2011年5月アーカイブ


以前からベニカミキリの産卵行動を見ておこうと思いながら、

その気になれば簡単なはずなのに腰が重かった。いつでもできるから、と先送りしてきた

のがイケナカッタと思う。

今日は午後から一番近い場所の竹林へ行ってみた。地区のお祭りで使う竹をここの林から

毎年切り出しているので何度か来たことがある。昨年の暮れは帰省しており私は作業に

参加できなかった。

竹林田上.JPG筍を出荷するために手入れの行き届いた竹林なら明るく、広く、歩きやすいが、

ほとんどの竹林は写真のごとく放置され、密生し荒れている。歩くのもちょっと苦労する。

普段は余程の目的がなければ誰もこんな竹林に踏み入ろうとは思わないだろう。

さて、竹林に入ってすぐにベニカミキリが竹を登っている姿があった。

せかせかと早く歩くので、カメラを構えたころにはもう4メートルくらいまで到達し、

さらに登り続けてついに姿を見失った。

ベニカミキリの幼虫は枯れて倒れた竹から割り出すことができ、そういう枯れ竹には

成虫が羽化脱出した穴が多く空いている。

どういう状況の竹が産卵に選ばれるのか、いろいろ考えながら見て回るうちに

地上近くを舞うメスを2匹みた。

しばらくして、

お尻を擦り付けるようにして同じ場所を何度も往復するベニカミキリのメスを見つけた。

これは産卵衝動が高いメスだろうと思えた。

すると期待通り、目の前でそのメスは産卵を始めた。

ベニカミキリ産卵1.JPGじつはこの産卵を見る前に、ベニカミキリの卵は多数を見つけていた。

その卵が産みつけられていた竹は上の写真と同じく、切り倒されていたもの。

節のところにぐるりと一周するほど高密度に産卵された場所もあった。

先に書いたようにこの竹林では毎年暮れのころに竹を切り出す。

切り倒した竹のうち必要ないものはそのまま放置されており、

卵がたくさん産みつけられた竹や産卵行動を観察できた竹は、まさにそれだった。

切り倒されてからほぼ5ヶ月くらい経ている。

それでふと思い出すのは、ニホンホホビロコメツキモドキの産卵。

ニホンホホビロコメツキモドキのメスが好んで、というか彼女らの産卵が集中するメダケとは

刈ってから数ヶ月経ったもの。庭の畑にメダケで組んだ柵などは産卵行動を観察する

うってつけの場所だった。冬に刈ったメダケが春、5月ころには産卵適期となるようだ。

ベニカミキリの産卵を観察するため竹林を徘徊すること1時間40分。

その間にふと出合ったニホンホホビロコメツキモドキのメスは3匹であった。

マダケは太すぎるかと思うが、細い竹を探し当ててから産卵するのだろうか?

ニホンホホビロコメツキモドキ01.JPG「かぐや姫」のハイイロヤハズカミキリも2匹いた。






ベニオビヒゲナガ

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昨日、林の観察路を草刈りしておいたので歩きやすい。

いつも土がむき出しになっていれば、そこにはハナバチ類、狩りバチ類、他にも

さまざまな昆虫が利用する空間になる。が、観察路は常に草に覆われてしまう。

林だけでなくうちの敷地で土がむき出しの場所はほぼない。

4年前には「ハンミョウの道」と称して細道を庭に拵えてみたが、それを維持できなかった。

やはり人が頻繁に歩いていないと道はできない。

さて、林の中は明るい。一昨年、去年と大きくなりすぎたクヌギ、コナラを間伐したからだ。

クマイチゴの葉にドクガ幼虫がたくさん群れていたのを眺めていたら、

気になるシルエットが目に入った。

ベニオビヒゲナガしるえっと.JPG肉眼だとシルエットでしかないのだが、コバネガの仲間とわかって近寄ってみた。

うんと近づいてようやく綺麗な模様が意外だった。

ベニオビヒゲナガ.JPGベニオビヒゲナガのオスである。オスは複眼がメスよりか大きい。

今日観察できた本種は、飛んで逃げてもすぐに葉裏に回り込んで落ち着いていた。

久しぶりの快晴、気温も高い。

モンキチョウは盛んにクローバーの葉に卵を産んでいたし、

ハラビロカマキリの卵のうが2個、ふ化していた。

ハラビロカマキリふ化幼虫.JPGオオカマキリのふ化ラッシュのピークは5月はじめころだった。

例年、ハラビロはオオカマキリより2週間ほど遅れる。オオカマキリのふ化は今頃でも

見られるが、すでに幼虫は3令となったものが目に付くようになっている。


タテハモドキの蛹

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ヒメイワダレソウで飼育していたタテハモドキが蛹になっていた。

タテハモドキ蛹1.JPG蛹の姿をくっきりと写してみたが、実際は周囲の草薮に紛れて目立たない。

迷彩色というか味わいのある模様だと思った。幼虫は2匹いたが、プランターに移して

野外飼育に切り替えたのち、1匹は姿を消してしまった。捕食者が出入りできる隙間は

無かったと思うので、何らかの原因で死んでしまった可能性もある。


台風2号の影響はほぼ午前中まで。正午あたりから急に青空が出て暑い陽射しが

照り始めた。晴れていたのは束の間あとはずっと曇り空が続き、夕方になって小雨が

降った。曇ってから涼しくなったので林の中の観察路の草刈りをしておいた。

観察路だけはできるだけ土がむき出しになるようにしておきたい。それをずっと維持する

のは難しいのだが。私ひとりが歩き回る程度では道が残らない。

藪を歩いているとノウサギの子供が目の前を走り去っていった。

ノウサギの糞はよく見かけるが、うちの林で姿を見たのは始めてだ。

丸っこい灰色の体が元気に跳ねていった。


午後6時前。北西の方角の霧島山の様子が気になった。

霧島山05292.JPG高千穂岳山頂が雲を被っていた。

しばらくすると上空からまるで空中散布するかのように薄雲が垂れていく。

霧島山05293.JPG
今日は雨のため、写真は昨日撮影したものから紹介したい。


昨日は夕方ころに陽射しが出始め、午後5時過ぎ犬の散歩に出た。

道路端の草地でナキイナゴが盛んに鳴いていた。草丈低く見易い場所だった。

ナキイナゴオス鳴く.JPGナキイナゴのオスは後ろ脚を前翅に激しく擦りつけて発音する。シャカ、シャカ、シャカ、、、

後ろ脚の動きを表現したいので、ISO感度を100に落とし、絞りF11、シャッター速度は

30分の一秒に設定した。

後ろ脚のブレ具合にはタイミングもあって、何回もシャッターを切る必要がある。

高速連写も使ってみたがうまく当たらず、やはり単写で粘るほうがいい。

レンズは100ミリマクロだから30分の一秒というシャッター速度だとカメラぶれしてしまう。

しかし、手ブレ補正装置(ハイブリッドIS)のため画面の動いていない部分はピタリと

写し止めてくれる。とはいえ、カメラはしっかり構えないといけない。

あいにく犬のロープを係留する適当な場所がなかったので、

左手に犬のロープを握ったままでの撮影。犬がおとなしくしてくれるので何とかレンズを

支えることができた。こういうときはロープ端を踏んでおいてもいいのだが、撮影に集中

するあまり足が浮いてロープが離れ犬がよろこび勇んでどこかへと走り去ることもあった。

一旦自由の身になると、うちの犬はすぐには戻って来ない。朝帰りということもある。

ロープをはずしても平気でいられるよう、しつけをしてないのがイケないのだが。

いつもはショルダーバックにロープをカラビナで固定して両手が使えるようにしている。

しかし、カメラだけをぶら下げて出てしまうこともたまにはあって、その身軽さは

気分良い。気分が良いことはときどきやってみたくなるが、せいぜいうちのすぐ傍までに

しておかないと、そういうときに限って後悔する羽目になる。

さて、昨日の犬の散歩途中で久しぶりに出会った虫がルイスコメツキモドキ

本種は2009年5月14日にも当ブログで紹介している。

ルイスコメツキモドキ11-05-271011.JPG体長は7ミリ程度だろうか、1センチに満たない小さな虫。それでも光沢が綺麗で目をひく。

自然光とカメラの内蔵ストロボを組み合わせて撮影してみた。

ストロボ光を照射したことが誘発したのか、2,3カット撮影したらソワソワし始め、

飛び立った。

ルイスコメツキモドキ飛び立ち.JPG


サワガニ

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今日は梅雨も一休み。そして蒸し暑かった。

ある砂防ダムから上流を眺めてみた。

ほそめ.jpg三股町の川という川は冬から春にかけてどこも干上がっていたが、

梅雨に入ってからようやく水量が復活した。

ポロン、ポロンというエンジン音がして上流からジムニーがやって来た。

川中で止まると衣装ケースを降ろし始めた。

なんと中身は全部、サワガニ。半端な数ではない。

サワガニ収穫1.jpgサワガニは市場に出るのだから、こうして捕獲する人がいるわけだ。それにしても凄い量。

話を聞いてみれば昔に比べると数は減ったらしい。捕獲方法はペットボトルを利用した

トラップだが、荷台にどっさりと積まれたその仕掛けを見ると、かなり年季の入った方だと

わかる。これから毎晩トラップを仕掛け捕獲を続けるそうだ。

サワガニが食材としてそんなに需要があるのだろうか?と不思議な気もする。

加工食品にもならないだろうし。

気になって、サワガニの捕獲場所であろう源流付近まで歩いてみた。

するとなるほどここなら仕掛けの場所になるのだな、という沢に行き着いた。

沢から戻る途中、ナナホシテントウがでんぐり返っていた。

近寄ってみれば死んでいた。

ナナホシでんぐり死.JPG渓流からの帰り道、ノアザミにいろいろなチョウが来ていた。

車から降りたらきっと逃げられると思い、助手席に置いていたカメラを窓から突き出して

撮影。

カラスアゲハとノアザミ.JPG車から降りずに撮影したのは正解だった。カラスアゲハはこのあと、車のすぐ横の

至近距離のアザミに寄ってきた。


今朝は少し手の込んだ室内撮影を午前中に行った。準備日も含めて二日掛かった。

作業の内容からすればアシスタントがいると効率が良いだろうが、

独りでやるのが好きなほうだ。それに私と呼吸が合うアシスタントを探す、あるいは

養成する手間隙を考えたら、やはり独りの方が楽であろうかと思う。

さて、午後からハッチョウトンボの生息地に行ってみた。もう出ている頃だろう。

現地に着いて歩き始めてすぐに、タカサゴキララマダニの姿が目に入った。

遠目にはカメムシの幼虫のようにも見えた。ともかく大きい。

タカサゴキララマダニ1.JPG脚を縮めてじっとしているので、そっと息を吹きかけてみたらモゾモゾと脚を広げる。

タカサゴキララマダニ2.JPG写真の個体はオス。本種はマダニの中では最大種であり、人も吸血される。

さて、ハッチョウトンボは少なからず発生していた。どの個体もまだ未熟で、写真のオスは

中でももっとも成熟した個体と思う。

ハッチョウトンボオス.JPGハッチョウトンボのあの小さな姿を写真で表現するのはたいへん難しい。

実物を見なければ話にならない、それがハッチョウトンボの魅力でもあるだろう。

ハッチョウトンボを一通り見て回ってから、ふと目に入ったのがアリスアブのメスであった。

アリスアブ♀.JPG雌雄の判別は頭部を見ればわかる。触覚のあたりで複眼が大きく離れているのがメス。

オスでは複眼が触角部分で接近している。アリスアブには体毛が銀色タイプと

金色タイプの2型があって、この写真のメスは銀色タイプだ。金色タイプのものは

キンアリスアブとよく間違われることがある。

他にもアリスアブがいないか探していたら、オスや金色タイプのメスも見つかった。

そしてスイカズラの葉っぱでは、ニセリンゴカミキリが後食している姿があった。

ニセリンゴカミキリ後食.JPG今日は終日、雨が降り続けた。止んだかなと思っても霧雨。完璧に止むことは無かった。




昨日、児童クラブの小学生が捕まえたというヤンマを見せてもらった。

「調べたらオオギンヤンマじゃない!?、ということになり喜んでいました。」

手渡された三角紙を広げてみれば、クロスジギンヤンマのオスであった。

絵合わせでは間違えても仕方が無いが、

これは図鑑のちゃんとしたのが必要だと思った。

価格も手頃で内容が充実したトンボ図鑑が早く出て欲しい。

クロスジギンヤンマは小学校の運動場の片隅にある小さな池で羽化したようだ。

羽化殻もたくさんあるらしい。

最初にこの池を案内してもらったとき柵はなかったが、

そのあと教頭先生がロープ柵を張ってしまった。「ここは理科の授業で使う池です。」

つまり普段は近寄るな!ということらしい。

教育者というのは相当、頭が固いようだ。

子供達が普段から遊んだり、好奇心に胸をふくらませたりできる、

水辺環境がどんどん無くなっていく。これには危機感すら感じる。


さて、クロスジギンヤンマは私が一旦預かり展翅標本にしてみた。

クロスジギンヤンマ展翅.JPG可動式展翅板は35年前に「大阪博物」から通販で買い求めたもの。「大阪博物」という

会社は今でも営業しているのかどうかわからない。

中学のころはじめて買い求めた展翅板は「大阪博物」の製品だったが、その後「志賀昆虫」

の展翅板を使うようになったら両社では展翅板の高さが違うので困った経験がある。


昆虫観察会の下見

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今年度開催予定の観察会は今のところ全部で9回予定されている。

その中でも町中の身近な環境ということで、今日は都城市内の島津邸へ下見に

行ってみた。ここの敷地内には池があって前に聞いていた話しによれば

ビオトープとして保全するということであった。

敷地内の庭は綺麗過ぎるくらいに整備された日本庭園で、

とても観察場所というわけにはいかないが、池は広くて期待して良さそうだ。

島津邸の池.jpg実際、池の周りを歩いてみればアメンボの数はたいへん多く、そしてセスジイトトンボ

これもやたらと多い。交尾カップルや産卵しているものもたくさん見られた。

セスジイトトンボ交尾.jpgカワセミの親子も来ていた。

池には網を入れてみると面白いかもしれない、そう思っていたのだが、、、、、、、。

ここの管理をなさっている方から聞いた今日の話では、

近々、池の水を浄化しそして池底の泥もさらってしまうということだ。

え!?浄化するとはどういうこと?とびっくりしたのだが、

そして何とその目的は!鯉を池に放し泳がすそうだ。

薄々予想はしていたのだが、この島津邸は町のど真ん中にあり周囲は住宅街。

池があるとヤブ蚊が発生するので困るという苦情が来るらしい。

ではビオトープ構想はどうなったかと言えば、それは前の担当者の考えであり、

今の担当者は、そういう自然観察という概念は島津邸という歴史遺産の施設には

まったく相反するという考え方をとっているようだ。これもなるほど、と思ったしだい。



ナツグミ、色づく

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昨日羽化したヤブヤンマのメスは、今日の午後2時過ぎころ飛び立った。

その瞬間は見逃したが、雨と風に祟られ飛び立ちもずいぶん遅くなった。

ヤブヤンマが庭の人工池にふたたび産卵に訪れるだろうか、そこは気になる。

すぐ近所のナツグミの実が色づき始めた。

ナツグミ色づく.JPG真っ赤に熟した実は食べれるとは言うものの、やはり渋みが強くて食べれたものではない。

塩に漬ければ若干、渋みもとれるがそれでも美味しいというほどではない。

今日もどこかの方達がこのナツグミの梢を物色していたが、食用ではなく、

花瓶にさして飾りにするのだという。なるほど。

ナツグミの実に果汁が染み出ていたのだろうか。

しきりとホソヒラタアブが舐めていた。

舐めていた、というかまるで接吻しているみたいに見えた。

チュッチュ.JPG

 かなり前に注文していたキャノンのスピードライト270EXⅡ がようやく届いた。

このストロボは小型で発光部の高さが低いので、広角接写時のライティングにも使える。

しかもスレーブ機能があって、カメラ側から光量調節がオートやマニュアルで行える。

さらにストロボ本体にリモートスイッチがあってカメラのリモート撮影のコントローラにもなる

(5メートル以内でカメラの前方から)。


一昨日のこと、人工池で育っていたヤブヤンマの羽化殻に気付いた。

先週、留守にしていた間に羽化したようだ。

そこで昨夜のこと、人工池を覗いてみた。

すると羽化間近いヤゴが水面まで上がっていた。体の様子から次の朝には羽化しそう

だった。ならば気をつけねば、と思ったのであるが、、、、。

ヤブヤンマ羽化間近ヤゴ.JPGこの夜、隣の池では脱皮を終えたばかりのクロスジギンヤンマのヤゴもいた。

クロギン脱皮直後.JPGあまりにも鮮やかな緑色なので最初は驚いた。脱皮したのなら脱皮殻があるはず。

そこを確かめておきたかったので、網を入れて抜け殻を探してみたら、やはりあった。

クロスジギン抜け殻.JPG抜け殻は、水から出すとクシャクシャになってしまう。水につけて撮影したのが上の写真だが

お尻のところに気泡が入ってしまった。これを抜きたいところだが、ヘタすると殻が崩れて

しまうので諦めた。羽化殻はしっかりとしているが、幼虫の脱皮殻は扱いが難しい。


さて、今朝は朝から雨。しかも雨脚はしだいに強くなり、どうやら南九州地方は梅雨入り

したらしい。久しぶりに本格的な雨だ。

それでヤブヤンマの羽化は延期になるのではないだろうか?と案じていた。

ときおり窓から人工池を双眼鏡で覗いていたが、ヤゴの姿は無い。

人工池に立ててある枝を見ていたのだが、必ず枝に登るとも限らないわけだ、と

遅まきながら気付いた。気付いてから慌てて池周辺の草藪を見渡してみたら、

ああ!やはり、ヤブヤンマはすでに羽化を終えていた。今朝羽化したのはメスである。

ヤブヤンマ♀羽化魚眼コンバ.jpgスイバの茎にぶらさがっている。羽化後どのくらい時間が経つのだろう。

少なくとも羽化開始のころはまだ雨が降ってなかったと思う。そうか、あのとき池の周りも

見ておけばよかった、と後悔した。窓からまる見えの場所なのだ。

しばらくしてヤブヤンマは翅を拡げた。

ヤブヤンマ羽化2.JPGが、しばらくして雨脚が強くなったせいか、翅を閉じてしまった。

まだ体が柔らかいから閉じることができるのだろう。いつになったら再び翅を拡げるだろう?

と見ていたが、ついに日が暮れるまで閉じたままだった。

夜中にまた見ておこうと思う。雨が止めば拡げるはずだろう。


ヤブヤンマの撮影は雨の中、三脚を立ててそして傘をさして行った。

雨の中での撮影はきわめて少ないので、こういう場合の機材の工夫が甘い。

雨のときに使えるアクセサリー類をカメラ店で見てはいたが、なんとなく柔な気がして

半分馬鹿にして買い求めることはなかったが、案外実用的なものもあるらしい。



雨が降りそうで降らない、そういう一日だった。

午後からはときおり陽射しもあって、蒸し暑くなった。

庭のクヌギで春先からずっと観察しているツマグロフトメイガの幼虫巣が、

ここしばらく見ていないうちに大きくなっていた。

ツマグロフトメイガ0522.JPG巣から体を乗り出して葉を食べているが、巣の色は断層のごとく色分けになっている。

巣の外壁は自分の糞で作っており、けっこう几帳面な性格にも思える。

足元に目をやればキキョウソウの花が咲き始めていた。

いよいよ梅雨も間近だ。

キキョウソウの花.JPG


昨日、シータテハ幼虫がしきりと歩きはじめた。

そわそわした様子を見てこれは蛹化準備が近いと思えた。

そこでアキニレの水差しに幼虫を移しておいたら、夕方になって前蛹になって下垂していた。

シータテハ前蛹.JPGハルニレの餌が残り少なくなり、すぐ入手できるアキニレを用意しておいたのだが、

餌の心配はこれで必要無くなった。

今朝、午前5時半ころには蛹化が終了していた。蛹化推定時刻は午前4時半ころかと

思う。

今日は朝早くに松山の実家を発ち、宮崎に戻った。

戻ってすぐにシータテハの蛹を撮影しておいた。無事に羽化して欲しい。

シータテハ蛹.JPG
宮崎~松山までの移動途中で昼食をとるタイミングは、いつも延岡市の北川町にある

道の駅「はゆま」になる。

ここで私が食べるメニューはほぼ決まっていて、「ハンバーグカレー」440円。

腹の空き具合によっては8割程度たいらげたところで「ミニうどん」220円を追加注文する。

「ハンバーグカレーセット」というのがあって、これはミニうどんが付いているのだが、

セットで注文するとうどんも一緒に出てくる。これではうどんが伸びることも計算して

食べなければならないので忙しい。それでうどんは後から注文するのである。

「ハンバーグカレー」は量が少なめ。女性や小児をターゲットにしているのだろうか?



シロスジカミキリ

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昨日のこと、ヒラタクワガタのオスを見つけた場所に日が暮れてから行ってみた。

樹液の出ていたアキニレにはアリ以外何も来ていなかったが、

樹上をしつこく眺めていると大きなカミキリムシがゆっくり降りてくるところだった。

懐中電灯で照らしてみれば、これがシロスジカミキリのメスであった。

松山の実家のすぐ傍にシロスジカミキリがいるとは!?


今日は午前中から昼過ぎにかけてアキニレとヤナギの樹液を巡回してみたが、

虫の姿は少ない。コムラサキもしきりと藪に入っていくので、見えない場所にも

樹液があるのだろう。撮影は諦めるしかなさそうだ。

あるヤナギの前に立ってみればシロスジカミキリの羽脱口があった。

ふとその穴から上に目線をずらしてみると、小さな穴が開き黒い影が動いていた。

午後1時20分ころ。目の前でシロスジカミキリが羽脱しようとしていたのだ。

シロスジカミキリ羽脱1.JPG絶妙のタイミングに立ち会えて嬉しくなった。

ささやかではあるが、幸せな気持ちに浸れる瞬間である。人によって何を幸せと感じるか、

人それぞれであろうが、私にとってはこういう自然観察の時間を過ごせることである。

もっとも嬉しいだけでは終われないのが昆虫写真家の宿命というもの。

喜びの感情をぐっと抑え、狙い通りの写真が撮れなければ話にならないのである。

新婚当初の頃、こういう場面で嫁さんが傍にいることがよくあった。

(今はほとんど皆無となったが、、、、、、、。)

嫁さんは昆虫の事情について素人だから、なぜ嬉しいのか、どういう事態なのか、

逐一解説し喜びをともに味わえるよう饒舌カメラマンとなったものである。

「今宵の酒は旨いよ~!!」などと調子のいいことばかりわめいていたように思う。

さて、午後1時50分ころ、ゆっくりと脱出が始まった。抜け始めると早い。

シロスジカミキリ羽脱3.JPG炎天下でこの羽脱を待っていたら顔なじみのおばちゃんが近くを通りかかった。

「暑いのにたいへんやねえ~。がんばってな!」

おばちゃんは、河川敷で野菜作りを楽しんでおり帰省するたびに声を掛けてくれる。


このヤナギが生えている場所というのは、もとは河川の一部で清流が流れていた。

15年以上も前、この場所で私はカワセミの撮影を行っていたのである。

ところが河川の流域は変わりやすい。いつのまにか葦原に土砂が積もり、

水面はまったく消え去り、さらにヤナギ、エノキ、アキニレ、センダンなどの

樹木もどんどん大きく成長して、昔の風景とは一変してしまったのである。

下画面の左端にあるコンクリートの細道は護岸壁であった。

河川敷やなぎ林.jpgいまやヤナギの疎林となりつつあり、そのヤナギではシロスジカミキリが繁殖している。

コムラサキの舞う姿も多い。

自然とはこうしてめまぐるしく移り変わるものだなあ、とあらためて感じた。

この場所もやがてはまた川の流れに戻るときが来るのかもしれない。


シロスジカミキリの撮影を終えて一旦実家に戻ろうとしたとき、さきほどからブンブンと

うるさかった翅音の出所がわかった。

ニホンミツバチの分封群だ。

ニホンミツバチ分封群.JPG河川敷には蜂箱がいくつか置かれてあった。いづれも空かと思っていたが、どれかには

営巣していたのか、それともどこからか飛来したのか?





ヒラタクワガタ

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実家の横を流れる重信川の河川敷きで撮影をした。

おもにアゲハとモンシロチョウ。

アゲハはメスで、ノアザミの花で吸蜜する姿をたっぷり撮影できた。

このメスは花に来る前に実家横のキンカンで盛んに産卵していた。

アゲハを追いかけているうちに河川敷きの畑に移動したわけだ。

キャベツに止まっていたモンシロチョウのメスには、次々とオスが飛来しては求愛していた。

午前中に撮影を一旦終了し、用事を済ませてから午後4時半ころ河川敷きに降りてみた。

アキニレの樹液にコムラサキが来ていないか見に行ってみた。

アキニレを見て回るうちに、樹皮の窪みにヒラタクワガタの大アゴが見えた。

さっそく引っ張り出してみた。枯れ枝をはさませて、じわじわと手繰り寄せた。

2011051920110519_14_01.jpg
2011051920110519_24_01.jpg今年初のクワガタムシは、ヒラタクワガタとなった。



飼育

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今日から四国、松山市の実家に滞在。

宮崎を発つ前に飼育中のタテハモドキ幼虫を撮影。昨日、3令幼虫となった。

タテハモドキ3令幼虫.JPG真っ黒だった体に黄土色斑点模様が際立つ。頭にも短い突起が見える。

食草はヒメイワダレソウ。留守中、餌の交換ができないのでヒメイワダレソウを植えている

プランターで放飼することにした。

屋外飼育.jpgクモなど幼虫の天敵がいないかどうかチェックしておいたが、絶対安全!とは言えない。

戻るまで無事に育ってほしいものだ。幼虫は2匹しかいない。


注文しておいた『日本の野草』山渓カラー名鑑(増補改定新版)が届いていた。

宮崎ではすぐに受け取れないので、松山の実家宛にしておいた。

このシリーズでは『日本の樹木』、『日本の淡水魚』、『日本のきのこ』を持っていて

ずっと愛用してきたが、『日本の野草』は前から欲しかった。

図鑑は調べるためだけでなく、好きなページから気ままに読む、という楽しみ方もある。

図鑑は擦り切れてボロボロになるまで使い込むこともある。

紙の本には愛着が湧く。手に馴染む。重量感がある。

電子書籍が当たり前の時代になったとき、本はいったいどう扱われるのか。



12日に見つけたジャコウアゲハの卵が、今朝になってふ化した。

ジャコウアゲハふ化幼虫.JPG卵の中で幼虫の体が見え始めたのが昨夜遅く。それから今朝の早朝まで、

ときおり頭を動かしていた。午前5時に見てみると卵と幼虫の体の間に空気が入って

卵が白っぽく見えた。

卵に穴を穿ち始めたのが今朝の午前9時ころ。

写真はふ化を終えて卵殻を食べているところ。

ウマノスズクサの葉うらに産みつけられていたので、そのままの構図で撮影した。

モンシロチョウなどは特にそうだが、こうした小さな卵のふ化シーンは葉うらであっても

天地をひっくり返した構図で撮影された写真が多い。逆さまだと見づらいとか感覚的に

違和感があるからかもしれない。

それに関連して、虫が頭を下にして止まっている写真は無理やり天地を逆に、

つまり頭が上にくるように印刷されることもよくある。昆虫の世界では逆さまになることは

いくらでも普通にあることだが、そういう世界を普段からあまり見馴れていない方々は、

人の感覚のまま、逆さまでは様にならないと感じてしまうようだ。


夕方、近所の畦道でラミーカミキリの夫婦を見つけた。右側が奥さん。

ラミー夫婦.JPG


先週、給湯器(エコキュート)の取り付け工事が丸一日掛けて行われた。

今日は九電の電気工事と配管切り替えなど総仕上げ作業が午前中いっぱいあった。

工事には立ち会わないといけないし、40~50分は停電するので、

外で林の手入れをしたり観察をしながら様子を見ていた。

井戸水に対応した新機種が登場したおかげで、問題の多かった旧式の

給湯器を撤去できた。最新のエコキュートは以前よりか節電もできるらしい。

薪でもお湯を沸かせるようなハイブリッド風呂も考えていたが、

新型エコキュートは値段も高く、ハイブリッド工事の費用までは賄えない。

そこでお湯を薪で沸かせるカマドを庭に作るのも手かもしれないと思い始めた。

夕方の犬の散歩。近所では ラミーカミキリの姿が多くなってきた。写真はオス。

ラミーカミキリ正面.JPGトノサマバッタの幼虫は若令~終令までいろいろなステージが見られる。

トノサマバッタナナホシ.JPG


昆虫観察会

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今日の観察会はうちから近いこともあり1時間前には集合場所に出向いた。

樹液が出ていそうなハルニレの樹を覗いてみたら、

ちょうど目の高さに シータテハの幼虫 がいた。

私は新潟県胎内市でかなり昔に一度見ただけで今回の幼虫発見はわずかに2回目。

シータテハ幼虫.jpg観察会場所は、都城市山之口町、桝安森林公園。

うちからすぐの場所にシータテハがいるとは嬉しい。

ムネアカアワフキは一本のオオシマザクラにだけおり、なぜか他の樹では見つからない。

そのオオシマザクラにはトビモンオオエダシャクの若令幼虫も多かった。

午前10時から観察会開始。小学生の子供たちとその父兄の方、スタッフの方、

大勢で山頂までの緩い坂道を登っていった。

ここでは初春のころミヤマセセリが多い。

枡安観察会0515.jpgモンキアゲハ、ジャコウアゲハ、アオスジアゲハ、ゴマダラチョウ、イチモンジチョウ、

コミスジ、ヒメウラナミジャノメ、クロヒカゲ、サトキマダラヒカゲ、ダイミョウセセリ、

キチョウ、モンキチョウ、などチョウの姿が多く、とくに大型アゲハには皆夢中で

網を振っていた。

キンアリスアブの♂も登場。アリスアブ類を宮崎に来てから目にしたのは今日が

初めてだ。どこにでもいるようで、意外と見つからない。少なくとも私のうちの林や

その近辺ではまったく見ていない。

正午には観察会も終了。今後の行事の打ち合わせのことなどスタッフの方達と

話していたら午後1時を過ぎていた。

昨日のゴマダラチョウ蛹は諦めていたが、ともかく上米公園には行ってみた。

当然のごとく蛹の殻だけが残っていた。

午前中見たキンアリスアブをここでも探してみたが、見つからない。

スイカズラの蔓が絡んだ樹がどうやらカマツカらしく、

この樹にはたくさんの ルリカミキリ が集まっていた。

ルリカミキリ.jpg


上米公園というのはうちから5キロほどの距離にある。

緩い丘陵地の窪みは広大なパークゴルフ場。

そこを馬蹄形に取り囲む丘陵部はサクラ園とさまざまな観賞木の植栽からなる。

照葉樹林や雑木の生えている地帯はほんのわずかしか残されていない。

本来あった自然植生をうまく残し、人工林や遊歩道をバランスよく配置すれば、

驚くほど生物相の豊かな自然公園となり、観察会の場としても活用できただろう。

しかしこの公園の売りは何と言ってもサクラである。パークゴルフ場である。

そしてバーベキュー広場である。

どこにでもあるような哀しい公園だが、自然観察者にとってはそれでも

ささやかな楽しみを見出すことができる。ほんとにささやかではあるが。

昨日、羽化の瞬間を見損ねたゴマダラチョウだが、同じエノキにもう一個蛹が残っている。

今日になってこの蛹にも羽化兆候が現れた。

ゴマダラ上米さなぎ.jpg今日は草刈り作業が大掛かりに行われていた。都城森林組合の仕事だ。

エノキは道路沿いにあったので気になったが、根際の下草だけが刈られてあった。

きわどいところで蛹は難を逃れていた。

エノキ道沿い.jpg前にイシガケチョウの若令幼虫を見つけたイヌビワも覗いてみれば、

イヌビワに並んだ枯れ茎の先っこに蛹がぶらさがっていた。

おお!きみも ぶじだったかい。

イシガケチョウ蛹.jpg遠くから見れば誰の眼にもただの枯葉。近くから見てもやはり良く出来た枯葉。

明日は午前中に観察会の講師の仕事が入っている。

ゴマダラチョウの羽化をまた見逃すことになるのだろう。






前から観察してきたゴマダラチョウの蛹に羽化の前兆が現れた。

ゴマダラ蛹羽化直前.JPG母親を鹿児島空港へ送る前に上の状況だったので、羽化の瞬間には立ち会えない。

予想は適中、空港から戻って再び見に行ってみればすでに羽化は終了していた。

ゴマダラ羽化.JPGしかし、羽化時刻はせいぜい20分程度前だったと思われる。翅はまだ完全に乾いてなく

強風に煽られて枝にしがみつくのが精一杯の様子だった。

今日は西風がかなり強かったので羽化の瞬間に立ち会えても撮影は不可能だったと思う。

夕方、コガネムシに出会った。

こちらも地上に現れて日が浅いとみえる。ピカピカの体に傷一つ無い。

コガネムシ0513.JPG ようやく私の老眼鏡ができて受け取ってきた。フレームはチタン製で軽い。

近くの虫を見たり、細かい作業にはメガネがなくてはどうにもならない。


麝香あげは

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ウマノスズクサの香りを嗅ぎたくて、ちょっと寄り道をしてみた。

若令幼虫がいくつか見つかり、これなら卵もあるだろうと探してみた。

意外と手間取ってしまい、結局1個見つかったところで気力が失せてしまった。

ジャコウアゲハ卵.JPG
ジャコウアゲハの想い出は多い。

はじめて見たお菊虫。

馬鈴草の芽生え。

さあて、この卵のふ化は是非とも見ておきたいものだ。





先日5月3日に営繭を観察したチビアメバチ亜科の一種。

こんぼうまゆ.JPG
今日、繭の中ではすでに蛹になっていた。

たわらこんぼうあめばち.JPG
本種はホウネンタワラチビアメバチと思われるが、

繭の作り方にいささか疑問が残るので、種名については宿題としたい。


先日、ある方からいただいたドーリーは、さっそく仕事部屋で活躍している。

撮影台は常時2台設置しているが、三脚は小さなセットにまわすことができた。

ドーリーにはカメラ雲台とは別に、スタジオ用ストロボの発光部も取り付けてある。

ドーリー.jpg



昨日、そして今日。

ほぼ同じ時間帯、午後5時前後のこと。

オオゾウムシがアスファルト道路の真ん中を歩いていた。

二日続けて同じ光景を目にすると、なにかその理由を考えてみたくなるのが

凡人である証拠。

アスファルトの道はオオゾウムシには似合わないぞう、と拾い上げてしまう。

オオゾウムシ指にて.JPG指にしがみつかれると、痛いぞう~!!

レンゲ畑.JPG今日はうちの林で、サトキマダラヒカゲ、そしてハラビロトンボを今年初めて見た。


大分県中津市、福岡県朝倉市を巡ってからうちに戻ってみれば、

飼育中のタテハモドキ幼虫は2令になっていた。

タテハモドキ2令.JPG幼虫はヒメイワダレソウの葉肉を裏側から削り取るように食べている。

この写真はキャノンの65ミリマクロレンズを使用。室内で撮影する場合にはこのレンズを

使うことが多い。

先日、ある方からドーリーをいただいた。ドーリーというのは撮影スタジオなどで使う

カメラの固定台でどっしりしており、三脚のように野外で持ち運びすることはできない。

前から欲しかったのだが、ドーリーが手に入ったおかげでスタジオの手直しをしてみた。

蒸し暑い中、扉や窓を全開にして作業したが、まるで夏。短パンにTシャツという格好。

ドーリーは金属みがき剤で丁寧に磨き、CRCを可動部に注入して整備しておいた。

スタジオ用ストロボの発光部の固定も見直し、ライトスタンドを一切使わないように

した。


雨が降りそうで降らなかったので、草刈り作業をしておいた。

背負い式と肩掛け式の2台を使い分けて、2時間以上の作業はさすがに汗びっしょりだ。

新燃岳の噴火は沈静しているとはいえ、降り積もった灰は無くならない。

草刈りしていると全身に火山灰の微粒子を浴びて、これがけっこう痛い。

耳にも鼻にも入ってくる。

草を刈るとこれまで隠れていた火山灰の層がむき出しになる。




福岡県、朝倉市、古処山( 標高859.5m )に登った。

尾根沿いにあるツゲの原生林を見ておきたかったからだ。

さらにニシキキンカメムシの幼虫が見つかればと少し期待していた。

登山道は5合目まで林道が入っており、ここに駐車場があるにもかかわらず、

私は道を間違えてしまい、結局、2合目から登り始めた。

時間にして30分のロスだったが、勾配がきつくなるのは5合目を過ぎてから。

予定では1時間で登れると思っていたが、途中休憩も多く結局、2時間掛かった。

登山道1.jpg朝から雲が多く、陽射しは稀。平日だが登山する人達が数組いた。

ようやく尾根に辿りついたら、ツゲ林が目の前にあった。

ツゲ林.jpg尾根筋の道はツゲ原生林のトンネルの中に続く。

パラパラとツゲの花が落ちてくる。花の時期はもう終わりかけで、実が膨らみ始めている

樹もあった。この実が熟すころ、ニシキキンカメムシの繁殖行動が盛んになる。

ツゲの若い実.JPGツゲの葉は、平地のツゲに比べて小さい。

ツゲの葉.jpg越冬から目覚めたニシキキンカメムシ幼虫がいないものか探してみたが、

地面に落ちていた残骸が一個見つかっただけ。

ニシキキンカメ残骸.JPGツゲ林にはこんな看板も。

tツゲ看板.jpg消毒がニシキキンカメムシにどの程度影響を与えるのかはわからないが、

少なくとも、カメムシのせいでツゲが衰弱するとは考えにくいように思える。

ツゲノメイガなどが葉を食害するが、はたしてこの消毒はどんな虫をターゲットにしている

のだろう?こういう看板には、どういう被害があって、それに対してこういう対処をしている

という、もう少し詳しい情報も書き加えるべきだと思う。


下りは1時間で降りたが、脚がガクガクになってしまった。

せめて前日のアルコールは控えるくらいのことは、、、、、、、。


二日ぶりにわが家に戻ってみれば、ツツジの花が全部終わっていた。




中津市のホテルを出たのは午前5時45分。

ベッコウトンボの生息する池に行く前にムカシヤンマの羽化が見られるという谷に

案内してもらった。天候は晴れて気温も高い。夏日だ。

ムカシヤンマの生息環境というものを教えてもらう。

例年ならすでに羽化シーズンのはずだが、今年はかなり出遅れているようだ。

羽化する個体も抜け殻も見つからなかった。

ムカシヤンマはかなり異色のトンボ。宮崎でも生息地を探しておきたくなった。

午後からベッコウトンボの撮影。フタスジサナエ、サラサヤンマ、ヨツボシトンボなども。

ベッコウフィッシュアイ.JPG昨日のベッコウトンボはどの個体もかなり神経質で、なかなか寄れなかったが、

今日は時間帯のこともあってか、しばらく粘っていると同じ場所でおとなしくなった。

さっそくオリンパスE-PL2にM.14-42ミリ+フィッシュアイコンバーターを付けて

広角撮影をしてみた。

この組み合わせだと片手でカメラだけを被写体に寄せることができる。

画質もじゅうぶん良くて、このコンバーターのおかげで機材の軽量化もできる。

ベッコウトンボが食事をしていた。獲物は羽アリ。

ベッコウ食事.jpg上の写真はE-PL1にM.40-150ズームレンズの組み合わせ。

今回のトンボ撮影はこのレンズを多く使用。35ミリ判換算で300ミリ相当というのは

ちょうど扱いやすい。

中津市の山裾にはため池が多く、しかもその池は遠浅で水生植物も繁茂している。

こういう環境のなかでトンボの種類も数も多いのだろう。池を覗き込んでみると、

他の水生昆虫も豊かである。

今日はトンボの撮影三昧。トンボに疎い私としては学ぶことがたいへん多かった。

午後4時45分頃、中津市から甘木市へ移動。

1時間半ほどで甘木ICに着いた。

明日はいよいよ古処山に登る予定。


大分県、中津市

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都城IC~熊本~鳥栖I~日田ICと高速を移動し、大分県中津市に着いたのは

午後1時半ころ。気温は高めだが曇り。

中津市のベッコウトンボの生息地に行ってみた。

池の土手には多数のベッコウトンボがいたが、小雨が振り出して

トンボ達は一斉に姿を消してしまった。

中津市の郊外をあちこち巡ってみたが、杉の植林はきわめて少なく、広葉樹林の丘が綺麗だ。

トンボだけでなく、他の昆虫の密度も濃い環境のように思える。

さて、雨模様で早々と中津市のホテルにチェックインした。

一泊3200円で朝食付きのホテル。

明朝は早いので、車のガソリンを満タンにしておいた。1リットルあたり155円は高い!

明日は中津市でトンボの撮影をしたあと、甘木市に移動する予定。




一昨日ふ化したタテハモドキの幼虫はヒメイワダレソウを食べて順調に育っている。

JX067401.jpgすでに体はパンパンに太っている。

ほんとうは卵の産み落とされたタチイヌノフグリを与えてみて、

それで育つかどうか試すべきだろうが、2匹しかいないので恐くて実験はできない。

タテハモドキの幼虫期を一度はきちんと記録しておきたいと思っている。


さて、今日の写真画像の横幅実寸は4ミリ。

撮影倍率は35ミリ判換算で約9倍(実質倍率は4.3倍)。

この写真の撮影は、オリンパスの14-42ミリズームF3.5-5.5をリバース改造した

高倍率専用レンズを使用。画質は実用レベルであり仕事ではよく使っている。

14-42ミリズームF3.5-5.5はお手頃な低価格で、しかも小型軽量。

もちろんレンズの絞り解放値でフォーカス合わせできる自動絞り機構が効く。

ただし、リバース改造工作は簡単とは言えない



地味でどこにでもいるヒメウラナミジャノメ。

低いところばかりを舞うので目に付き易い。

夕方、庭で交尾しているカップルがいた。

フィッシュコンバーター作例1.jpg上の写真はE-PL2にM.14ー42ミリズーム+

フィッシュアイコンバーターFCON-P01の組み合わせにストロボFL-36Rを使用。


今度はM.40-150ミリズームにキャノンのクローズアップレンズ250Dをつけてみた。

キャノンクローズアップレンズ作例1.jpgクローズアップレンズとマスターレンズとの組み合わせにはそれぞれ相性があるが、

250DとM.40-150ミリズームレンズとの組み合わせの画質はかなり良いと思える。





4月26日にタテハモドキの産卵行動を見て、タチイヌノフグリに産み付けられた卵2コを

持ち帰った。

その卵が今朝、ふ化した。

ふ化が始まったのはほぼ午前4時ころ。

卵殻を食い破り始めてのち、卵から幼虫の体が抜け出たのは午前6時24分。

L1049401.jpg文献によると「卵殻の頂部よりやや下の部分を横に溝状の切り込みを入れて、

一部を残してからハッチを押し開くように脱出する」とあった。

ところがそのハッチがマンホールのようにポコンとはずれてしまった。

タテハモドキふ化.jpgまるで花笠踊りのようだ。

「このあとふ化幼虫はしばらく休んで卵殻を食べる」、と文献にはあったが、

またその期待は裏切られ、

幼虫は卵殻に止まったまま体を伸ばして、画面下のタチイヌノフグリの葉をかじり始めた

のであった。

もう一個の卵が気になり見てみたが、ほぼ同じ時間帯にふ化しており、

そちらは卵殻を食べている最中であった。

卵殻を食べている様子を撮影してから、最初のふ化幼虫に戻ってみれば、

なんと!幼虫は卵殻ごと脱離して落っこちていた。

タチイヌノフグリの表面に生えている細毛に阻まれて、卵の底面は完全には

付着できておらずほんのわずかしか付着面がなかったのだ。


さて、ふ化幼虫2匹は知り合いの方から送っていただいたヒメイワダレソウの葉に

移しておいた。



オリンパスのペンシリーズE-PL1などにM.40-150ミリレンズを付け、

これにクローズアップレンズを組み合わせて最小で約2倍~

最大7倍(35ミリ判換算)までの接写ができる。( 実質倍率は×1~×3.5)

高倍率カメラ.jpgカメラの内臓ストロボとレンズ先端にフード型ディフューザーを組み合わせただけでも

光は最高倍率でも回るのだが、電池の消耗が早いので、敢えて外部ストロボを使った。

もっとも外部ストロボだと最小倍率の2倍側では逆に光が偏るのでディフューザーと

内蔵ストロボを使ったほうがいいし、軽くて楽。まあ、外部ストロボを付けても軽いのだが。

先日、このカメラで屋外撮影での使用感を試してみた。

3~7倍という倍率では、虫が止まっている葉や枝などを左手で固定しておき、

なおかつ右手で構えたカメラのレンズ先端近くを左手の上に乗せるというふうに、

被写体とカメラを両手で固定しておいてピント合わせをする。

このシステムだと背面モニターでピント合わせすることになり、撮影者は被写体の虫から

かなり距離をとれるというメリットがある。

私はこれまで接写撮影を行うときモニター画面ではまったくピント合わせができなかった。

だからコンデジで超接写などをこなす方々は凄い技を持っている!と感心していた。

ところがモニターでピント合わせできない理由がつい先日判明して愕然となった。

なんと私の老眼がかなり進行し、でっかいモニターでさえメガネを掛けないと

しっかり見えていなかったのであった。至急、老眼鏡を購入せねばと焦っている。


さて、いくつか作例。まずはサクラにいたグンバイムシの一種。最大倍率より少し倍率は

低めに設定してある。作例の絞りはぜんぶF22。

グンバイムシSP.jpg次は、クヌギカメムシの幼虫。これも体全体を画面に入れるため倍率を少し抑えている。

V5023496.jpgさいごにヨツモンカメノコハムシ。

V5023540.jpg作例写真の3点は晴天下で自然光をできるだけ活かすようにシャッター速度を設定して

いるので、とくに2番目、3番目は厳密にチェックすると部分ブレが生じている。

電池のことを無視して内蔵ストロボとディフューザーの組み合わせにすれば、

電子ビュワファインダーも使え、さらに軽量になるのでぐっと使い易くなる。

画質に関しては前にも書いたようにキャノンの65ミリマクロレンズよりか劣るが、

なんといっても軽量小型というメリットは大きく、その機動力を活かして

シャッターチャンスを増やすのも一考だろう。

画質の良し悪しにこだわればキリが無い。

そこそこの画質でもいいから、シャッターチャンスを大事にしたい、という方や

観察主体でという方にはこういう簡易なシステムがあってもいいと思える。

クローズアップレンズは簡単に着脱できるし、機材は非常にコンパクトにできる。

メインシステムとは別にサブシステムとして常時携行する機材として活用

するという考え方もありだろう。

なお、レンズ単体だと場合によっては野鳥撮影もできる。

今日は家の窓からスズメを撮影してみた。

V5043667.jpg定点撮影用に置きっぱなしの三脚は、スズメの止まり場としてちょうど具合が

良かったらしい。頻繁に止まっているので、それならもっと絵になりそうな止まり木に

しておこうかと思っていた矢先。写真上のスズメは急にこのようなポーズをとった。

これは求愛のポーズでは?

次の瞬間、上空からオスが舞い降りてきて交尾が成立。

V5043668.jpg
V5043670.jpg一旦は飛び去ったが、再びやって来た。

V5043677.jpg場所が場所だけに、なんで三脚の上なの???と言われそうだ。

M.40-150ミリズームの画質には物足りないものがあるが、

これだけ軽くてコンパクトだと、いざと言うときサブとしての役割が期待できる。


昨日紹介したゴマダラチョウ幼虫がもう蛹になっていた。

ゴマダラチョウさなぎ.JPG今日は朝からどんより曇り、昼前から雨になった。



ベニシジミの卵

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ベニシジミの卵を先日、いくつか集めておいた。

ふ化を撮影するためだが、ふ化済みの卵殻を見ていると面白いことに気付いた。

以前にも他のチョウの卵で見た記憶があるが、この機会に撮影しておいた。

ベニシジミたまご底.jpg画面一番右端の卵殻だけひっくり返してある。見ての通り、卵の底は透明なのである。

白い点々は内側に付着した水滴が光っている。

ベニシジミの卵はほとんどの場合一個づつ産卵されているが、

この1例のみ3コ並んで産み付けられていた。


「アメバチの脱出、と繭作り」

午前6時半。雨が降る前に犬の散歩に出た。

畦道の草むらにシャクガ類の幼虫が多くいて気になり足を止めた。

よく見ればホウネンタワラチビアメバチの繭が2個あって、繭のそばには

萎んでクシャクシャになった幼虫の死骸がぶらさがっていた。

しばらく見ていると、逆さになったほかの幼虫の体からアメバチ幼虫が出てきた。

結局、3匹のアメバチ幼虫の脱出の瞬間、そして繭作りの様子を観察できた。

前から撮影しておきたかったシーンだ。アメバチ類の繭作りは数年前にも撮影しているが、

今回の繭作りとはやり方が違う。

寄生バチ幼虫がイモムシの体壁を突き破って外に現れ、蛆虫型の体をくねらして繭を

紡ぐという光景は、ほとんどの方が気色悪いと感じるだろう。

実際、こういうシーンの映像はテレビ放映上、タブーとしている局すらある。



寝姿

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以前、幼虫を見つけたエノキで、ゴマダラチョウ幼虫が前蛹になる準備を終えていた。

ゴマダラチョウ前蛹準備.JPGこの段階から餌をとらず、まるで修行僧のようにじっとしているだけ。体全体が透けたように

なっている。

午後6時過ぎ。ずいぶんと日が長くなった。

仕事部屋の外灯もタイマーの設定を夏時間に変えねば。

田んぼの畦道でニッポンヒゲナガハナバチのオスが数匹、ねぐらについていた。

ニッポンヒゲナガハナバチ寝姿.JPGこちらは、キマダラハナバチ、だろうか?

キマダラハナバチ.JPG
夜、家の周りではシブイロカヤキリの鳴き声でにぎやかだ。


自然が豊かとは?

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「わが町は自然が豊かです、、、、、、、」

今日は、広報に載っていた文章を目にして、ええ!!??と思った。

その理由を書けば長くなるが、その自然という概念が曖昧であり何を見て、何に感じて

自然が豊かと表現しているのか、いささか疑問に感じた、ということ。

「自然」という言葉には問題が多すぎる。


さて、1ミリほどの被写体を撮影する高倍率接写のことで追加。

庭のスイバを引き抜いては、ベニシジミの卵をさらに採集してみた。

するとふ化が間近い卵もあった。卵殻の中に幼虫の頭部が黒く透けて見える。

ベニシジミ卵超接写.jpg上の写真はオリンパスのマクロ20ミリという銀塩フィルム時代のレンズと

オートベローズ、そしてカメラはE-P1という組み合わせで撮影したもの。

昨日、紹介した接写(8倍)よりさらに倍率を上げている。

ここまで倍率を上げなくても、8倍程度で撮影してトリミングしてもいいかと思うが。

ホソオビヒゲナガのメスを昨日、取り上げたので、

オスをあらためて撮影しておいた。そのうちの1カット。

ホソオビヒゲナガ♂.jpg
今朝、うちの玄関脇に止まっていたのはヒメヒゲナガカミキリ


カミキリ.jpg
昼食のあと、緑茶を飲んだ。

子供達は麦茶だが、私は敢えて熱い緑茶を飲んでみたくなった。

水が旨い!というのは東京の生活では体験できなかったことだ。

水が美味しいのは霧島山のおかげなのだろう。

霧島山0501.jpg
朝はイカルやウグイスの囀りでにぎやかだ。

鳥の囀りでにぎやかだ、というのは、何と言う幸せだろう。

木々の芽吹きに取り囲まれ、小鳥の囀りの中にあって、これ以上に何が必要であろうか?