあいだに倒れかけて他の木に寄りかかっていた

クヌギが完全に地面に倒れていた。先日の強風で押し倒されたのだろう。

前にも書いたが、切り倒そうとした木が他の木に引っかかって倒れきれない状態を

「かかり木」と言う。こういう場合はいつ倒れるかわからないので危険であり、

「かかり木注意」という注意書きがされることもある。そういう場所は避けて通る必要がある。

実際、こうしてうちの林でも自然に倒れてしまったのである。クヌギの巨体がのしかかってき

たら、命はともかくも大怪我をするのは間違いない。

これは良い機会だから子供達に教えておこうかと思っていたが、「かかり木」はその前に

倒れてしまった。

倒れたクヌギの枝を払っては、ヤママユの卵をチェックしてみたが一卵も付いてなかった。

部屋に引き揚げようとして坂道を登っていると、ナナホシテントウが日向ぼっこをしていた。

JX126924.jpgこれはイカンなあ。頼むからまだ春めいて欲しくは無いのだ。

冬の間にやっておくべき事がほとんど停滞して進んでいない。      これはマズイ。



ハブベアリング

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先日、車の車輪から異音がすることを書いた。

それでディーラーで診てもらったところ、ハブベアリングが錆びているとのことだった。

ガタツキは出ていないそうだが、いづれにせよハブベアリングの交換が必要だ。

修理の見積もりでは、工賃が2万円で部品代は1万円程度だった。

工賃がやけに高い。作業時間は2時間程度掛かるそうだ。

しかし、このまま放置しておくわけにもいかないので修理することにした。


明日の「やすひさ児童館祭り」で展示する標本箱が完成した。

標本はたいした数ではないが、種名プレートなど作ったりしてずいぶんと時間が

掛かった。標本箱は全部で8箱。少ないけれど私が所有している標本の8割りくらいを

詰めてみた。

ドイツ箱

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ようやく今朝になって、ドイツ箱が届いた。

L1094933.jpg梱包の段ボール箱には『ドイツ箱』と表示がある。

じつに怪しげな箱だ。たぶん普通の人ならそう思うだろう。

中身が標本箱だと、誰が想像できるだろうか?

窮屈に押し込められていた標本たちを、綺麗なドイツ箱に並べ直す作業も少し進めてみた。


さて、今日はいろいろと忙しい一日だったが、子どもの音楽会には今年も観覧に行ってみた。

三股町の小学校が全部集まって、楽器の演奏や合唱を披露する。

わが梶山小学校の出演は2番目だった。

今回はオリンパスのEP-1でビデオ撮影してみた。

軽くてとても使い易い。しかもうちに戻ってテレビで再生してみると、音もよく録れていた。

ミニDVテープのハンディカムカメラも持っているが、もう出番はないだろうと思えた。

EP-1は、風景専用、あるいはベローズ高倍率撮影専用と割り切って使っているが、

家庭用ビデオカメラとしても充分に機能するようだ。

レンズは5月に発売される ED14-150ミリズームがあればいいだろう。







人面模様

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やけに暖かい一日だった。しかし陽射しはほとんどなかった。

わが家の北にある林の奥から、「ゴロスケホーホー」とフクロウの声が聞こえた。

ちょうど犬の散歩に出た午後4時半ころだ。

フクロウの鳴き声は毎年、同じ方角、同じ距離から聞こえてくる。

近くに営巣場所があるのだろうか。

注文してあったドイツ箱が今日あたり届くのではないかと気になって、

犬の散歩も家の見える範囲にしてみた。家の鍵もかけていないし。

ホトケノザのピンク色が目に付いた。

JX0868803.jpg春を待ち望む人は多いだろうが、今の私はまだまだ冬であって欲しい。

このごろになると毎年そう願っているから、自分は代わり映えしないなあ、とも思う。

先に行きたがる犬の綱を押さえながら、花に寄ってみた。

JX0868851.jpgこれまで感じたことがなかったが、人面模様、というか何かの動物あるいは宇宙人のような

紋様が花にはある。さらにトリミングしてみると、、、、、。

JX0868842.jpgさて、ぬけがらや繭殻、巣などのいわゆる「拾い物標本箱」が二箱、完成した。

明日か明後日には届く予定のドイツ箱には、これまで桐箱にすし詰め状態だった昆虫標本

たちも綺麗に整理できるだろう。

だが、これらの博物標本は私が死んだのちにはどうなるだろうか?と、少し考えてみた。

美麗な昆虫などはともかく、ぬけがらなどの収集物は家族の者から見れば、ただのガラクタ

に過ぎない。ほんとに困るだろうなあ。



拾いもの標本箱

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以前にも紹介した昆虫のぬけがらなどを標本箱に詰めてみた。

その多くは野外で偶然拾ったもの。

どれもたいへん脆く、扱いには細かい神経を使う。

JX076877.jpgこの箱とは別に、繭殻や巣などを集めた箱も詰めているところだ。

昆虫たちが野外に残してくれた造形物も、並べてみればさらに面白い。

さらにこれらの箱とは別に私の所蔵昆虫標本もドイツ箱に並べる。

標本はこれ以上増やすつもりはないが、保管してあるものは綺麗に整理しておきたい。

じつはこれらの標本箱は、11日にある会場で展示する予定。





愛媛県、皿ヶ嶺

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片道6時間の運転にも、だいぶ慣れてきた。

途中、フェリーの船上で2時間20分間は睡眠や読書もできるので

旅の楽しみもあるにはある。

じつは昨日までの一週間、松山の実家に私用で戻っていた。

前にも書いたようにモバイル接続はやっていないので、

ホテルなどの無料接続が利用できる環境でもない限り、外出先でのブログ更新は

できない。以前は出先での更新にもこだわっていた時期もあるが、

ここのところそういう気持ちはまったく失せてしまった。

そこで遠征などしてしばらく更新できない日が続く場合は、

そのことをあらかじめ書き込むようにしている。

しかし、今回は突発的な事情もあってそういう余裕がなかった。

何の予告も無しに一週間も更新が滞ったので、

御心配をお掛けした方もいらっしゃったようだ。


二日前の3日、松山では雨が続いたあと気持ちよく晴れた。

実家の外に出ると、標高1270.5メートルの皿ヶ嶺の山並みが綺麗に見えた。

L1034899.jpg1.jpg皿ヶ嶺は四国山地、石鎚連山の西端に位置し、お椀を伏せたようななだらかな山容。

龍神平というお皿のように窪んだ広大な湿地がある(赤い矢印の辺り)。

山頂付近(白い矢印先)のミズナラ冬芽で、初めてアイノミドリシジミとエゾミドリシジミの

採卵をしたのは33年前。その翌年にはブナからフジミドリシジミの採卵をしている。

飼育羽化したアイノミドリシジミはAB型斑紋のメスだった。

皿ヶ嶺と言えばベニモンカラスシジミ最初の発見地として有名だ。

しかし長年の間、当地での生息確認ができていないようで、いまや幻のチョウとなっている。

皿ヶ嶺、北側の登り口、上林まで実家から自転車を漕いで2時間程度は掛かった。

高校生のころは言うに及ばず、大学在籍のころもフィールドにはほとんど自転車で通った。

もちろん皿ヶ嶺に自転車で赴いたのは一度きりで懲りて、さすがにバスを使ったのだが、

当時は1時間以上もかけて自転車であちこち巡ったものだ。

そのころの私はガリガリに痩せていたが、たしかに痩せたいと願わくば車など捨てて

自転車に頼る生活をするのが早道かと思える。

あ、その車だが、

4ヶ月ほど前から左前輪から「ウオン、ウオン、ウオン、、、、、、、、、」という異音が

するようになった。どうやらハブベアリングのがたつきが原因のようだ。

L1054913のコピー2.jpg写真矢印先の車軸部分奥にあるベアリングに不具合が生じているようである。

この修理にはディーラーで点検してもらう必要もあり、場合によってはかなり

費用も掛かると聞いている。近場を移動する程度ならすぐに問題が生じることもないようだが

遠出で高速を走るとなると、危険性も増す。さらに悪化すると走行不可能に陥ることもある。

修理のことは急いで対処しなければならないが、

この機会に、自転車をもっと利用することを真剣に考えてもいいように思えた。